試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ102-267[ラシ336F-2] AU75B(M)冷房機換装施工 (元サハ103-198[元ラシ333F] 発生品転用) ※グリーンマックス製

2019-12-17 21:41:23 | 国鉄/JR103系
宿題。

2社3種混結のJR103系ラシ336F(Tc433)は2017年6月下旬にKATO製Assyベンチレーターで統一された。
ベンチレーター換装はグリーンマックス製モハ103-142+モハ102-267(ラシ336F-2)より開始している。
この当時は屋根板ベンチレーター取付孔の拡大方式が定まっておらず単独施工に留められた。


JR103系モハ102-267(ラシ336F-2)。
※グリーンマックス製。

在籍中のグリーンマックス製JR103系では実車に則した冷房機換装を行った車両が多数存在する。
製品付属品はAU75B(M)冷房機のみのためα-model製若しくはKATO製AU75系冷房機を代わりに起用した。
2014年3月に竣工したモハ103-142+モハ102-267は当初グリーンマックス製AU75B(M)冷房機を搭載させた。
その後モハ103-162(ラシ325F:Tc461)の屋根板振替に伴いモハ103-142だけがα-model製AU75B(H)冷房機搭載車へ改装となる。
一方ユニットを組むモハ102-267に齟齬は無くグリーンマックス製AU75B(M)冷房機搭載車のまま存置された。
そのため2015年1月以降ユニット間のAU75系冷房機はメーカーが揃わない状態が続いていた。


モハ103-142(ラシ336F-2:α-model製AU75B(H)冷房機搭載車)。
※グリーンマックス製。

グリーンマックス製AU75B(M)冷房機はα-model製,KATO製AU75系冷房機に比べ若干全高が低い。
但しユニット間のAU75系冷房機に相違が無ければ許容出来る範囲内で収まる。
しかしモハ103-142+モハ102-267は日立製と三菱製の混結ユニットでありこの差が強く出てしまった。
2017年6月の入場でモハ102-267のグリーンマックス製AU75B(M)冷房機は交換対象に浮上した。
だが思いの外KATO製Assyベンチレーター化に手間取り作業時間が押してしまい先送りとなった。
クハ103-433,クハ103-434(ラシ336F-2)の更新完了を機に残された課題の解消へと取り掛かった。


入工中のモハ102-267。

ラシ336F-2はモハ103-142+モハ102-267,サハ103-269以外がKATO製量産冷房車で構成される。
KATO製一般形サハ103-269はSC24形インバータ給電式AU712冷房改造車であり全高差には目が行かない。
α-model製AU75系冷房機の全高はKATO製量産冷房車に近くKATO製AU75B(M)冷房機も同様だった。
保管品はAU75A冷房機(101系メイクアップパーツ1:11-510)と成形色AU75B(M)冷房機に限られる。
成形色AU75B(M)冷房機はねずみ色1号で塗装しなければならず作業簡略化が優先された。
従ってモハ102-267へ搭載させるAU75(B)冷房機はAU75A冷房機の代用に決定している。


取付孔が合わないAU75系冷房機 (グリーンマックス製,KATO製)。

KATO製AU75A冷房機とAU75B(M)冷房機の外観差は無く便宜上区分しているだけである。
よって外観上グリーンマックス製AU75B(M)冷房機の置き換えには何ら問題無い。
しかし両車で間隔と径が異なる取付脚をどの様に吸収させるかが課題となった。
再びKATO製AU75G冷房機を代用したAU75E冷房機換装車でぶつかった壁に襲われている。
モハ103-212+モハ102-367(ラシ325F)を初めとするAU75E冷房機換装車は屋根板取付孔の拡大で往なした。
だが線路方向の平行合わせに手間を要する弱点がありモハ102-267では新方式で挑んでいる。


僅かに残るKATO製AU75系冷房機用開孔中心部。

屋根板には当然グリーンマックス製AU75B(M)冷房機用の取付孔が設けられている。
この開孔位置が絶妙で各々の1エンド側,2エンド側にはKATO製AU75系冷房機用開孔目安が残っていた。
新たに1エンド側:1.8mm,2エンド側:2.6mmの取付孔を貫通させれば換装が容易になると思われた。
しかし開孔目安の大半は失われておりドリルを持ち出すには条件が厳しかった。
そこで少しずつクラフトナイフで整形を進め最終的に幅を合致させる方向に転換した。
だが屋根板中心を維持しながらの拡大には適していないと判り途中で打ち切っている。


取付脚を復活させたAU75B(M)冷房機と拡幅された屋根板取付孔。

深手を負う前に中止された屋根板取付孔の延長区間は一応KATO製AU75系冷房機取付脚間隔に到達した。
だがその幅は約2mmしかなくKATO製AU75B(M)冷房機の取付脚を整形しないと装着が行えない。
転用の進んだKATO製AU75B(M)冷房機(予備品)は残数が少なく取付脚への整形に躊躇している。
ここでサハ103-198(ラシ333F:Tc773)の車体更新で保管品に廻ったKATO製AU75B(M)冷房機を思い出した。
KATO製一般形元サハ103-198(廃車:元ラシ333F)は非冷房車用屋根板にAU75B(M)冷房機を直接固定していた。
屋根板への開孔を行わなかったため取付脚が取り払われており急遽代打に起用された。


同位置に並ぶα-model製AU75B(H)冷房機とKATO製AU75B(M)冷房機 (モハ103-142用屋根板,モハ102-267用屋根板)。

元サハ103-198で採用した全面接着固定式ではKATO製AU75B(M)冷房機の位置調整が発生してしまう。
既に屋根板取付孔拡大も済ませており線路方向の固定を補助する取付脚追設に踏み切った。
取付脚は用途不要となったKATO製103系旧LOTベンチレーターの取付脚を切断し転用している。
転用に当たっては取付脚切除部へベンチレーター取付脚を溶着し最低限の強度が保てるよう留意した。
KATO製103系旧LOTベンチレーターの取付脚径は約2mmであり屋根板取付孔延長区間と合致する。
嵌合試験の結果は悪くなくAU75B(M)冷房機内側四隅と追設した取付脚にゴム系接着剤を塗布し屋根板へ取り付けた。




モハ102-267(KATO製AU75B(M)冷房機換装施工)。
※グリーンマックス製。


サハ103-212(ラシ305F-3:KATO製AU75B(M)冷房機搭載車)。
※グリーンマックス製。


元サハ103-198(廃車:元ラシ333F)。
※KATO製一般形:AU75B(M)冷房機搭載施工車。

偶然にも屋根板取付孔延長区間は車体中央から外れていなかったため枕木方向の位置調整には至らなかった。
線路方向もモハ103-142と同等の配置に達しており違和感を抱かせない屋根上見附になったと思える。
接着固定式の延長線ではあるが取付脚の追設はそれなりに効果があったらしく剛性にも問題なかった。
旧サハ103-198は後付けランボードがAU75A冷房機の補助固定を担っていたが十分に機能してくれると思う。
KATO製AU75B(M)冷房機の取付脚を活かすグリーンマックス製AU75B(M)冷房機交換は幻に終わった。
それでも竣工したモハ102-267(ラシ336F-2)はKATO製AU75B(M)冷房機搭載車と遜色なく見える。
今になって約7箇月前の廃車発生品を持ち出すとは思わなかったがモハ102-267には幸いしたと言えるだろう。

クハ103-433[ラシ336F-2] 車体更新 (クハ103-272[Tc272] 回着,方転,改番:旧クハ103-433 廃車)

2019-12-16 23:18:55 | 国鉄/JR103系
回帰。

塗装変更を経て竣工させたKATO製JR103系クハ103形高運転台ATC車は編成見附を崩す存在になっている。
クハ103-278(ミツ6F:Tc93)を皮切りに順次車体更新が行われ7両はメーカー塗装車体へと格上げされた。
だが種車となるクハ103-272高運転台ATC車(黄色5号)の不足によりまだ4編成8両が更新対象で残されていた。


JR103系クハ103-433(ラシ336F-2)。
※塗装変更車。

ようやく中古製品で押さえたクハ103-272,クハ103-272(Tc272)はラシ336F(Tc433)への充当に決定した。
クハ103-433,クハ103-434(ラシ336F-2)は二度の塗装変更を受けたため極端に車体状態が悪かった。
車体更新は部品流用を原則としており屋根板及び側面窓セルの継続使用可否が課題に挙がる。
一足先に更新されたクハ103-434では補修を要しながらも全部品の流用へと持ち込めた。
中でも屋根板は2-4位側2エンド寄嵌合爪を折損直前まで至らせたため1脚嵌合式に変更している。
続けて入場するクハ103-433も屋根板嵌合爪と車体が融着していると思われ慎重な撤去に徹した。


入工中のクハ103-272,クハ103-433 (Tc272,ラシ336F-2)。

クハ103-433用部品が全て流用可能か判らずクハ103-272用部品と比べながらの作業となる。
唯一屋根板だけはクハ103-281高運転台ATC準備車(Tc281)から引き継いだ現行LOT品を充てたかった。
だがクハ103-433用床板を取り外したしたところ既に2-4位側2エンド寄屋根板嵌合爪は歪んでいた。
車体屋根板嵌合口の塗装被膜はかなり厚く再塗装入場時に悪化させたと思われる。
この状態で通常通りに撤去を進めると2脚とも失う確率が高くなりそうだった。
廃車都合により現行LOTクハ103形用屋根板(保管品)は有しておらずいきなり難関が立ちはだかった。


分解したクハ103-272

これ以上屋根板嵌合爪に負荷は与えられないため側板を撓ませる撤去方式へ変更となった。
先ず屋根板と嵌合爪が離れる程度に2-4位側取付口を膨らませプラスチックドライバーを挟み込む。
次にベンチレーターを利用し屋根板が止まる位置まで1-3位側へ平行移動させる。
ここで車体内側から2-4位側嵌合爪を押し出しどうにか屋根板の撤去へと漕ぎ着けた。
嵌合爪は珍しく車体中央寄が痛んでおり妻板寄のみの1脚嵌合式に整形している。
クハ103-433より経年の高いクハ103-272であるがこちらは問題無く分解を終えられた。


部品を相互交換したクハ103-272,クハ103-433。

屋根板問題に区切りが付き側面窓セル窓サッシ印刷の状態確認に移った。
入出場を繰り返した関係からかクハ103-433用側面窓セルは窓サッシ再現を失った箇所が多い。
よって作業進行にはクハ103-272用側面窓セルの転用が有利な状況にあった。
しかしクハ103-272用側面窓セルは小傷による曇りが著しく窓サッシ再現よりも修復が難しかった。
そのため油性メタリックマーカー式で修復したクハ103-433用側面窓セルを嵌め込んでいる。
この他の部品類は大きな瑕疵が見られず全てクハ103-433からの流用となった。


同一仕様となったクハ103-433,クハ103-272(1-3位側)。

部品交換はクハ103-272とクハ103-433の組み立てを同時進行させ部品取り違えを防ぐ手段とした。
クハ103-434で試行した前照灯用プリズム固定化は点灯照度向上の足を引っ張ったため取り止めた。
前面窓セルは現行LOT品へ振り替えたが若干の白濁箇所があり負荷が掛からないように装着している。
なお前面用JRマークは車体単体での転写が容易く感じられたため組み立て中に先行施工した。
引き続きTOMIX製旧製品インレタを用い狙い通りの一発転写で切り抜けている。
この際KATO製A形防護無線アンテナの浮き上がりに気付き流し込み接着剤で再固定した。


[[クハ103-][4][3][3]]:1-3位側。

クハ103-272の車体に施した細工はマッキーでの側扉窓黒Hゴム支持化のみである。
1-3位側への施工中はまだペン先が熟れていなかったが2-4位側の途中で突然塗り潰し易くなった。
Hゴム支持モールドを覆うには丁度良い塩梅に変わり1-3位側,2-4位側双方とも二度塗りとした。
ウエイトへの事前防錆対策を行ったした後は残り少ない側面用JRマークインレタの転写へ移行している。
今や車両番号標記印刷消去よりも作業条件が厳しくなっており急遽工程を前倒しした。
不安に刈られながらの転写だったがクハ103-434の様な皺を生じさせずに済んでいる。




クハ103-433 [29C 御茶ノ水]:屋根板・前照灯用プリズム・前面窓セル・床板交換,JRマーク転写施工。
※車体更新。


クハ103-278 [13C 千葉]:ラシ321F(現行LOT前面窓セル交換施工車)。
※新製投入車。

不振が続くラプロス式印刷消去だがクハ103-434での試行を一部反映させラプロス#4000の使用時間を長めに取った。
全体が[クハ103-272]へ達した時点でラプロス#6000に切り替え[クハ103-272]まで持ち込んでいる。
従来方式との変更点はラプロス#4000の捌き方にあり擦る感覚ではなく触れる程度に留めた。
これにより黄色5号塗料が削り取られる厚さは縮小されラプロス#6000での完全消去も速くなっている。
車両番号標記インレタは組標記の余りを有効活用し全て新台紙で賄った。
当初は[クハ103-]+[4]+[33]を組み合わせる予定だったが[クハ103-]+[4]+[3]+[3]へ変更している。


クハ103-433 点灯試験[29C 御茶ノ水]:前照灯(前照灯照度向上対策施工)。


クハ103-433 点灯試験[29C 御茶ノ水]:尾灯。


クハ103-434 点灯比較[29C 御茶ノ水]:ラシ336F-2(前照灯照度向上対策施工車)。

不得手の揃目転写から逃れる目論見は[クハ103-433]が若干ずれてしまい不発に終わった。
組標記になるはずだった[クハ103-433]は分割転写に迫られせっかくの機会を活かし切れなかった。
何はともあれクハ103-433の全工程に一区切りが付き点灯試験まで辿り着けた。
クハ103-434では今ひとつ前照灯照度向上対策の効果を得られなかった。
だが同じ前照灯用電球前進式を採用したクハ103-433は従来の結果に戻っている。
やはり前照灯用プリズムの固定はクハ103形高運転台車に向かない何かがあると思う。




クハ103-433(クハ103-272 方転,改番,屋根板・側面窓セル・床板交換,側面窓セル窓サッシ印刷補修,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。
※車体更新。


クハ103-434(ラシ336F-2:車体更新車)。

クハ103-780(ラシ305F-2:Tc780)の工程へと戻されたクハ103-433(ラシ336F-2)は順当な竣工に至った。
迂回した影響により約120分に達したクハ103-434とは異なり約90分で全ての作業を終えている。
ただラプロス式印刷消去に復活の兆しを感じ取れクハ103-434での試行が大きく寄与してくれた。
103系はプロトタイプ変更を要する車両が大半であり改番は欠かせない工程になっている。
もうしばらく様子見が必要だが成形色を透過させる確率は大幅に下がると思われる。
その一方でクハ103-433とクハ103-434では前照灯照度の違いが露わになり新たな問題に直面した。
ライト基板の更新は考えておらず電球ライト基板のまま解決策を探る予定である。

クハ103-434[ラシ336F-2] 車体更新 (クハ103-272[Tc272] 回着,改番:旧クハ103-434 廃車)

2019-12-15 23:58:00 | 国鉄/JR103系
久々。

KATO製JR103系ラシ317F(Tc259)の車体更新完了と同時に塗装変更車4両を廃止した。
これでKATO製103系量産冷房車中間車両はサハ103-500,サハ103-501(ラシ314F:T500)の更新を残すだけとなった。
なおサハ103-331(ラシ310F-3:Tc373)も塗装変更車であるが側扉窓金属押え面支持化を行ったため存置が決定している。


JR103系ラシ336F (1993/10,1995/4)。
[ラシ336F-2]:Tc433-[M142]-[M'267]-[T346]-[M534]-[M'690]-T359-[M560]-[M'716]-Tc434
[ラシ336F-3]:(Tc433-[M142]-[M'267]-)[T269](-[M534]-[M'690]-)([T346])(-[M560]-[M'716]-Tc434)。

状態改善が進んだKATO製103系量産冷房車だがクハ103形高運転台ATC車だけは多数の塗装変更車を抱える。
在籍中のクハ103形高運転台ATC車はクハ103-281,クハ103-282高運転台ATC準備車(Tc281)を改装した車両が多い。
塗装変更車から脱却させるにはクハ103-272高運転台ATC車(Tc272:黄色5号)を引き当てるしかない。
だがクハ103-272は生産中止品であり中古製品はおろかジャンク車両でも導入が困難だった。
現在でも2016年10月のクハ103-278(ミツ6F:Tc93)を皮切りに7両が更新を終えただけに留まる。
打開策としてラシ335F-2(M213)ではTOMIX製103系旧製品クハ103-461,クハ103-726(ラシ335F)を代替投入した。


クハ103-434(ラシ336F-2)。
※塗装変更車。

KATO製クハ103形の車体更新はクハ103-780(ラシ305F-2:Tc780←クハ103-272:Tc272)を以て中断に追い込まれる。
それから約4箇月が経過しようやくクハ103-272,クハ103-272(Tc272:中古製品)の導入が実現した。
2両単位での車体更新は2017年8月のクハ103-463,クハ103-728(ラシ319F:Tc463)以来約2年4箇月振りとなる。
入場候補はラシ331F-1(MM'7),ラシ325F(Tc461),ラシ327F(Tc473),ラシ333F(Tc773),ラシ336F(Tc433)が挙がった。
このうちラシ331F-1はKATO製一般形モハ103-7を動力ユニット搭載車へ復帰させる計画があり対象から外した。
残る4編成を比較検討した結果ラシ336F(→ラシ336F-2:T359,ラシ336F-3:T269)への充当に落ち着いた。


入工中のクハ103-272,クハ103-434 (Tc272,ラシ336F-2)。

KATO製クハ103-433,クハ103-434(ラシ336F-2:塗装変更車)はクハ103-281,クハ103-282(Tc281)が種車である。
ラシ336F-2を初出場させた2014年4月当時のGMカラー黄色5号スプレーは黄色1号に近い色温度であった。
そのため同時期に竣工した塗装変更車及び自家塗装車は色温度修正が行われる。
クハ103-433,クハ103-434の再塗装入場は2014年8月だが最悪の結果で終わった。
厚塗りの側板に加え車体断面には黄緑6号が窺える等返って見窄らしくなってしまった。
だがクハ103-433,クハ103-434よりも失敗が際立つ車両を優先したため車体更新は先送りされてきた。


部品流用のため分解されたクハ103-434。

先発入場は側面窓セル窓サッシ印刷の劣化が見受けられたクハ103-434とした。
クハ103-272用側面窓セルは数多くの擦過痕があったため転用には向かなかった。
幸いモハ103-560+モハ102-716(ラシ336F:8,9号車)は車体改修施工車であり補修を施した上で流用する。
KATO製A形防護無線アンテナ,Assyベンチレーターを取り付けた現行LOT屋根板も移設となる。
だが二度の塗装変更が悪影響を及ぼしたらしく2エンド側屋根板嵌合爪は車体内側と融着していた。
撤去時に2-4位側嵌合爪が折損直前まで傾いたため車体中央寄を残し撤去した。


側扉窓黒Hゴム支持化を行ったクハ103-272 (クハ103-434,クハ103-272)。

クハ103-272から転用する部品は全く無く分解直後に側扉窓黒Hゴム支持化を施した。
まだマッキーのペン先は解れておらずラシ321F(Tc188)と同じく8区分毎に塗り潰している。
前面窓セルはワイパー,前面窓縦桟が銀色再現へと変更された現行LOT品を移設した。
今回が三度目の着脱となる前面窓セルは既に白濁が生じており慎重な取り付けを心掛けた。
1脚嵌合式に整形された2-4位側2エンド寄屋根板嵌合爪だがクハ103-272への装着には支障ない
側面窓セル窓サッシ印刷は斑点状剥離以外に亀裂まで走っていたため全て油性メタリックマーカー再現へと改めた。


再施工した前照灯照度向上対策。

KATO製103系量産冷房車ではツヌ307F(Tc805)からウエイト防錆対策を開始した。
早速モハ103-738(ツヌ307Fモハ103-675:ラシ321F)以下8両でもウエイト交換を要した車両が現れている。
ツヌ307Fより経年の浅いクハ103-434だが今後の状況次第では腐食発症も有り得る。
将来的な不安を払拭するべく車体更新とウエイトの事前防錆対策は同時進行となった。
構造上ウエイトを取り出すにはライトユニットの撤去が欠かせずライト基板位置にずれが生じた。
そのためライトユニットの装着後に前照灯用電球を引き出す照度向上対策を再施工した。




[[クハ103-4][3][4]]:2-4位側。

最近はラプロス式車両番号標記印刷消去の結果が今ひとつしっくり来ない状態が続いていた。
クハ103-272は2-4位側の車両番号標記印刷濃度が高く成形色露出に不安を感じた。
試験的にラプロス#4000を軽く当て続ける新方式で[クハ103-272]標記の消去へと挑んでいる。
しかし[クハ103-272]標記跡が浮き立つ微妙な結果に終わりラプロス#6000で仕上げた。
1-3位側の消去は従来方式に戻し車両番号標記インレタ転写へ移行している。
クハ103-434でも新旧インレタの併用とし中経年台紙の削減が進められた。


[[JR]]:2-4位側(TOMIX製High-Grade製品付属インレタ)。

組み合わせは1-3位側:[クハ103-4]+[3]+[4],2-4位側:[クハ103-]+[4]+[3]+[4]と異なっている。
両側とも[クハ103-434]に中経年インレタが充てられたが配置はまずまずだと思う。
問題はいよいよ底が見え始めた側面用JRマークインレタの転写であった。
ラシ336F-2用を含め3編成分しか残数が無く失敗は許されない状況に置かれていた。
頼りにしてきたTOMIX製High-Grade製品付属インレタも経年が高くなり転写力は落ちている。
側面用JRマークがある事実を優先し余程の失策をしない限り再転写は行わない方針とした。




クハ103-434 [29C 御茶ノ水]:屋根板・前照灯用プリズム・前面窓セル・床板交換,JRマーク転写施工。
※車体更新。


クハ103-780 [17C 三鷹]:ラシ305F-2(旧LOT前面窓セル装着車)。
※車体更新車。

案の定側面用JRマークは一部が剥がれ掛かり強引にバーニッシャーで押し戻した。
歪みと皺が発生してしまったが手持ちが無い以上この状態で我慢するしかない。
側面用JRマークの補充は喫緊の課題と言えどうにか打開策を見い出したいところである。
他方前面用JRマークは比較的余裕のあるTOMIX製旧製品インレタを転写した。
こちらも相当の年期物だが転写力はTOMIX製High-Grade製品付属インレタを軽く凌いでいる。
なお前面用プリズムも流用しており設定数の少ない[御茶ノ水]表示が承継された。


クハ103-434 点灯試験[29C 御茶ノ水]:前照灯(前照灯照度向上対策施工)。


クハ103-434 点灯試験[29C 御茶ノ水]:尾灯。


クハ103-810 点灯試験[31C 中野]:ラシ310F-1(前照灯照度向上対策施工車)。

前面用プリズム天面の湯口跡は措置済だったため浮き上がり無く屋根板を取り付けられた。
床板も正規位置に収まり部品を一斉交換した影響は全く感じられなかった。
ただ前照灯照度が予想よりも低く何処かの噛み合わせが悪くなったと思われる。
クハ103形低運転台量産冷房車で広く採用している前照灯プリズムの固定化が関係しているかもしれない。
これまでクハ103形高運転台車に於ける施工例は殆ど無く電球ライト基板装着車では今回が初試行となった。
続けて更新予定のクハ103-433にも試行する予定だったが取り止める方向で考えている。




クハ103-434(クハ103-272 改番,屋根板・側面窓セル・床板交換,側面窓セル窓サッシ印刷補修,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。
※車体更新。

ひとまずクハ103-434(ラシ336F-2)はメーカー塗装車体へ載せ替えられ竣工を迎えた。
塗装変更車体では野暮ったく見せるだけだった側扉窓黒Hゴム支持化が効果的に映る。
またAssyベンチレーター搭載車でもあり軽快感を増幅させていると思う。
代わりにクハ103-272用部品が廻された旧クハ103-434(元ラシ336F-2)は廃車となった。
クハ103-434では試行の空振りや歪んだ側面用JRマーク等作業は思い通りに進められなかった。
無駄に時間を費やした感がありクハ103-433の更新工程はクハ103-780(ラシ305F-2)に倣う予定である。

サハ103-772[ツヌ311F] 車体改修 (101系800番代LOT側面窓セル振替施工:モハ100-808[ツヌ101F-1] 捻出品転用)

2019-11-27 21:51:18 | 国鉄/JR103系
老朽化。

現在までにKATO製国鉄103系津田沼区仕様サハ103形750番代組込編成は5本が出場済である。
サハ103形750番代竣工計画立案は2014年6月と比較的早くサハ103-772をプロトタイプとした。
種車にはKATO製103系一般形サハ103-37(Tc54)を起用しDT21非動力台車への交換まで進めた。


国鉄103系ツヌ311F (1982/8)。
[ツヌ311F]:Tc821-M760-M'2017-T501-M761-M'2018-T772-M762-M'2019-Tc828。

だが車体はサハ103形0番代のままで全く代わり映えがせずKATO製一般形サハ103形での番代区分変更は失敗に終わった。
一旦頓挫したサハ103形750番代竣工計画だったが種車をKATO製101系へ改め2014年11月に再開となる。
そしてモハ101-46,サハ100-38(トタ5F:Tc14)を旧サハ103-768,旧サハ103-769(旧ツヌ324F:Tc217)へ形式変更した。
明らかにKATO製103系量産冷房車とは見附が異なるものの一応サハ103形750番代の特徴を引き出せたと思えた。
この結果を受けプロトタイプ候補にサハ103-772が再浮上しモハ101-107(ムコ10F:Mc194)のサハ103形750番代編入へ着手した。
AU75B冷房機の偏位搭載と格闘しながらも2014年5月にはサハ103-772(ラシ311F:Tc821)を竣工させている。


入工中の101系元モハ101-262,サハ103-772 (廃車,ツヌ311F)。

KATO製101系はカプラー無DT21非動力台車が採用されており103系量産冷房車との混結に不安を抱いた。
そこでサハ103形750番代では全面的にカプラーポケット付DT21非動力台車(11-031)を採用している。
ただKATOカプラーBタイプ付DT33非動力台車とは連結器突き出し長が異なるため2015年1月に連結面間隔短縮を試行した。
この施工以降サハ103形750番代は部品供出等で入場機会が訪れたがサハ103-772だけは軽整備を受けずに荒廃が進む。
特に側面窓セル窓サッシ印刷は一部の銀色再現が失われるほど傷みが激しくなっていた。
車体も過去に施した細工痕が見受けられる状態で今回の車体改修に至っている。


折損していた2-4位側車体中央部側面窓セル押え。

初期計画ではKATO製101系モハ100-808(ツヌ101F-1:Mc193)と同時入場させる方針だった。
だがモハ100-808の工程に[千ツヌ]電略標記変更を組み込んだためサハ103-772は改修が先送りされた。
そのため元モハ100-808用101系800番代LOT側面窓セルは一旦元モハ101-262(廃車:元ラシ107F)へと廻される。
三角交換が行われる予定だった元モハ100-808用側面窓セルはようやくサハ103-772への取り付けを迎えた。
101系800番代LOT側面窓セルはその嵌合精度から車体への組み込みに労する個体が多い。
ご多分に漏れずサハ103-772もこれに該当したらしく2-4位側車体中央部の側面窓セル押えが失われていた。


清掃を施した屋根板と車体(1-3位側)。

線路方向の嵌合が固い傾向を有する101系800番代LOT側面窓セルは車体中央部が凹形になり易い。
従って2-4位側側面窓セル押えの遺失は致命傷になる可能性が高まりそうだった。
ただサハ103-772の基本構造は旧モハ101-107時代から変わっておらず車体更新が通用する。
先ずは側板の状態改善から取り掛かり車体が流用可能かは組み立て後に可否を下す算段とした。
車体には連結面間隔短縮試行入場時に付着したと思われるゴム系接着剤の被膜が散在していた。
擦過痕が生じないようセロハンテープをゴム系接着剤残滓に当てて除去している。
また1-3位側車両番号標記周囲はペイントリムーバーによる変質部が広くラプロス#6000で修正した。


嵌合精度が味方した2-4位側用側面窓セル。

α-model製AU75B(H1)冷房機の偏位搭載を行った関係上屋根板は濃灰色で塗装されている。
塗装被膜には斑が残っており磨きクロスで大雑把な仕上げ均等化を図った。
埋め込んだベンチレーター取付孔は若干の引けが現れていたが特に措置せず存置した。
見附の悪い後付けランボードはTOMYTEC製国鉄101系トタ冷房5F(Mc199:第一次冷房改造車)用屋根板で廃する計画がある。
凹部の修正自体もAU75B冷房機を撤去しなければならず再塗装まで要するため見送りとなった。
そしてメーカー塗装状態へ戻った車体に元モハ101-262から撤去した101系800番代LOT側面窓セルを取り付ける。
101系800番代LOT側面窓セルは元モハ101-262よりも更に嵌合が固く組み付けに難儀した。


細工痕以外は状態が良かったサハ103-772用床板。

加えてサハ103-772では車体と101系800番代LOT側面窓セルは各窓毎の嵌合猶予まで少なかった。
ところがこれが逆方向へ作用し側面窓セル押えが存在しない2-4位側も車体と面一に収まってくれた。
ひとまず早急な車体更新は必要無いと判りこのまま床板点検へと移行している。
9両が在籍するサハ103形750番代だが床板は種車形式に左右された関係で統一されていない。
サハ103-772用床板はモハ101-107用が流用されたため床下機器の大幅な切除を要した。
開口部はプラ板で塞いだものの隙間を多く抱えウエイトが腐食していても止むを得ない構造と言えた。
だがウエイト断面の状態は非常に良好であり事前防錆対策だけで整備を終えられた。


技量の範疇を越えていたKATOカプラーBタイプ化 (DT21非動力台車,DT33非動力台車)。

床板を分解した序ででもあり現在よりも連結面間隔を詰められるか検討に入った。
現在はカプラースプリングステーを短縮しKATOカプラーが車輪寄へ偏位する方法で連結器突き出し長を抑えている。
この方式ではKATOカプラーBタイプ付DT33非動力台車に比べ約1.5mmほど連結面間隔が延びてしまう。
理想はDT21非動力台車(11-031)のKATOカプラーBタイプ化だったが成形形状が立ちはだかり諦めた。
KATOカプラーBタイプ用台座の移設は可能だが牽引及び推進力に耐えられる強度が保てない。
金属ワッシャー等での代用も難しく長考を重ねた上で廃案となった。




サハ103-772(車体清掃,101系800番代LOT側面窓セル振替施工)。
※車体改修。


国鉄101系サハ100-68(ツヌ110F:床板構造未変更車)。

久し振りに分解したサハ101-772用床板だがサハ103形750番代共通仕様の車体高嵩下対策が施されている。
KATO製モハ103形0番代,モハ102形0番代量産冷房車との車体裾段差を再現するため導電板を撤去した。
これだけでは必要以上に全高が落ちてしまうため台枠裏面センターピン部へt0.3mmのプラ板スペーサーを噛ませてある。
そのためDT21非動力台車を製品仕様通りに締結すると曲線通過が不可能になってしまう。
組み立てはモハ103-762,モハ102-2018(ツヌ311F)を持ち出し都度調整しながら行った。
状態の良い101系800番代LOT側面窓セルが充当されたサハ103-772(ツヌ311F)は初竣工当時の側面見附に戻り竣工となった。


モハ102-2018+サハ103-772 (ツヌ311F:モハ102形0番代+サハ103形750番代)。

サハ103形750番代組込編成はKATO製量産冷房車全車へF&MODELS製貫通幌を取り付けた。
少しでも連結面間隔が詰まったように見える錯覚効果に期待したが根本的な解決には至っていない。
今入場でDT21非動力台車(11-031)はKATOカプラーBタイプ化が困難だと判った。
妙案が浮かぶまでは現状で我慢するしかなく引き続きの課題として残されている。
サハ103-772の次回入場はTOMYTEC製101系第一次冷房改造車用屋根板への交換になると思う。
場合によっては101系用KATOカプラーの再登板があり得るかもしれない。

クハ103-188[ラシ321F] 車体再改修 (簡易式改番廃止,戸袋窓黒Hゴム支持・側扉窓金属押え面支持再現補修施工)

2019-11-25 21:43:33 | 国鉄/JR103系
随一。

在籍中の103系津田沼~習志野区仕様ではクハ103-188(ラシ321F:Tc188)が最も特異な車両と言える。
種車にはクハ103-214(ツヌ315F:Tc213)が起用され前面窓セル,屋根板を交換して2013年11月に竣工した。
AU712冷房改造車化はKATO製クハ103形一般形用屋根板を貼り付ける安直な方式が採用された。


JR103系クハ103-188(ラシ321F)。

当初はグリーンマックス製AU712冷房機を搭載していたクハ103-188だが2015年3月の入場で交換が行われる。
これはTROM製ランボードの正規取り付けを大失敗し屋根板交換に迫られたためだった。
TOMYTEC製AU712冷房機を搭載したKATO製一般形クハ103形用屋根板はまたもや接着固定となる。
立体感を有するTROM製ランボードの効果でクハ103-188は屋根上見附が向上したように思われた。
だが車体と屋根板には全長差があり前面妻板部からの漏光発生に苦しめられる。
屋根板は着脱が困難でプラ板を貼り付ける等各種対策を試行したが何れも不発に終わった。


入工中のクハ103-188。

その後2015年12月の入場で遮光方式をアルミテープ式へ改めようやく漏光から解放された。
この施工が奏功しクハ103-188はModelTrainPlus製KATO製クハ103形用LEDライト基板装着第二次試作車に起用される。
第一次試作車はクハ103-278(ラシ321F)であったがクハ103-188への試行に備える狙いがあった。
2017年10月にModelTrainPlus製LEDライト基板装着編成へ格上げされた後は小刻みな車体改修が主となる。
窓サッシ印刷が劣化していた側面窓セルは元クハ103-819(廃車:元ラシ314F)の発生品を転用した。
また劣化が早い側扉窓金属押え面支持再現の補修を繰り返しながら現在に至っている。


線路方向の傾斜が解消されたModelTrainPlus製ライト基板。

側扉窓金属押え面支持化は油性ペイントマーカーを用いていたため車体の分解が避けられなかった。
ところが補修を重ねる毎にクハ103-188は特定の条件下で車体傾斜が発生するようになる。
ModelTrainPlus製LEDライト基板への交換直後には見られなかった症状で床板の不備は無いと考えていた。
しかし車体傾斜が収まる気配は感じられず今回の入場で根本的な解決策を探った。
床板を取り外したところ1-3位側だけライトケース内にModelTrainPlus製ライト基板が食い込んでいた。
原因を辿るとModelTrainPlus製ライト基板がライトケースと平行に収まらなくなっておりライトユニット全体を歪ませている。


ライトケースに埋没しなくなったModelTrainPlus製LEDライト基板(1-3位側)。

ライト基板更新時の記録では問題なく組み込まれており度重なった床板の着脱が影響したと思われる。
基板位置を偏位させる要因は車体中心からずれた尾灯用LEDチップの角度であった。
尾灯用LEDチップとライトケースが正対する形状へとリードフレームの整形を行い歪んだライトユニットを廃している。
モハ103-675以下8両(ラシ321F)より車齢が若いクハ103-188だけに導電板,ウエイトの状態は良好だった。
よってクハ103-278(ラシ321F)と同じくウエイト断面への事前防錆対策のみを施した。
床板を組み立てた後もModelTrainPlus製LEDライト基板は修正時の位置が保たれ車体傾斜抑止に期待を寄せた。


小細工の痕が伺える車体内側。

漏光対策の切り札として屋根板裏面に貼り付けたアルミテープだがラベル面が厚い弱点を持つ。
製品仕様に比べライトユニット天面との空間的余裕が少なく床板の挿入角度次第では接触する場合があった。
この構造がModelTrainPlus製LEDライト基板の尾灯用LEDチップに余計な負荷を与えた模様である。
だが薄手のアルミテープの手持ちが無く貼り替えられないため当面は組み立てに注意を払うしかない。
初回入場と屋根板交換入場で分解を経たせいか車体内側の黄色5号塗料粉は全く残っていなかった。
KATO製一般形クハ103形用屋根板の補強梁を活かした側面窓セル支持方式も機能しており固定方法の変更は見送られている。




油性メタリックマーカー再現に変更した側扉窓金属押え面支持(1-3位側)。

クハ103-188は車両更新工事施工車仕様であり側扉窓金属押え面支持化が施されている。
KATO製103系では珍しくない施工だが何故かクハ103-188だけは油性ペイントマーカーとの相性が悪かった。
前途の通り劣化速度が異様に早く都度修正を行った結果Hゴム支持モールドはインクで塗り重ねられてしまった。
これ以上油性ペイントマーカーで覆うと波打を激しくさせる上に補修効果が持続する保証も無い。
磨きクロスによる全面剥離は何時でも行えるため油性メタリックマーカーでの補修を再試行した。
過去に幾度か試行した油性メタリックマーカー式は思うような質感を得られなかった。
だがクハ103-188では油性ペイントマーカーの被膜が下地になったらしく程良い再現へ達したように思える。




[[クハ103-1][8][8]]:1-3位側。

幾度も修正が行われた側扉窓に対し戸袋窓黒Hゴム支持再現は初施工から放置され続けてきた。
2017年9月に入場した際には劣化が現れていたが何も手を加えられないまま再出場している。
約2年2箇月の間に剥離が進行していまいHゴム支持再現は斑状まで掠れていた。
中途半端に残るマッキーは再施工を行い難くさせたため磨きクロスにて取り除いた上で塗り直した。
元モハ103-675以下8両(元ラシ321F)がラシ317F(Tc259)へ改番異動したためクハ103-188は簡易式改番車で取り残された。
[クハ103-188]標記印刷濃度は決して濃くなかったがラプロス#4000での単独消去に踏み切っている。
その結果はまずまずでモハ103-738(ツヌ307F:Tc805モハ103-675:ラシ321F)に於ける継続試行が当たったと思う。




クハ103-188 [13C 千葉]:車体傾斜修正,表示器窓黒Hゴム支持補修,前照灯用プリズム固定施工。


クハ103-260 [17C 三鷹]:ラシ305F-3(前照灯用プリズム固定化施工車)。

運行番号,行先表示器窓黒Hゴム支持再現も補修対象となり一旦マッキーを除去している。
再施工はHゴム支持モールドに限ったが車体断面も黒色化するべきだったと思う。
Hゴムが等幅に見えない要因は両表示器部品が車体と面一まで迫り出さないためである。
竣工時期の早いクハ103-188はペン先を滑らせた箇所があったが車体断面まで手が届かなかった。
この部分が露出してしまう両表示器の嵌合位置を計算していればまた一味違う前面見附へ変わっていたと思われる。
なお屋根板裏面のアルミテープに押され気味だった前照灯用プリズムは固定化を行い他編成と揃えた。


クハ103-188 点灯試験[13C 千葉]:前照灯(床板分解整備施工)。
※ModelTrainPlus製LEDライト基板装着車。


クハ103-188 点灯試験[13C 千葉]:前照灯(床板分解整備施工)。
※ModelTrainPlus製LEDライト基板装着車。


クハ103-259 点灯比較[05C 中野]:ラシ317F(電球ライト基板装着車)。
※前照灯照度向上対策施工車。

車体傾斜はプリズム押え部品とライトユニットの嵌合が固くなった場合に発生していた。
ModelTrainPlus製LEDライト基板の修正でライトユニットはプリズム押え部品との噛み合わせが良くなった。
何度か着脱試験を繰り返したが症状は再発せず車体傾斜も収まってくれた。
但し屋根板とライトユニット天面との空間は減少したままであり床板の装着には引き続き特別な配慮が必要である。
ライトユニットを組み直した影響も無くクハ103-188の点灯試験は無事合格となった。
電球ライト基板装着車では独自の前照灯照度向上対策を施しているがModelTrainPlus製LEDライト基板には到底敵わない。




クハ103-188(簡易式改番廃止,戸袋窓黒Hゴム支持・側扉窓金属押え面支持再現補修施工)。


サハ103-328(ラシ323F:油性ペイントマーカー式側扉窓金属押え面支持化施工車)。

車両番号標記は再び新旧インレタを組み合わせた[クハ103-1]+[8]+[8]とした。
これは[8]標記インレタが数多く残る中経年台紙削減と揃目の[クハ103-188]への対応を考えた結果である。
中経年台紙の転写力は十分に残っていたがなかなか[クハ103-188]が揃わず再転写を繰り返した。
それでも古インレタの[8]標記は消化出来ず再び登場機会が訪れると思う。
[クハ103-188]標記は簡易式改番の廃止が大きく転写結果を誤魔化す方向へと作用した。
ラシ321Fではモハ103-677+モハ102-833に続く揃目転写となったがクハ103-188が最も体裁良く見える錯覚に陥っている。




クハ103-188+モハ103-675 (ラシ321F:KATO製103系一般形用屋根板装着車+現行LOT屋根板装着車)。


モハ102-833+クハ103-278 (ラシ321F:現行LOT屋根板装着車+旧LOT屋根板装着車)。

KATO製103系のHゴム支持モールドは車体側にあり何時まで油性メタリックマーカー式側扉窓金属押え面支持再現が持つか判らない。
不安要素を抱えるものの竣工したクハ103-188(ラシ321F)は油性ペイントマーカー式金属押え面支持再現車との差が小さく思える。
そろそろ側扉窓金属押え面支持再現の修正も一段落してほしいところで定着に期待したい。
クハ103形一般形用屋根板が引き継がれたためモハ103-675(2号車)との質感差も承継された。
当初からクハ103-278(ラシ321F)を旧製品LOT屋根板装着車で竣工させる方向性はクハ103-188が握っていた。
モハ103-675以下8両とクハ103-188,クハ103-278は組成休止前から仕様が変わる事無くラシ321Fの組成休止解除を迎える。

クハ103-278[ラシ321F] 車体再改修 (現行LOT前面窓セル交換,側扉窓黒Hゴム支持再現補修施工)

2019-11-24 23:55:10 | 国鉄/JR103系
意外。

KATO製国鉄103系ツヌ307F(Tc805)からJR103系ラシ321F(Tc188)への車両異動はモハ103-676の竣工を以て完了した。
これにより2019年10以降モハ103-675以下8両が欠車していたラシ321Fは10両編成に復帰している。
その代わり改修時期の離れたクハ103-188,クハ103-278(ラシ321F)との外観差が発生してしまった。


JR103系クハ103-278(ラシ321F)。

2014年7月に竣工したクハ103-278(ラシ321F)はTOMIX製旧製品クハ103-278(旧ラシ321F)を置き換えた車両である。
種車はクハ103-272高運転台ATC車(黄色5号)で長らく車体更新車だと思っていた。
KATO製クハ103形高運転台ATC車はクハ103-281,クハ103-282高運転台ATC準備車(Tc281)を種車に竣工させた車両が多い。
しかしクハ103-278(ラシ321F)には旧LOT屋根板,前面窓セルが取り付けられる等車体更新車らしさに欠けていた。
改めて経歴を辿るとクハ103-272を直接改番した新規投入車であった。
現在クハ103-278は3両が在籍しておりクハ103-278(ミツ6F:Tc93)と勘違いしていたらしい。


入工中の元クハ103-763,クハ103-278 (廃車,ラシ321F)。

旧モハ103-675以下8両(元ラシ321F)はモハ103-402以下8両(ラシ317F:Tc259)への異動時に車体改修を行った。
初期竣工車のためマッキーを用いる側扉窓黒Hゴム支持化が現在とは異なる方式で施されていた。
経年により掠れが生じていた黒Hゴム支持は全て塗り直しを行い現行方式へ統一した。
一方引き続きラシ321Fに残留するクハ103-188,クハ103-278は旧方式のまま取り残されている。
その結果モハ103-675以下8両(ラシ321F)よりも陳腐化が際立つよう感じられた。
再出場前にクハ103-188,クハ103-278(ラシ321F)へ車体改修を施しモハ103-675以下8両と同水準まで持ち上げる。


分解した元クハ103-763。

ラシ321F仕様に改装されたクハ103-278だが2017年9月の入場で車体改修を行っている。
工程は作業失敗で濃灰色へ塗装した屋根板の廃止が主眼に置かれ車体には手を伸ばさなかった。
施工から約5年4箇月を経た側扉窓黒Hゴム支持再現はすっかり劣化が進んでしまった。
既に側扉窓灰Hゴム支持印刷再現は一部が露出しており再改修で側面見附の向上を図る。
また製品原形を留めてきた前面窓セルも現行LOT品へ交換しクハ103-188との格差を埋める。
現行LOT前面窓セルは元クハ103-763(廃車:元ラシ305F-3)を供出車に起用した。


ワイパー再現が異なる前面窓セル (現行LOT品,旧LOT品)。

旧LOTクハ103形高運転台車用前面窓セルにはワイパーモールドへの銀色再現が施されていない。
ワイパーモールドの銀色化はクハ103-786(ラシ333F:Tc786)が入場した際に一度挑戦した。
ところが油性メタリックマーカー式が通用せず殆ど効果を得られないまま終わり即時中止となった。
そのためクハ103-278(ラシ321F)では元クハ103-763との前面窓セル相互交換を選択している。
生憎元クハ103-763は部品嵌合が固い塗装変更車であり慎重に前面窓セルを撤去した。
前面窓セルの形状は新旧LOT間で変更されていないためクハ103-278への取り付けは容易だった。


側面用JRマークの保全に注意を払った側扉窓黒Hゴム支持化再施工(2-4位側)。

元クハ103-763へ取り付けられた部品類は状態が良く解体は時期尚早と言えた。
旧LOT前面窓セルが廻された元クハ103-763だが保管品管理都合から再度組み立てを行い退場させた。
側扉窓黒Hゴム支持化再施工は新品のマッキーを用いるためモハ103-402以下8両と同じく8分割式となる。
ただ手持ちの側面用JRマークが尽きる直前に置かれておりどうしても再転写を回避したかった。
不意に触れると剥がれる可能性が高く何度も車体を持ち替え保護に努めた。
多少時間が掛かったものの1-3位側,2-4位側とも無事JRマークは生き残り全側扉窓の補修も無難に終えられている。


整形した2エンド側嵌合爪。

前回入場時に取り付けた屋根板は旧クハ103-278(廃車:元ミツ6F)用を転用した旧LOT品である。
在籍する旧LOT屋根板装着車はプラスチックの経年劣化で2エンド側嵌合爪を破損させた車両が数多く存在している。
分解した時点でクハ103-278用屋根板の2-4位側嵌合爪は変形しかけ妻板寄が傾いていた。
旧クハ103-278(元ミツ6F)はクハ103-282(Tc281)が種車であり車体更新時に強い負荷が掛かったらしい。
現状での屋根板装着は嵌合爪全体が失われてしまう確率が高く継続使用を困難に陥れかねない。
そこで前途の旧LOT屋根板装着車の修正例に倣い2-4位側嵌合爪を1脚へと改めた。


ウエイト事前防錆対策のみに留まった床板整備(2-4位側)。

過去の記録からクハ103-278(ラシ321F)はクハ103-272用床板を履き続けていると判明した。
よってモハ103-675以下8両よりウエイトの腐食が進んでいてもおかしくはなかった。
しかし蓋を開けてみるとウエイト断面は錆の欠片も無く非常に綺麗な状況が保たれていた。
どの様な条件下で錆が発生するか不明だが経年は直接関与しない模様である。
ただ今後の予防としてウエイト断面は全てマッキーで塗り潰す事前防錆対策を施した。
導電板やTR62非動力台車は問題が見られず簡単な清掃のみでクハ103-278用床板の組み立てに戻っている。




クハ103-278 [13C 千葉]:現行LOT前面窓セル交換施工。


クハ103-803 [31C 中野]:ラシ310F-2(旧LOT前面窓セル装着車)。

クハ103-805,クハ103-812(ツヌ307F)では前照灯用プリズムの取り付けに一癖があった。
一方クハ103-278(ラシ321F)はプリズム押え部品の撤去と同時に脱落するほど嵌合が緩かった。
当初クハ103形低運転台量産冷房車にて採用している前照灯用プリズム固定化を検討した。
だがプリズム押え部品の取り付けで安定度が維持されると判り中止している。
現行LOT前面窓セルに交換されたクハ103-278はワイパーの銀色再現が効果的に映る。
ベンチレーター,ダミーカプラーも現行LOTへ交換済でありクハ103-272の影は薄くなったと思う。


クハ103-278 点灯試験[13C 千葉]:前照灯(床板分解整備施工)。
※ModelTrainPlus製LEDライト基板装着車。


クハ103-278 点灯試験[13C 千葉]:尾灯(床板分解整備施工)。
※ModelTrainPlus製LEDライト基板装着車。

クハ103-278(ラシ321F)は栄えあるModelTrainPlus製KATO製クハ103形用LEDライト基板装着第一次試作車でもあった。
ウエイト都合により床板を分解したためライトユニットは着脱が行われライト基板も撤去した。
座席部品に押さえつけられたModelTrainPlus製LEDライト基板の集電脚はやや歪みが見られた。
そのせいか台枠への再挿入時に集電脚先端が座席部品脇からはみ出すようになってしまった。
クランパーでライト基板集電脚を直線状に整形して症状解消へと漕ぎ着けている。
点灯試験では安定した結果を示しており通電系統の不具合は生じていないと思う。




クハ103-278(側扉窓黒Hゴム支持化再施工)。
※車体改修。


クハ103-260(ラシ305F-3:側扉窓黒Hゴム支持化施工車)。
※車体改修施工車。

側面窓セル窓サッシ印刷の劣化も無くクハ103-278(ラシ321)は締まった外観を取り戻した。
掠れていた側扉窓黒Hゴム支持再現は廃され現行水準の車体改修施工車へと改められている。
まさかクハ103-272の改番車だとは思わなかったが良好な部品状態が幸いし約50分で全工程を終えた。
まだ旧LOT部品を数多く残しているが現行LOT品に相当する見附へ達したと思える。
ちなみに屋根板2エンド寄2-4位側嵌合爪の1脚化は旧LOT屋根板装着車で実績を残している方式である。
従ってクハ103-278用屋根板が嵌合不良を起こす確率は低いと予想している。




モハ102-833+クハ103-278 (ラシ321F:現行LOT屋根板装着車+旧LOT屋根板装着車)。

モハ103-675以下8両は現行LOT屋根板装着車でありクハ103-278用屋根板とは質感が異なる。
これは旧モハ103-675以下8両時代から変わっておらずこの改修でも承継された。
物理的に現行LOTクハ103形量産冷房車用屋根板が不足気味で交換には踏み切れない。
ただ諸事情によりクハ103-278(ラシ321F)は旧LOT屋根板での存置が決定していた。
最近の車体改修では部品LOT統一を並行しているがクハ103-278だけは例外扱いとなっている。
このLOT差異も側扉窓黒Hゴム支持再現が整ったため編成見附を乱す要因にはならないと思う。

モハ103-676[ラシ321F] 動力ユニット整備 (モハ103-739[ツヌ307F] 改番,駆動不調改善:通電系統整備施工)

2019-11-23 23:19:08 | 国鉄/JR103系
2軸駆動。

全非動力車の整備が完了した国鉄103系ツヌ307F(Tc805)はモハ103-739(動力ユニット搭載車)が最終入場車となった。
ツヌ307Fは高経年製品のため当初より動力ユニット整備が確定しておりJR103系ラシ321F(Tc188)への異動を締め括る。
モハ103-738以下7両(ツヌ307F)はその外観とは裏腹にウエイトの腐食が進み防錆対策を必要とした。


国鉄103系モハ103-739(ツヌ307F:動力ユニット搭載車)。

現行LOT品ではあるがモハ103-739用動力ユニットも余り期待を寄せられない状況に置かれていると思われた。
入場前の試験走行ではさっそく段付加速が確認され嫌な予感が的中してしまった。
ただ車輪踏面には殆ど走行痕が見られなかったため更なる原因の切り分けを進めている。
津川洋行製ホイールクリーナーを用い片側毎のDT33動力台車で通電具合に違いが現れるか確かめた。
1エンド側用DT33動力台車では不安定な症状が現れず段付加速に直接関わっていないと判明した。
モーターも高回転域まで滑らかに廻り2エンド側用DT33動力台車廻りが疑わしく思えた。


入工中のモハ103-739

個性が強いラシ321Fは在籍する全103系の中でも走行機会の多い編成である。
元モハ103-676(元ラシ321F:動力ユニット搭載車)はモハ103-470(ラシ317F:Tc259)への移動時に本格整備を行った。
気に掛かる現象は感じられなかったもののDT33動力台車の脱車及びモーター軸受部への注油で性能復元を実感した。
後釜を務めるモハ103-739(→モハ103-676:ラシ321F)も元モハ103-676に匹敵する負荷が待ち受ける。
モハ103-739の動力ユニットは2エンド側用DT33動力台車が全く機能していなかった。
始めから調子が思わしくない動力ユニットをモハ103-676へ起用するのは何処か心許なく思えた。
そのため現行LOT動力ユニット(保管品)との交換を視野に入れて作業へ取り掛かっている。


過度な劣化は伺えなかった導電板と台車集電板。

試験走行の結果からモハ103-739用動力ユニットは2エンド側導電板,DT33動力台車に何らかの不具合があると予想された。
1エンド側用,2エンド側DT33動力台車を取り外したが多少曇りのある導電板は双方とも同様であった。
台車集電板も経年相当の酸化が伺える程度で特別2エンド側DT33動力台車だけが劣るようには見えなかった。
しかし現実2エンド側で通電不良を抱えている事実に変わりなくモーター単独駆動試験へと移行した。
ユニットカバーは取り外さず台車集電板が接触する2エンド側導電板裏面付近へ直接電極を当てる。
すると曇った導電板を諸ともせず電流値に比例して勢い良くモーターは回転してくれた。
これにより2エンド側用DT33動力台車が2軸駆動の原因だと特定された。




現状回復に努めた動軸と台車集電板(2エンド側用)。

分解した2エンド側用DT33動力台車は惨憺たる状態で導電板ピボット軸受部が油脂で覆われていた。
動軸も軸受先端が埃で包まれており1軸は糸屑のようなものが巻き付いている。
この状況では通電不良を招いても当然だが生憎動軸用黒染車輪の保管品は持ち合わせていない。
流用で乗り切るしかなく軸受先端はクリーナーを浸したティッシュペーパーにて拭き上げた。
黒染車輪のため状態は掴み難いが各軸受からは青緑色の付着物が除去された。
一方台車集電板は極細綿棒でピボット軸受部を清掃した後に#600のペーパーにて磨き直した。


分解整備に進んだモハ103-739用動力ユニット。

油脂固着が目立ったギア類はクリーナープールへ浸けて溶解させている。
続けて整備に取り掛かった1エンド側用DT33動力台車も同様の体を成しており手間を要した。
動軸軸受先端部及び台車集電板ピボット軸受部の状況から何れ機能不全に陥っていたと思われる。
導電板の措置をどうするべきか迷ったが最終的にラプロス#2400で研磨した。
モハ103-676への充当に備えモーター軸受部にも注油を行いモハ103-470をも上回る整備内容まで発展している。
組み直したモハ103-739動力ユニットは2エンド側用DT33動力台車への整備が効いたらしかった。
入場前に見られた2軸駆動や段付加速は再発せず現行LOT動力ユニット(保管品)の起用も回避された。


改番を待つのみとなったモハ103-739

動力ユニットに対する不安が解消され車体整備は集中して作業に入れた。
車体内側はモハ103-740(ツヌ307Fモハ103-677:ラシ321F)に相当する黄色5号塗料粉が残っていた。
ようやくアルコールクロス式車体清掃が本領発揮の場を迎えたと言え一気に拭き上げている。
黄色5号塗料粉の飛散を抑える効果はその量に関わらず健在で車体断面清掃は完全廃止が確定した。
モハ103-739では車体の乾燥を待つ間に側扉窓黒Hゴム支持化へ取り掛かれる。
マッキーはペン先がまだ熟れておらずHゴム支持モールドの塗り潰しには8分割式を踏襲した。




[[モハ103-][6][7][6]]:1-3位側。

今更試行錯誤が始まったラプロス式車両番号標記印刷消去だが作業簡略化と仕上がりを両立したい。
現時点ではサハ103-492,サハ103-493(ツヌ307Fサハ103-452,サハ103-453:ラシ321F)での方式が理想的に思えた。
モハ103-739は1-3位側と2-4位側で車両番号標記印刷濃度が異なっており比較を込めて再試行に至った。
先に標記印刷が濃い2-4位側を消去した後に比較的薄い1-3位側の[モハ103-739]標記へ着手する。
成形色露出を避けるべくラプロス#4000は2-4位側よりも軽い圧で車体に当てた。
突然の施工方式変更となったが1-3位側,2-4位側は大凡同じ塗装被膜状態を保ちつつ[モハ103-739]へと改められた。




JR103系モハ103-676(ラシ321F:モハ103-739 改番,動力ユニット整備,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。

思いの外[モハ103-739]へ達する時間が早く車体の擦過痕は大幅に縮小された。
そこで1-3位側はラプロス#6000での塗装被膜平滑化を省略し事務用消しゴムと磨きクロスだけで仕上げた。
結果は上々で従来よりも印刷消去痕が埋没する予想以上の答を得られた。
もう少し試行が必要だと思われるが新方式への移行を前倒しするかもしれない。
車両番号標記は[モハ103-]+[6]+[7]+[6]を全て新インレタで揃えたため最低限の見附に至ったと思える。
モハ102-895(ツヌ307Fモハ102-832:ラシ321F)まで新旧インレタ混用を貫いた姿勢は作業時間短縮に還元されている。




モハ103-676+モハ102-832 (ラシ321F:元モハ103-739+元モハ102-895)。

車体清掃開始から車両番号標記インレタ転写完了に要した時間は僅か約30分であった。
但し動力ユニット整備に約90分を割かれておりモハ103-676(ラシ321F)が竣工した頃には日付が変わっていた。
それでも無事復活に漕ぎ着けた動力ユニットと各種試行が結実した車体整備は一定の手応えを掴み取れた。
ユニット相手のモハ102-895とは側扉窓黒Hゴム支持化方式に違いがあるがその差異は全く感じられないと思える。
紆余曲折を経たツヌ307Fの第二次整備であるがほぼ予定通りにモハ103-675以下8両への改番,改装を終えられた。
まだクハ103-805,クハ103-812(ツヌ307F)の処遇は決まっていないがラシ321Fが再出場した後に検討する。

サハ103-452,453[ラシ321F] (サハ103-492,493[ツヌ307F] 改番,ウエイト交換,側扉窓黒Hゴム支持化施工)

2019-11-22 21:48:28 | 国鉄/JR103系
転換。

塗装変更車の廃止によりKATO製103系量産冷房車用床板は十分な保管品が確保された。
しかし一部には座席部品の嵌合爪を失い再用が不可能になった個体も存在している。
用途不要に近い床板は専らウエイト及び導電板の保管用として組み立てたまま放置されてきた。


国鉄103系サハ103-492(ツヌ307F)。

JR103系ラシ321F(Tc188)を復帰させるために導入したKATO製国鉄103系ツヌ307F(Tc805)だが整備進行状況は思わしくない。
入場第一陣のモハ103-738+モハ102-894(ツヌ307Fモハ103-675+モハ102-831:ラシ321F)は黄色5号塗料粉除去で躓く。
モハ103-740+モハ102-896(ツヌ307Fモハ103-677+モハ102-833:ラシ321F)以降よりウエイトの錆取りが作業に追加された。
またモハ102-895(ツヌ307Fモハ102-832:ラシ321F)では側扉窓黒Hゴム支持化に欠かせないマッキーまでが力尽きた。
誤算が続く第二次整備となったがサハ103-492,サハ103-493(ツヌ307F)の入場で悪い流れを断ち切る。
一部は当初から変更予定だったが作業工程を見直し2両同日竣工に拘った。


入工中のサハ103-492

サハ103-492,サハ103--493ではウエイトの錆取り作業を取り止め部品取用床板からの転用とする。
ウエイト供出元がサハ103形用ではないため台枠交換は行えないが作業簡略化の手段とした。
車両番号標記も新旧インレタ併用の継ぎ接ぎ転写とはせず新台紙で一本化を図る。
元々グリーンマックス製インレタは[サハ]標記が少なく改番時の壁になっていた。
中経年台紙で追加転写を行うと[サハ103-452],[サハ103-453]が剥離しかねない。
モハ102-676まで古インレタを使用し続けた理由はサハ103-492,サハ103-493の改番用に温存した結果でもある。


保管品の状態が上回ったウエイト (元モハ102-711用台枠,サハ103-492用台枠)。

但し新マッキーに切り替えて側扉窓黒Hゴム支持化を施す都合から工程変更効果の一部は相殺される。
それでも錆取り作業ほど時間は要さないと予想されサハ103-452,サハ103-453(ラシ321F)の竣工は早まると考えた。
先発入場させたサハ103-492モハ102-895での工程順を踏襲し床板関連項目が第一工程となった。
ウエイトを捻出する元モハ102形量産冷房車用床板はサハ103形量産冷房車用床板の細工品である。
TOMIX製旧製品元モハ102-711(廃車:元ラシ320F)の車両更新と共に使用停止となり象牙色成形座席部品が廻された。
その座席部品もプラスチックの老朽化で破損が進んでしまったため遠慮なくウエイト振替え用に持ち出した。


再び8分割に戻された側扉窓黒Hゴム支持化施工(1-3位側)。

やはりサハ103-492用ウエイトは断面の腐食が著しく元モハ102-711用ウエイトよりも劣っていた。
2014年10月に使用を開始した元モハ102-711用床板だがウエイト断面には全く錆が見られない。
よってマッキーによる事前防錆対策を施すのみでサハ103-492用台枠への移設が可能だった。
車体内側の黄色5号塗料は比較的定着率が高くアルコールクロス式清掃とを併せて作業効率化に直結する。
アルコールクロスが黄色く染まった面積は全体の1/3にも満たず瞬く間に車体清掃を終えた。
対照的に側扉窓黒Hゴム支持化はペン先が熟れていないマッキーに変わったため手数が増える。


[[サハ103-4][5][2]]:1-3位側。


[[モハ102-][8][3][2]]:ラシ321F(新旧インレタ併用転写施工車)。

窓R部のHゴム支持モールドが塗り潰し難くなり再び側扉窓を8分割して黒色化する方式に戻された。
ただ新規施工であり補修を伴ったモハ103-402以下8両(ラシ317F:Tc259)に比べて作業自体は捗ったように感じられた。
モハ103-738から車両番号標記印刷消去方法が一部変更されラプロス#4000の使用割合を減らした。
ところが車両番号標記印刷跡の完全消去が遠くなってしまいサハ103-492でも[サハ103-452]へ到達するまで苦戦した。
しつこく残る[サハ103-492]標記跡はモハ102-895に続いて使い古しのラプロス#4000を当てている。
これには若干濃かった[サハ103-492]標記印刷も影響したと思われる。




JR103系サハ103-452(ラシ321F:サハ103-492 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。

車両番号標記インレタの組み合わせは[サハ103-4]+[5]+[2]となった。
このうち[サハ103-452]が組標記を崩したインレタに該当し[サハ103-452]にはモハ103-675での使い残しを引き当てた。
経年が若いだけあり付き物だった修正転写は発生せず[サハ103-452]標記インレタも無事保全された。
ちなみにツヌ307Fの入場車で車両番号標記を同一台紙にて賄った車両はサハ103-452(ラシ321F)が初である。
但しモハ103-675以下5両ではフォント太さに気を配ったため基本的な見附は変わっていないと思う。
その代わり転写完了は格段に早くなり作業中盤の中弛みを回復できた。


入工中のサハ103-493(ツヌ307F)。

再用見込みが無くなったもう1両分の床板は改修入場したモハ103-732(ラシ310F-1:M733)からの発生品である。
モハ103-732は茶褐色成形座席部品が取り付けられた極初期LOT品のモハ103-700(黄色5号)が種車だった。
ところが2019年9月の入場で座席部品嵌合爪が折損していると判り現行LOT座席部品へ交換した。
崩壊が進んだ茶褐色成形座席部品は出自不明のモハ103形量産冷房車用台枠と組み合わされる。
現行LOT座席部品への再交換を行えば再用も可能だがモハ103形量産冷房車用床板(保管品)には余裕がある。
しかも肝心の現行LOT座席部品は単独捻出が不可能であり敢えて復旧を図る強い理由に欠けていた。


定着した塗料だけが残る車体内側(2エンド側)。

但し元モハ102-711用床板とは異なり台枠は製品原形を保っているため完全に用途が失われた訳ではない。
またモハ103-732譲りのKATOカプラーBタイプ付DT33非動力台車を履いており緊急予備品に起用できる。
取り敢えずウエイトはサハ103-493への転用が決定したが元モハ103-732用床板の解体は見送りとなった。
サハ103-492の整備開始から約50分後にサハ103-493が入場を迎えた。
車体清掃に用いたアルコールクロスはまだ乾燥しておらずサハ103-493の工程順を急遽変更した。
多分な水分が蒸発したアルコールクロスはむしろ黄色5号塗料粉の除去作業を円滑にしてくれている。


三角交換を経たウエイトと導電板 (元モハ102-711用台枠,元モハ103-732用台枠,サハ103-493用台枠)。

サハ103-493用ウエイトはモハ103-738以下8両で最も腐食が進行していた代物であった。
その影響は導電板にまで達しており表面の酸化と妙な変色が激しく浮き出ている。
流用には向かないとの結論に至りウエイトと同時に導電板も交換対象へ加えた。
放置され続けた元モハ103-732用ウエイトだったが腐食の影は見当たらず事前防錆対策だけで転用出来た。
導電板は元モハ102-711用を元モハ103-732用台枠へ廻しサハ103-493用台枠には元モハ103-732用が取り付けられた。
三角交換により切り欠き部を有する元モハ102-711用台枠は状態の悪い部品が集約されている。




[[サハ103-][4][5][3]]:1-3位側。

ラプロス式車両番号標記印刷消去方式はラプロス#6000が[サハ103-492]標記跡に通用せず今回も奮わなかった。
そして印刷濃度の高い[サハ103-493]を前にして早くも中止となり全面的な見直しが決定する。
ラプロス#6000で落とし切れなかったモハ103-895,サハ103-492の車両番号標記印刷跡は痛んだラプロス#4000に頼った。
この結果を鑑みてサハ103-493ではラプロス#4000での消去へ一本化し捌き方の変更で往なす作戦に出た。
とにかく[サハ103-493]標記印刷嵩だけにラプロス#4000が車体と触れる感覚まで力加減を抑える。
擦過方向も一直線の線路方向から円弧状に改め[サハ103-493]標記が[サハ103-493]へ達する時を待った。




JR103系サハ103-453(ラシ321F:サハ103-493 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。

軽く払うように捌いたラプロス#4000だが予想以上に消去力が強く厄介な[サハ103-493]標記跡は出現しなかった。
擦過痕も従来方式に比べ浅くなりラプロス#6000,消しゴム,磨きクロスでの仕上げまで簡略化されている。
ただ1つ誤ると成形色露出を呼び込む弱点は変わらないためラプロス#4000の取り扱いには習熟が必要だと思われる。
当面は車両番号標記印刷濃度の高い個体で試行を続け正式採用するか判断したい。
車両番号標記インレタは[サハ103-]+[4]+[5]+[2]を組み合わせ1-3位側,2-4位側とも一発転写で切り抜けた。
振り返るとサハ103-453(ラシ321F)で抑止が掛けられた作業は側扉窓黒Hゴム支持化施工だけであった。


モハ102-831+サハ103-452 (ラシ321F:元モハ102-894+元サハ103-492)。


サハ103-453+モハ103-677 (ラシ321F:元サハ103-493+元モハ103-740)。

新品に切り替えたマッキーが黒Hゴム支持再現の差異を生み出す可能性も有り得た。
しかしサハ103-452,サハ103-453の側面見附はモハ103-675以下5両に馴染む側面見附へ達したと思う。
作業時間の短縮を掲げたサハ103-452,サハ103-453(ラシ321F)は都合約100分で竣工している。
両車とも側扉窓黒Hゴム支持化で滞ったがペン先が熟れるまでは耐えるしかない。
ツヌ307Fモハ103-740:アルコールクロス式車体清掃,サハ103-493:ラプロス#4000単独印刷消去と各種試行が重なった。
これらは動力ユニット整備が主工程となるモハ103-739(ツヌ307F)でも機能してくれると思われる。

モハ102-832[ラシ321F] (モハ102-895[ツヌ307F] 改番,ウエイト防錆対策・側扉窓黒Hゴム支持化施工)

2019-11-21 21:53:41 | 国鉄/JR103系
想定外。

KATO製国鉄103系ツヌ307F(Tc805)からJR103系ラシ321F(Tc188)へ異動する車両は都合8両である。
これまでモハ103-738+モハ102-894,モハ103-740+モハ102-896(ツヌ307F)と2両単位で竣工させてきた。
但しモハ103-675+モハ102-831,モハ103-677+モハ102-833(ラシ321F)への改装は想定よりも難航した。


国鉄103系モハ102-895(ツヌ307F)。

現在未入場車はモハ103-739+モハ102-895,サハ103-492,サハ103-493(ツヌ307F)の4両で半数を残す地点まで来ている。
このうちモハ103-739は経年を考えると動力ユニットの整備が欠かせないと思われた。
よって当初からユニット相手であるモハ102-895の整備を何処に組み込むか検討していた。
しかしモハ103-677からウエイトの防錆対策が工程に加わり2両/日での竣工も厳しくなりつつあった。
当然の如くモハ103-739若しくはサハ103-492,サハ103-493との同時入場には無理が生じる。
急いて事を仕損じては元も子もなくモハ102-895は単独入場が相当と決断した。
たまたま作業時間が確保できずサハ103-492,サハ103-493に先んじてモハ102-895の入場を迎えている。


入工中のモハ102-895

限られた時間でモハ102-895を整備しなければならずモハ102-833に続いて床板点検が第一工程に廻った。
モハ103-675+モハ102-831は事前防錆対策を行ったのみで床板関連項目の作業を終えている。
他方モハ102-831まで手こずっていた車体内側の黄色5号塗料粉除去はアルコールクロス式清掃で劇的な効率改善が達成された。
従ってウエイトの腐食次第では早期に車両番号標記インレタ転写へ取り掛かれる可能性がある。
吉凶どちらに出るか分からないモハ102-895だが錆取り作業発生を前提として作業を開始した。
車体現状確認は一切行わず真っ先に床板を分解しどの様なウエイト状態か確かめた。
残念ながら断面は殆ど錆に覆われており早くも早期竣工の望みが絶たれた。




一度では錆を落とし切れなかったウエイト。

座席部品裏面に付着していた錆粉だけは乾いたクロスを当てるのみで拭き取れた。
対する台枠表面はモハ102-896と同じく錆の塊がウエイトリブ断面に固着していた。
先端を鋭角に切り落とした爪楊枝でへばり付いた錆の壁を削ぎアルコールクロスにて仕上げた。
クリーナーとは異なり白濁が発生しないアルコールクロスは台枠清掃にも向いていると思う。
腐食が進んだウエイトは直線区間:平形,曲線区間:丸棒の金工用鑢で磨き上げた。
金属面を取り返せたと思えたがモハ102-895用ウエイトは断面の凹凸が深かった。
凹部底面にはまだ錆が残っており丸棒鑢の先端で再研磨を行っている。


分解されたモハ102-895

再施工によりウエイト断面は大凡平滑化されマッキーも満遍なく塗り潰せた。
しかし錆取り作業が二度に渡ってしまい車体内側の清掃は大きく遅れて開始となった。
同一LOTながらモハ102-895は車体裾内側への黄色5号塗料付着量が少ない個体であった。
そのせいか側面窓セルの状態は良く先に磨きクロスで曇りを除去した。
アルコールクロス式で清掃を施す対象も天井,幕板,側面窓周り,両妻板とモハ103-677+モハ102-833に比べ縮小される。
それでも幕板の黄色5号塗料粉が多量だった模様で拭き上げた後のアルコールクロスは黄色に染まった。


廃止した車体断面清掃。

従来は綿棒での車体断面清掃が必須だったが3両目の施工結果を見て完全に廃止となった。
また予想よりアルコールクロスは黄色5号塗料粉塗れにならなかったため車体天井表面にも追加施工した。
だがこの際一部が側板と触れたらしく妙な艶を帯びた塗装被膜に気付いた。
発覚したのは側扉窓黒Hゴム支持化に取り掛かる直前であり拭き上げ終了からそこそこ時間が経過している。
致命傷になりかねない強力な艶は磨きクロスであっさりと消え失せた。
痕跡は一切残らず一定時間内であれば塗装を変質させる事態には至らないと思われる。




[[モハ102-][8][3][2]]:1-3位側。

側扉窓黒Hゴム支持化では扱い易くなったばかりのマッキーが寿命の気配を漂わせ始める。
最初に取り掛かった1-3位側のうち1エンド寄から車体中央部までは不都合無くインクが排出されていた。
しかし2エンド寄へ進むに連れて少しずつ掠れが目立つようになり2-4位側は全てHゴム支持モールドを二周以上塗り重ねた。
施工途中での切り替えは再現差異に繋がると思われ敢えて交換せず作業を押し切っている。
車両番号標記印刷も[モハ102-895]の濃度が高くなかなか[モハ102-895]標記跡を消去できなかった。
消える気配が感じられない[モハ102-895]に業を煮やし使い古したラプロス#4000を持ち出して[モハ102-895]へと改めた。




JR103系モハ102-832(ラシ321F:モハ102-895 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。


モハ102-626(ラシ317F:元モハ102-832)。
※車体改修施工車。

結局新旧インレタを混用する車両番号標記転写の作業時間は全く加算されなかった。
厳しい状況に置かれたが新台紙はまだ組標記を崩せる段階ではなく[モハ102-832]の中経年台紙併用転写で乗り切っている。
当初は高経年台紙を組み合わせるつもりだったが転写崩壊の続出に苦しみ中経年台紙へと変更した。
相変わらず[モハ102-]+[8]+[3]+[2]を並べた継ぎ接ぎ標記であるが中経年台紙の起用だけは当たったと思う。
どうにか竣工に漕ぎ着けたモハ102-832(ラシ321F)だがその過程では予想していなかった事態が次々と襲ってきた。
この状況下でモハ102-626(ラシ317F:Tc259←元モハ102-832)と同一水準以上に纏めらた結果は御の字だと言えよう。

モハ103-677+モハ102-833[ラシ321F] (モハ103-740+モハ102-896[ツヌ307F] 改番,ウエイト防錆対策施工)

2019-11-20 23:45:12 | 国鉄/JR103系
襲来。

回着早々KATO製103系ツヌ307F(Tc805)は編成が解除されモハ103-738以下8両の異動を開始した。
JR103系ラシ321F(Tc188)の組成休止解除に向けモハ103-738+モハ102-894(ツヌ307F)が入場第一陣となった。
ひとまずモハ103-675+モハ102-831(ラシ321F)が竣工したが作業過程では幾つかの問題点が浮かび上がっている。


国鉄103系モハ103-740(ツヌ307F)。

先ず車体内側に付着した黄色5号塗料粉の除去に手を焼き作業全体が遅れてしまった。
次にラプロス#4000の使用時間を短縮した車両番号標記印刷消去が従来より時間を要している。
更には新旧インレタを混用した車両番号標記転写も高経年台紙の転写力低下に悩まされた。
この中で予想していなかった工程が車体内側の黄色5号塗料粉除去だった。
モハ102-831では清掃箇所が車体断面まで及び根本的に方式を改める方向へと進む。
塗料粉飛散量を抑えるには湿式が有効だと思えアルコールクロスの試用に踏み切った。


入工中のモハ103-740

当初の計画に従い入場第二陣はモハ103-740+モハ102-895(ツヌ307F:8,9号車)とした。
ツヌ307Fの組成を引き継ぎ各々モハ103-677+モハ102-833(ラシ321F:8,9号車)へ改番される。
両車とも外観で引っ掛かる箇所は無くモハ103-675+モハ102-831と同様に作業が進められそうだった。
アルコールクロスでの清掃さえ当たってくれれば作業時間は大幅な短縮が見込めた。
その他工程は側扉窓黒Hゴム支持化,床板点検,改番と手慣れた作業が連続する。
まさか途中から想定とは大きく異なる方向へ進むとは思わずにモハ103-740を入場させた。


アルコールクロスで拭き上げた車体内側。

さっそくモハ103-740を分解すると黄色5号塗料の定着が甘い個体だと判明した。
数多くの車体内側清掃を捌いてきたが側面窓セルまで黄色5号塗料粉がこびり付いた車両は初である。
車体内側も艶が失せる状態で通常なら気が滅入りそうになっても不思議ではない。
しかしアルコールクロスの試用には都合が良いと言え車体裾内側でその効果を確かめた。
すると車体内側は艶が現れアルコールクロスの表面には黄色5号塗料粉を削いだような塊が出来上がった。
若干水分の多さが気になったが車体を変質させる兆候は現れず使用には問題ないと判断した。


腐食が発生していたウエイト。

アルコールクロスでの清掃は非常に効率が高く短時間で黄色5号塗料粉の除去を終えた。
念のため乾燥時間を設けそれなりに時間を要する側扉窓黒Hゴム支持化まで進める。
再度状況を確認したが黄色5号塗料粉はアルコールクロスに拭き取られ車体断面への飛散も防止出来た。
この結果を踏まえアルコールクロス式車体内側清掃の本格採用が決定している。
気を良くしてモハ103-740用床板の点検へと移ったがここから暗転が始まった。
部分的だったもののウエイト断面の錆が確認され急遽錆取り作業を行う事態となった。
まだ金属面で残る箇所も何れは腐食に至るはずであり全断面を金工用鑢による修復対象とした。


[[モハ103-[6][7][7]]:1-3位側。

モハ103-675+モハ102-831はウエイト断面をマッキーで塗り潰す事前防錆対策のみで対処できた。
ところがモハ103-740でウエイトの腐食が明らかとなり遂にKATO製103系量産冷房車にも防錆対策施工車が登場してしまった。
座席部品及び台枠清掃を避けられたのは幸いだった一方で入場時間短縮は絶望的になっている。
ようやく組み立てたモハ103-740であるが1-3位側の車両番号印刷濃度が高く[モハ103-740]へ持ち込むまでに手間取った。
必然的にラプロス#6000を当てる回数が増加したが車両番号標記印刷消去痕の状態は悪くない。
恐らくラプロス#4000で[モハ103-740]標記全体を崩す従来方式が採られていれば成形色露出は避けられなかったと思う。




JR103系モハ103-677(ラシ321F:モハ103-740 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。

入場前は初使用のアルコールクロスばかりに目が行き改番工程を深く考えていなかった。
しかし通常とは異なる整備順になった関係で揃目の[モハ103-677]を失念していた。
慌てて組標記の使い残しを探り何とか[モハ103-]+[6]+[77]を組み合わせて逃げ切れると思われた。
だが[モハ103-677]が転写不能に見舞われ追加中には[モハ103-677]をも失う。
最終的に1-3位側,2-4位側揃って[モハ103-]+[6]+[7]+[7]での継ぎ接ぎ転写へと格下げされた。
なお再転写を繰り返した[モハ103-677]へ高経年台紙を充当した都合により[7]標記インレタが激減している。


入工中のモハ102-894(ツヌ307F)。

車両番号標記インレタ転写で躓く機会は珍しくないがモハ103-738の次にモハ103-740を入場させたため事前準備不足が露呈した。
本則に従うとモハ103-739(ツヌ307Fモハ103-676:ラシ321F)が入場となるが動力ユニット整備都合で先送りしている。
そのため車両番号が[モハ103-675]から[モハ103-677]へ飛んでしまった上に不得手の揃目までが追い討ちを掛けた。
錆取り作業発生と車両番号標記インレタ転写の不備が加わりモハ103-677(ラシ321F)は約60分に及ぶ作業となった。
残り時間は殆ど無いに等しかったがモハ102-896のウエイト状況が引っ掛かった。
腐食はモハ102-895,サハ103-492,サハ103-493(ツヌ307F)にも及んでいる可能性がありモハ103-740との比較が決定した。


第一工程へと前倒しされた床板点検。

モハ102-896では黄色5号塗料粉除去と床板点検の作業順を入れ替えた。
アルコールクロス式が通用した車体清掃とは対照的にウエイトの錆取り作業は金工用鑢式しか方法が無い。
時間の読めない床板点検を第一工程に廻しウエイトがどの様な対策を必要とするか切り分ける。
但し流用には拘らず余りに状態が酷かった場合は遠慮なく廃車発生品との交換を選択する。
そのモハ102-896用ウエイトだがモハ103-740用ウエイトを凌ぐ腐食具合であった。
ほぼ全ての断面が錆で覆われており座席部品,台枠にまで錆粉を撒き散らしている。
当然交換も考えたがモハ102-895,サハ103-492,サハ103-493用への温存策を取り錆取り作業に着手した。


手際良く整備が進められた車体。

幸い錆厚は予想よりも薄く平形金工用鑢を数往復させるだけで金属の輝きが還ってきた。
この後断面を黒色化したため外観はモハ103-677用ウエイトと全く変わらなくなっている。
むしろ台枠表面の錆取りが厄介に感じられたほどで流用は正解だったと思う。
台枠はウエイト線路方向両側を支えるリブ断面に錆が固着しており爪楊枝にて突き崩した。
ウエイトの腐食進行度に比べ妙に錆が多くプラスチックそのものが錆びたような体を晒していた。
仕上げにはクリーナーを用いたがこの機会こそアルコールクロスが適任だったかもしれない。


[[モハ102-][8][3][3]]:1-3位側。

そしてモハ102-896の黄色5号塗料粉除去でもアルコールクロス式が十分に機能した。
車体清掃,側扉窓黒Hゴム支持化,側面窓セル拭き上げ,ベンチレーター嵌合修正は都合約15分しか掛からなかった。
モハ103-675+モハ102-831で作業の足を引っ張った工程はたった1枚のアルコールクロスにより解消されている。
車両番号標記印刷消去は両側とも[モハ102-896]標記が濃かったためラプロス#6000に頼る時間が長くなった。
[モハ102-896]から[モハ102-896]への一押しが滞り気味となる傾向は1-3位側の[モハ103-740]と同様である。
やはりラプロス#4000の使用を控えた効果が現れ車両番号標記印刷消去痕は綺麗に整えられた。




JR103系モハ102-833(ラシ321F:モハ102-896 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。

最後に待ち受けていたのはまたもや揃目の[モハ102-833]であった。
高経年台紙の[3]標記インレタは大幅に減少しており3枚を持ち寄って掻き集めた。
1-3位側は[モハ102]+[8]+[3]+[3]を並べる予定だったが[モハ102-833]へ至る前に[モハ102-833]が崩壊する。
修正転写で1枚目の高経年台紙から[3]標記インレタが消え去り2-4位側は古インレタ2枚で[モハ102-833]標記を成立させた。
結局1-3位側,2-4位側とも[モハ102-]+[8]+[3]+[3]と苦しい展開になり作業を更に遅らせている。
[モハ102-833]が古インレタとなったものの[モハ103-677]よりも配置は改善されたと思う。




モハ103-677+モハ102-833 (ラシ321F:元モハ103-740+元モハ102-896)。


モハ102-833+クハ103-278 (ラシ321F:元モハ102-740+元クハ103-272)。

モハ103-677+モハ102-833(ラシ321F)は日付を大きく跨いだ約145分後に竣工となった。
側面見附に於ける変更箇所は側扉窓黒Hゴム支持化程度であり苦戦した痕跡は伺い難い。
しかし車体内側清掃やウエイトの錆取り作業で内面には大幅な手が加えられている。
作業時間短縮には結び付かなかったがアルコールクロスでの清掃試行が最大の収穫であった。
未入場で残るモハ102-895,サハ103-492,サハ103-493(非動力車)も車体状態は変わらないと思われる。
方式車体清掃により生まれた余裕をウエイト補修やインレタ転写へ充てたい。

モハ103-675+モハ102-831[ラシ321F] (モハ103-738+モハ102-894[ツヌ307F] 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)

2019-11-19 21:54:50 | 国鉄/JR103系
異動開始。

KATO製JR103系ラシ321F(Tc188)から元モハ103-675(→モハ103-402)以下8両がラシ317F(Tc259)へ改番異動となった。
当初旧ラシ317Fの組成休止解除は国鉄103系ツヌ307F(Tc805:クハ103形高運転台非ATC車編成)を増備して行う計画だった。
しかし予定よりツヌ307F(Tc805)は回着が遅れ車体改修時期の近付いていた元モハ103-675以下8両を代打に起用している。


JR103系ラシ321F (1993/10)。
[ラシ321F]:[Tc188]-M675-M'831-T452-M676-M'832-T453-M677-M'833-Tc278。
※組成休止。

10両編成が組めなくなったラシ321Fは旧ラシ317Fに代わり2019年10月より組成休止扱いとなる。
ラシ321Fはクハ103-188(車体改修施工車),クハ103-278(車体更新車)と特徴のあるクハ103形が先頭に立つ。
早期復帰を望んでいたがようやく回着したツヌ307Fの第一次整備が完了しその入口に立てた。
元モハ103-675以下8両の代替には旧ラシ317Fへ充当予定だったモハ103-738(ツヌ307F)以下8両を投入する。
工程はラシ321Fのプロトタイプが側扉窓黒Hゴム支持化編成であり車体関連への細工が大半を占める。
動力ユニット整備を行うモハ103-739(ツヌ307F)は単独入場とするが2両/日の竣工を目標とした。


入工中のモハ103-738(ツヌ307F)。

ただこの基準に従うとモハ103-739のユニット相手であるモハ102-895(ツヌ307F)が宙に浮いてしまう。
作業進捗次第では単独施工の可能性もあり何処に入場を組み入れるべきか決められなかった。
ひとまずモハ103-738+モハ102-894,モハ103-740+モハ102-896(ツヌ307F)が優先異動車に確定した。
ツヌ307Fの組成順は維持する方向としモハ103-738+モハ102-894(2,3号車)を先発入場させる。
各々ラシ321F仕様への改装が主となるが類似作業はサハ103-492,サハ103-493(ツヌ307F)まで続く。
作業時間が今後の鍵を握ると言え今入場は展開に関わらず2両とも整備を終わらせる。


黒Hゴム支持化された側扉窓支持(1-3位側)。

ツヌ307Fは2007年3月のリリースされており約12年8箇月に達する高経年品である。
車体状態から前オーナーさんの取り扱いは良好に見えたが念のため全部品を撤去及び分解する。
プラスチックの硬化に見舞われておらず屋根板2エンド側嵌合爪は原形が存置された。
但しベンチレーターは嵌合が固く浮いていた個体を押し込むにはそれなりの圧を要している。
AU75冷房機前後のベンチレーター取付脚裏面へ目印を設け今後のAssyベンチレーター化に備えた。
側扉窓黒Hゴム支持化は毎度のマッキー頼みだがラシ317Fとは事情が異なった。
多目的に使用しているマッキーは何時の間にかHゴム支持モールドが塗り易いペン先へと熟成していた。
その代わり側板へ触れる確率が前回施工よりも高まり慎重に塗り潰しを行っている。




[[モハ103-][6][7][5]]:1-3位側。

車体改修は簡易式改番車,ペインリムーバー式改番車以外にラプロス式改番車も施工対象へ加わった。
初期ラプロス式改番車にはラプロス#6000,ラプロス#8000しか使用していないせいか現在よりも塗装被膜の状態が良かった。
成形色が透けた個体は非常に少なくモハ103-738から車両番号標記印刷消去時の手順を一部変更している。
ラプロス#4000は[ハ103-738]標記が掠れる程度に留め黄色5号地の保全を優先した。
都合2回程当てた後からラプロス#6000に持ち替え[モハ103-738]標記印刷の全面を擦った。
[モハ103-738]に達する時間こそ伸びたものの車両番号標記印刷消去痕は仕上がりが良くなったと思う。




JR103系モハ103-675(ラシ321F:モハ103-738 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。

車両番号標記は高経年台紙の削減を進めるため新旧インレタを併用して再現した。
インレタの組み合わせは1-3位側,2-4位側とも[モハ103-]+[6]+[7]+[5]で統一された。
高経年台紙は[モハ103-675]に用いたがフォント太さが近くまずまずの配置へ至ったと思える。
ただラシ321Fでの古インレタ完全淘汰は考えておらず臨機応変に対処する。
モハ103-675(ラシ321F)への改装に要した時間は約45分で予想をやや上回った。
これには車体内側に付着した黄色5号塗料粉の除去も影響したと思われる。


入工中のモハ102-894(ツヌ307F)。

予定よりも約10分遅れてモハ102-894(→モハ102-675:ラシ321F)の入場となった。
車体状況は側面窓セルの撤去と同時に黄色5号塗料粉が舞い上がる程で作業遅延を取り返すには少々厳しく感じられた。
基本的な工程はモハ103-738に準ずるが黄色5号塗料粉量が多くモハ102-894では車体断面まで清掃を行っている。
側扉窓部の拭き残しは側扉窓黒Hゴム支持化にも影響が及ぶため綿棒にて入念に塗装被膜を整えた。
また嵌合が固いベンチレーターも同様であり傾いた個体の修正に難儀した。
厄介な症状を抱えた車両が2両続きサハ103-492以下6両も同じ展開が待つと予想される。


車両断面に黄色5号塗料が残る側扉窓(2エンド側)。

ペン先が熟れたマッキーはHゴム支持モールドを包むように触れてくれる。
そのため窓R部を別途塗り潰す必要が廃され側扉窓黒Hゴム支持化方法も変更となった。
各側扉窓を8分割して黒色化していた方式は中止となり従来の4分割へと戻された。
また窓R部の措置が容易となったため車体断面側への踏み外しはほぼ皆無に抑えられている。
誤って一箇所だけ戸袋窓灰Hゴム支持を黒色化してしまったが磨きクロスで原形に復した。
マッキーの除去はモハ103-747(ラシ323F:Tc71)での本格施工事例があり落ち着いて修復作業に当たれた。




[[モハ102-][8][3][1]]:1-3位側。

戸袋窓の復旧は一瞬で終えられるため作業を引っ張る要因にはならない。
しかしモハ102-894の側扉窓黒Hゴム支持化を終えた頃には入場から約40分が経過していた。
どうやら黄色5号塗料粉の除去が抑止を掛けた最大の原因だと思われ乾いたクロスでの清掃に限界を感じた。
クリーナーによる施工も効率的ではなく一度アルコールクロスで清掃を試みる予定である。
[モハ102-894]標記は比較的印刷濃度が薄く[モハ102-894]のみにラプロス#4000を当てた。
それでも[モハ102-894]標記跡は[モハ103-738]標記印刷消去痕と同程度の擦過痕で踏み留まっている。




JR103系モハ102-831(ラシ321F:モハ102-894 改番,側扉窓黒Hゴム支持化施工)。

塗装被膜の平滑化は従前と同じ製図用消しゴム,磨きクロス併用式を踏襲した。
印刷濃度や車体状態にも拠るが今後はモハ103-738,モハ102-894でのラプロス式印刷消去を標準方式とする。
車両番号標記インレタの組み合わせは[モハ103-]+[8]+[3]+[1]でまたもや新旧台紙混用となった。
[モハ102-831]へ高経年台紙を起用したが結果は[モハ103-675]に通ずると思える。
ただ[モハ102-831]には更に別の古インレタを持ち出したため転写不能が相次いでいる。
元々押し気味だった作業に拍車が掛かり約60分を費やして全工程の終了へと辿り着いた。




モハ103-675+モハ102-831 (ラシ321F:元モハ103-738+元モハ102-894)。

日付を跨ぐ寸前にモハ103-675+モハ102-831(ラシ321F)の竣工を迎えた。
上記以外にもウエイトへの事前防錆対策を行っており確実に車両状態は向上したと思う。
だが思わぬ長丁場でラシ321Fの復帰第一次入場は微妙な滑り出しになってしまった。
但し側面見附は想定通りの答に達し側面窓セル窓サッシ印刷も補修が回避されている。
少なくともツヌ307Fからの異動は間違っていないように思え作業時間短縮だけが課題として残った。
アルコールクロスによる黄色5号塗料粉の除去試行が2両同日竣工を維持する分岐点になるかもしれない。

国鉄103系津田沼電車区307F [Tc805] 回着 (前照灯照度向上対策施工:ラシ321F[Tc188] 中間車両種車)

2019-11-18 21:52:46 | 国鉄/JR103系
三代目。

KATO製国鉄103系ツヌ307F(Tc805:クハ103形高運転台非ATC車編成)が回着した。
これまでツヌ307Fは2編成が投入され各々ツヌ311F(T772),JR103系ラシ307F(Tc805)へ改装している。
三代目ツヌ307Fも編成解消が前提の増備であり第一次整備終了後には姿を消す。




国鉄103系ツヌ307F (1983/4)。
[ツヌ307F]:Tc805-M738-M'894-T492-M739-M'895-T493-M740-M'896-Tc812
※クハ103-805,クハ103-812 前照灯用プリズム交換。

塗装変更車が含まれていたJR103系旧ラシ317F(Tc259)は旧ラシ310F-1(Tc803)の車体改修に伴い組成休止となった。
ラシ317Fの復帰に際しモハ103-402以下8両にはモハ103-675以下8両(ラシ321F:Tc188)が充当される。
入れ替わりで組成休止となったラシ321Fの10両編成化を名目にツヌ307Fを導入した。
車体改修を並行したモハ103-402以下8両は側面窓セル窓サッシ印刷の修復に時間が割かれた。
モハ103-675以下8両の種車にはツヌ307F以外にツヌ315F(Tc213:クハ103形低運転台量産冷房車編成)も起用できた。
しかしツヌ315Fは側面窓セル窓サッシ印刷が脆く感じられツヌ307Fの選択に至っている。


入工中の元クハ103-461,クハ103-805 (廃車,ツヌ307F)。

現在KATO製クハ103形高運転台非ATC車は飽和状態にあり転用が難しい。
そのためクハ103-805,クハ103-812(ツヌ307F)は部品取用途を含む保留車に廻す予定だった。
ところが回着したツヌ307Fの状態が非常に良く何処かで活路を見出す方向へと切り替えられる。
一転して計画には存在しなかったクハ103-805,クハ103-812の第一次整備実施が決定した。
但し処遇が決まっていないため施工項目は行先表示類の整備と前照灯照度向上対策だけに留める。
行先表示類も暫定処置とする必要から取り敢えず旧ラシ310F-1で使用していた[27B 千葉]を転用する。




クハ103-805 [27B 千葉]:前照灯用プリズム交換施工。


クハ103-805 点灯試験[27B 千葉]:電球前進式前照灯照度向上対策施工。

[27B 千葉]表示は元クハ103-461,元クハ103-726(廃車:旧ラシ335F-2)に取り付けられている。
ステッカーの貼り替えは行わずクハ103-805,クハ103-812用前照灯用プリズムとの相互交換とした。
先発入場したクハ103-805は前照灯用プリズムの嵌合精度が高く車体外側から押し込むだけでは撤去できなかった。
内部で干渉しているらしく表示器内に留まってしまい結局屋根板を取り外す羽目になっている。
プリズム押え部品と共に脱落する個体が大多数であり分解を要するとは思わなかった。
元クハ103-461用前照灯用プリズムの組み付けも殆ど変わらず面食らった作業となった。


前進させた前照灯用電球(クハ103-812用床板)。

他方クハ103-812も分解こそ避けられたものの前照灯用プリズムの嵌合は固かった。
最近では一旦廃止した行先表示設定を再用する機会が増え全て同一方法にて対処してきた。
車体と大幅なLOT差がある場合でも前照灯用プリズムの交換に苦戦した記憶は無い。
[27B 千葉]表示はクハ103-828高運転台非ATC車(黄色5号)が出自だがクハ103-803,クハ103-810(ラシ310F-1)での着脱は容易だった。
クハ103-805,クハ103-812は製品仕様の[■ ■]表示が保たれておりステッカーを貼付した痕跡も伺えなかった。
それ故に何処か腑に落ちない前照灯用プリズムの交換となっている。


クハ103-812 [27B 千葉]:前照灯用プリズム交換施工。




クハ103-812 点灯試験[27B 千葉]:電球前進式前照灯照度向上対策施工。

前照灯照度向上対策は既に電球ライト基板装着車で定番化した電球前進式である。
ライトケース天面の開口部に覗く導線を押し込み前照灯用電球を適当に前進させる。
最終的にプリズム押え部品が壁となるためライトケース前端付近まで押し出し車体に組み付けた。
安直な手法だがクハ103-805,クハ103-812双方とも入場前より前照灯光量が増大している。
しばらく保留車に廻るがプロトタイプ確定後の作業は軽減されると思う。
[27B 千葉]表示編成に改められたツヌ307Fは一応の見附へと至り第一次整備を終えた。
第二次整備からはラシ321Fへ異動するモハ103-738以下8両が主軸に置かれる。
側扉窓黒Hゴム支持化及び改番が主な工程であり極力2両単位での竣工を目指す。

クハ103-259[ラシ317F] 車体改修 (車体湾曲矯正,Assyベンチレーター換装,前面窓セル縦桟印刷修正施工)

2019-10-21 23:54:38 | 国鉄/JR103系
三段階。

KATO製JR103系ラシ317F(Tc259)の車体改修はクハ103-259が最終入場車となった。
クハ103-259もクハ103-260(ラシ317F)と同じく2017年11月以来の入場である。
基本工程はモハ103-402以下8両(ラシ317F)に準拠する予定だったが車体湾曲が判明しこの矯正に追われた。


JR103系クハ103-259(ラシ317F)。

クハ103-259はクハ103-214(ツヌ315F:Tc213)を方転,改番した車両であり見附は製品仕様同等である。
ただ前面窓セルは一旦クハ103-243(Tc243:大阪環状線仕様)との振替えが行われた。
発端は現行LOT前面窓セル装着車だったクハ103-231(ラシ315F-1:Tc231)の前面窓金属押え面支持化が不発に終わった事に拠る。
狭幅化された前面窓Hゴム支持モールドでは金属押え面支持が演出出来ずクハ103-243(Tc243)から前面窓セルを移設した。
押し出された大阪環状線LOT前面窓セルはクハ103-214へ取り付け更にクハ103-259へ改番している。
保留車解消策はクハ103-214(ツヌ315F→クハ103-260:ラシ317F)の増備で賄われクハ103-259と前面窓セルを相互交換した。


入工中のクハ103-259。

何故かクハ103-259をクハ103-260へ充当する手法は採用されずクハ103-214がクハ103-260(ラシ317F)に改番された。
二度に渡る前面窓セル交換を経てクハ103-259は保留車から脱しラシ317Fの千葉方先頭車両となった。
だが前面窓セルの交換が強引過ぎた模様で車体に相当な負荷を与えたらしい。
前回入場では気付かなかったが2-4位側車体中央腰板付近が大きく撓む状態にまで達していた。
症状は2-4位側だけに限られるため1-3位側の状態を保ちながら湾曲を矯正しなければならない。
これまでに無い事例でクハ103-259の車体改修は最初から壁にぶち当たっている。


車体単独で腰板の湾曲を解消させた側板。

車体湾曲は屋根板,側面窓セル,床板各々の嵌合時に調整が必要だと思われた。
状態を悪化させないためクハ103-259の分解はクハ103-260(ラシ317F)よりも慎重に進めている。
幸い2-4位側2エンド寄屋根板嵌合爪が1脚支持へ変更されており車体への負荷は最小限に留められた。
車体は湾曲具合を記憶してしまい分解後も症状に全く変化が見られなかった。
とにかく2-4位側の波打ちを抑えなければならず先ず車体裾を基準に直線状へ戻す。
歪みは車体中央部幕板を起点とする箇所まで存在する上に1-3位側には負荷が掛けられない。
苦戦して車体裾の修正まで漕ぎ着けたものの今度は雨樋に皺寄せが出てしまった。


屋根板との嵌合調整を終えたクハ103-259。

このまま湾曲修正を続けても屋根板の組み付けで何処に影響が出るか判らない。
取り敢えず車体単独での矯正は打ち切りとし屋根板周りの整備に移行した。
Assyベンチレーターへの換装はモハ102-558,モハ103-403,サハ103-440(ラシ317F)で嵌合精度の甘さに見舞われた。
クハ103-259はクハ103-260(ラシ317F)と共にこの症状が現れず無事ラシ317Fの全車Assyベンチレーター換装を終えた。
そして黄色5号塗料粉除去,前照灯用プリズム再固定,側扉窓黒Hゴム支持化再施工を行った車体に屋根板を取り付ける。
屋根板は車体剛性向上と直結する構造のためか雨樋の撓みが若干緩和された。
未解消箇所には屋根板との隙間が生じており該当する雨樋直下の幕板へ圧を与え修正している。


車体と平行に組み付けられた側面窓セル。

だが再び車体中央部腰板付近に膨らみが発生してしまい車体湾曲矯正は継続となった。
しかし分解直後よりかなりの改善が確認され完全解消も不可能ではないと思われた。
まだ側面窓セルが組み込まれておらずこの時点での修正は見送っている。
側面窓セル窓サッシ印刷の状態はサハ103-472(ラシ317F←元サハ103-453:元ラシ321F)に近かった。
拭き上げに耐えられなかったのは乗務員室扉窓サッシ印刷であり油性メタリックマーカー式補修は順調な進捗を見せる。
乗務員室扉窓サッシ及び都合2箇所で生じた斑点状剥離箇所のみインク被膜の復層化を行った以外は単層塗りとした。
側面窓セルを車体へ取り付けると車体中央部側面窓下辺の嵌合代だけが広くなっていた。
中段サッシ付近から車体裾へ向けて側板を凹面状に押し込み他側面窓の組み込み具合と均等化した。




クハ103-259 [05C 中野]:Assyベンチレーター換装,前面窓縦桟印刷修正,2-4位側車体湾曲矯正施工。


クハ103-260 [17C 三鷹]:ラシ305F-3(現行LOTベンチレーター搭載車)。

撓みが酷かったクハ103-259の2-4位側車体側板は大凡平板状まで戻せた。
後は床板の挿入で再発しなければクハ103-260(ラシ317F)と同等に達するはずである。
床板そのものの不具合は無いと思えたが車体へ嵌合させたところ全体に捻れが生じた。
これは分解入場時に多々見られる症状であり逆方向へ撚り解消させている。
原形復帰は困難に思えたクハ103-259の2-4位側車体湾曲矯正だがたまたま作業分界点が的中したと思われる。
前例が無かった片側だけの車体修正は車体傾斜を招く事無く作業を終えられた。


クハ103-259 点灯試験[05C 中野]:前照灯照度向上対策施工試作車。


クハ103-260 点灯比較[05C 中野]:ラシ317F(前照灯照度向上対策施工試作車)。

クハ103-259も第二次前照灯照度向上対策施工試作車でライト基板前照灯用電球を前進させていた。
前照灯用電球位置はクハ103-260(ラシ317F)と同様で特に修正を必要としなかった。
なおクハ103-259に廻された前面窓セルは縦桟の銀色印刷が一部行き届いていないメーカーエラー品だった。
欠損箇所は短区間に限られたが光源角度によって不自然だと感じられる場面があった。
今入場で全てを油性メタリックマーカーで塗り潰し前面見附の改善に繋げている。
メーカーによる銀色再現とは異なるが違和感の少ない仕上がりに至ったと思う。




クハ103-259(Assyベンチレーター換装,側扉窓黒Hゴム支持・側面窓セル窓サッシ印刷補修,車体湾曲矯正施工)。
※車体改修。


クハ103-260(ラシ317F:車体改修施工車)。

側面見附は黄色5号に映える側扉窓黒Hゴム支持化再施工が効果的に映る。
初期施工車特有の施工方式は側扉窓毎に幅が揃わなくなる弱点を抱えていた。
クハ103-259はマッキーのペン先が車体断面に触れてしまい不揃い感を増幅させているように思えた。
灰Hゴム支持再現の塗り潰しも甘く余計に草臥れた雰囲気を醸し出していたが改修により払拭されたと思う。
ペイントリムーバー式車両番号標記印刷消去痕の修正はクハ103-260(ラシ317F)に続き未施工とした。
2両揃って補修を行ったとは考え難く改番入場時に塗装被膜平滑化工程が含まれていたと思われる。


クハ103-259+モハ103-402 (ラシ317F:側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車+側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車)。


モハ102-559+クハ103-260 (ラシ317F:側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車+側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車)。

思わぬ2-4位側の車体湾曲修正に手間取りながらもクハ103-259(ラシ317F)が竣工した。
当初大掛かりな車体改修に至るとは考えておらず予定していた工程は変更を余儀無くされている。
それでもラシ317Fの基本仕様を抑えてられており迂回した影響は皆無に等しかった。
側面窓セル窓サッシ印刷の補修も悪くなくペン先捌きに苦戦したモハ103-402(2号車)との施工差異は感じられないと思う。
ラシ317Fはモハ103-734+モハ102-890(ラシ310F-1:M733)の車体改修により2019年9月から組成が休止されたばかりだった。
偶然にもモハ103-675以下8両(ラシ321F:Tc188)の改修時期が重なり比較的短期間で再出場を迎える。

クハ103-260[ラシ317F] 車体改修 (Assyベンチレーター換装,側面窓セル窓サッシ印刷補修施工)

2019-10-20 23:25:26 | 国鉄/JR103系
残留組。

組成休止中のKATO製JR103系ラシ317F(Tc259)は10両全車が現行LOT品で統一された。
モハ103-402以下8両(ラシ317F)はモハ103-675以下8両(ラシ321F:Tc188)にて直接置き換え車体改修を並行させた。
一方未入場のクハ103-259,クハ103-260(ラシ317F)は引き続き編成に残留となる。


JR103系クハ103-260(ラシ317F)。

クハ103-259,クハ103-260(ラシ317F)の前回入場は2017年11月だった。
この入場はクハ103-213,クハ103-214(ツヌ315F-3:Tc213)の仕様変更と連動したものである。
習志野区仕様だった旧ラシ315F-1(Tc213)を津田沼区仕様へ改めるにはKATO製B形防護無線アンテナの撤去が伴った。
しかしクハ103-213,クハ103-214はKATO製B形防護無線アンテナへの流し込み接着剤固定が追加施工されていた。
そのため原形復旧が難しくクハ103-259,クハ103-260との屋根板相互交換を行い乗り切った。
ツヌ315F-3の出場を直後に控えた入場だったため車体改修は行わないまま竣工させている。


入工中のクハ103-260(ラシ317F)。

約1年11箇月振りの入場となるクハ103-259,クハ103-260(ラシ317F)は現状維持に努めてきた。
その甲斐あってかモハ103-402以下8両に比べ車体状態は悪くない。
だがラシ317Fの初出場は2014年5月であり寄る年波には勝てず各所に疲れが見え始めていた。
側面窓セル窓サッシ印刷には亀裂が走り側板も草臥れ感が漂っている。
何れにせよAssyベンチレーターへの換装時に分解するためモハ103-402以下8両と同水準へと引き上げる。
先ずは中野方先頭車両であるクハ103-260の車体改修に取り掛かった。


接着固定式のまま残されたKATO製B形防護無線アンテナ。

Assyベンチレーターはサハ103-472(ラシ317F)までの換装を終え8両分が充当された。
この時点で現行LOTベンチレーターとAssyベンチレーターの予備品はほぼ同数になった。
クハ103-259,クハ103-260(ラシ317F)の竣工後もAssyベンチレーターは一定数が確保される。
ひとまずAssyベンチレーター搭載編成化はラシ317Fのみに留め現行LOTベンチレーターの動向次第で追加施工の判断を下す。
2019年9月に入場したクハ103-803,クハ103-810(ラシ310F-1:M733)ではKATO製B形防護無線アンテナの取付方式を変更している。
クハ103-260も接着固定式を廃止するつもりでいたが微動だにしないアンテナ台座を前に取り止めとなった。
従って屋根上周りはAssyベンチレーター換装の単独施工だけで終えている。


剥離が進んだ側扉窓黒Hゴム支持再現。

クハ103-260(ラシ317F)が経年以上の老朽化を感じさせる要因は側扉窓黒Hゴム支持再現である。
初期施工車のためHゴム支持モールド外周へのマッキー塗布が施されていない。
インク被膜の境界がHゴム支持モールド天面に存在する関係から剥離を誘発し灰Hゴム支持再現へと戻りつつあった。
マッキーのペン先が固く2-4位側はモハ103-403(ラシ317F)から採用している8区分/1側扉窓方式にて再施工を行った。
しばらく続くと思われた細切れ補修は1-3位側の施工中に突如廃止となる。
急にペン先が解れ始め従来の4区分/1側扉窓方式での塗り潰しが可能になり作業は一気に加速した。
念のため2-4位側も黒Hゴム支持化再々補修を施し万全の状態に仕上げた。


再固定した前照灯用プリズム。

前回施工した前照灯用プリズム固定化だが車体内側清掃時に脱落してしまった。
黄色5号塗料粉の上に木工用ボンドを塗布した状態と言えこればかりは致し方ない。
クハ103-260(ラシ317F)用前照灯用プリズムは今ひとつ嵌合精度が低く傾き易かった。
ここまで一定の成果を残していた前照灯用プリズム固定化は引き続き踏襲する。
同時に木工用ボンド塗布箇所を両表示器部品直上の成形部へ変更した。
傾きは表示器部品下側の張り出しとなって現れるため再発する確率を下げられたと思う。


拭き上げ後に出現した斑点状剥離。

亀裂が目立つ側面窓セル窓サッシ印刷は磨きクロスでの拭き上げと共に剥離が進む。
清掃前はある程度体裁を保てていたが殆どのサッシで斑点状剥離が発生してしまった。
ただ油性メタリックマーカーとの相性が良くインク被膜は二層化で十分だった。
亀裂発生箇所は一層塗りだがモハ103-402以下8両との施工差異には繋がっていない。
なお油性メタリックマーカーのペン先は先代と同等に達し側面窓へのインク付着は下段のみに抑えられた。
よって窓サッシモールドを踏み外したインクの除去は下段窓の単独施工に戻っている。




クハ103-260 [05C 中野]:Assyベンチレーター換装施工。


国鉄103系クハ103-218 [05C 千葉]:ツヌ324F-1(現行LOT前面窓セル装着車)。

クハ103-260(ラシ317F)の前面窓セルはクハ103-243(Tc243:大阪環状線仕様)からの転用品でHゴム支持モールド幅が広い。
特徴の前面窓金属押え面支持は油性ペイントマーカー式で施工したがインクの特性により若干の波打ちを抱えていた。
油性ペイントマーカー式は一度インク被膜を剥離しないと綺麗に塗り直しを行えない弱点がある。
大阪環状線LOT前面窓セルの単独入手は不可能に近くインク除去に失敗すると代替が利かない。
修正を検討したものの前面窓の傾斜に助けられ塗り斑は判り難いと思われた。
加えて現在でも光輝度低下が感じられないため改修対象には含めず現状維持とした。


クハ103-260 点灯試験[05C 中野]:前照灯照度向上対策施工試作車。


クハ103-810 点灯比較[31C 中野]:ラシ310F-1(前照灯照度向上対策施工車)。

第二次前照灯照度向上対策施工試作車でもあるクハ103-260(ラシ317F)は現在と異なる方式でライト基板電球を前進させた。
強引に引き出した前照灯用電球だったがライトユニット内の位置は現行方式と変わらなかった。
従って床板着脱による影響は一切無いと判り前照灯用電球の位置調整も回避されている。
直近で施工したクハ103-803,クハ103-810(ラシ310F-1)との照度差は伺えず試作車としての役割を果たしてくれたと思う。
接着固定式から変更できなかったKATO製B形防護無線アンテナは車体中央に収まっており脱落するまでは手を出さない。
ちなみにAssyベンチレーターを搭載するクハ103形低運転台量産冷房車(黄色5号)はクハ103-260が初登場となった。




クハ103-260(Assyベンチレーター換装,側扉窓黒Hゴム支持・側面窓セル窓サッシ印刷補修施工)。
※車体改修。

クハ103-260(ラシ317F)では全桁改番が採用されておりモハ103-402から続いた簡易式改番廃止は打ち切りとなった。
ペイントリムーバー式改番車であるが一度補修を行った形跡が見受けられ塗装被膜の艶は抑えられていた。
初期竣工車にしては[クハ103-260]標記インレタの配置も悪くなく車両番号標記印刷消去痕修正は見送りとした。
ただ転写糊の除去は攻め切れておらず車両番号標記周囲に埃が付着していたため清掃を行っている。
この際は[クハ103-260]標記インレタ全体を裁断した用紙で覆い無用な崩壊に至らないよう配慮した。
掠れていた側扉窓黒Hゴム支持の補修とを併せ側面見附は向上したと思う。




モハ102-559+クハ103-260 (ラシ317F:側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車+側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車)。

全工程を約60分で駆け抜け装いを新たにしたクハ103-260(ラシ317F)が竣工した。
組成休止前はモハ102-559(塗装変更車)の次位に配される関係から全く格落ち感がしなかった。
しかしモハ102-559(ラシ317F)の車両更新によりクハ103-260もそれなりの仕上がりが求められた。
懸念材料だった側面窓セル窓サッシ印刷補修は無難に纏まり所期の目的を果たせたと思う。
長らく続いたカプラーポケット付DT33非動力台車とKATOカプラーBタイプ付TR62非動力台車の混結も廃されている。
編成見附を崩す要因だったモハ102-559+クハ103-260はラシ317Fの車体改修に於ける重点項目だった。
クハ103-260の竣工で取り敢えず最大の山場は乗り越えられたと言えるだろう。

サハ103-472[ラシ317F] 車両更新 (サハ103-453[ラシ321F] 改番,車体改修施工,旧サハ103-472 廃車)

2019-10-19 22:48:45 | 国鉄/JR103系
有終。

改番異動及び車体改修のためKATO製JR103系サハ103-453(ラシ321F:Tc188)が入場した。
サハ103-453で代替されるサハ103-472は最後までラシ317F(Tc259)に生き残った塗装変更車である。
先に車両更新を終えた元サハ103-440(元ラシ317F)よりも車体状態が悪く今入場で姿を消す。


JR103系サハ103-472(ラシ317F:塗装変更車)。

サハ103-472の種車となったモハ102-503(黄緑6号)はモハ102形量産冷房車用床板確保も導入名目に含まれていた。
回着早々にモハ102-503はサハ103-442(朱色1号)との床板相互交換を行いサハ103-472へ編入される。
一方元サハ103-442(朱色1号)は旧モハ102-2015へ改装されKATO製旧ツヌ322F(Tc819)のプロトタイプ合致を実現させた。
その後旧ツヌ322FはTOMIX製High-Grade製品ツヌ322F(Tc819)の代替増備により編成解消となった。
モハ102-2015ツヌ316F-1(Tc105)への異動が決定しモハ102-524に改番され現存している。
2編成の出場に貢献したモハ102-503だったが敢えなく車体は引退を迎える。


入工中のサハ103-453,サハ103-472 (ラシ321F,ラシ317F)。

車体改修を先送りしてきた余波が大きくモハ103-675以下8両(ラシ321F)の改番異動は計画より大幅に遅れている。
特に側面窓セル窓サッシ印刷の劣化は作業全体の進捗を下げる大きな要因になっていた。
サハ103-440(ラシ317F←元サハ103-452:元ラシ321F)ではペイントリムーバー式印刷消去痕修正まで工程に加わる。
後を受けて入場するサハ103-453も車体状態には期待を寄せず事前点検へ取り掛かった。
結果予想通りのペイントリムーバー式簡易改番車ながら側面窓セル窓サッシ印刷だけは状態が良かった。
磨きクロスでの拭き上げで多少剥離は進むはずだが繊維片の少なさが多少期待を抱かせている。
側板には経年相応の疲れが見受けられるもののモハ102-626(ラシ317F←元モハ102-832:元ラシ321F)ほど酷くはない。
分解時に黄色5号塗料粉が舞い落ちる事は無く車体も然程手を焼かせないと思われた。


工程順に悩んだサハ103-453。

現状では[サハ103-472]への改番以外に作業を遅らせる雰囲気が感じ取れない。
どの項目から開始しても差し障りなく思え工程の組み立てに戸惑っている。
先ずは印刷剥離が進行するかもしれない側面窓セル窓サッシ印刷の補修を第一工程に据えた。
油性メタリックマーカーとの相性次第ではサハ103-440(←元サハ103-452:元ラシ321F)に続く難航作業も否定できない。
結果はともかく修正規模を掴むため磨きクロスで側面窓セルの拭き上げを行った。
ところがサハ103-453用側面窓セル窓サッシ印刷は斑点状剥離すら生じない強固な印刷被膜を保っていた。
よって油性メタリックマーカーでの塗り潰しは窓サッシ印刷保護が主眼となる。
措置は一重塗りで十分だが油性メタリックマーカーのインク乗りだけが不安視された。


各種施工を終えた屋根板と側面窓セル。

サハ103-440で苦戦した直後でもあり念のため1-3位側車端部ユニット窓のみ先に補修を行った。
すると窓サッシはモハ102-559(ラシ317F←元モハ102-833:元ラシ321F)までと同等の仕上がりに達した。
ひとまずモハ103-675以下8両ではサハ103-452だけが異端車だったと判明し一気に側面窓セル窓サッシ印刷補修を進める。
斑点状剥離が発症しておらず油性メタリックマーカー再現化は全段とも単層で十分だった。
むしろペン先の滑りが良過ぎ窓サッシモールドから踏み外したインク除去に時間を割かれた。
Assyベンチレーター化は嵌合の甘さも発症せず予定より早く第二工程を終えている。


第三工程まで改修が進んだサハ103-453

サハ103-453の車体はペイントリムーバー式印刷消去痕以外に気になる箇所が存在していなかった。
よって第三工程は専ら側扉窓黒Hゴム支持化再施工に作業が集約される。
入場前からインク剥離や窓R部の塗り残しが目立っておりHゴム支持モールド断面を含め修正した。
まだマッキーはペン先が熟れずラシ317Fの車体改修を終えるまでは8区分/1側扉窓による補修が続くと思う。
[サハ103-453]標記インレタを剥離するとやや成形色が伺える印刷消去部が現れた。
塗装被膜は抉れこそ生じていなかったがペイントリムーバーによる影響を受けた艶が強く出ている。
またラプロス式車両番号標記印刷消去もモハ102-559,サハ103-440と連続で失敗中だった。
初めに消去する[モハ103-453]標記印刷はラプロス#4000の使用時間を短縮しラプロス#6000への切り替えを早くした。
並行して[サハ103-453]周囲の塗装を均しペイントリムーバー式印刷消去部と区分している。




[[サハ][10][3][-][4][7][2]]:1-3位側。

塗装被膜が変質していた[サハ103-325]標記印刷跡はサハ103-440とは異なりラプロス#6000にて艶消し処理を行った。
ラプロス#8000を用いたサハ103-440は塗装被膜が抉れており成形色露出を嫌った結果だった。
サハ103-453では全面的にラプロス#6000が使用できたため車両番号標記印刷消去痕の平滑化も製図用消しゴムに戻している。
区分された車両番号標記印刷消去痕周囲もこの時一体化を図りラプロス式印刷消去車同等に仕上げた。
その結果車両番号標記インレタでの隠蔽は[サハ103-472]だけで構わなくなる。
代わりに組標記が活用できない高経年台紙4枚で両側の[サハ103-472]を賄わなければならず組み合わせは細分化された。
当然ながら残数の少ない[サハ]標記インレタは最終転写へ廻し剥離防止策とした。




サハ103-472(ラシ317F:サハ103-453 改番,Assyベンチレーター換装,側面窓セル窓サッシ印刷補修,簡易式改番廃止施工)。
※車体改修,車両更新。

組み合わせは1-3位側:[サハ]+[10]+[3]+[-]+[4]+[7]+[2],2-4位側:[サハ]+[1]+[0]+[3]+[-]+[4]+[7]+[2]で双方とも苦戦が続く。
転写基準を[サハ103-472]に合わせる必要から[サハ103-472]の位置調整が難しかった。
加えて[サハ103-472]の転写後に[サハ103-472]を継ぎ足した関係で標記配置は乱れが生じている。
しかし今後も[サハ]標記インレタが不足する状況は改善の見込みが無く現状のまま作業を打ち切った。
それでも再転写前のモハ103-402+モハ102-558(ラシ317F←元モハ103-675+元モハ102-831:元ラシ321F)は上回れたと思う。
ただ車両番号標記印刷消去痕修正とインレタ引き当てに時間を要しサハ103-472(ラシ317F)は竣工までに約80分が費やされた。


モハ102-626+サハ103-472 (ラシ317F:元モハ102-832+元サハ103-453)。


モハ102-558+サハ103-440 (ラシ317F:元モハ102-831+元サハ103-452)。

サハ103-472に置き換えられた旧サハ103-472(元ラシ317F)は廃車となった。
ラシ317Fは4,7,8,9号車に塗装変更車が配される変則的な構成とされ編成見附を崩していた。
ようやく10両全車がメーカー塗装車で纏まり状態は飛躍的に向上したと思う。
ラシ321Fからの改番異動はサハ103-472を以て終了し作業は一応の区切りを迎えた。
だがまだクハ103-259,クハ103-260(ラシ317F)の車体改修が残っており組成休止解除には至らない。
経年はモハ103-402以下8両と大して変わらないため同様の工程を辿ると思われる。