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2015年7月17日に思い出したこと マレーシア航空機墜落から1年 その1の1

2015年07月17日 | 帝国・帝国主義・軍産官報複合

  ▲ジェームズ・バムフォード 『すべては傍受されている 米国国家安全保障局の正体』2003年角川書店刊 価格3333円+税、658頁2段組

 

2015年7月17日の日に思い出したこと

マレーシア航空機墜落から1年

 

このところ、ジェームズ・バムフォードの『すべては傍受されている 米国国家安全保障局の正体』2003年角川書店刊を読んでいた。この本の中にキューバに対するアメリカの陰謀計画のことに触れている部分がある。

朝日新聞は、米国とキューバ間国交の再開などを機に、ゲバラに関する記事を連日連載している。私も2017年にはゲバラ没後50年の年になるので、日本で出版されたゲバラ関連の本やキューバ危機のに関するもの、カストロ、ゲバラに関する著書や論考を読み返していたのだ。

ところで、キューバ危機に関わることで思い出すのは、アメリカの統合参謀本部長が考えていた恐るべき偽旗作戦計画のことである。このことに関してブログ記事を書こうと思っていたのだが、このところの7月の連日の猛暑で睡眠不足もあって体調ダウン。重たい本はアイマスク代わりになり読書速度が失速。7月17日となってしまったのである。


今日は2015年7月17日。

2014年7月17日、ウクライナ東部上空で、マレーシア航空機が墜落。

2015年7月17日は、ウクライナ東部の内戦地帯に墜落したマレーシア航空機墜落事件から丸1年目にあたる。多少はマレーシア航空機事件に関する新たな資料探索してからと思っていたのだが、7月17日になってしまった、あと数日ではマレーシア航空機墜落事件の情報収集の準備が間に合いそうもないので 『すべては傍受されている 米国国家安全保障局の正体』の本の帯にある刺激的・過激な表現

「世界戦争は、ここから始まる。国民をだまし、戦争をでっちあげ、戦わせて死なせるのは、ペンタゴンの最高レベルでは標準的な、是認された政策であった。」

ということについて触れてみたい。

上の文章はこの本の103頁にある。いわゆる「ノース・ウッズ作戦」と呼ばれた、キューバに対する未遂に終わった謀略計画の解説の終わりに総括したところに出てくる文章である。

2014年2月、ウクライナで起きたクーデターや、マレーシア航空機墜落事件や昨今の日本の安倍政権の米国への完全臣従政策をみるにつけ、アメリカを知ることの重要さをいやというほど味わった年でもあった。

すでに「ノース・ウッズ作戦」については、 日本では桜井春彦の『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』2005年、三一書房や、孫崎享『戦後史の正体』2012年、創元社などに書かれているので、参照願いたい。日本版ウィキペディアにも記事がある。

『すべては傍受されている 米国国家安全保障局の正体』 第四章の94頁以下に、「ノース・ウッズ作戦」に対する詳しい紹介部分があるので、これの主要部分を紹介する。

「統合参謀本部は米政府の手になる最も下劣な計画といえるものを立案し承認した。反共主義を名目に、米国民をだましてキューバに対して統合参謀本部がもくろんだ邪悪な戦争を支持させるために、自国に対し流血の秘密テロ作戦を仕掛けることを提案した。」

「この計画は暗号名を、ノース・ウッズ作戦といい、統合参謀本部議長と三軍首脳の承認文書があるが、街頭で無辜の米市民を射殺し、キューバから逃げる難民を乗せた船を撃沈し、首都ワシントン、マイアミなど各地で凶暴なテロの波を起こすというものだった。」

「身に覚えのない爆弾事件で犯人が仕立て上げられ、飛行機ハイジャックも行われるはずだった。ニセの証拠を使いこれらを全部カストロのせいにして、レムニッツァーら陰謀グループに戦争開始に必要な口実と内外の支援を与える筋書きであった。」 (94頁~95頁)

このアイディアは著者によれば、アイゼンハワー老将軍が、1961年のケネディの就任式を前にして、勝ち戦で大統領の任期を終わらせたかったことに源をたどれるらしい。

著者はアイゼンハワー老将軍はケネディ就任式前数週間キューバ侵攻を猛烈に欲していたと記している。

「1961年1月3日にアイゼンハワーはレムニッツァーら補佐官たちに対し、キューバ側からの絶好の口実が与えられさえしたら、ケネディの就任式前に対キューバ行動を起こしたいと、と閣議室で告げた。だが残り時間が少なくなってくると、彼の頭に一つのアイディアが浮かんだ。カストロが口実を提供しないのなら、多分アメリカが、「世間が納得するような、何かのでっち上げを考えることができるかも知れない」と彼は言った」 (95頁)

「爆弾事件、攻撃、破壊工作というようなものをアメリカに対してアメリカが秘密におこなうということだった。目的は開戦の正当化。最後に賭けた大統領の危険な示唆であった。」(95頁)

実際は時間切れなのか、アイゼンハワー大統領時代には、キューバに対する事件は起きなかったのだが、最後まで固執しているようなことを見ると、大統領選で、ケネディではなく、ニクソンが当選していれば、当然ニクソンは実施していた計画であったと思われる。

1962年2月20日、アメリカ人として初めて地球周回軌道にのった宇宙飛行士ジョン・グレンを巻き込む考えもこの当時真剣に検討されていたというから、驚愕する。

レムニッツァーら統合参謀本部首脳は、ロケットが爆発して、グレンが死亡すれば、

「キューバなど共産主義主義勢力のせいだという反証不能の証拠を提供することが目標となる」と彼らはランズデールに提案した。「キューバ側が電波妨害していたことを証明するいろいろな証拠を作れば」この目標は達成される。とレムニッツァーは言った。こうして、NASAが第1号の宇宙飛行士打ち上げに備えているとき、統合参謀本部は、グレン飛行士が死ねば、これを戦争の口実に使う構えであった。」 96頁)

「グレンは無事打ち上げられ、歴史上の人物となった。レムニッツァーら三軍首脳部は「今後二、三ヶ月以内に」実施されるべしとした新しい謀略案を作成することになった。」 (96頁)

ということで、あからさまな陰謀計画が過ぎるので、計画案の詳細は、隠蔽のため事後処理で、文書は大量廃棄されたのだが、キューバに対する史上稀な偽旗陰謀計画こそ「ノース・ウッズ作戦」だったのである。

 

1898年ハバナ港で米戦艦メイン号が爆発沈没して、266名の水兵が死亡し、これがキューバをめぐる米西戦争のきっかけになったのだが、これと同じような計画案もレムニッツァーら将軍は持ち出していた。

「グアンタナモ湾で米国船を爆破し、キューバの仕業にできよう」と提案した。」 (97頁)

「新聞に死亡者名簿が出れば、全国的憤激の波が起こり、ことがやりやすくなる」 (97頁)

 特に複雑なだましの手口の考案事例は次のようなものだと著者は記す。

「エルジン空軍基地で、マイアミ地域のCIA系組織に所属する民間航空機にそっくり似せて一台の航空機を塗装し、登録番号をつける。指定の時刻に、この偽装機は、実在の民航機に代わって、選抜された乗客を搭乗させる。搭乗客は、全員入念に準備された偽名を名のる。実在の登録機は無人標的機に改装させる。この無人標的機と実際の航空機の離陸時刻は、フロリダ南部で、両機が遭遇するように設定する。」 (98頁上段)

「遭遇地点から乗客を乗せた航空機はぎりぎりに降下、エルジン空軍基地の補助飛行場に直行。そこでは乗客を全員降ろし、機体を元の状態に戻す手はずになっている。無人標的機の方はそのまま当局に提出された飛行計画通りに飛ぶ。キューバ上空に来たとき同機は国際緊急周波数で、「メーデー(SOS)を発信し、キューバのミグ機の攻撃を受けていると伝える。救難通信は同機の破壊によって中断される。破壊は無線で指令される。これでICAO(国際民間航空機関)の西半球各地の無線局は、同機の消息をアメリカに伝えることができ、米国は事件を「売り込む」必要はない。」 (98頁下段)

このほか、「共産キューバのミグ機複数が一機の米空軍機を公海上で、正当な理由なく攻撃したように見せかける」計画もあった。としている。

「マクナマラ国防長官宛の工作提言書簡の末尾で、レムニッツァーは三軍首脳部にノース・ウッズ作戦と侵攻実施の責務を任せるよう求め、さらに大きな権力をつかもうとした。「公然および非公然軍事作戦の双方の責務は統合参謀本部に委ねるのが」適当と思われる、と彼は書いた。」 (98頁下段~99頁上段)

これはどうみても、レムニッツァー以下統合参謀本部・三軍がマクナマラ国防長官、ケネディ大統領から、軍事指揮権を奪うクーデターのようなもので、いかに、老参謀本部幹部や陸海空長官らが、若い大統領を馬鹿にしていたことがわかるのである。

かくして、

「1962年3月12日火曜日午後2時半、レムニッツァーは非公然作戦担当のウィリアム・H・ヘイグ准将とノース・ウッズ作戦の細部の最終的つめをおこない、文書に署名した。ついで彼はマクナマラの部屋で、「特別会談」にはいり、1時間後、ケネディの軍代表であるマックスウェル・テイラ将軍に会った。3日後にケネディはレムニッツァーに対し、アメリカがキューバにおいて公然と武力を行使する可能性は事実上なきに等しいと告げた。」 99頁上段)

 ケネディ大統領、マクナマラ国防長官が就任した1962年当時の政治・軍事環境はノース・ウッズ作戦が公然と統合参謀本部と三軍の了解を得た作戦として、政府に持ちかけられた公式の偽旗作戦だったのだ。これは「自由と民主主義の精神」からは全く逸脱した、帝国の侵略作戦そのものであった。

アメリカの自由と真の民主主義を訴えて当選した、若いケネディ大統領が、ノース・ウッズ作戦を拒否したことは言うまでもないが、その後、統合参謀本部レムニッツァーの解任、ピッグス湾作戦の不始末等によるCIA長官解任などは、1963年11月22日のケネディ大統領暗殺に密接に関わる事項であるだろう。

ケネディなきアメリカは、ジョンソン大統領の下で1964年のトンキン湾事件が引き起こされ、その後もよく似た類似の大事件が引き起こされていく。

今日引用したノース・ウッズ作戦は、2001年9.11事件の細部にこだわり子細に考察していくと、よく似た偽旗作戦の構造に行き着くかもしれない。

2015年7月17日は、ウクライナ東部で起きたマレーシア航空機墜落事件から1年である。

今年は、マレーシア航空機墜落事件の調査報告書が発表されるはずであるが、米国9.11事件報告書を再検討するように、『マレーシア航空機墜落事故の調査報告書』を細心の注意をもって読まなくてはならないだろう。

『すべては傍受されている 米国国家安全保障局の正体』の4章の終わりには本の帯に記されているように、米国は偽旗作戦を国是とするような偽民主主義政策国家であると断言している。

「今こうしてノース・ウッズ作戦関連文書に照らしてみれば、国民をだまし、米国人のための戦争をでっち上げて戦わせ死なせるのは、ペンタゴンの最高レベルでは標準的で是認された政策であったことは明白である。実際、トンキン湾事件はノース・ウッズ作戦の脚本そのままに、演出されたようにさえ見える。「グアンタナモ湾で米国船を爆破し、キューバの仕業にできよう・・・・新聞に死亡者名簿が出れば、全国的な憤激の波が起ころう」ここの「グアンタナモ湾」を「トンキン湾」に、「キューバ」を「ベトナム」に置き換えるだけだ。トンキン湾事件は演出されたものであったかもしれないし、そうでなかったものかもしれないが当時のペンタゴン高級幹部がそのような欺瞞行為の能力があったことは明白だ。」 (103頁下段)

統合参謀本部・米国三軍の幹部が揃って署名したノース・ウッズ偽旗作戦は、米国が陰謀を国是としていることを明確に内外に漏洩させてしまった大失態事件なのだが、現在も世界で同種の偽旗作戦が進行中であることには何の変化もない。

本年は『マレーシア航空機墜落事故調査報告書』に注意をし、監視しようではないか。

ウクライナ東部の内戦上空を飛行する危険を回避させる責任があるのは、ウクライナ共和国の航空管制の管理責任であろう。欧米各国ほか、各国航空機は当時ウクライナ東部内戦上空を回避して飛行しているのに、なぜマレーシア航空便だけ、激戦地上空を飛行指示させていたのか、報告書が発表されたら、じっくり考えてみよう。また、事件当時の事故機に対応していた管制官は、スペイン人だったらしいが、この人物の聴取記録も、最初に公開すべきであるが、未だに明らかになっていない。

安倍首相、米国は偽旗作戦が標準的な国是であり、外交・政策の一部であるのをご存知?

国境ぎりぎり、公海ぎりぎりの境あたり、誰も監視者のいない地域で、米国が攻撃されたといってきたら、誰が客観的に、総合的に判断するの?最前線の米国が攻撃されたという情報が実は偽旗作戦で、先に先制攻撃したのが米国だったらどうする?それでも、米国の危機は我が国存立の危機として、同盟軍として馳せ参じる?

トンキン湾事件、イラク大量破壊兵器隠匿疑惑どちらも、偽情報をでっちあげ、先制攻撃をして、他国の文化・国土・国民を大量破壊したのはどちらだったかな?

 

つづく

 

 



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