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付け焼き刃の覚え書き

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「迷路の花嫁」 横溝正史

2025-04-26 | ミステリー・推理小説
 深夜の東京に響く悲鳴。小説家の松原浩三と浮浪者の男が路地奥の不気味な家で警察官らと共に目撃したものは、無数の切り傷から鮮血をしたたらす全裸女性の死体と幾匹もの猫がその血をすすってうろつき回る光景であった。
 殺されていたのは宇賀神薬子という名の霊媒師で、同居している弟子と書生は外出中。その家から飛び出すところを目撃されていたのは、薬子の娘の恭子だったらしい……。

 金田一耕助ものではあるけれど金田一の出番はほとんどなく、作家の松原を中心に話が進むサスペンスミステリー。トリックとか謎解きよりも、女を籠絡して食いものにするエセ心霊術師の建部多門という怪人と松原との対決がメインとなります。つまりエセ霊媒師もの。
 一応、金田一耕助が謎解きもするけれど、思わず「そういえば80年代に『金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ』という本が出てたなあ……」と思い出すくらい、かなり雑な推理。今回の場合は、たぶんその雑さにも意味はあるんだろうなあと思えるのが救い。つまりは復讐譚。
 角川書店が映画と書籍のメディアミックスを打ち出し、その手始めとして76年の『犬神家の一族』以来横溝正史のミステリはすべて表紙が黒基調の杉本イラストになり、一時期は書店の面陳スペースがこんな不気味なイラストで占拠されていたのも高度成長期の思い出です。

【迷路の花嫁】【横溝正史】【杉本一文】【角川文庫】【没後40年記念復刊】【傑作長編ミステリ】【猫】
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