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たいせつなもの。すきなこと。

吉祥寺美術館「出久根育展」と「わたしたちの帽子」と奥野ビル

2024-03-03 | 展覧会・アート のこと

かわいいなあ〜

買ってきた図録を眺めて
またまたかわいいなあ〜とひとりごと。
先日吉祥寺美術館で「出久根育展」を観てきた。
出久根育さんの絵には『カワイイ』と『ちょっとブキミ』が混在してる。

出久根育氏を知ったのは
児童書「わたしたちの帽子」の挿絵から。
そしてこの本を知ったのはほんの一年ほど前にひょんなきっかけで知りあった妙齢の女性との会話の中でのこと。
なんの話からこの本に行き着いたのかは覚えていないのだけれど、多分わたしが古いビルの話をしたのだと思われる。
すると、子どもの頃に何度も読み返した好きな本に古いビルが出てくるのです、と彼女。
聞けば聞くほどそのお話の舞台はわたしのすきなレトロビル「奥野ビル」ではないかと。。。
彼女はその本を
わたしは奥野ビルを
ふたりの間の空中に思い浮かべながら話を擦り合わせていくと
まるでパズルが嵌まるみたいな感覚に。

どうしても読んでみたくなりその晩ネットで古本を入手。

果してその結果たるや…
ドンピシャ!奥野ビルが物語の舞台になっていてそこから不思議なファンタジーが繰り広げられるのであった。
これは児童書のくくりにしておくのはもったいない!

ストーリーがとても魅惑的でミステリアス。面白くて一気読み。
その挿絵、装丁がまたとてもすてきでちょっとブキミ。
すっかり引き込まれてしまった。
それが出久根育氏の絵だったのだ。

本を読み終えてすぐにもちろんその彼女に「やっぱり奥野ビルでしたよー!」とご報告。

奥野ビルへは行ったことがなかった彼女。その後奥野ビル探検へ行ってきたと連絡あり。
本の中で何度も入っていた建物に現実に入ることになるというのはこれまたフシギな感覚だったに違いない。

オモシロイなあ
つながるフシギ。

吉祥寺美術館にて「出久根育展」ゆっくりじっくり鑑賞してきた。
かわいい絵本の絵もすてき。
初期の頃のシュールな絵も好み。
そして「わたしたちの帽子」の原画も展示されていた。
そしてもちろん彼女にも開催を知らせ、その後無事観に行けたそうだ。

なんだかふしぎだなぁ。
わたしは彼女のお陰でつい最近読んだわけだけれど「わたしたちの帽子」は2005年発行のもの。

本の中に流れる空気はまだ静謐感のあった奥野ビルを想い出させてくれる。
わたしが初めて奥野ビルを訪れたのはその数年後くらいか。
現在の奥野ビルはギャラリーも増えて人気が出過ぎたのか少しざわざわと賑やかすぎる感がある。
あのし〜んとした空気、積もった時間の視えるような静謐感に浸ることはなかなかできなくなってしまった。

それでもやはりあのビルには特別な時空が浮かんでいる。
あの魅惑的な階段をゆっくり昇りたくなってしまい、銀座へ用事で行くたびついつい引き寄せられてしまうのだった。

「わたしたちの帽子」もう一度じっくり読もう。










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