試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

交通営団5000系深川検車区86F [5836] 非冷房車 後期仕様 (5836,5036 運行番号,行先表示類変更) ※TOMYTEC製

2020-01-15 23:58:36 | 5号東西線,営団線
対比。

TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車後期仕様(5836)が出場した。
86F非冷房車(5836)は腰板青帯の彩度が高く屋根板も濃灰色とされたため当初から後期仕様に仕立てる予定だった。
プロトタイプは実車の晩年に該当する快速表示器未撤去,B形防護無線アンテナ追設編成を選択している。




交通営団5000系86F 非冷房車 後期仕様。
[86F]:5836-5306-5671-5357-5125-5925-5307-5672-5308-5036
※TOMYTEC製。
◆快速表示器未撤去,B形防護無線アンテナ追設編成。

交通営団5000系4次車は西船橋延伸開業を前に増備された7両編成13本(5826~5838)が該当する。
86F(5836)は1969年4月に登場したが暫定8両,9両編成運転が開始される1969年8月には編成が解かれた。
そのため落成当初の7両編成で運用に就いた期間は半年にも満たなかった。
◆86F:5836-5306-5671-5307-5672-5308-5036(1969/4)。
◆71F:5821-5261-5641-5263-5021+5836-5308-5036(1969/8)。
◆77F:5827-5279-5653+5306-5671+5280-5654-5281-5027(1969/8)。
◆79F:5829-5285-5657+5307-5672+5286-5658-5287-5029(1969/8)。
後に暫定8両,9両編成運転は1977年8月以降の一部10両編成化へと発展解消し5次車,6次車が増備される。
ところが5100形(5次車)は5900形よりも6両少なく代わりに5600形簡易運転台追設改造車が充てられた。
このうち77F(5827),78F(5828),79F(5829),85F(5835)は旧暫定9両編成時代のまま5900形が組み込まれる。
当然5306+5671,5307+5672は旧86Fに戻らず5836以下3両も83F(5833)の中間へ封じ込めとなった。
6次車の登場で5100形,5900形は同数に至りその捻出車両にて新たな10両編成2本が仕立てられる。
ここで運転台機能が戻された5836,5036が先頭車両へ復帰し約9年8箇月振りに旧86F全車の集結を迎えた。
◆83F:5833-5297-5665-5308-5036+5836-5928-5666-5299-5033(1977/10)
◆77F:5827-5279-5653+5306-5671+5916-5280-5654-5281-5027(1977/10)。
◆79F:5829-5285-5657+5307-5672+5917-5286-5658-5287-5029(1977/10)。
◆86F:5836-5306-5671-5357-5125-5925-5307-5672-5308-5036(1979/4)。
1981年12月から亀裂対策を名目とする台車枠交換が行われFS-358台車は順次FS-502台車へと更新された。
なおB形防護無線アンテナ搭載と5000形のパンタグラフ撤去は1986年度以降の施工であるが時期は特定出来なかった。
恐らく運転台側電気連結器の廃止も同時期に実施されたと思われる。
その後1990年6月に5000系は念願の完全10両編成化を達成したが早くも1991年3月から廃車が本格化する。
05系の増備により1994年7月までに1次車や車両故障発生車両を含む7編成が引退を迎えた。
これとは別に東葉高速鉄道譲渡用の12編成も1991年11月から1994年7月に掛けて除籍された。
86Fは1991年11月付で東葉高速へ転籍となったが二度の車両異動を経て改装に備えた。
◆86F:5836-5306-5671-5357-5125-5919-5307-5672-5308-5036(1990/6)。
86F:5836-5306-5671+5283-5656-5903+5307-5672-5308-5036(1991/11)。
しかし東葉高速鉄道の開業が大幅にずれ込み1995年3月まで元86Fは手付かずの状態が続く。
結局東葉高速1000形06F(1061)に改められての再登場は除籍から約4年4箇月が経過した1996年3月であった。


78F,86F (マイクロエース製,TOMYTEC製)。

在籍する交通営団5000系ではマイクロエース製78F非冷房車後期仕様(5828)が86Fに近い存在である。
78Fは61F非冷房車(5811)を種車とするが61F(二代目),61F(三代目)を組み換え10両編成化しており戸袋窓閉塞車が5両含まれる。
またATS-P形取付に伴う快速表示器撤去と行先方向幕交換が行われた冷房改造直前をプロトタイプとした。
そのため86Fと78Fは同じ非冷房車編成ながら仕様重複が回避されている。
両編成では車体の縦横比やベンチレーター寸法に差異があるが形態把握は86Fが上回っていると思う。
78Fより高い雨樋位置が効果的で窓廻りには余裕があり窮屈さを感じさせない側面見附となった。


5671+5357 (3号車+4号車)。
※TOMYTEC製。


5655+5353 (78F:3号車+4号車)。
※マイクロエース製。

だが塗料繊維片除去に手を焼かされる等86Fの第二次整備は順風満帆とは行かなかった。
初入場車となった5306(2号車)からTOMIX製PG16形パンタグラフ(0238)とベンチレーターの干渉に見舞われている。
加えて上昇時に引き抜けてしまうほど嵌合が緩くパンタグラフ取付脚の固定化が必須となった。
物理的にパンタグラフ下枠がベンチレーターと触れてしまうため屋根板への固定方法は二転三転する。
5357(4号車)ではベンチレーター固定化と順番を前後させたが今度はベンチレーターが挿入出来なくなった。
そのため5307(7号車),5308(9号車)は当初から5306と同一方式に戻して対処している。


避雷器と競合するTOMIX製PG16形パンタグラフ(5307:山側)。

奇遇にもマイクロエース製5000系列はTOMIX製PG16形パンタグラフへの換装を終えていた。
従って仕様共通化が実現したがパンタグラフ周りに関してはマイクロエース製に軍配が挙がる。
どうしてもベンチレーターとの競合を防げない86Fは折畳姿勢が不自然になってしまう。
避雷器とホーンが当たる弱点も解消策を見い出せず中野寄から下降させる制限が付いた。
パンタグラフ踏板は屋根板との一体成形が採用されておりマイクロエース製の立体感には敵わない。
TOMYTEC製品では別部品化された形式も存在しているためやや残念に感じられた箇所となった。


5308+5038 (9号車+10号車)。
※TOMYTEC製。


5284+5028 (78F:9号車+10号車)。
※マイクロエース製。

車両毎に差異があった5000形のパンタグラフ撤去跡だが5036(10号車)はヒューズボックスと避雷器が撤去された形態を持つ。
屋根板はパンタグラフ撤去車専用設計でパンタグラフ台座用碍子部品取付脚を別途開孔する必要があった。
そのパンタグラフ台座用碍子部品は白色成形品が採用され濃灰色屋根板に良く映える見附となっている。
5028(78F←5011:61F)もパンタグラフ撤去車へ改装したがヒューズボックス,避雷器は双方とも存置された。
碍子部品はマイクロエース製交通営団8000系12F冷房改造車(8112)の発生品を起用した関係で灰色成形から変更していない。
共に技量都合が絡んだ結果であるが86Fとの差別化に一役買っていると思う。


5836(床下機器配置変更試作車)。
※TOMYTEC製。


5925(床下機器配置変更試作車)。
※TOMYTEC製。

戸袋窓付車と戸袋窓閉塞車で形状が異なるコルゲート板が再現された車体は好ましく映る。
その一方床下機器部品は全形式とも流用品で賄われており広幅箱形機器が多用されていた。
5308までは製品仕様のまま竣工させてきたがさすがに5836(1号車)で違和感を覚え床下機器配置変更に取り掛かった。
しかし非冷房車時代の資料が限られため特定まで辿り着けず床下機器削減と同義の再現に留まっている。
この間に5036の床下機器配置変更試行が確定したものの元5836用床下機器部品だけでは所要数を賄えなかった。
そのため床下機器配置変更準備施工車だった5925(6号車)を再入場させ5036用床下機器部品を捻出した。


5036(床下機器配置変更試作車)。
※TOMYTEC製。


5672(床下機器配置変更未施工車)。
※TOMYTEC製。

この時点で5000形非冷房車の床下機器配置はある程度把握できており予め転用可能な部品を選定している。
改装予定が前倒しされた5925は部品捻出を前提としたが5836とほぼ同様の床下見附に仕上げられた。
全部品とも台枠嵌合爪受を活用したがFS-502非動力台車との釣り合い都合から一部機器は取付位置が変更されている。
元5836用,元5925用床下機器部品を再用した5036は全面的に機器配置が見直され他M2車とは様相が異なる見附へと改められた。
但し配置都合により台枠嵌合爪受と合致しない箇所が増えていまい台枠裏面への直接固定にて対応した。
残念ながらC-2000形空気圧縮機の追設は果たせずに終わりやや惜しまれる結果となった。


5036 [83S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]:運行番号,行先表示変更施工車。
※TOMYTEC製。


5028 [96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:78F(自作行先方向幕ステッカー貼付車)。
※マイクロエース製。

行先表示類は車体に印刷済の[65S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]を継続採用する予定だった。
ところが5836の黒Hゴム支持印刷補修で失敗し[83S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]表示へ変更となった。
運行番号表示幕には[83S]表示を[83S]表示へと改めたマイクロエース製61F付属ステッカーが代用出来た。
一方[西船橋 地下鉄経由]幕は61F非冷房車中期仕様(5811)用だった自作ステッカーを約4.5mm幅に切り詰めて貼付している。
予想よりもHゴム支持モールドが高くステッカー再現による弊害は感じられないと思う。
なお在籍編成では極力前面窓セル表面印刷を廃止しているが快速表示器の内側掲示変更は見送られ製品印刷が生き残った。


86Fサイドビュー(5836:FS-358非動力台車装着車)。
※TOMYTEC製。


78Fサイドビュー(5828:FS-502非動力台車換装施工車)。
※マイクロエース製。

作業簡略化と仕様共通化を考慮し信号炎管,B形防護無線アンテナはKATO製に変更した。
なお5836は5307(動力ユニット搭載車)の発生品転用にてFS-502非動力台車への換装が行える環境にあった。
しかし5828(78F←61F:5811)との差別化が優先され敢えて振替えには進まずFS-358非動力台車のまま竣工させている。
不安視されたFS-358非動力台車とTNカプラーSPの干渉だがC280曲線では不都合は生じないと確認された。
ちなみに86Fの仕様であれば電気連結器付TNカプラーSP(JC6324)でも齟齬が生じないため選択肢は広がると思う。
86Fには続編を期待させる[A]表記が成されており製品化次第ではマイクロエース製を凌ぐ規模に拡大するかもしれない。

交通営団5000系5036[86F] 非冷房車 後期仕様 車体傾斜修正・床下機器配置変更試行 (パンタグラフ撤去車) ※TOMYTEC製

2020-01-14 23:40:34 | 5号東西線,営団線
1456。

TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)の第二次整備は5036が最終入場車となった。
整備工程は5836(86F)に準ずるが回着当初から抱える車体傾斜の解消を試みる。
第一次整備時に改善を試みたものの従来製品で採り入れてきた対処方法は通用しなかった。


交通営団5000系5036 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

比較的簡便な構造が採用されているTOMYTEC製品での車体傾斜は決して珍しくない症状と言える。
大半は座席部品と台枠の組み直しにて改善が可能で5036も容易に解消させられると考えていた。
しかし従来方式は通用せず第一次整備での修正は打ち切りとなり対策を第二次整備に先送りしている。
5306(86F)から開始した第二次整備で車体傾斜解消策を探る算段は不発に終わり明確な答を得られなかった。
強いて挙げるとすれば台枠側面の湯口跡整形不良が気になった程度で非動力車8両は無難な竣工に至った。
結局極端な車体傾斜は5036だけで発生していたため5836以下8両(86F)の竣工過程を反映出来ない状況に追い込まれている。


入工中の5036

5036のユーザー取付部品は信号炎管,B形防護無線アンテナ,パンタグラフ台座用碍子の3種となる。
このうち信号炎管及びB形防護無線アンテナはKATO製を採用しマイクロエース製78F非冷房車後期仕様(5828)に揃える。
KATO製B形防護無線アンテナは取付脚を切除した発生品が充てられるが5836では位置調整に手こずった。
目算に頼る設置は屋根上見附を崩す要因になりかねず取付方法の見直しが決定した。
また5836,5925(86F)から捻出した部品を転用する床下機器配置変更も並行するため想定以上に工程数が増えてしまった。
地道に作業を進めていくしかなく先ずNカプラーSP化に端を発した運転台側車体の浮き上がり抑止から取り掛かった。


整形した座席部品と乗務員室仕切部品。

車体不等沈下は5836での構造解析にて乗務員室仕切部品と競合する座席部品が主因だったと判明した。
当然5036も同様であり座席部品,乗務員室仕切部品双方を5836用と同一形状に改めた。
ひとまず運転台側車体が浮き上がる症状は改善されたが車体傾斜解消には程遠く更なる対策を進めた。
乗務員室仕切部品を撤去した状態での装着試験では大幅な緩和が確認されたため台枠への細工は無意味に思われた。
そこで乗務員室仕切部品両側に着目し凸形成形部下端を約1mm程度引き上げている。
この施工で乗務員室仕切部品と台枠側板天面の接触が廃されたらしく車体傾斜はほぼ解消に至った。


大幅に配置が変わった床下機器(山側)。

5036の床下機器配置は5671,5125,5672(86F:3,5,8号車)と変わりなく全面的な見直しが必要となる。
山側,海側とも広幅箱形機器が目立つが5836,5925から撤去した床下機器部品は海側への起用しか考えていなかった。
何故か山側用が欠落しており手持ちの部品で賄えるか不安に駆られ床下機器配置変更を先行させた。
なおFS-502非動力台車は装着したままとし全体の釣り合いに注意しながら設置個所を定めている。
図面に倣い類似機器の取り付けを進めたところ元5836用床下機器部品は車体中央部だけの転用に限られた。
これ以外は細分化した5036用床下機器部品を寄せ集めた再現で押し通している。


完成した5036用床板。

海側に使用できる5036用床下機器部品は1器しか残らず元5836用,元5925用床下機器部品が中心となった。
所要の狭幅箱形機器は4器だったが台枠嵌合爪受位置や類似機器不足都合により5器が並べられた。
本来5000形,5100形,5600形にはC-2000形若しくはAR-2形空気圧縮機が搭載されている。
ところが86Fでは見事なまでに再現が成されておらず元5836用,元5925用床下機器部品でも代用が利かない。
また移設機器の一部は取付位置調整に伴い嵌合爪を切除して固定したため西船橋寄に中途半端な空間が生じてしまった。
止むを得ず元5925用床下機器部品から狭幅箱形機器を切り出し空気圧縮機の代わりとした。


仮取付脚を設けたKATO製B形防護無線アンテナ。

5836でのKATO製B形防護無線アンテナ(保管品)設置は一旦ゴム系接着剤で仮固定した後に位置調整を行う煩雑な方式だった。
だが線路方向,枕木方向とも取付目安に乏しく指定位置への完全固定まで時間を要している。
そこで作業簡略化のためTOMYTEC製B形防護無線アンテナ用取付孔を活かす取付方式に変更した。
KATO製B形防護無線アンテナ台座裏面中央へΦ1.0mmのプラ棒を取り付け1脚嵌合に対応させた。
1脚嵌合はTOMYTEC製B形防護無線アンテナと同一だが剛性に雲泥の差があり単独固定には向いていない。
そのため屋根板への挿入後に流し込み接着剤を投入し5836と同程度の取り付け強度を確保した。


取り外し難かった前面腰板青帯部品。

同時にベンチレーター固定化,KATO製信号炎管・パンタグラフ台座用碍子部品取付を行った。
取付脚の長い碍子部品は軟質プラスチック製であり挿入角度を誤ると全体が座屈する癖があった。
折損には至らないと思うが念のため垂直を維持しながらパンタグラフ台座まで押し込む方式とした。
嵌合精度は申し分なく屋根上機器部品では珍しく固定化を必要としなかった。
車体は5836に勝るとも劣らない状態と言え塗料繊維片が各所で見受けられる有り様だった。
清掃対象には前面腰板青帯部品も含まれたが固い嵌合に行く手を阻まれ撤去入口から躓いている。


若干凹形に歪んでいた妻板(西船橋寄)。

取付脚を軽く押し込むだけで容易に取り外せた5836とは異なり浮き上がる気配が全く感じられなかった。
前面腰板青帯部品には前尾灯用のくり抜きが設けられているため強度は然程高くないはずである。
強引な撤去方法は折損が避けられないと思われ爪楊枝で腰板寄取付脚だけを押し出し切妻状に近付けた。
その後貫通扉寄取付脚と交互に爪楊枝を押し当て少しずつ前進させながら撤去まで持ち込んでいる。
取り付けも撓み易い前面妻板が障壁となり組み立て後に先送りし車体剛性向上を待った。
この際西船橋寄妻板が車体内側に入り込んでいると判り可能な範囲で矯正を行った。




5036 [83S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]:車体傾斜修正試行,信号炎管・B形防護無線アンテナ取付,黒Hゴム支持印刷補修,行先表示類変更施工。
※TOMYTEC製。


5836 [83S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]:86F(黒Hゴム支持印刷補修施工車)。
※TOMYTEC製。

全工程を終えた5036は車体傾斜が消え去り違和感の少ない仕上がりに達したと思う。
直前に施した西船橋寄妻板への湾曲修正も多少効果があった模様でTNカプラーSPと前面車体裾の位置関係は上々に見える。
貫通扉窓,前面窓黒Hゴム支持印刷は5836ほど乱れていなかったが一部に掠れが見られマッキーで補修した。
また助士側前面窓セル快速表示器直下には白色塗料の垂れがあったため爪楊枝式にて除去している。
5836での失敗を受け運行番号,行先方向幕は強制的に[83S 三鷹 地下鉄経由]表示へ変更となった。
なおステッカーは5836を踏襲し運行番号幕:マイクロエース製,行先方向幕:自作品とした。




5036非冷房車後期仕様(86F:運転台側床板嵌合修正,床下機器配置変更試行)。
※TOMYTEC製。


5028非冷房車後期仕様(78F:パンタグラフ撤去施工車)。
※マイクロエース製:10号車。

5036(86F)は86Fに組み込まれるM2車系で唯一となる床下機器配置変更試作車として竣工を迎えた。
入場前まで床下を占領していた広幅箱形機器は大半が姿を消し山側へ移設した1器が残るのみとなった。
結局5836,5925から捻出した狭幅箱形機器は全てが5036に取り付けられている。
所詮は代用再現でしかないが大幅に手を加えたなりの側面見附には到達したと思う。
製品仕様のまま竣工させた5125,5671,5672も見附を改めたいところだが如何せん部品が足りない。
しかも床下機器部品を溶着してしまったため無駄な抵抗はしない方向である。

交通営団5000系5925[86F] 非冷房車 後期仕様 床下機器配置変更試行 (戸袋窓閉塞車) ※TOMYTEC製

2020-01-13 23:59:20 | 5号東西線,営団線
予定変更。

TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車後期仕様(5836)は5036(86F:5836)の整備完了を以て出場となる。
その5036だが床下見附に違和感を抱いたため床下機器配置変更が検討項目に挙がった。
ひとまず5036用床下機器部品を確認したが実車とは大きく乖離しており中断に追い込まれた。


交通営団5000系5925 非冷房車 後期仕様(86F)。
※TOMYTEC製。

細分化が難しい5000形用床下機器部品では所要数が足りず実車らしい雰囲気を醸し出せない。
不足分は床下機器配置を変更した5836(86F)で使用されなかった部品を充てる方向だった。
しかし5836の発生品は分割の難しい広幅箱形機器やエアータンクが大半を占める。
5036の山側には狭幅箱形機器を掻き集める算段としたが早くも壁にぶち当たった。
急遽床下機器配置変更試行が思い立った5836(86F)は5036への転用を考慮せずに作業を進めた。
これは着手した時点で5036の床下機器配置変更を行う計画が存在しなかった証でもある。


入工中の5836,5925 (86F)。

手持ちの資料で5800形非冷房車の床下機器配置を突き止めようとしたが年代が遡るせいか意外にもその数は少なかった。
そのため5836は床下機器部品と資料を照らし合わせながら都度類似機器の取り付けに移る苦しい展開が連続している。
複数の資料を渡り歩く間に5000形非冷房車は比較的鮮明な記録が多く残されていると気付いた。
山側床下機器は5800形より先に大凡の配置を掴めた程で5036でも床下機器配置変更を試行する切っ掛けとなった。
だが大半の狭幅箱形機器は5836へ流用されており既に流し込み接着剤での固定も施工済だった。
再度床下機器部品を撤去するには少々時間が遅く部品振替は放棄されている。


床下機器部品を再撤去した5925用床板。

5836で床下機器配置変更試行へと踏み切らせた要因は床下見附が込み合って見える5925(86F)にあった。
当初5925(86F)の第二次整備工程には床下機器配置変更が含まれていた。
しかし5306,5671,5357,5125(86F)を竣工させるまでに大幅な時間が割かれており工程簡略化へと傾いた。
加えて5900形非冷房車の床下機器配置も特定できておらず軽い溶着に留める床下機器配置変更準備だけが施される。
結局5900形非冷房車も正確な資料が見当たらず実車に倣った改装は断念せざるを得なくなった。
折しも5036へ充当する山側用床下機器部品の補填が急務となり5925は5836に準じた床下機器配置への変更が確定した。


微妙な差異が生じた山側西船橋寄床下機器部品 (5836,5925)。

5836と同時入場させた5925であるが5036用床下機器部品の捻出を重視し少しでも狭幅箱形機器取付数の削減に努める。
床下機器部品の再撤去には床板一体化を解除する必要があり座席部品と台枠の分離から作業に取り掛かった。
台枠ダミーカプラー用取付孔成形部への流し込み接着剤投入が台枠一体化の主軸で座席部品裏面は溶着固定されている。
但し実質的な溶着面積は円形状の台枠ダミーカプラー用取付孔成形部天面に限られる関係から破損を防ぐ分離が可能である。
流し込み接着剤投入量を控え固定箇所も限定した床下機器部品は座席部品と同じ感覚で再撤去出来ると考えていた。
ところが元々床下機器部品は5925用台枠との相性が良く想定外の箇所まで溶着箇所が広がる計算違いに見舞われた。


更に削減を図った海側床下機器配置 (5836,5925)。

プラスチックドライバーで抉る方法は全く通用せず金属製ドライバーにて嵌合爪部を強引に押し込むしかなくなった。
山側床下機器部品は西船橋寄用,中野寄用共に乾いた音を発しながらも無事剥離してくれた。
だが海側は嵌合爪から流し込み接着剤が伝わった模様で双方とも床下機器部品天面全体が台枠裏面と溶着していた。
遂には金属製ドライバーすら通じなくる状態に陥り床下機器配置変更準備は当てが外れてしまった。
止むを得ず溶着部をクラフトナイフで切り裂く方式を採ったが一部の嵌合爪を失っている。
基本的な床下機器配置は5836を踏襲したものの5036への転用と5925の特徴を考え変更した箇所がある。


再々溶着施工により乱れた台枠裏面(5925用)。

山側は5036用床下機器を捻出するため西船橋寄床下機器部品の切断箇所が一機器分運転台側に移動した。
機器数は5836と同じ2器であるが嵌合爪位置が異なる関係からFS-502非動力台車との釣り合いを考慮し西船橋寄へ偏位させた。
ミンデンドイツ式FS-358非動力台車装着車の5836に倣うと床下機器が浮いてしまう印象が拭えず間隔を詰めている。
一方海側も塩梅の良い資料と巡り会い西船橋寄への床下機器設置を見送り5925独自の配置になった。
5925の床下機器配置変更で確保した狭幅箱形機器は3器に達したものの嵌合爪受位置と合致しない可能性が考えられる。
後は5036での現物合わせ次第だが全部品の転用には至らないかもしれない。




5925(床下機器配置変更試行)。
※TOMYTEC製。


5125(86F:戸袋窓閉塞車)。
※TOMYTEC製。

台枠への床下機器部品固定を終え5925の作業は完了したと思えた。
ところが台枠を方転した状態で床下機器部品を取り付けていたと判明し慌てて全て再々撤去している。
既に完全固着した後だったため台枠裏面はぼろぼろになってしまい#600,#1,000のペーパーで平滑化を行い取り繕った。
マッキーで擦過痕を塗り潰す隠蔽策も無残な仕上がり具合に拍車を掛けただけだった。
幸い側面見附からは伺えない箇所でありこれ以上の追求は行わず5925(86F)を竣工させた。
床下見附が変更された5925はそれなりに5900形らしい印象へ近付けられたと思う。

交通営団5000系5836[86F] 非冷房車 後期仕様 運転台側床板嵌合修正,床下機器配置・行先表示類変更試行 ※TOMYTEC製

2020-01-12 23:37:54 | 5号東西線,営団線
1452。

第二次整備に苦戦しながらもTOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)は5306以下8両(86F)が竣工した。
いよいよ出場が視界に入ったが5836,5036(86F)の整備は中間車両と一線を隠す。
運転台側車体が浮き上がる悪癖は傾斜や不等沈下に繋がるため出来る限りの措置を施す。


交通営団5000系5836 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

運転台側床板の嵌合不良は5836,5036双方で発生しており構造解析に時間を割きたい。
5036はパンタグラフ撤去跡に別部品が採用されているため屋根板の開孔箇所が増える。
一方5836もTNカプラーSPとFS-358非動力台車の干渉が引っ掛かるものの工程数は少なくなる。
各方面から車体の浮き上がり防止策を試行するには5836が先発入場に適すると思えた。
基本構造は運転台付車両も中間車両と共通であり前面窓セル嵩と乗務員室仕切部品が怪しく感じられる。
先ずはどの部品が競合するか切り分けを行うべく着脱試験から取り掛かる工程とした。


入工中の5836

早速5836を分解したところ運転台付車両は傾斜したまま座席部品が嵌まる構造だったと判明した。
座席部品は運転台側を頂点に連結面側へ向けて少しずつ嵌合が深くなって行く。
連結面側の嵌合位置は中間車両と同じであり運転台側に問題があるのは確実だった。
原因は運転台側座席部品が乗務員室仕切部品を覆っていたためである。
取り敢えず座席部品の運転台側を短縮し車体と平行に収められるか試行する。
ただ現物限りの一発勝負は危険と考え5308(86F)に誤装着されていた運転台付車用座席部品を手元に置いた。




傾斜が解消された座席部品。

台枠一体化を施す関係から運転台側の切断箇所は西船橋寄台枠支持部に定めた。
初めは運転台側を短縮するのみとしたがこれだけでは傾斜は解消されなかった。
そのため西船橋寄台枠支持部を逆L字形からl字形へ整形し全高も約2mm程度に切り詰めている。
台枠支持部の細工を終え車体へ組み込むと大凡水平に達し傾斜は殆ど伺えなくなった。
万が一に備え用意した元5308用座席部品の出番は無く5036用に温存された。
ここで運転台側車体の浮き上がり抑制に期待して一旦5836を組み立てている。




下部を切り詰めた乗務員室仕切部品。

ところが症状は全く改善されておらず乗務員室仕切部品,座席部品双方を撤去して組み直した。
台枠単体では運転台側,連結面側とも同一の嵌合具合を示し乗務員室仕切部品が整形対象となった。
乗務員室仕切部品は車体天井部との3点嵌合式であり容易に取り外せている。
だが構造上乗務員室仕切部品の何処が台枠と接触しているか視認できない。
天井側は嵌合爪を整形しなければならず運転士用座席成形下部の張り出しを切除した。
そして再度の床板装着試験にて症状解消が見込める手応えを得られた。


KATO製を採用した信号炎管とB形防護無線アンテナ。

第二工程は屋根板整備としベンチレーター角度修正,信号炎管・B形防護無線アンテナ取付を行う。
先にマイクロエース製78F非冷房車後期仕様(5828)へKATO製B形防護無線アンテナを搭載させていた。
共通化を図るべく86FにもKATO製B形防護無線アンテナの充当が決定した。
KATO製B形防護無線アンテナは取付脚が切除された保管品を引き当て屋根板に直接固定している。
また湯口跡が苦手な箇所に来るTOMYTEC製信号炎管も使用を見合わせた。
これに伴い信号炎管取付孔は僅かながら拡大を要しΦ0.8mmへ変更となった。


成形部品だった前面腰板青帯。

塗料繊維片除去を第二次整備の締め括りとする予定だったが諸事情により第三工程へ前倒しされた。
前面窓セルと側面窓セルの嵌合は従来製品に近く車体偶柱部へニードルを差し込む手法が通用した。
天地の広い前面窓セルには繊細な前尾灯レンズが成形されているため慎重な引き抜きを心掛けた。
ところが予想していた形状とは異なり運行番号幕,行先方向幕は車体印刷であった。
また前面車体内側に見られた不自然な青色塗料は腰板青帯の取付脚だと判り押し出して撤去している。
夥しい塗料繊維片の発生源は腰板青帯成形部が大半を占めており重点的に清掃を行った。


マッキーで塗り潰した貫通扉窓,前面窓Hゴム支持モールド。

5836は第一次整備時に黒色塗料が廻り切っていない貫通扉窓,前面窓黒Hゴム支持印刷の補修が確定した。
補修は別形式でも多用しているマッキーの上塗りであり容易く修正出来ると考えていた。
しかし車体再現とHゴム支持モールド幅の狭さが重なり予想以上に苦戦している。
度々ペン先が幕板に触れてしまいその都度慌てて製図用消しゴムへ持ち替えインクを除去した。
銀色塗料とマッキーは相性が宜しくない模様で塗布失敗箇所は全く判らなくなった。
その代わり黒Hゴム支持印刷補修も今ひとつ冴えない結果に終わっている。


適当に削減した床下機器数。

床下機器配置変更試行が急浮上したため5836の最終工程は床板整備となった。
検討段階まで進んだ5925(86F)は資料不足により床下機器配置変更準備対策を施して竣工させた。
その後各資料を当たったものの5900形非冷房車の鮮明な記録には巡り会えなかった。
同時に5800形の確認も並行したが決定打を欠いた上に流用での床下機器配置再現は難しく思われた。
しかし製品仕様のままでは床下見附が込み合い過ぎるように映り床下機器配置変更へと踏み込んでいる。
何となく様子が伺えた山側は機器数の削減と取付位置をずらして対処した。




5836 [83S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]:床板嵌合修正・行先表示類変更試行,信号炎管・B形防護無線アンテナ取付,黒Hゴム支持印刷補修施工。
※TOMYTEC製。


5828 [96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:78F(KATO製B形防護無線アンテナ搭載施工車)。
※マイクロエース製。

床板一体化は座席部品が短縮されたため運転台側のみ台枠支持部への流し込み接着剤投入に変更している。
一応剛性不足は感じられず多少不安があった車体の浮き上がり再発も生じなかった。
なお運行番号,行先表示器にも黒Hゴム支持印刷補修を施したがこれが大失策を招いた。
マッキーのペン先が当たり[65S 三鷹 地下鉄経由]表示は[65S 地下鉄経由]表示へと変わってしまった。
修復は不可能で急遽運行番号幕:マイクロエース製ステッカー,行先方向幕:自作ステッカーを代打に起用した。
何れもぎりぎりでHゴム支持モールド内に収まり難を逃れている。




5836非冷房車後期仕様(86F:運転台側床板嵌合修正,床下機器配置変更試行)。
※TOMYTEC製。


5828非冷房車後期仕様(78F:FS-502非動力台車換装施工車)。
※マイクロエース製:1号車。

各種試行が積み重なった結果5836(86F)は約120分の作業を経て竣工となった。
入場前に比べ床下機器が削減されFS-358非動力台車の存在感が増したように映る。
あくまで雰囲気を重視しただけで実車に即している訳ではなく海側は殆ど推測に頼っている。
それでも全てを流用で賄った割にはそれなりの側面見附に纏められたと思う。
課題だった床板嵌合修正は部品毎の段階を踏んでおり5036に反映出来ると思われる。
但し一気に作業は進めず5036の個体差に合わせた柔軟な対応を取る方向である。

交通営団5000系5308[86F] 非冷房車 後期仕様 座席部品交換,床板一体化施工 (戸袋窓付車) ※TOMYTEC製

2020-01-11 23:52:59 | 5号東西線,営団線
1455。

ようやくTOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)の第二次整備は7両目まで完了した。
5672(86F)では黒Hゴム支持印刷補修を要する等個体差に振り回される傾向が強い。
しかしTOMYTEC製品ならではの特性を考慮すると致し方なく思えた。


交通営団5000系5308 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

86Fの中間車両はTNカプラーSP化及びTOMIX製PG16形パンタグラフ換装だけを第一次整備項目とした。
当初は検品を兼ねて分解するつもりだったが初入場車の5836(86F)から床板の取り外しに手間取った。
続く5036,5306,5671(86F)でもこの状態から抜け出せず何時の間にか分解作業が苦痛へと変わっていった。
そのため5357以下6両(86F)は所定の整備に終始し検品が疎かになってしまった。
幸い第二次整備への影響は無く中間車両では最終入場車となる5308(86F)を迎えた。
だが5308でメーカーエラーと出会す手痛い竹篦返しを喰らう羽目になった。


入工中の5308

座席部品が噛み合ったまま取り外せた5308用床板は西船橋寄台枠表面が露出していた。
嵌合具合は5306以下7両と変わっておらず初めは反転装着が原因だと勘違いした。
しかし中間車両用座席部品は対象成形であり物理的に台枠の露出を防ぐ構造が採用されている。
少しの間を置いてから5308には運転台付車用座席部品が嵌め込まれていると気付いた。
TOMYTEC製品は側面窓セル嵌合爪受が台枠のみに設けられているせいか第一次整備時に見落としたらしい。
塗装等の個体差は許容できたがさすがに部品違いをやり過ごす訳には行かなかった。


5307用座席部品を転用した5308用床板。

加えて床板一体化は台枠表面と座席部品裏面の両端部を溶着する方式で定着していた。
運転台付車用座席部品では何れかの台枠ダミーカプラー用取付孔成形部が覆えなくなる。
台枠内側側面への固定も可能だったが5308だけ仕様が異なる状態を防ぎたかった。
そのため動力ユニット搭載により5307(86F)から押し出された元5307用床板を持ち出した。
緊急予備品は僅か数日で緊急事態を迎え突然の再用機会を迎えている。


張り出し成形が無かった側面窓セル端部(西船橋寄)。

座席部品を振り替え5308用床板からはメーカーエラーの陰が払拭された。
但し走行部品は廃車発生品を充当しており5672(86F)と同程度の仕上がり具合になっている。
後は車体整備を行うだけと思われたが5308の落とし穴は座席部品だけではなく側面窓セルにも存在した。
初めから傾きが見られるほど妻面窓セルの嵌合が緩くプラスチックドライバーを必要としなかった。
本来中間車両用側面窓セル端部には車体断面と妻面窓セルに挟まれる薄い張り出しが存在する。
ところが5308用側面窓セルはこれが切除されており側面車体断面に支えられているだけであった。




5308非冷房車後期仕様(86F:TOMIX製PG16形パンタグラフ・ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5299非冷房車後期仕様(78F:戸袋窓・側扉窓黒Hゴム支持化施工車)。
※マイクロエース製:9号車。

車体清掃を終え組み立てに戻ったがやはり妻面窓セルは今ひとつ収まりが芳しくなかった。
現状のままでは再び傾斜する可能性が高く凸形成形部へ木工用ボンドを塗布している。
なお床板の組み込みは妻面窓セルに余計な負荷が掛からないよう注意して行った。
取り敢えず現時点ではしっかりと固定されているため急場鎬にしては上出来だと思える。
どうにか竣工まで辿り着いた5308(86F)であるが将来的な不安要素は拭い去れていない。
今後の経過によっては側面窓セルも木工用ボンド固定を要する場面が訪れるかもしれない。

交通営団5000系5672[86F] 非冷房車 後期仕様 窓セル黒Hゴム支持印刷補修,床板一体化施工 (戸袋窓付車) ※TOMYTEC製

2020-01-10 23:41:00 | 5号東西線,営団線
1461。

TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)の第二次整備は長期戦を余儀無くされた。
どの程度の個体差を有するか不明だが5306(86F)から塗料繊維片との戦いが続いている。
それでも5307(86F:動力ユニット搭載車)の竣工まで辿り着き未入場車は4両を残すのみとなった。


交通営団5000系5672 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

入場順が巡ってきた5672(86F:8号車)は戸袋窓付M2車だが先に同一形態の5671(86F:3号車)を竣工させている。
よって5672の第二次整備工程は5671(86F)と殆ど変わらないと予想していた。
一見した限りでは塗料繊維片が少なく見えたものの車体断面の状態までは読み取れない。
事前点検では山側,海側とも中野寄戸袋窓,側扉窓黒Hゴム支持再現に違和感を抱いた。
やや細く映る黒Hゴム支持再現は車体断面に残る塗料繊維片が関係していると思われた。
5306以下6両(86F)では感じられなかった症状であり重点確認項目に指定した。


入工中の5672

5307より塗料繊維片除去を最終工程へ廻したため床板整備から作業に取り掛かった。
床板は5925(86F)並に嵌合が固く各側面窓セル嵌合爪部へ爪楊枝を突き立てた。
案の定台枠側面には湯口跡の張り出しがありクラフトナイフで切除している。
なお側面窓セル装着が後追いとなった5925では湯口跡平滑化後の床板着脱試験を行えなかった。
皮肉にも5672で喜ばしくない試験機会を迎え湯口跡整形の有効性が確認された。
床下機器部品の噛み合わせには問題が見られず5125(86F)と同一方式にて固定した。


プラスチックドライバーを差し込んだだけで嵌合が解けた妻面窓セル(中野寄)。

竣工した5925(86F)までの非動力車は全て予備品の走行部品で賄ってきた。
予備品はまだ2両分が残っているがこれは5836,5036(86F)への充当が決定している。
そのため廃車発生品を5672へ廻したが車輪の輪心黒色化は斑を抱える仕上がりに留まった。
予めクリーナーで清掃を行い新品同様へ戻したつもりだったもののマッキーのインク乗りが極端に悪かった。
ペン先からはざらついた質感が伝わってくる有り様で4回に渡り塗り直しを行った。
最後に座席部品と台枠を溶着させ5672用床板は完成を迎え窓セル撤去へと移行した。


マッキーで塗り潰したHゴム支持モールド。

二転三転した妻面窓セルの撤去は上下にプラスチックドライバーを差し込む方式へと行き着いた。
ところが5672では西船橋寄,中野寄双方とも車体外側から押し込む前に脱落している。
側面窓セル嵌合爪に成形不良は無く取り付けが甘かっただけかもしれない。
早速中野寄車体断面を確認したが瑕疵は見受けられず塗料繊維片除去も滞りなく進められた。
腑に落ちないまま側面窓セルへ目を向けると戸袋窓,側扉窓黒Hゴム支持印刷が掠れていた。
違和感はまさかの印刷不良が大元だと判明し急遽補修作業に手を伸ばしている。




5672非冷房車後期仕様(戸袋窓,側扉窓黒Hゴム支持印刷修正,ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5622非冷房車後期仕様(78F:戸袋窓閉塞車)。
※マイクロエース製:8号車。

86Fでの黒Hゴム支持印刷補修は初となったため先ず妻面窓セルをマッキー再現に改めた。
その結果中野寄のみの補修では釣り合いが取れなくなると判り全Hゴム支持モールドが修正対象となった。
しかも思いの外モールド嵩が低く何度も関係無い箇所へインクを付着させる悪循環に嵌まった。
幸い消しゴムでの除去が可能で大怪我には至らず全てのHゴム支持モールドをマッキー再現に変更し終えた。
ユニットを組む5307との側面見附差異が心配されたが比較する前に5672(86F)を竣工させている。
取り敢えず5672単独では窓周りの違和感が解消されまずまずの手応えを得られた。


5307+5672 (86F:黒Hゴム支持印刷未補修車+黒Hゴム支持印刷補修施工車)。
※TOMYTEC製。

マッキー再現へ変更するとHゴム幅が若干太くなってしまうため全箇所への補修に拡大せざるを得なかった。
印刷掠れが無かった西船橋寄の黒Hゴム支持再現は飛んだ余波を喰らっている。
そして5307と5672の連結試験を行い双方で側面見附に差異が現れるか確認した。
回答次第では5307への追加施工も避けられなくなるところだったが誤差の範囲内で踏み留まってくれた。
仮に86Fのプロトタイプが明灰色Hゴム支持車編成だったならば誤魔化せなかったと思う。
この結果を踏まえると5308(86F:9号車)とも側面見附の違和感は発生しないと予想している。

交通営団5000系5307[86F] 非冷房車 後期仕様 TM-14動力ユニット搭載,パンタグラフ固定施工 (戸袋窓付車) ※TOMYTEC製

2020-01-09 23:55:36 | 5号東西線,営団線
1460。

どの形式も動力ユニットを搭載させられる自由度の高さはTOMYTEC製品の強味だと思う。
但し動力ユニットのモーター及びウエイトは側面窓内に張り出す構造が採用され続けている。
TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)ではこの弱点を弱める手段が採れた。


交通営団5000系5307 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

戸袋窓閉塞車は戸袋窓吹寄部が比較的広く動力ユニットの張り出しを目立たなくさせられる。
その点5125(86F:5号車)への動力ユニット組み込みは相応しく思えた。
しかし在籍編成の主力を務めるマイクロエース製交通営団5000系列は7号車が動力ユニット搭載車となる。
61F非冷房車(5811)を組み替えた78F非冷房車後期仕様(5828)でもこれを踏襲した。
結局5125への動力ユニット搭載は見送られ5307(86F:7号車)に落ち着いている。
5307は戸袋窓付車でありウエイト等の張り出しを防げなくなるが仕様統一が優先された。


入工中の5307

TOMYTEC製品で動力ユニット組み込みを行う車両は第二次整備後半の入場を基本にしてきた。
通常通りに5306以下7両(86F)の整備を進められていればまだ5307は待機させていたと思う。
だが車体塗料繊維片除去を初めとして各方面で手間を要する86Fは単独入場が続いている。
非動力車で竣工させる5672,5308(86F:8,9号車)も何が待ち構えているか判らない。
一方5307にはTOMYTEC製TM-14動力ユニットの採用が決定しており分解整備工程を省略できる。
所要時間の大きな差は現れないと考え慣例を破って先発入場に至った。




取付脚天面黒色化を施したFS-502動力台車(西船橋寄用)。

初導入となったTOMYTEC製TM-14動力ユニットであるが基本構造に変更は見られなかった。
スペーサーは[S]が適合品でTNカプラーSPと共に両端台枠へ取り付けた。
非動力車と同じく動力台車にも輪心黒色化及びアートルトカプラー用台座切除を行っている。
FS-502動力台車枠部品には装着方向を指示する[L],[R]の刻印が印されていた。
だが一度切り出すと端梁長しか識別点が無くなるためFS-502非動力台車を参照している。
一度嵌め込んだFS-502動力台車枠だが何処かFS-502非動力台車と見附が異なっており一旦取り外した。


完成した5307用動力ユニットと予備品に廻る元5307用床板。

TOMYTEC製動力台車枠は3脚嵌合式で側梁形状によっては下側取付脚天面が露出してしまう。
FS-502動力台車枠もボルスタアンカ直下に半円形の灰色成形部が顔を覗かせていた。
超極細マッキーで塗り潰しFS-502非動力台車との外観差を縮小させている。
床下機器部品と5307用台枠は相性が今ひとつ芳しくなく動力ユニットへの移設に不安を感じた。
しかし心配は杞憂に終わり嵌め込むだけでも十分な安定性を確保できた。
ただ片側支持となる嵌合爪が多く念のため微量の流し込み接着剤を投入した。


最後に固定したTOMIX製PG16形パンタグラフ。

なお床下機器部品を供出した元5307用床板は緊急予備用に保管品へ廻している。
車体整備は屋根上機器部品の固定順を改めた以外5357(86F)から変わっていない。
5357ではベンチレーターとの干渉を嫌いTOMIX製PG16形パンタグラフ(0238)の固定化を先行させた。
だが西船橋寄ベンチレーターが上手く挿入出来ず作戦は空振りに終わった。
その後屋根板とパンタグラフ台枠の平行を維持し易い固定方法を探ったが妙案は思い浮かばなかった。
結局パンタグラフ固定を後に廻すしかなくなり5306で採用した工程順へ戻された。


多少無理があった動力ユニット組込。

戸袋窓閉塞車が3両続いたため戸袋窓付車の塗料繊維片除去は5671(86F:3号車)以来となった。
手間数を考え車体断面総延長が伸びる戸袋窓付車の車体清掃は最終工程に変更した。
コルゲート板や車体断面の塗料繊維片は引き続き綿棒と磨きクロスを併用して取り除いている。
第二次整備完了車は半数まで達したが5125,5925(86F)を除き車体清掃に大幅な時間が費やされている。
但し5925(86F)も側面窓セルが繊維片を削ぎ取っただけであり塗装状態自体は思わしくなかった。
5307の状況を察すると残る5672以下4両(86F)でも苦戦が避けられないと思う。




5307非冷房車後期仕様(86F:動力ユニット搭載,TOMIX製PG16形パンタグラフ・ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5337(78F:動力ユニット搭載施工車)。
※マイクロエース製:7号車。

動力ユニットの挿入は5125にて採り入れた片側台枠を先行して組み付ける方式とした。
非動力車用よりも台枠嵩が高くなるため両側面窓セル全体を押し広げながら車体に収めている。
やや窮屈な嵌合方法に迫られたものの86Fでの床板着脱は全車共通で対応出来る見通しが立った。
TOMYTEC製品の動力ユニット搭載車ではマッキーによるウエイト黒色化が定着している。
一応動力ユニットの存在を車内に埋没させる側面見附には達したと思う。
戸袋窓閉塞車への動力ユニット搭載こそ実現しなかったが竣工した5307(86F)の現状には満足している。

交通営団5000系5925[86F] 非冷房車 後期仕様 側面窓セル清掃,床板一体化施工 (戸袋窓閉塞車) ※TOMYTEC製

2020-01-08 23:43:24 | 5号東西線,営団線
1459。

交通営団5000系5900形は後年の増備により興された形式である。
6M1Tで組成されていた7両編成の10両編成化は性能要件を満たすため8M2Tとされた。
そのため戸袋窓閉塞車3両が組み込まれた編成は5900形が唯一の付随形式となった。


交通営団5000系5925 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)の車体は細かい造り分けが成されている。
10両編成化に伴い増備された戸袋窓閉塞車は共通の側面見附を持ちながら妻面成形が異なる。
その一方床下機器部品は全車流用で賄われおり5925(86F)の床下見附には腐心の後が伺えた。
どの資料を基にしたかは不明だが実車よりも床下機器数が多く込み合って見える。
床下機器配置変更が効果的に思える5925だが86Fの第二次整備は大幅に遅れていた。
取り敢えず床下機器配置変更への準備だけを行い製品仕様のまま竣工させる。


入工中の5925

中野寄に簡易運転台が設けられた5125(86F)では妻面窓セルの撤去に難航した。
貫通扉非設置車だった5357(86F)にて採用したばかりの取り外し方法が通用せず強引な押し出しに迫られた。
5925も西船橋寄に簡易運転台があり妻面窓は全てHゴム支持となる。
天地が狭い簡易運転台側用妻面窓セルは5125と同一仕様だと思われ先に成形形状を確認した。
予想通り凸形成形部に差異があり窓セルの撤去は中野寄妻面窓セルから開始している。
ところが類似条件を持ち合わせていた5125とは勝手が違い妻面窓セルは微動だにしなかった。


全面的に見直した分解方法。

5125(86F)が竣工した直後からどの様に5925の分解を行うか検討へ入った。
側面窓セル嵌合爪の位置を考えると妻面窓セルを撤去する基本的な考えに誤りは無いはずである。
ただ両側妻面窓下部の押し込みに拘り過ぎてしまい嵌合部への押圧を弱める対策が抜け落ちていた。
そして妻面窓セル上下にプラスチックドライバーを差し込み予め湾曲させる方法へと辿り着く。
新方式は西船橋寄妻面窓セル専用として立案したものだったが全面採用に発展した。
その結果5925の全窓セル撤去は大幅な時間短縮が実現し約5分で終えられている。


塗料繊維片を取り除いた側面窓セル。

妻面窓セル上部へプラスチックドライバーを差し込む必要性から屋根板の取り外しが先行した。
そのため窓セル撤去後の車体には何も部品が残らない状態となり塗料繊維片除去に取り掛かった。
入場前は車体断面の繊維片が各所で見受けられたため5357での作業に逆戻りすると思われた。
ところが手間を要した箇所は腰板コルゲート板だけで車体断面には繊維片が殆ど残っていなかった。
代わりに待ち受けていたのは夥しい繊維片が付着した側面窓セルである。
側面窓及び側扉窓モールドが車体断面の繊維片を削いだ模様で清掃の軸は側面窓セルに置かれた。


湯口跡処理が粗かった台枠側面。

繊維片の大元は銀色塗料であり車体断面よりは除去が行い易かった。
但し清掃を解れた綿棒に頼ったため途中で埃と繊維片が入り交じってしまった。
埃だらけになった側面窓セルは進捗状況が掴めなくなり都度エアーダスターを吹き付けている。
また山側用,海側用とも側面窓セル下部の湯口跡が捲れ上がっておりクラフトナイフにて平滑化した。
張り出した湯口跡は台枠側面にも存在し同様の措置を行っている。
5925の床板が取り外し難かった原因は双方の湯口跡にあったと思われる。


5925:簡易運転台設置車。
※TOMYTEC製:西船橋寄。


5125:86F(簡易運転台設置車)。
※TOMYTEC製:中野寄。

床下機器部品は嵌合脚毎の分割に耐えられる嵌合精度を有していた。
しかし必ずしも床下機器と嵌合爪が対になっている訳ではなく所要機器も判明していない。
現時点での闇雲な細分化は時期尚早だと思われ溶着を簡略化する方向に切り替えている。
3脚嵌合部品:2点固定,2脚嵌合部品:1脚固定を採用し来たる再撤去への備えとした。
若干1脚固定には不安が残るため早急に資料を突き止め床下機器配置変更へ取り掛かる予定である。
床板の組み込みは引き続き5125に倣った方式を採り入れ側面窓セル嵌合爪との競合を防止した。




5925非冷房車後期仕様(86F:ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5919非冷房車後期仕様(78F:明灰色Hゴム支持車)。
※マイクロエース製:6号車。

なお5925でもベンチレーターの取り付け角度にばらつきが見られ取り外しを行っている。
何故か西船橋寄ベンチレーターだけ嵌合が緩く流し込み接着剤投入後もしばらく押え続けた。
固着後の状態は他6器と同様であり不意な傾斜や脱落には襲われないと思う。
5925(86F)の竣工を以て86Fに組み込まれる戸袋窓閉塞車は全て第二次整備が完了した。
未入場で残る中間車両は5306,5671(86F)と同一の戸袋窓付車に戻る。
車体の癖は減るものの側面窓セルへの塗料繊維片付着に至らない事を願いたい。

交通営団5000系5125[86F] 非冷房車 後期仕様 ベンチレーター嵌合修正,床板一体化施工 (戸袋窓閉塞車) ※TOMYTEC製

2020-01-07 23:52:05 | 5号東西線,営団線
1458。

第二次整備中のTOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)は戸袋窓閉塞車が3両連続する。
貫通扉非設置車だった5357(86F:4号車)では妻面窓セルの撤去方式を改め∩字形成形に対応した。
今回入場させる5125(86F:5号車)は貫通扉設置車であり再び一枚成形妻面窓セルに戻る。


交通営団5000系5125 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

5100形には中野寄に簡易運転台が設けられたため妻面窓は全てHゴム支持とされた。
86Fの第二次整備は4両目を迎えたが早くも3種目となる妻面窓セルが登場している。
ただ5125の基本構造は5306,5671(86F)に準じており容易く窓セル撤去を行えると考えていた。
塗料繊維片は比較的少なく車体断面の仕上げさえ良ければ早期竣工が見えてくる。
ベンチレーターの嵌合具合も許容範囲内に映りようやく状態に恵まれた車両を引き当てられたと思えた。
しかし分解で躓きその影響から抜け出せないまま作業完了に至る結果で終わっている。


入工中の5125

妻面窓セルの撤去は5357にて採り入れた腰板寄から嵌合を解く方式に切り替えた。
取り敢えず中野寄妻面窓セルの取り外しに着手したが固い嵌め込みが立ちはだかった。
両妻面窓とも一定の撓み具合を示すものの嵌合爪を乗り越える状態には達してくれない。
車体偶柱部を押し広げても効力は無く西船橋寄妻面窓セルの先行撤去に変更した。
西船橋寄妻面窓セルには新方式が通用し呆気なく引き出しを終えられている。
車体と側面窓セルには多少猶予が生まれたはずだが中野寄妻面窓セルの嵌合具合は変わらなかった。


天地が異なっていた妻面窓セル (西船橋寄用,中野寄用)。

その後も中野寄妻面窓セルとの格闘が続き分解工程は膠着状態に陥る。
こうなると無理矢理押し込むしか術が無くクロスで包んだ爪楊枝を持ち出した。
とにかく妻面窓セルを取り外さない限り作業は先に進められない。
止むを得ず5306での撤去方式へ戻し側板との間隔が狭い海側妻面窓に狙いを定めた。
押し込む箇所は妻面窓下部に絞ったが力加減のせいか妻面窓セルを吹き飛ばしてしまった。
この時ばかりはさすがに焦ったものの幸い窓セルの破損は伺えず事無きを得ている。


角度を整えたベンチレーター。

未入場の5925(86F:6号車)も簡易運転台設置車であり妻面窓セルが取り外し難かった原因を追求した。
側面窓セル嵌合爪は西船橋寄,中野寄とも変わりが無く妻面窓セル自体に疑いを掛けた。
西船橋寄用と中野寄用を比較したところ腰板寄凸形成形部に違いがあると判明した。
中野寄用妻面窓は凸形成形部が短く処理されており押し込んだ際の撓みを吸収してしまう形状だった。
恐らく5925も同一成形が採り入れられていると思われ安全な撤去方式を検討する。
分解が約30分に及んでしまったため手間を要さないベンチレーターの固定から本格的な作業に入った。


台枠と溶着した座席部品端部。

乱れが少なく見えたベンチレーターは当初着脱を行わずに溶着する予定だった。
しかし微妙な傾斜を抱えた状態で押し込むと脚台と屋根板が接しなくなる症状に見舞われた。
やはり5671で感じたベンチレーター取付脚の嵌合代不足は間違いなかったらしい。
これに片側支持が重なり枕木方向の傾きを呼び込んだと思われる。
敢えなく全ベンチレーターは一度撤去され枕木方向,線路方向双方の取付角度を修正した。
車体清掃が小規模で留まっただけに屋根板整備での作業抑止は非常に惜しまれた。


組み付け方法が決定した床板。

5125の床下機器部品は比較的良好な嵌合精度が保たれていた。
そのため嵌合爪の溶着には労さなかったが台枠掻き取り部だけは5357を踏襲している。
座席部品両端部は折り返しが設けられておらず床板一体化に向いている構造である。
流し込み接着剤は露出している台枠ダミーカプラー用取付孔成形部への投入のみに留めた。
床板の組み込み難さは86Fに於ける泣き所になっていたがようやく打開策を見い出せた。
先に西船橋寄若しくは中野寄床板だけを車体へ嵌め込み斜め下側から全体を嵌合させる方式へと変更した。


5125:簡易運転台設置車。
※TOMYTEC製:中野寄。


5671:86F(貫通扉設置車)。
※TOMYTEC製:中野寄。


5357:86F(貫通扉非設置車)。
※TOMYTEC製:中野寄。

車体と平行に合わせる嵌合では何れかの側面窓セル嵌合爪が床板を弾き出していた。
主に支障する嵌合爪は車体中央部だったと判りここを避ければ改善出来ると思われた。
車端部の組み付けを先行させると側面窓セル全体が側板方向に押し付けられる。
これにより台枠側面は嵌合爪と干渉し難くなくなるため床板が嵌め込み易くなった。
作業最終盤に待ち構えていた厄介な問題はここに来て解決の見通しが立っている。
但し動力ユニット搭載車の嵌合精度が掴めておらず全車共通化に達するかはまだ判らない。




5125非冷房車後期仕様(86F:ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5119非冷房車後期仕様(78F:明灰色Hゴム支持車)。
※マイクロエース製:5号車。

分解以後の工程は約30分で切り抜けられ思いの外順調に作業を進められた。
ベンチレーターの撤去こそ想定していなかったものの車体状態の良さが味方してくれた。
5125(86F)の竣工に要した時間は実質40分程度だと思われ決して流れは悪くなかったと思う。
86Fでは初めて塗料繊維片に苛まれない車両となったが描いていた作業からは大きく掛け離れてしまった。
中野寄用妻面窓セルの成形差異は完全な盲点と言えこれほど撤去に苦められるとは予想していなかった。
戸袋窓閉塞車は3両全て形態が異なっており5925も同様の展開に迫られるかもしれない。

交通営団5000系5357[86F] 非冷房車 後期仕様 TOMIX製PG16形パンタグラフ固定,床板一体化施工 (戸袋窓閉塞車) ※TOMYTEC製

2020-01-06 23:58:03 | 5号東西線,営団線
1457。

TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)には3両の戸袋窓閉塞車が組み込まれている。
戸袋窓閉塞車は5357,5125,5925(86F)が該当するが何れも車体成形が異なる。
86Fの第二次整備は5306(2号車)から中野寄に向けて開始したため5357(4号車)が入場となった。


交通営団5000系5357 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

これまで戸袋窓付車の5306,5671(86F)を竣工させたが基本的な車体構造は同一であった。
戸袋窓閉塞車では初入場となる5357は独自の特徴を持つ貫通扉非設置車である。
妻面窓セルは一枚成形から∩字形成形に変わり貫通扉設置車よりも剛性が下がると予想された。
多少強引な撤去が行えた5306,5671とは異なり5357は折損の不安が付き纏う。
但し側面窓セルが妻面窓セルを支持する構造に変更は無く撤去方式は変更しない。
その代わり妻面窓セルへの負荷を如何に軽減させるかが課題となった。


入工中の5357

5357はベンチレーターの嵌め込みが非常に甘く西船橋寄2器を除いて屋根板と接していなかった。
当然折畳時にベンチレーターと接触するTOMIX製PG16形パンタグラフ(0238)も健在である。
またヒューズボックスまで山側用,海側用の嵩が揃っておらず状態は思わしくなかった。
屋根上機器部品で問題無かったのは避雷器だけであり個体差が露骨に現れている。
車体も塗料繊維片に加え雨樋成形の乱れ等各所で引っ掛かる箇所が見受けられた。
戸袋窓閉塞車で整備の流れが変わると期待していたがむしろ逆方向に進んでしまった。


山側,海側双方の二段窓下部を押し込んだ妻面窓セル(中野寄)。

貫通扉設置車の妻面窓セルは戸袋窓側の嵌合を完全に解いてから斜め方向へずらして撤去した。
しかし貫通路部の掻き取りを有する5357用妻面窓セルでは引き抜きに耐えられない恐れがある。
極力変形に至らせない方法が安全と言え山側,海側とも二段窓下部の押し込みを先行させる。
予定では一旦車体内側から双方の妻面窓セル腰板寄を浮かせた状態で幕板寄に向かうつもりだった。
ところが残る片側の押し込みを終えると同時に先発させた二段窓が側面窓セルと離れてくれた。
支持を失った妻面窓セルは両側面窓セルで挟まれるだけとなり無事車体裾側に引き出せている。


失敗だったTOMIX製PG16形パンタグラフの先行固定。

嵩が異なっていたヒューズボックスは5306を基準に持ち出し位置調整を行った。
また屋根板との相性が悪く安定感に欠けたため直ちに流し込み接着剤で溶着させている。
5306での施工結果を受けベンチレーターに先じてTOMIX製PG16形パンタグラフを固定した。
やはり上昇姿勢よりもパンタグラフ台枠の平行が出し易く狙いは的中したように思えた。
だが西船橋寄ベンチレーターがパンタグラフ下枠と被る位置へ配される落とし穴に嵌まった。
どうにか屋根板まで押し込もうとしたが直上から圧が加えられず傾斜を解消できなかった。


溶着方式を改めた床下機器部品(山側)。

パンタグラフ前後に設置される全高が抑えられたベンチレーターは5200形の特徴である。
この箇所はどうしても見附に拘りたくベンチレーターの完全嵌合を優先させた。
TOMIX製PG16形パンタグラフへの流し込み接着剤投入量は破損交換を考慮して最低限に絞っていた。
いきなりの撤去機会を迎えたが意図した通り軽い抵抗だけで簡単に取り外せている。
結果的に5306と同一の手順で屋根上機器部品を固定する方式へ舞い戻った。
二度の流し込み接着剤投入を被ったパンタグラフ取付脚だが変質は殆ど無く再用となった。


5357:貫通扉非設置車。
※TOMYTEC製:中野寄。


5671:86F(貫通扉設置車)。
※TOMYTEC製:中野寄。

時間を要する車体塗料繊維片の除去は最終工程へ廻し床板整備に取り掛かった。
基本工程は5306,5671と同様であり直ぐに作業を終えられると考えていた。
しかし5357に装着されていた床下機器部品は枕木方向のぐらつきが激しく心許ない嵌合具合だった。
折しも台枠車体中央嵌合爪受の成形都合により溶着位置を車体中央寄へ変更したばかりである。
事実上嵌合爪は片側支持になっており座席部品天面への流し込み接着剤投入を復活させた。
更に台枠掻き取り部と重なる嵌合爪は側面からの溶着に変更し嵌合精度不足を補っている。




5357非冷房車後期仕様(86F:TOMIX製PG16形パンタグラフ・ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5353非冷房車後期仕様(78F:明灰色Hゴム支持車)。
※マイクロエース製:4号車。

戸袋窓閉塞車である5357の繊維片除去は戸袋窓付車より捗るものと決め付けて作業に入った。
側板は5671に倣った清掃方式とし生まれるはずの余裕時分を雨樋補修へ充てる算段とした。
だが5306,5671とは本数が異なるコルゲート板から湧き出てくる繊維片に手を焼かされる。
間隔が広いコルゲート板は繊維片発生を防ぐ要素になり得ると考えていたが真逆の答が返ってきた。
また把手が再現された貫通路も行く手を阻む原因と化してしまい予想とは違う方向に進んでいる。
雨樋は波打ちの軽減を狙ったが殆ど改善が伺えず程なく打ち切りとなった。




5671+5357 (86F:戸袋窓付車+戸袋窓閉塞車)。
※TOMYTEC製:輪心黒色化済金属車輪交換施工。

もう少し状態を上げられると思えた5357(86F)だがベンチレーターと塗装被膜の改善に留まる竣工となった。
なお車体への組み付け時も妻面窓セルの∩字形成形部が撓まないよう配慮している。
車体偶柱部を側面窓セルごと外側に押し広げ山側,海側の嵌合爪を同時に通過させた。
妻面窓セルの取り扱い方法に関しては5125以下7両(86F)でも5357を踏襲する予定である。
一方床板の組み込みは依然として苦戦を強いられており明るい兆しが見えてこない。
運転台側台枠が浮き上がる5836,5036(86F)では着脱試験を繰り返すはずで今のうちに各種試行を重ねる。

交通営団5000系5671[86F] 非冷房車 後期仕様 ベンチレーター嵌合修正,床板一体化施工 (戸袋窓付車) ※TOMYTEC製

2020-01-05 23:27:18 | 5号東西線,営団線
1454。

第二次整備に着手したTOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)だが長期戦を覚悟する展開となった。
基本的に乗務員室仕切部品が採用された5836,5036(86F)以外は独自工程が存在しない。
しかし先発入場させた5306(86F→5306:86F)では繊維片除去が作業の約半分に達し竣工まで時間を要した。


交通営団5000系5671 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

86Fの車体塗装は全車とも至る所で繊維片を抱えており窓セル撤去が必須となった。
5306では構造解析を並行し何とか窓セルの取り外し方法だけは方向性が決まった。
だが銀色塗装に紛れ込む繊維片が側板塗料被膜をも道連れにする不安に駆られている。
その結果丁寧な作業が求められ車体清掃は約25分を越える長い作業となった。
難敵は車体断面の措置にあり綿棒を一度当てるだけでは除去出来なかった。
効率の良い方法が思い浮かばず当面は綿棒を使用し続けるしかなくなってしまった。


入工中の5671

運悪く入場第二陣に指名した5671(86F)は5306よりも繊維片が目立つ個体だった。
まだ油断出来ないが繊維片は塗装被膜を削ぎ取らないと判り腰板青帯も保全可能との見当が付いた。
そのため5671では綿棒と磨きクロスの捌き方を変更し作業時間短縮に結び付くか試行する。
工程順は5306を踏襲する予定だったが分解前に山側中野寄の床下機器部品が外れてしまった。
S字形に変形した床下機器部品天面は台枠取付口との噛み合わせを悪くさせる要因と化していた。
当然現状での固定には適しておらず床下機器部品の矯正を第一工程に変更している。


輪心黒色化を施したFS-502非動力台車(中野寄)。

湾曲は床下機器部品全体まで達する程で折損に注意しながら直線状へ戻した。
ところが歪んだ形状を記憶してしまったらしく時間の経過と共に少しずつ撓み始める。
完全な修正は難しいと予想されたため台枠との溶着を再矯正直後に前倒しした。
流し込み接着剤の投入後もしばらく床下機器部品天面を押え続け台枠裏面と密着させた。
経過観察が必要だが取り敢えず線路方向の平行取付に漕ぎ着けている。
他床下機器部品に変形は無く従来通り台枠表面より各嵌合爪を溶着した。
床下機器部品固定化が先行したため床板整備を続行し走行部品取付に移行している。
FS-502台車はS形ミンデン式かつ片押し式ブレーキが採用されており軸箱を囲う成形を持たない。
その構造上車輪が目立ち易くマッキーによる輪心黒色化を施している。
アーノルトカプラーマウントは第一次整備時に切除済であり軽快な雰囲気を醸し出せたと思う。


片側支持が採用されたベンチレーター。

座席部品と台枠を流し込み接着剤で一体化させいよいよ車体整備に突入した。
分解は5306と同様車体外側から両妻面窓セルを押し込む方式にて乗り切っている。
ベンチレーターは嵌め込みが甘く屋根上見附を乱す要因になっていた。
念のため全て撤去しベンチレーター取付脚,屋根板取付口を確認したが双方とも異常は見られなかった。
ただ何れも安定性に欠ける傾向を見せ嵌合代が若干不足しているように感じさせた。
傾斜が再発する確率は高いと思われ全器とも微量の流し込み接着剤で固定した。
なお取付脚は片側にしか設けられていないがその形状が反転取付を防いでくれるため誤取付には至らない。


繊維片を取り除いた側板(山側)。

ここまでの作業は約25分で纏められたが5671の主工程と言える繊維片除去には全く手を着けていなかった。
5306では慎重を期して綿棒を車体断面へ沿わせる方法を採ったが代わりに何度も往復させる必要があった。
前途の通り56715306よりも繊維片付着量が多いと判っており除去方式を一部見直した。
やや解れた綿棒に持ち替え回転させながら車体断面の繊維片を根刮ぎ絡め取る作戦に打って出ている。
この試行は繊維片がこびり付いた戸袋窓,側扉窓の清掃を一発で終わらせる結果に結び付いた。
綿棒の届き難い側面窓四隅は別途措置が必要だが試行しただけの効果を得られたと思えた。




5671非冷房車後期仕様(86F:ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5655非冷房車後期仕様(78F:戸袋窓・側扉窓黒Hゴム支持化施工車)。
※マイクロエース製:3号車。

側板は清掃箇所を幕板,側扉,腰板青帯,腰板,車体裾に区分した上で磨きクロスにて拭き取っている。
各部への施工を終えた後の状況確認は長手方向に一本化されると共にその回数も激減した。
ところが思ったほど時間短縮には繋がらず作業は約20分に及び施工箇所が多い戸袋窓付車ならではの限界を思い知らされた。
最後も床板の組み付けで手間取り殆ど5306と変わらない第二次整備完了を迎えた。
それでも竣工した5671(86F)は確実に状態の改善が感じ取れ必要十分な見附まで到達したと思える。
優先すべき項目は時間短縮ではなく丁寧な作業を第一に今後の整備を進める。

交通営団5000系5306[86F] 非冷房車 後期仕様 車体清掃,屋根上機器部品固定,床板一体化施工 (戸袋窓付車) ※TOMYTEC製

2020-01-04 23:43:10 | 5号東西線,営団線
1453。

回着したTOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)の第二次整備を開始する。
86Fは予想よりも品質が思わしくなく第一次整備項目を大幅に簡略化した。
そのため如何に効率良く第二次整備を進めるかが早期出場への鍵を握ると言えた。


交通営団5000系5306 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

第一次整備では車体にこびり付く夥しい塗料繊維片の除去が取り止めとなった。
先発入場させた5836(86F)で状態改善に挑んだものの道半ばで断念に追い込まれている。
繊維片は塗装被膜の仕上げ不足が原因であり車体各所に散在していた。
しかも光り輝く車体に埋没してしまい非常に判別し難かった。
また車体断面の清掃が行えず後から他箇所の繊維片を発見する場面も度重なった。
堂々巡りが続き第二次整備にて煩わしい繊維片を完全に取り除く方向へと転換した。


入工中の5306

その結果5836,5036(86F)の前面見附は埃塗れ状態で第一次整備が打ち切られる。
繊維片の大元は銀色塗装だと思われるが無闇に除去すると腰板青帯を犠牲にする可能性が考えられた。
よって第二次整備は5306以下8両(86F)から順次開始し完全なる繊維片の除去を目指す。
清掃に当たり窓セルは全て撤去するが側面窓セルと妻面窓セルの支持関係を抑える必要がある。
TOMYTEC製別形式では窓セルの取り外しに難儀した事例が数多く見受けられた。
交通営団5000系は初導入であり構造解析を主に5306の第二次整備へと取り掛かっている。


戸袋窓側を車体外側から押し込み撤去した妻面窓セル。

床板は嵌合精度が高く第一次整備時に引き続き爪楊枝を介して車体と分離させた。
TOMYTEC製品の窓セル撤去は車体内側偶柱部へ爪楊枝若しくはニードルを差し込む方式を採ってきた。
これは妻面窓セルが側面窓セルを支持する構造が採用されていたためである。
ところが側面窓セルには偶柱部の隙間が殆ど無くこの手法は通用しないと判明する。
改めて両窓セルの支持関係を確認したところ嵌合爪は側面窓セル端部に設けられていた。
この噛み合わせであれば側面窓セルではなく妻面窓セルが先に取り外せると考えた。


各部の措置を終えた車体。

妻面窓セルの撤去は窓サッシモールドが無い戸袋窓側を車体外側より押し込む方式とした。
嵌合爪位置は腰板付近にあるため戸袋窓側板寄下部に狙いを定めた。
戸袋窓下部が車体から離れた事を確認しそのまま上方に向かい全ての嵌合を解く。
その後妻面窓セル全体を斜めにずらしながら二段窓側の引き抜きへと持ち込んでいる。
山側,海側とも外側へ車体を撓ませる必要があるが一応の基準にはなると思う。
但し妻面窓セルに強い負荷が掛かる関係から貫通扉非設置車では再考を要するかもしれない。


走行部品を組み付けた床板一式。

厄介な繊維片は綿棒と磨きクロスを併用して除去を行っている。
心配された腰板青帯への侵食は発生せず銀色塗装にも何ら影響を及ぼさなかった。
ただ繊維片はその存在が分かり難く清掃の都度濃灰色ウレタンと対比させ進捗状況を確認した。
嵌合の甘いベンチレーターは着脱を行った後に流し込み接着剤で溶着させた。
続けてTOMIX製PG16形パンタグラフ(0238)も固定したがベンチレーターと干渉するため上昇姿勢を保つ必要があった。
同様の施工が伴う5357,5307,5308(86F)では工程順を入れ替えベンチレーター固定化を後に廻し対処する。


車体側が露出している床下機器部品取付脚。

TOMYTEC製品での床下機器部品固定化は定番工程であるが台枠との溶着面を車体中央寄に変更した。
台枠車体中央の床下機器部品取付口は嵌合爪受を兼ねる構造から掻き取りが設けられている。
そのため当該部は片側支持しか採用できず床下機器部品全体を台枠側面寄に偏位させて対応した。
座席部品両端部裏面と台枠ダミーカプラー用取付孔成形部天面を溶着する方式は従来と変わっていない。
床板一体化は剛性確保が施工名目であるが5306では整備時の着脱性向上にも期待を寄せていた。
しかし床板の嵌め難さは引き継がれてしまい目的を果たせないまま終わっている。




5306非冷房車後期仕様(86F:TOMIX製PG16形パンタグラフ・ベンチレーター固定化,走行部品組込施工)。
※TOMYTEC製。


5282非冷房車後期仕様(78F:戸袋窓・側扉窓黒Hゴム支持化施工車)。
※マイクロエース製:2号車。

5306の側面窓セル嵌合爪を一見した限りでは従来製品に比べその嵩が増したように映る。
全車共通で感じ取れた車体と床板の嵌合精度向上は嵌合爪が関係していると思われる。
現時点では抜本的な解決策が見当たらないため5306(86F)は措置を採らずに竣工させた。
乱れていたベンチレーター角度は修正され側面見附を崩す要因が取り払われた。
TOMIX製PG16形パンタグラフも屋根板との平行が保たれ悪くない滑り出しになったと思う。
ただ繊維片の除去だけで約25分を費やされており5671(86F)以降は単独入場に切り替える予定である。

交通営団5000系深川検車区86F [5836] 非冷房車 回着 (TNカプラーSP取付,パンタグラフ換装施工) ※TOMYTEC製

2020-01-03 23:54:10 | 5号東西線,営団線
噴出。

交通営団5000系列は長らくマイクロエース製品で占められてきたがしばらく製品化が遠退いている。
その隙を突くかの如く2019年3月にTOMYTEC製品が初進出を果たした。
千代田線仕様(5843F)は当然東西線仕様のリリースに繋がると考えていた。


交通営団5000系86F 非冷房車。
[86F]:5836-5306-5671-5357-5125-5925-5307-5672-5308-5036
※TOMYTEC製。

そして2019年12月にTOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)が回着した。
先にリリースされた千代田線仕様は導入しておらず86FがTOMYTEC製5000系の初登場を飾っている。
プロトタイプは戸袋窓付車7両に戸袋窓閉塞車3両が組み込まれる非冷房車では標準的な10両編成とされた。
千代田線仕様が5+5編成だっただけに東西線仕様へ設定を引き継がせても面白かったように思える。
製品は色温度変更後の腰板青帯とされた一方助士側前面窓内には快速表示器が残る。
また5836:FS-358台車装着車,5036:パンタグラフ撤去車であり後期仕様に相当すると思う。


入工中の5836(86F)。

印刷済の行先表示類は[65S [地下鉄 快速] 三鷹 地下鉄経由]表示が採用された。
だが表示類ステッカーは付属しておらず設定変更への配慮に欠けると言わざるを得ない。
快速表示器も相変わらずの前面窓セル表面印刷再現でここは改めて欲しかった箇所である。
また前面窓Hゴム支持再現は車体モールド再現と最近では珍しい手法が採られた。
窓セルモールドHゴム支持再現が主流になりつつあるTOMYTEC製品では物足りなく感じられる。
個体差だと思われるが塗装品質は思わしくなく全車とも車体の繊維片が目立つ。


何かと対策が必要だと思われる床板周り(西船橋寄)。

側面見附は戸袋窓閉塞車の5357,5125,5925が編成に彩りを添える。
全車戸袋窓,側扉窓黒Hゴム支持車のせいか引き締まった印象を受けた。
若干屋根板色が灰色に振られ過ぎた気がしないでもないがステンレス車体との相性は悪くないと思う。
但しベンチレーターの嵌まりが悪く避雷器,ヒューズボックスと共に固定化する方向で考えている。
86Fの第一次整備はTNカプラーSP化及びTOMIX製PG16形パンタグラフ(0238)への換装とした。
先発入場車にはFS-358非動力台車とTNカプラーSPの干渉が不安視される5836を選択している。


5836 [65S [地下鉄 快速] 三鷹 地下鉄経由]:TNカプラーSP交換,アーノルトカプラーマウント切除施工。
※TOMYTEC製。

基本構造は従来製品を踏襲しているものと決め付けていたが床板の取り外しから躓いた。
どうやら嵌合精度が高められた模様で車体を撓ませても脱落する気配を見せない。
嵌合爪は側面窓セルに成形されているため各箇所へ爪楊枝を差し込み撤去した。
TNカプラーSPと干渉する恐れのあるアーノルトカプラーマウントは根元から切除する。
心配していたTNカプラーSPとの干渉だがC280曲線であれば通過出来そうに見えた。
まだ確定ではないがTNカプラーSPマウント裏面を削らなくても往なせると思われる。


5036 [65S [地下鉄 快速] 三鷹 地下鉄経由]:TNカプラーSP交換,アーノルトカプラーマウント切除施工。
※TOMYTEC製。

ひとまず懸案材料が払拭されたと思った矢先に別の問題が浮上した。
今度は車体裾とTNカプラーSPが競合してしまい運転台側台枠が嵌まりきらなくなった。
従来製品とは異なり乗務員室仕切りが座席部品から独立する構造へと改められている。
前面車体裾との干渉は運転台側だけに限られ連結面側は不都合無く車体内に収まってくれた。
ダミーカプラーですら下垂して見えるため乗務員室仕切り部品と座席部品の噛み合わせに問題があると思う。
取り敢えず構造解析は第二次整備へ持ち越しとし5036の整備に移行した。


5036(86F:TNカプラーSP交換施工)。
※TOMYTEC製。

だが当たり前のように5036でも運転台側TNカプラーSPは前面車体裾に接してくれなかった。
運転台側が浮き上がってしまったため5836,5036は車体不等沈下に見舞われた。
特に5036は当初から枕木方向の車体傾斜を抱えており厄介な症状を増やす結果となった。
全てを解消させるには一旦乗務員室仕切り部品,全窓セルを取り外すしかないと思われる。
その他黒色再現が行き渡っていない前面窓Hゴム支持モールドまでもが修正対象に挙がった。
加えて5036のパンタグラフ撤去痕は碍子が別部品化されており開孔を要する。




5671+5357 (86F:戸袋窓付車+戸袋窓閉塞車)。
※TOMYTEC製:TNカプラーSP交換施工。

よって5836,5036の第二次整備は工程数増加が確実となり繊維片除去を先送りした。
5306以下8両も車体清掃は行わずTNカプラーSP化とTOMIX製PG16形パンタグラフへの換装のみに留めた。
TOMIX製PG16形パンタグラフ換装対象車は5306,5357,5307,5308の4両である。
固定式パンタグラフを置き換えるだけで済むと思われたがいまいち嵌まり具合が芳しくなかった。
確認したところ折畳時に下枠がベンチレーターと接触してしまうと判明した。
物理的に取付脚が浮き上がってしまうためTOMIX製PG16形パンタグラフも固定する予定である。




86F (第一次整備完了)。

何とか86Fの第一次整備を完了させたが課題ばかりが浮き彫りになってしまった。
とにかく車体への繊維片付着が夥しく第二次整備は全車とも窓セル撤去が避けられない。
一つずつ問題を潰していくしかなく地道な作業に追われると思う。
TOMYTEC製20m級車両の増備は久し振りであり先ずは構造解析を優先する。
入場順は5306から中野方に向かう予定でいきなりTOMYTEC製PG16形パンタグラフの固定化が待ち構える。
念のため単独入場とし5671以下6両の整備を順調に進める足掛かりとする予定である。

交通営団5000系深川検車区78F [5828] 非冷房車 後期仕様 (5828,5028 車体傾斜修正,5337 車体高嵩下)

2019-12-05 21:51:03 | 5号東西線,営団線
当座。

入場名目を果たせないと思われたマイクロエース製交通営団5000系78F非冷房車後期仕様(5828)だが土壇場で形勢が逆転した。
暫定竣工させるつもりだった5828,5028の再入場はその必要が無くなり完成形に至った。
結果的に5282以下7両(78F)の簡易点検を含めた全車が入場し再出場まで辿り着いている。




交通営団5000系78F 非冷房車 後期仕様。
[78F]:5828-5282-5655-5353-5119-5919-5337-5103-5284-5028
※快速表示器撤去,B形防護無線アンテナ追設編成。
◆5828,5028 車体傾斜修正,5337 車体高嵩下。

交通営団5000系78F(5828:7両編成)は1969年2月に落成した4次車だった。
基本構造は3次車を踏襲したが西船橋延伸に伴い開始される快速運転への対応化が図られた。
追い越し設備駅の通過進路自動設定を行うARC装置と快速表示器が新たに搭載される。
快速表示器は前面窓助士側に設けられ各駅停車:[□]幕,快速:[地下鉄 快速]幕を掲示していた。
◆78F:5828-5282-5655-5283-5656-5284-5028(1969/2)。
5000系は4次車を以て編成単位の製造が終了し1969年8月からは暫定8両,9両編成化へと進む。
暫定8両,9両編成化では71F(5821),76F(5826),86F(5836),87F(5837)の組成が崩されている。
78Fは暫定9両編成化の対象とされ5310+5674(87F)が中間に組み込まれた。
なお検査入場時には正規編成へ戻す条件であったため随時組成変更が成された模様である。
◆78F:5828-5282-5655+5310-5674+5283-5656-5284-5028(1969/8)。
その後も西船橋方の旅客量は増加を辿り一部10両編成化にて輸送力増強が図られる。
5次車は戸袋窓廃止,FS-502台車新採用,5200形の貫通扉省略,5100形・5900形登場と4次車から様変わりした。
1977年8月付で10両編成化された78Fだが5200形,5100形は5次車と6次車に分かれた都合上二度の組成変更を経ている。
◆78F:5828-5282-5655-5310-5674-5919-5283-5656-5284-5028(1977/8)。
◆78F:5828-5282-5655-5353-5119-5919-5283-5656-5284-5028(1979/9)。
1987年12月現在で7両編成10本が残っていた5000系は1990年6月までに完全10両編成化を完了した。
58F(5808)にはアルミ車の5453(91F:5951)が組み入れられる等都合12編成で複雑な車両異動が実施された。
この際5283+5656は64F(5814)へ異動となり7,8号車が5337+5103(旧64F)に振り替えられた。
◆78F:5828-5282-5655-5353-5119-5919-5337-5103-5284-5028(1988/4)。
組成変更と前後してATS-P取付のため快速表示器撤去と種別併記行先方向幕への交換が行われている。
5000系で初採用の種別併記方向幕は[地下鉄経由]表示が特徴だったが短い使用期間に留まった。
78Fは戸袋窓閉塞車5両を組んだ編成のまま1989年10月に冷房改造を受け2003年11月付で廃車されている。


61F

在籍中の交通営団5000系非冷房車は2010年7月に出場した61F非冷房車中期仕様(5811)が最古参編成である。
年次差異が大きかった5000系非冷房車の特徴を活かすべく61F(二代目),61F(三代目)は組成変更へと至った。
プロトタイプ齟齬が発生しないよう事前に編成表を確認し新61F(二代目),新61F(三代目)へ改めている。
61F:5811-5226-5616-5354-5122-5922-5228-5618-5229-5011[1]。
61F:5811-5226-5616-5354-5122-5922-5228-5618-5229-5011[2]。

61F:5811-5226-5616-5354-5122-5922-5354-5122-5229-5011[1]→78F。
61F:5811-5226-5616-5228-5618-5922-5228-5618-5229-5011[2]→元94F。
両編成間で5334+51225228+5618が入れ替えられ新61F(二代目)には5両の戸袋窓閉塞車を配した。
改番は5828,5028の前面車両番号板だけを自作ステッカーで上貼りする簡易式となる。
61Fとの差別化を図るため自作[快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]幕の採用とTOMIX製B形防護無線アンテナ搭載が決定した。


旧78F。

動力ユニット搭載車の5228が新61F(三代目)へ異動してしまったため5334(→5337)を代打に起用した。
ちなみに側面窓セル嵌合爪が2脚足りずユニットカバー側面へ両面テープを貼り付け無理矢理竣工させた。
更に5811(→5828)は動力ユニットを譲った5228(新61F:三代目)から捻出したFS-502非動力台車と振り替えた。
そして2015年5月に旧78Fの出場を迎え交通営団5000系は2編成体制への増強が実現している。
ところが新機軸だったTOMIX製B形防護無線アンテナは脱落が相次ぎ同月中にKATO製へ交換となる。
翌2015年6月にはTOMIX製PG16形パンタグラフへの換装が行われる等当初は出入りの激しい編成だった。


2017年1月に増設した嵌合爪(5337)。

何かと慌ただしかった78Fだが2017年1月に5337が動力ユニット整備を受けるまで目立った動きは無かった。
その5337も不調が現れた訳ではなくマイクロエース製動力ユニット整備の一環として入場させただけである。
動力ユニットの整備に併せユニットカバーへ貼付していた両面テープが廃止となった。
一応東京地下鉄5000系5234冷房改造車(63F:5813)を参考に4箇所へグリーンマックス製嵌合爪が増設される。
ようやく8点支持に改められた動力ユニットだったが施工は現物合わせと殆ど変わらなかった。
従って車体と動力ユニットが平行に噛み合っている保証は無く余り手を伸ばしたくない車両でもあった。


5337(動力ユニット搭載車)。
※第二次車体高嵩下試作車。


5919+5337 (非動力車+動力ユニット搭載車)。

5234の入場時に導電板両端の角度を変更する車体高嵩下試行が当たった。
折しも5828,5028にて発生した床板湾曲の修正を78Fで続行する決断を下したばかりだった。
消去法で5337が第二次車体高嵩下試作車に決定し不安要素を抱えたまま導電板整形へと踏み切った。
追設したグリーンマックス製嵌合爪は側面窓セル嵌合爪より嵩が高いため慎重に分解している。
動力ユニットを取り付ける際も片側の側板を湾曲させ増設嵌合爪が剥離しないよう注意した。
幸い車体と動力ユニットは平行が保たれており車体高嵩下後も不等沈下発生には至らなかった。


5828 [96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:車体傾斜,床板湾曲対策施工車。


5833 [65S 快速 東葉勝田台]:83F(車体傾斜,床板湾曲対策未施工車)。

78Fの入場は5828,5028で発生していた車体傾斜を解消するためだった。
山側が下がる車体傾斜は61F(二代目)抱え続けており半ば諦めの境地に達していた。
ところが63Fの入場時に5013で突如発症した車体傾斜は5813での施工法式により解消される。
表示器用プリズムケース及びライトユニットの固定化で5828,5028も車体傾斜を抑止できると思われた。
第一次施工では傾斜角度が緩んだ一方床板湾曲に見舞われてしまい車体傾斜緩和対策で留まった。
前途の通り床板湾曲解消は5828,5028で試行を重ねる方針に決まり再出場直前まで至っている。


5028 [96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:ライトユニット分解整備施工車。


5033 [65S 快速 東葉勝田台]:83F(ライトユニット分解整備未施工車)。

すっきりしない再出場は83F冷房改造車(5833)のお陰で回避され5828,5028とも車体傾斜解消に至る。
5833,5033(83F)は旧63Fが種車だが5813,5013と表示器用プリズムを振り替えただけで竣工させた。
よって基本的に製品仕様が維持されていたが車体傾斜や床板湾曲は発症していなかった。
取り敢えず駄目元で5828に5833用床板を取り付けたところ悩まされていた床板湾曲が伺えなくなった。
手を尽くしたつもりでいた5828用床板はライトユニットだけ分解が行われていないと判明した。
早速ライトユニットを分解し上方向に向く尾灯用LEDチップと湾曲した上側ライトケースが整形対象となった。


83F,78F。


61F。

83F(63F)と78F(61F)では上側ライトケース形状が微妙に異なっており両部品の整形が結果に結び付くか読めなかった。
不安を余所に5828は何も無かったかの如く車体傾斜と運転台側床板の湾曲が解消された。
ライトケースの分解は続く5028でも同じ結果を得られ編成見附改善へと繋がっている。
ただ何も手を加えていない83Fの存在が63F,78Fに於ける各種施工を否定しているようにも感じられる。
運転台側は嵌合爪を持たない構造のためしばらくは様子見が必要だと思う。
よって61Fの入場は時期尚早と言え車体傾斜を抱える5811(61F)への施工には時間を設ける。




78Fサイドビュー(5828:FS-502非動力台車装着車)。


61Fサイドビュー(5811:FS-358非動力台車装着車)。

側面窓セル窓サッシ印刷及び戸袋窓・側扉窓黒Hゴム支持再現に劣化は見られなかった。
黒Hゴム支持化は戸袋窓付車のみの施工だが61Fとの印象を大きく変える要素である。
車体よりも若干引き込むHゴム支持モールドがインクの剥離を防いでくれたと思われる。
マッキーの被膜は明灰Hゴム支持再現を完全に塗り潰せており現状のまま推移してくれるかもしれない。
また5828へ取り付けたFS-502非動力台車も締結には問題無かったと判り一安心できた。
TOMYTEC製86F非冷房車(5836)がリリースされる前に修正を終える目標はどうにか達成出来たと思う。

交通営団5000系5828,5028[78F] 運転台側床板湾曲修正施工 (ライトユニット分解整備:尾灯用LEDチップ角度変更)

2019-12-04 21:37:57 | 5号東西線,営団線
再挑戦。

所定の整備が完了したマイクロエース製交通営団5000系78F非冷房車後期仕様(5828)は再出場に向けた準備を進めていた。
交通営団5000系61F非冷房車(5811)のリリースは2010年7月であり約9年5箇月が経過した高経年品と言える。
2015年5月に初出場した78Fだが種車は61F(二代目)のため実質経年は61F非冷房車中期仕様(5811)と変わらなかった。


交通営団5000系5828 非冷房車 後期仕様(78F)。
※FS-502非動力台車装着車。

本来なら側面窓セル窓サッシ印刷の劣化が始まっていても不思議ではない時期に差し掛かっている。
取り敢えず入場させた5828,5028,5337(78F)の窓サッシ印刷は亀裂すら見受けられない良好な状態であった。
ただ5282以下7両(78F)が同じ状況で踏み留まっているか正確に掴めておらず順次点検を行った。
中でも5282(←5226:61F),5655(←5616:61F),5284(←5229:61F)は完全分解を経て竣工させたため気掛かりな車両だった。
幸い7両の側面窓セル窓サッシ印刷補修は必要とせず拭き上げたのみで措置を終えられた。
穏やかになった車体傾斜に代わり床板湾曲が発症してしまった5828,5028は修正続行となり暫定竣工扱いのつもりでいた。


入工中の5833,5828 (83F,78F)。

78Fの整備を終えた直後に交通営団5000系83F冷房改造車(5833)が目に止まった。
東京地下鉄5000系旧63F冷房改造車(旧5813)を改番,転籍させた83Fは比較的製品原形に近い編成である。
まだ5833,5033(83F)はライトユニット及び表示器用プリズムケースの固定化が施されていない。
それにも関わらず車体傾斜や床板湾曲が一切発生しない嵌合を保ち続けていた。
5828,5028や東京地下鉄5000系5813,5013冷房改造車(63F:5813)への施工を否定する状態に一瞬狼狽えた。
だが車体傾斜緩和で留まった5828,5028の参考になると思い立ち急遽入場させている。


違和感無く5828に収まった5833用床板。

5033(83F←旧5013)は戸袋窓閉塞車であり5828と条件が近い5833(83F←旧5813)を比較対象に持ち出した。
先ず5828へ5833用床板を組み込み前面車体裾とTNカプラーSPの位置関係を確認した。
すると各方面から手を加えても解消されなかった床板湾曲はその影すら伺わせなかった。
次に途中で湾曲修正が中断された5828用床板を5833へ組み付ける。
この結果は意外な方向へ進み5828で穏やかになったはずの激しい車体傾斜が再発した。
やはり5828用床板に問題があるのは確実おらずと言えこれまで施した細工を振り返っている。


分解した5828用ライトユニット。

5828用,5028用床板とも全部品を取り外し各々矯正した上で組み立てられていた。
だがライトユニットだけは分解されておらず台枠への固定強化が唯一の変更点であった。
表示器用プリズムケースとライトユニットの嵌合部は車体中央ではなく助士側に偏位している。
しかも両者はただ噛み合うのみで明確な嵌合停止位置を持たない構造だった。
既に表示器用プリズムケースは車体天井へ固定済でありライトユニットが疑わしい部品へと急浮上した。
この時点では61Fと63Fに僅かな形状差異が存在するとは思わず無心で5828用ライトユニットを分解した。


基板と平行に変更した尾灯用LEDチップ角度。

ライトユニットは2pcs式で海側,山側の嵌合爪を解くと全てがばらばらになる。
特に異常は感じられなかった上側ライトケースだが分解と同時に車体中央部が盛り上がった。
上側ライトケースの車体中央部には尾灯用LEDチップを収める窪みが設けられている。
尾灯用LEDチップが上側ライトケースに接触していると考えリードフレームごと押し付けた。
斜め上を向いていた尾灯用LEDチップは基板天面とほぼ平行に至り上側ライトケースとの空間が稼ぎ出せた。
変形した上側ライトケースは指力で水平に戻し表示器用プリズムケースへ掛かる圧の分散を狙った。


微妙に変更されていた上側ライトケース (5828用床板,5833用床板)。

ライトケースは分解時に解いた嵌合爪だけで組み合わされており運転台側の結合が心許なく思えた。
5013では前照灯用プリズムが脱落する憂き目に遭っていたためプリズム類の固定化を選択している。
前照灯用プリズムは取付脚にゴム系接着剤を塗布し下側ライトケースと固定出来た。
一方の尾灯用プリズムだがライトケースに挟まる簡素な構造だと判り接着は見送りとなった。
そして5828用ライトユニットを組み立て従前の方式にて台枠へ取り付けている。
仕上がった5828用床板と5833用床板を見比べると上側ライトケースの整形が異なると気付いた。




5828 [96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:ライトユニット再組立施工。


5828 点灯試験[96S快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:前照灯用プリズム固定化施工。

LOTが遡る5833用上側ライトケースは凸形成形部の断面が切り立っている。
他方5828用上側ライトケースの凸形成形部は若干丸みを帯びており同一部品ではなかったと判明した。
仮に床板湾曲の原因が上側ライトケースにあるとなれば今施工は全く意味を成さない。
尾灯用LEDチップの角度変更と整形した上側ライトケースに僅かな期待を寄せて組み立てた。
どうやらライトケースの成形は表示器用プリズムとの嵌合に関わっていない模様で5828から床板湾曲が消え去ってくれた。
ライトユニットの分解も悪影響は無く無事一発合格で点灯試験を切り抜けている。




5028 [96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:ライトユニット再組立施工。


5028 点灯試験[96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:前照灯用プリズム固定化施工。

5828の結果を受け5028も同一方式での床板湾曲解消を目指し入場させた。
基本的な作業は5828を踏襲したが5028に限り床板と車体の嵌合猶予が若干広かった。
嵌合猶予の発生は個体差か車体傾斜緩和入場時に施した台枠矯正が拙かったのか切り分けられなかった。
ひとまず西船橋寄台枠端部へt0.3mmのプラ板スペーサーを貼り付け床板前後動防止策としている。
結局どの施工が最も効果を発揮したか判らないまま5028も床板湾曲が廃された。
これで5828,5028を再度入場させる必要が無くなり78Fは正式な再出場まで辿り着けた。
ライトケース成形差は予想外だったがライトユニット分解に持ち込ませた83Fの存在は大きかったと思う。