日曜日の夕刻、何か寂しくなってくる。
Week End が終わろうとしているからだ。
土曜か日曜のこの時間帯、前はよく近くの川崎酒店へ呑みに行った。
店を切り盛りしていたのが、70代と90代の二人のおばあちゃんだったので、
今は立ち飲みをしていないのはしかたがない。孫・息子夫婦は継ぎたく無いのだろう。
いっぱい思い出がある。
夏の暑い日、小学校1、2年生ぐらいの時の息子を自転車の後ろに乗せて、
何かの用事に行った帰り、ビールが飲みたくなったので、
川崎酒店に立ち寄った。Drop by した。
店に入るなり、息子が、「お父さん、ここお酒いっぱいやなあ。」と
目をしろくろさせていた。そらここは酒屋やから。
子供にはアイスクリームを与え、私はキリンの大瓶をたのんだ。
私はカウンターに左手を置いて、右手でビールを。
息子は背丈より高いカウンターの下の壁に左手をあてて、
右手でアイスを食べていた。
また、その店で、”博士”と呼ばれる当時93歳のおじいちゃんと、
よく一緒に飲んだ。
このおじいちゃん、その年で立って飲んでいる。
そして、何よりも凄いのは、その博識だ。
いつも、新聞の切り抜きをポケットに入れていて勉強しているし、
無料の大学での講義などを常にチェックしていて、
学んだことなどを、よく聞かせてくれた。
こんな人、神様はなかなか冥土へは送ってくれない。
ほかの客が、何か間違ったことを話していれば、
急に大声で、「何を間違った事ゆうとるかー!」と
一喝していた。
私はおじちゃんの話を聞いて、「知りません」と言っても、
怒られた事はなかったので、好かれていたのかもしれない。
いろいろ、教わった。
”酒なくて、何の己が桜かな”という句もそうやし、
灘の酒(その店で一緒に飲んだ酒は灘の金鹿という酒)
を飲みながら、「灘の酒はハネがあるね。」と。
その意味を聞くと、
六甲の水は、石灰層を通ってくる水で、日本酒に適した軟水だと。
その水で作った酒はハネがあって、おいしいと。
かっこいい。私も将来、そんな話を若者に言いいながら飲みたい。
私はその時、ただウマイとしか思っていなかったけど。
たいがいは私にとってウマイ。
冬でも裸足で、草履というスタイルの博士。
今日は大好きな日本酒を飲みながら、
川崎酒店と博士を想いだした。
いつかジャッキーも、
90は無理かもしれないが、
世界のどこかで、
そんなウンチクを言いながら、
立ってアルコールを楽しみたい。