付け焼き刃の覚え書き

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らのべヒロイン列伝「太宰ゆき(トレジャー・ハンター八頭大)」

2018-03-18 | 雑談・覚え書き
○太宰ゆき 「トレジャー・ハンター八頭大」菊地秀行(ソノラマノベルス)


 空想の産物だと一般には思われている、神話や伝説の類いはたいてい真実なのだ。高度な文明、信じがたい奇跡、恐ろしい怪物……それらはすべて宇宙から地球に飛来したエイリアンの仕業であり、今も地球の各地に、地の底や次元の狭間に眠っている。
 それを見つけ出し、数多の危険をかいくぐって財宝を手に入れるのがトレジャー・ハンターだ。
 八頭大はまだ高校生ながら、世界トップレベルのトレジャー・ハンターで、彼自身が手に入れた財宝だけで時価数千兆円、それに伴うオーバーテクノロジーの価値は計り知れず、各国の政財界トップもあごで使える立場にある。だが、彼が挑むお宝はそんな権力や技術とか世俗の人間の力の及ばぬところにあるのだ……という、菊地秀行のエイリアン・シリーズ/トレジャー・ハンター八頭大は『吸血鬼ハンターD』と並んで作者の出世作にして日本のトレジャー・ハンターものの先駆け。

 宝探しの情報交換組織としてのITHAなんてのも冒険者ギルドの元祖みたいなものですが、顔も頭も運動神経も良くて、大金持ちで、協会ランキングが最高のGGGで、各国の政府首脳や官僚も言いなりで、軍でもNASAでも最新鋭装備がいくらでも提供されてくる……というあたり、スーパー・チート系主人公の元祖かもしれません。
 そんな彼が唯一思い通りにならない女が太宰ゆき。世界でも三本の指に入るトレジャー・ハンターだった太宰先蔵の孫娘で、17歳の女子高生で美少女。プロポーションもいいし、武道の嗜みもかなりありそう。ただし、吝嗇家、銭ゲバ、金銭妄想欲情症。

「あたし、お金のことを考えると我慢できなくなるのよ……」

 金銀財宝とか単語を聞いただけで欲情しておかしくなります。そしてケチですが、他人の金なら使い放題。金のためなら恩とか情とか気にしないで主人公も裏切り放題。『ルパン3世』の峰不二子をさらにたち悪くした感じのお色気女子高生です。好きになれるかどうかはともかく、インパクト極大なヒロイン。金だけ億単位でむしり取られて、そのくせ身体も許さない彼女を身近に置いておく八頭大は、大物なのかバカなのか?
 なろう系の主人公大好きヒロインとは対局に位置してます。これがツンデレなら、そのツンとデレの間には銀河系2つくらいは入っていそう。
 ならばと、ゆき以外のヒロインを探そうとすると、『エイリアン魔界航路』から登場する絶世の美女リマがいて、彼女はかなりなろう系に近い忠誠心篤い系ヒロインですが、彼女、人食いなんだよなー。
 ちなみにイラスト左から天野喜孝版ゆき、川原由美子版ゆき&リマ、米村孝一郎版ゆき&リマ、柴田昌弘版大&ゆき、中村龍徳版大&ゆき。服さえ変えたらイイトコのボンボンに見える大と色毛虫なゆきという視点では、作品のイメージにいちばん近いのは中村版かな。
コメント
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