沖縄・台湾友の会

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人間「安倍晋三」の決定的評伝      櫻井よしこ

2023-07-31 09:14:00 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
                 頂門の一針 6579号 

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 人間「安倍晋三」の決定的評伝
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           櫻井よしこ

志半ばで斃(たお)れた元宰相は、「日本を取り戻す」という信念の下、国内外の様々な局面で“闘う政治”を実践してきた。その原動力はいったい何だったのか。公私ともに親交の深かったジャーナリスト・櫻井よしこ氏による人間「安倍晋三」の決定的評伝をお届けする。

安倍晋三総理は祖父、岸信介氏のことを「うちのじいさん」と呼んでいた。日米安全保障条約改定がなされた1960年、安保改定反対のデモ隊が繰り出す中、岸信介は命懸けで改定を成し遂げた。

当時、幼かった安倍氏が岸氏をウマに見立ててまたがり、「アンポハンターイ」と声を上げたところ、「アンポサンセーイと言いなさい」と「じいさん」にたしなめられた逸話は広く知られているところだ。

安倍氏は岸氏を慕い、尊敬していたが、岸氏の著作『我が青春』(廣済堂)には祖父と孫をつなぐ決して切れない幾本もの糸が通っている。右の書は戦犯容疑を受けて巣鴨に拘留されていた岸氏が45年暮れから約3年半にわたって書きつづったものだ。獄中生活の無聊を医(いや)すべく、幼い時をすごした郷里山口のこと、親類縁者、恩師や友人知人についてのほのぼのとした記述には、当時の日本人の生き方、親族一同の助け合い、自己犠牲、他者を支える精神などが表れている。安倍総理がいつも語っていた日本の美徳を生きている人々だ。

書の随所から、強面に見られがちな岸氏が実はまめで、子供好きだったことが伝わってくる。小学校4年生だった岸は山口県の西田布施の小学校から岡山県下の内山下小学校に転校した。名門岡山中学に入学するためだ。そこで岸の世話をしたのが岡山医専、後の岡山医大の教授を務めた叔父の佐藤松介だった。松介叔父のところに寛子(後の佐藤栄作の妻)と正子、2人の女児が続いて生まれ、岸は喜んだ。

「子供好きの私は時々寛子をおんぶしたりして遊んだ」と岸は書いている。小学生で、余り体の頑丈でない岸少年が、幼な児をおんぶして遊ぶ姿が目に浮かんでくる。

松介叔父は「男の子に子供など背負わすなよ」と岸の叔母に小言を言うのだが、岸は一向に気にしていない。

安倍氏の言う「強面のうちのじいさん」がそのイメージとは反対に子供好きだったように、安倍氏も3.11の被災者や各地の施設を訪ね、行く先々で子供たちと実に嬉しそうに触れ合っている。その姿は祖父の小さき者への優しさと重なるだけでなく、安倍氏にもし子供がいたら、きっといい父親になっていただろうと思わせるものだった。

岸を世話した松介叔父、そして岸、安倍をつなぐ通奏低音は、日本を担う未来世代への期待であろう。

松介叔父は岸だけでなくその姉2人、その他親類縁者の若者たち、有為の人材を見つけては教育の面倒を見た。35歳の若さで急死した時、蓄えは一銭もなく、叔父の全収入は自分たちの教育費につぎこまれた、と岸は書いている。

叔父の無私の愛と支援を受けた岸は、叔父同様、未来の為の国造りを目指した。現在の日本の世界に誇る社会保障制度は岸の原案から生まれたといってよい。

安倍氏の政治の原点も、日本の未来を担う若者たちへの思いだった。戦後70年談話で安倍氏は言った。「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と。

2021年12月3日の「言論テレビ」ではこう語っている。

「私たちの若い頃よりもいまの若い皆さんは、人生観においても立身出世みたいなことはあまり考えずに、自分が世の中のために役立つ人生を送りたいと思っている人が多いんです。ですから日本の未来は明るいなと思いました。そういう皆さんにとって、能力を活かすことができる、チャンスのある、そして常に開かれている社会を作っていきたいなと思います」

家庭においても岸信介と安倍晋三は似ていると思う。岸は“巣鴨の人”となった後ずっと、「世間から、なんだかんだと悪口たらたらいわれているおやじ」だったが、「仕事のことは絶対に家庭で話さず、どんなに不愉快なことがあっても、家に帰ればいつも機嫌のいい顔を見せてくれ」た、と長男・信和氏は書いた。

安倍総理も家庭において、妻にも母にも徹底して優しかった。思い出すのは18年2月7日、金美齢さんの旭日小綬章受章のお祝いの会でのことだ。

メインテーブルの上座に金さん、その左手に安倍総理、昭恵夫人、私の席順だった。私の左手には気っ風の良い材木商御夫妻、麗澤大学の廣池理事長御夫妻、さらに菅義偉官房長官(当時)御夫妻が着席した。テーブルのさんざめきはやがて北朝鮮の話題となり、総理が言った。

「きっと、金正恩は夜も眠れないくらい緊張してると思うんだよね」

そのとおりだろう。当時、日本は北朝鮮外交を対話と圧力から、圧力を軸とする路線にシフトしていた。横田早紀江さんたちともよく話し合い、政府と家族が結束して、北朝鮮が協議に応じなければ、基本的に圧力を強めていくと決めていた。国連では日本主導で北朝鮮への制裁も決議。追い詰められている金正恩氏は悩んで当然だ。だが、突然、昭恵夫人が言った。

「夜も眠れないなんて、どうして分かるの? 寝室に入って見た人がいるわけじゃないでしょ」

私たちは一瞬、沈黙した。昭恵さんの疑問は、なるほど、分からないでもない。が、総理は「夜も眠れないくらい」と比喩として言ったのではないか。そう思いながら、私は、総理はどう答えるのかと見守った。

総理は穏やかな表情で昭恵さんを見ている。体をおもむろに昭恵さんの方に向け、左手を昭恵さんの椅子の背に置き、少し前かがみになって包みこむような姿勢で語り始めた。

「あのね、金正恩はいま世界中から制裁を受けているんだよね。圧力を受けてとても困っているの。経済が逼迫し国民を十分に食べさせられない。中国との関係もうまくいっていない……」

言い聞かせるような口調に昭恵さんが頷く。こんなことは安倍家では珍しくないのかもしれないと感じさせる日常性がそこにあった。

この会話の少し前、森友学園の話題を昭恵さん御自身が持ち出した。不正確な報道というより、濡れ衣としか言えない非難を浴びていた昭恵さんの瞳から涙が溢れた。私は聞き入りながら、安倍総理を見た。安倍総理は昭恵さんの涙を見詰めていた。「どうしてあげたらいいんだろう」と、心からのいたわりの視線である。苦労をかける。けれど自分の力で守り切るという安倍総理の心の声が聞こえてくるようなまなざしだった。総理にとって昭恵さんはこの世で一番大切な同志であり、守るべき対象だったのだと、深く思う。

あれは亡くなる前年の12月、総理の地元で一緒に食事をしたときだっただろうか。安倍総理が突然言ったのだ。

「私が櫻井さんに会ったのは慰安婦問題の時ですから」

少なからぬ回数お会いしていながら、はじめてお会いしたのはいつなのか。私の記憶ははっきりしない。「慰安婦」や「南京大虐殺」に関する韓国や中国の捏造、その他の歴史問題について私は当時、中川昭一氏とは度々会って議論していた。中川氏を交えた複数の人々との意見交換も少なからず行っていた。けれど、いつ、安倍総理と会ったのかというと定かではない。

後になって『歴史教科書への疑問 若手国会議員による歴史教科書問題の総括』(展転社)を手にして、安倍総理の言いたいことはこれだったんだと納得した。この本をまとめたのは、97年2月27日に設立された「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」である。本の中に安倍総理の発言が収録されている。

「民主主義が正しく機能するためには、『言論の自由』が保障されなければならないことは、自由主義国家において常識と言えます」と、総理は切り出し、続けて同年1月29日、私の身におきた事件について触れた。

神奈川県の三浦商工会議所が、私の講演会を開催する予定だったところ、私の「従軍慰安婦」問題に関する発言を問題視した神奈川人権センターが、講師変更を申し入れた。商工会議所がその圧力に屈して前日に講演をキャンセルした事件である。この動きはその後保守系の法人会にまで広がり、全国で私の講演とりやめが相次いだ。私の発言を批判するのは自由だが、発言自体を封殺しようとするのは言論の自由の侵害だとして、私は抗議した。安倍氏が語っている。

「櫻井さんの発言というのは、昨年10月、横浜市教育委員会主催の講演会で『自分が取材した範囲では従軍慰安婦の強制連行を裏付ける事実はなかった』と述べた発言です。(中略)私はこの事件を産経と読売新聞の記事で知りました。以前より、いわゆる『従軍慰安婦問題』が、今年から中学校のすべての教科書に登場する事に問題意識を持っていたのですが、それを強引に推し進めてきた勢力が、ついに言論弾圧を堂々と始めた事に、政治家として危機感を抱きました」

危機感を抱くや、安倍氏は即、行動を起こした。私の事件からひと月後、中川昭一氏を代表とし、前述の「若手議員の会」を設立したのだ。自身が事務局長となって仲間を集めた。衆議院84名、参議院23名、計107名だ。毎週一回、夜9時から勉強会を開いた。政治家は度々夜の会合に呼ばれるが、その会合後の時間帯に設定した。講師に西岡力氏、高橋史朗氏らだけでなく、慰安婦強制連行説を唱えていた中央大学の吉見義明教授(当時)や河野談話を出した河野洋平氏らも招いて話を聞いている。

日本の濡れ衣を晴らした

その結果、済州島で慰安婦狩りをしたと証言した吉田清治氏、それを紹介した朝日新聞の記事、女子挺身隊を慰安婦にしたという朝日の大々的報道のいずれも、「まったくのでっちあげであることが解りました」と、97年という早い時期に明言している。朝日新聞が慰安婦報道の間違いを認めて一連の記事を取り消したのはそれから17年後の2014年である。

一連のことを振りかえりながら、先の安倍氏の言葉は、「私たちは共に戦う同志ですよ」という意味ではないかと思い始めた。そんな解釈はおこがましいかもしれないが、横田滋さん、有本嘉代子さん、飯塚繁雄さん、そして西岡さんや阿比留瑠比さんらが共に戦ってきた同志であるように、私もそうなのだと、安倍総理が言って下さったような気がしたのだ。

安倍総理は戦略的に戦う人だ。まず、目標を設定する。仲間をふやす。共に学んで力をつける。その上で目標達成の具体的行動に出る。その決断と行動は鮮やかと言うより他ない。朝日のウソを暴き日本の濡れ衣を晴らした第一人者は安倍総理だったのだ。

安倍総理の戦いは熾烈だったが、そこには強い意志の力が生み出す楽観主義があった。悲観せず、絶対に諦めない。明治産業革命遺産のユネスコ世界遺産への登録がその一例だ。戦前・戦中に日本に移住した朝鮮半島の労働者が強制労働をさせられたと韓国は言う。三井鉱山や日本製鉄などの日本企業は当時、世界に恥じることのない雇用契約を結んでおり、日本人も朝鮮人も同じ待遇だった。強制労働とは無縁だった。

にもかかわらず外務省は韓国側の圧力に屈して「強制労働」を意味する「forced to work」という言葉を受け入れてしまった。

この問題に17年間も取り組み、ユネスコ登録を担当していた加藤康子氏は失望して安倍総理に電話をかけた。すると総理は言ったそうだ。「これから情報発信していこう」と。

一敗地に塗(まみ)れてもそれで終わりではない。情報発信して取り戻す。政治家は言論人とは違って結果を出さなければならないが、その結果は完璧ではないかもしれない。ならば挽回する。大事なことは前進を続けることだと安倍氏は言っているのだ。

言論人の私は総理に無茶な要求をしがちだった。現職総理として靖国神社参拝をなさった13年12月、総理に心からお礼を言ったが、同時に春夏秋冬参拝するのがよいと言った。総理は「任期中、一度の参拝で心は通じる」との考えを示した。

総理を辞してから、幾度も参拝する安倍氏を見て、国際社会の、とりわけ米国の壁の厚さ、即ち烈しい反対に思いを致さなかった自分を省みている。そして想う。各々異なる手法ではあっても、日本国の未来のために戦い続けること。それが、戦い続けた安倍総理への、同志としての誓いである、と。        


こんな人事で、中国経済は大丈夫ですか?   人民元大下落の予兆、ドル建ての不動産企業海外債券は1000億ドル

2023-07-31 09:13:16 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)7月31日(月曜日)
        通巻第7843号 
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 こんな人事で、中国経済は大丈夫ですか?
  人民元大下落の予兆、ドル建ての不動産企業海外債券は1000億ドル
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 7月25日に全人代常務委員会は中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁退任にともない、後任に同行の副総裁で党委員会書記の潘功勝を決めた。
 国際金融界は驚きを隠せず、潘、WHO? を連発した。

 潘功勝は安徽省出身。人民大學で経済学博士の「ドメス専科」(国内専門派)。米欧で勤務経験があるとはいえ、目立った業績はなく前任者の周小川、郭樹清ら国際派人脈と比べると金利通貨政策への不安感は払拭できない。

 潘は国有大手の中国工商銀行や中国農業銀行勤務を経て、2012年から人民銀副総裁。15年から国家外貨管理局のトップを務めてきた。

ところが潘功勝の中国共産党内での序列は低く、中央委員候補ですらないため、今後の影響力が不安視される。FRB議長、日銀総裁、EU中央銀行総裁と肩を並べるのだから、国際的な知名度も必要だろう。

なぜ、習近平はこのような人事を決断したかは謎である。二期目から国務院専管の経済政策も習自ら率いる小委員会に権限を移管し、ずぶの素人が経済にくちばしを突っ込んできた。その結果は無残で、中国経済は率直に言って墜落一歩手前の断崖絶壁にいる。
人民元大下落の予兆、ドル建ての不動産企業起債残は1000億ドル!

とくにバブル崩壊で倒産ドミノに喘ぐ不動産企業のデフォルト回避、資金繰り問題や住宅不況、外国為替市場での元安圧力など難題が山積みである。

経済界は戦略考え直す時期         高橋洋一

2023-07-30 20:48:46 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
                 頂門の一針 6578号 

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 経済界は戦略考え直す時期
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           高橋洋一

【日本の解き方】原発処理水の海洋放出めぐる中国「水産物禁輸」の対抗策 経済界は戦略考え直す時期、日本で消費キャンペーンを 

原発処理水の海洋放出方針をめぐり、中国税関当局が日本から輸入した水産物に対する放射線の検査を全面的に始め、日本からの鮮魚などの輸出が実質的に停止している。日本として対抗措置はあるのか。

松野博一官房長官は「政府としては引き続きIAEA(国際原子力機関)の包括報告書の結論を踏まえ、高い透明性を持って国際社会に丁寧に説明していく考えだ。日本産食品の安全性は科学的に証明されており、輸入規制を早期に撤廃するよう今後もあらゆる機会を通じて中国側に強く働きかけていく」と述べている。

そもそも中国との取引にはこうした政治リスクが伴うので、日本の経済界は対中戦略を考え直す時期だ。中国でのビジネスをあてにしてきた企業には実に酷な話だが、専制国家、一党独裁国との経済取引とはこういうこともあり得るのだとの教訓である。来る台湾有事に備えるべく、今のうちに準備をしていると思ったほうがいいのかもしれない。

いずれにせよ、中国は端から聞く耳を持たないので、いくら日本が丁寧な説明をしても無駄だろう。今の政府の対応では、せいぜい国際社会に「誠実な日本」と「不誠実な中国」という対比を見せつけるくらいしかできない。

さらに、近年、中国の大型漁船が日本近海の公海上で大量にサンマを漁獲している点を国際社会に広く知らしめて、「中国船のサンマは安全だが、日本船の水産物は危険」というご都合主義を突くのもいいだろう。

中国は人民の健康や海洋環境とか理由をつけて、税関における放射線の検査を厳しくしているが、そもそも日本はまだ処理水の海洋放出を実施していない。この検査に文句を言っても、中国にとってのれんに腕押しだろうから、せめて日本政府は検査結果の公表を中国側に求めるべきだ。さらに、検査結果の公表は継続的に求めるべきだ。また、可能な限り日本政府が事前に中国向け輸出品の検査を行ってから輸出するのがいい。

それでも、水産業者への打撃はあるので、その緩和策も必要だ。日本の中国向け水産物輸出については、昨年の輸出額は871億円。品目別では、ホタテ貝467億円、ナマコ79億円、カツオ・マグロ類40億円などとなっている。

もっとも、中国向け輸出ができないということであれば、他国か国内の市場に回さざるを得ない。ホタテの輸出では、米国や台湾などの中国以外の新たな販路もありえるが、それができなければ国内だろう。

例えば、訪日観光客向けに日本の水産物を食べてもらうのはどうだろうか。コロナ対策で行われた「Go To Eatキャンペーン」のちょっとした応用施策であるが、食事クーポンに助成金を加えれば割引価格で日本の水産物を食べてもらえる。対象となる訪日観光客が中国人であれば、なんとも皮肉な話にもなる。また、訪日観光客に対象を限定しなくてもいいだろう(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


米国の世論、台湾有事でも米軍派遣には反対が多い    『経済制裁』の強化で対応出来るとの不介入主義が目立つ

2023-07-30 20:46:50 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)7月30日(日曜日)
        通巻第7842号 
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 米国の世論、台湾有事でも米軍派遣には反対が多い
   『経済制裁』の強化で対応出来るとの不介入主義が目立つ
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世論調査の「ラスムッセン・リポート」が発表した7月28日付け報告に拠れば、アメリカ人は、「台湾が中国に侵略された際、米軍の派遣に42%が賛成、46%が反対」という微妙な空気がわかった。

バイデン政権の中国への経済制裁を支持するとしたのは79%だった。
このうち、60%が制裁を「強く支持する」と回答し、人民解放軍が台湾に侵攻しても米国の対中制裁に反対すると答えたのは12%だった。

 さらに細分化すると、共和党支持者の40%が台湾における米地上軍投入を支持し、民主党員の51%が支持している。つまり戦争加担は民主党のほうが積極的なのである。
 空軍の派遣では63%が支持し、反対は24%だった。海軍の派遣支持は64%と殆ど同じである。

有権者の過半は空と海からの軍事介入を支持しているが、地上軍の投入は必ずしも含まれていない。つまり米兵ではなく軍用機や軍艦の派遣に限定されている。

米国の民主党も共和党も中国に対して厳しい姿勢をとっているが、人民解放軍が台湾に侵攻した場合、アメリカ国民は明らかに戦争に介入して米国人に死傷者を与えるよりも経済制裁で対抗する傾向がある。ウクライナへの世論調査の雰囲気に似ている。

『経済制裁』の強化で対応出来るとする不介入主義が目立ち、アメリカ人は武力紛争への関与に反対するようになったことがわかる。

TSMC(台湾積体電路製造) は2025年に 2 ナノメートル半導体生産 新竹工業団地(台湾のシリコンバレー)に新しい研究開発センターを開設

2023-07-30 20:45:35 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)7月29日(土曜日)弐
        通巻第7841号 
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TSMC(台湾積体電路製造) は2025年に 2 ナノメートル半導体生産
新竹工業団地(台湾のシリコンバレー)に新しい研究開発センターを開設
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 国家安全保障の視座からいえば、リスクの高い賭けである。
中国は台湾侵略を公然と呼号しているが、半導体技術で世界一のTSMCをそっくりいただくとも発言しており、世界最先端企業が、そのトップの研究機関を米国ではなく台湾に置くという方針を明示したことは、米国にとって、またTSMCの新工場と研究センターを受け入れている日本にとっても、複雑な心境となる。

 7月27日、TSMC(台湾積体電路製造) は2025年に 2 ナノメートルの次世代半導体開発を飛躍させるべく新竹工業団地(台湾のシリコンバレー)に新しい研究開発センターを開設した。
 2025年を目標とする2ナノはアップルやエヌビディ社が顧客となる。日本の「ラピダス」は千歳に工場を新築中だが、世界最先端の2ナノ半導体を2027年に生産開始を予定している。 

 台湾のRDセンター開設式典にはTSMC創設者の張忠謀と陳建仁(台湾首相)が出席した。
「世界的なテクノロジーのリーダーシップを守る」とCEOの魏哲家は演説し、また新しい研究開発センターは7,000人以上のエンジニアを収容すると述べた。
安全保障上のリスクだと米国の防衛関係者が懸念するのは、こうした世界一の技術を中国がまるごと強奪するシナリオであり、したがって米国の一部には「そのときはTSMC工場、研究センターを中国侵略軍にわたさないために爆破・破壊する必要がある」というシナリオも公然と語られるようになっている。

 TSMCはEV自動車用の28ナノ半導体を日本の熊本県菊陽町とドイツに新設するが、米国アリゾナ州には3ナノ工場を建設中だ。しかも米国工場の起工式にはバイデン大統領が出席したほど期待されているのだ。

 TSMC会長の劉徳音は「新研究開発センターの立ち上げにより、TSMCは2ナノ技術、1.4ナノ技術で世界をリードする半導体技術の開発にさらに積極的に取り組んでいく」と今後の方針を明らかにした。
つまり2ナノは米国では生産しないと言っているのである。

 TSMCは研究開発に54億7000万米ドルを振り向け(2021年は44億7000万米ドル)。
この研究開発支出はマサチューセッツ工科大学の20億米ドルを大幅に上回り、収入総額の8%にあたる。

 なおTSMCは「3DIC研究開発センター」(江本裕・センター長)をつくば産総研内に22年6月に開設している。
この開設式典には萩生田光一(経済通産大臣=当時)が列席した。萩生田は自民党政調会長として7月24日にはTSMC熊本工場も視察している。

日本のつくばでは半導体製造は行わず、最先端の半導体の微細化と「3次元実装」に向けた研究開発である。すなわち3次元実装とは異なる性能を持つチップを縦に積み重ね1つのパッケージに実装する技術である。
世界半導体戦争の最先端現場である。