試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

サハ103-269[ラシ336F-3] 車体更新 (旧サハ103-196[元ラシ305F-3] 改番施工:SC24形インバータ給電式AU712冷房改造車)

2019-04-17 21:34:00 | 国鉄/JR103系
SC24形インバータ。

グリーンマックス製JR103系サハ103-196(ラシ305F-3:Tc260)の登場によりKATO製一般形旧サハ103-196は保留車へ廻った。
旧サハ103-196は2018年3月にメーカー塗装車体への更新を済ませており塗装変更車廃止用へ転身させる。
ラシ305F-3のプロトタイプは習志野区晩年仕様であり[弱冷房車]ステッカーインレタも転写されていた。


JR103系ラシ336F (1993/10,1995/4)。
ラシ336F-2:Tc433-[M142]-[M'267]-[T346]-[M534]-[M'690]-T359-[M560]-[M'716]-Tc434。
ラシ336F-3:(Tc433-[M142]-[M'267]-)[T269](-[M534]-[M'690]-)[T346](-[M560]-[M'716]-Tc434)。

ジオマトリックス製[弱冷房車]ステッカーインレタはグリーンマックス製元サハ103-250(ラシ327F:Tc473)にて温存策が採られた。
元サハ103-250を組み込める在籍編成はラシ305F-3しかなくサハ103-196として改番復帰を果たす。
押し出された旧サハ103-196もサハ103-196に続いて[弱冷房車]ステッカーインレタを存置する。
更新対象となるサハ103形はKATO製一般形サハ103-269(ラシ336F-3:T296)でほぼ確定していた。
ラシ336F(Tc433)はまだKATO製クハ103-433,クハ103-434が塗装変更車のままである。
相変わらずKATO製クハ103-272(黄色5号)の導入が立ちはだかるが先行してサハ103-269をメーカー塗装車体へ改める。


入工中の旧サハ103-196,サハ103-269 (元ラシ305F-3,ラシ336F-3)。

旧サハ103-196の車体更新種車はサハ103-37(黄色5号:ジャンク車両)であった。
更新に際して旧サハ103-196(塗装変更車)とサハ103-37の主要部品を切り分けた。
所要部品には状態の良いものを抽出し旧サハ103-196へ取り付けている。
今入場でも旧サハ103-196,サハ103-269の双方で主要部品を仕分ける。
これによりサハ103-269(ラシ336F-3)の仕上がりを向上させる算段とした。
但し濃灰色で塗装した旧サハ103-196用屋根板はAU712冷房機,ランボードの撤去痕が残る。
そのため継続使用は難しいと判断し当初から転用対象には含めなかった。


分解から難航したサハ103-269。

更新対象のサハ103-269(ラシ336F-3)は旧サハ103-196とは異なるSC24形インバータ給電式AU712冷房改造車である。
サハ103-269用屋根板は何故か車体よりも長く過去に車体破損を招いた曰く付きの個体だった。
小細工により現在は収まっているものの旧サハ103-196の車体へ適合するか判らない。
よって原則流用としながらも嵌合次第では再び全長を詰める作業が伴う可能性があった。
扇風機カバー追設等を要するSC24形インバータ給電式AU712冷房改造車用屋根板の製作は手間が掛かる。
破損防止が最優先に挙げられサハ103-269は屋根板の撤去から慎重さを要求される作業となった。


転用が確定した台枠 (旧サハ103-269用,サハ103-269用)。

サハ103-269用屋根板は塗装変更車体も災いし固く嵌まっていた。
1エンド側妻面窓からプラスチックドライバーで押し込むだけでは取り外せなかった。
加えて屋根板2エンド側にSC24形インバータを搭載している関係で余り撓ませられない。
両端の嵌合を解くまでに時間を割かれたが車体中央部だけが側面窓セルと噛み合う状況まで持ち込めた。
そして屋根板へ余計な負担を掛けないよう側板と側面窓セルを捩り撤去している。
側面窓セルと台枠の嵌合も非常に強固で分解を終えるまで息が抜けない作業の連続であった。
一方旧サハ103-196は車体更新車のためかあっさりと分解が行えている。


旧サハ103-196から転用したいんちき黒染車輪(2エンド側)。

先ず床板周りの部品切り分けへ取り掛かったところいきなり台枠が転用対象に挙がった。
サハ103-269にはモハ102形用台枠を加工したサハ103形用床板擬が取り付けられていた。
しかも側面窓セルとの相性が悪かった模様で嵌合爪の一部には欠損が見られる。
他方旧サハ103-196用台枠も2箇所の嵌合爪に補修跡があり決して状態は良くなかった。
両者とも瑕疵を抱える意外な展開に至ったが最後は床下機器配置が決め手になった。
TR62非動力台車はサハ103-269が履いていた締結安定度に勝る旧LOT品を流用する。
唯一金属車輪だけはいんちき黒染車輪化が施された旧サハ103-196用に交換した。


車体断面の塗料片が目立った旧サハ103-196(2-4位側)。

旧サハ103-196用台枠と連動し嵌合爪補修部に対応した座席部品も転用となった。
側面窓セルは殆ど差異が見られなかったため屋根板との相性を取り流用とした。
線路方向に走る軽度の擦過痕は磨きクロスで拭き上げ状態改善を図っている。
車体は車両更新工事施工車仕様に変更済で直ちに組み立てへと進む予定だった。
ところが旧サハ103-196の車体断面は至る所にメーカー由来の塗料片が残ると判明した。
車体断面厚により俯瞰では目立ち難いものの2-4位側側面窓は光源に反射する箇所が散見され除去が決定する。


嵌合爪の嵩を下げた1エンド寄屋根板(1-3位側)。

仔細に見ると塗料片は側面窓四隅にまで及んでおりマッチ棒の軸で削ぎ落とした。
塗装変更車では採り入れられない手法と言え更新済車体が幸いしている。
組み立ても車体,台枠嵌合爪,座席部品,側面窓セルとの相性を考慮し慎重に行った。
屋根板以外で最も心配された台枠と側面窓セルの嵌合は何処にも支障せずに装着出来た。
前途の通り旧サハ103-269用屋根板は二癖ある個体でせっかくのメーカー塗装車体を傷める可能性があった。
万が一の即時撤去に備え1-3位側1エンド寄嵌合爪を約半分程度まで削っている。




[サハ103-[2][6][9]]:2-4位側。

1エンド側妻板と接するリブを薄型化していた旧サハ103-269用屋根板はぎりぎりで車体に収まってくれた。
この細工が無ければ再び車体破損を呼び込んでいたかもしれず一安心した瞬間だった。
嵩を下げた嵌合爪も無事側面窓セル嵌合口に引き掛かり雨樋との隙間は生じていない。
また着脱試験を繰り返した結果今後の使用に耐えられる手応えも得られた。
屋根板の流用が確定的となりゴム系接着剤のはみ出しが目立っていたランボード周りを修正している。
遠回りを強いられたがようやく車両番号標記インレタ転写まで辿り着いた。
[サハ103-196]から[サハ103-269]への改番であり迷うことなく節約式改番とした。


旧サハ103-269,サハ103-269。

まだ新調したインレタを卸す場面とは言えず古インレタの消費を進める。
しかし虫食いが進んだ古インレタでは両側の[サハ103-269]を1台紙で賄えない事態に陥った。
中でも[サハ103-269]は残数が極端に少なくフォントサイズの近い台紙を3枚持ち出している。
通常は片側ずつ転写を行っているが散在する標記抽出そのものが難関となる。
そのため1桁毎に車体を反転させ順次[サハ103-]+[2]+[6]+[9]を転写する方式とした。
普段とは異なる手順に転写崩壊が重なり[サハ103-269]標記は傾きを残したまま打ち切りとなった。
数少ない救いは[サハ103-196]標記よりも体裁が若干ましになった事だろう。




サハ103-269(ラシ336F-3:旧サハ103-196 改番,台枠,SC24形インバータ・AU712冷房機搭載済屋根板交換施工)。
※車体更新。


サハ103-269(ラシ332F-1:非冷房車)。
※TOMIX製High-Grade製品。

サハ103-269(ラシ336F-3)の更新は旧サハ103-196の屋根板交換程度にしか考えていなかった。
しかし第一工程に据えた旧サハ103-269の分解から躓き約80分を越える作業となった。
計算違いの末に竣工したサハ103-269(ラシ336F-3)だがどうにか所期の目的は果たせたと思う。
とにかくSC24形インバータ及びAU712冷房機を搭載した屋根板が流用出来た事実が収穫である。
作業は何時の間にか[弱冷房車]ステッカーインレタよりも屋根板保全に主眼が置かれていた。
なおTOMIX製High-Grade製品ラシ332F(Tc743)にもサハ103-269が在籍するが1988年11月をプロトタイプとした非冷房車である。
習志野区で唯一のSC24形インバータ給電式AU712冷房改造車だったサハ103-269はラシ336F-3でしか再現出来ない。
その点でもサハ103-269への車体更新は大きな意義があったと考えている。




サハ103-269+モハ103-534 (ラシ336F-3:KATO製一般形+KATO製量産冷房車)。

捻出された旧サハ103-269には余剰品の旧サハ103-196用屋根板を取り付けた。
塗装変更車にしては良好な状態を保っていたが如何せん車体の艶が全く無い。
復籍の可能性は在籍車両の兼ね合いもあり低いと考えられ敢えなく廃車となった。
前サハ103-269(旧ラシ336F)は旧サハ103-196の種車に引き当てられ消滅した。
二代目に当たる元サハ103-269も旧サハ103-196の動向が作用し廃車の憂き目に遭っている。
奇妙なサハ103-196との繋がりは今回の車体更新で断ち切れると思う。
この記事についてブログを書く
« JR103系習志野電車区305F [Tc... | TOP | サハ101-259[ツヌ104F] (モハ... »