○エリス・ボレアス・グレイラット 「無職転生」理不尽な孫の手(MFブックス)
前世では無職のひきこもりで親の葬式にも顔を出さないダメ人間だった男が、剣と魔法の世界に転生し、今度こそ頑張ろうとする再起と再生の物語。
そんな異世界転生もののヒロインその2にして、主人公の3人目の妻となるのがアスラ王国の名門貴族の令嬢エリスです。その名前から森鴎外の代表作「舞姫」を連想しないでもありませんが、そんな儚げで弱いイメージを吹き飛ばしてしまうのがエリス・ボレアス・グレイラットなのです。
この緩やかなウェーブを描く鮮やかな真紅の髪が特徴的な少女は、祖父に甘やかされて乱暴者のワガママ娘に育ち、主人公ルーデウスが家庭教師となるまでは社交界デビューはとうてい無理で、将来は冒険者として野に放たれるのではないかと思われていました。
しかし、ルーデウスと知り合い、教えを受け、助けられていくうちに、彼に好意を寄せるようになり、釣り合うような女性になろうと無理な努力を始めます。けれども、思わぬ大事故から社交界どころか熟練の冒険者すら1日生き残ることも困難な世界へと放り出され、ルーデウスらと共にサバイバル生活に突入。思わぬ言葉の行き違い、勘違いから袂を分かって別行動となり、ひとり剣の世界に飛び込んでしまいます。やがて剣の聖地で頭角を現して「剣王」と呼ばれるほどの達人となり、長い歳月の果てにルーデウスと再会した後は剣士として彼を支えるようになります。
こういう主人公にべた惚れで、ハーレムの一員でも文句を言わず、しかも強くて美人というと、「男にとって都合のいい女」みたいになりがちですが、「マイフェアレディ」というか「じゃじゃ馬ならし」みたいなもので、ルーデウスがいかにエリスのために戦い続けたか、エリスがどうしてルーデウスを信頼し慕うようになったのかがしっかり書けているので、彼女の変化に説得力が生まれます。しかも、そんな「都合のいい女」でくくれるような女性ではありません。そこは乱暴なワガママ令嬢が矯正されきる前に生存競争が過酷な魔界の奥に放り込まれ、生き残ったくらいです。幼き頃の「赤猿姫」という呼び名も相当に酷いものですが、さらに「デッドエンドの狂犬」「狂剣王」とまで恐れられるようになったヒロインです。
性格は苛烈にして熾烈。頭は昔から悪いままで、過酷な剣の修行に明け暮れるうちに殺すか殺されるかの単純思考が極まっていきます。その描写も「縄張りに侵入されたガラガラヘビのように」「爛々とした目」「恐竜のような目だ」とさんざんな言われようです。
そんなエリスが、ことルーデウスの話になると「さすがルーデウスね」「ルーデウスは私のだからあげないわよ」とワクワクした目で見るあたり、ヤンデレな脳筋ヒロインの代表格ではないでしょうか?
前世では無職のひきこもりで親の葬式にも顔を出さないダメ人間だった男が、剣と魔法の世界に転生し、今度こそ頑張ろうとする再起と再生の物語。
そんな異世界転生もののヒロインその2にして、主人公の3人目の妻となるのがアスラ王国の名門貴族の令嬢エリスです。その名前から森鴎外の代表作「舞姫」を連想しないでもありませんが、そんな儚げで弱いイメージを吹き飛ばしてしまうのがエリス・ボレアス・グレイラットなのです。
この緩やかなウェーブを描く鮮やかな真紅の髪が特徴的な少女は、祖父に甘やかされて乱暴者のワガママ娘に育ち、主人公ルーデウスが家庭教師となるまでは社交界デビューはとうてい無理で、将来は冒険者として野に放たれるのではないかと思われていました。
しかし、ルーデウスと知り合い、教えを受け、助けられていくうちに、彼に好意を寄せるようになり、釣り合うような女性になろうと無理な努力を始めます。けれども、思わぬ大事故から社交界どころか熟練の冒険者すら1日生き残ることも困難な世界へと放り出され、ルーデウスらと共にサバイバル生活に突入。思わぬ言葉の行き違い、勘違いから袂を分かって別行動となり、ひとり剣の世界に飛び込んでしまいます。やがて剣の聖地で頭角を現して「剣王」と呼ばれるほどの達人となり、長い歳月の果てにルーデウスと再会した後は剣士として彼を支えるようになります。
こういう主人公にべた惚れで、ハーレムの一員でも文句を言わず、しかも強くて美人というと、「男にとって都合のいい女」みたいになりがちですが、「マイフェアレディ」というか「じゃじゃ馬ならし」みたいなもので、ルーデウスがいかにエリスのために戦い続けたか、エリスがどうしてルーデウスを信頼し慕うようになったのかがしっかり書けているので、彼女の変化に説得力が生まれます。しかも、そんな「都合のいい女」でくくれるような女性ではありません。そこは乱暴なワガママ令嬢が矯正されきる前に生存競争が過酷な魔界の奥に放り込まれ、生き残ったくらいです。幼き頃の「赤猿姫」という呼び名も相当に酷いものですが、さらに「デッドエンドの狂犬」「狂剣王」とまで恐れられるようになったヒロインです。
性格は苛烈にして熾烈。頭は昔から悪いままで、過酷な剣の修行に明け暮れるうちに殺すか殺されるかの単純思考が極まっていきます。その描写も「縄張りに侵入されたガラガラヘビのように」「爛々とした目」「恐竜のような目だ」とさんざんな言われようです。
そんなエリスが、ことルーデウスの話になると「さすがルーデウスね」「ルーデウスは私のだからあげないわよ」とワクワクした目で見るあたり、ヤンデレな脳筋ヒロインの代表格ではないでしょうか?