AC通信 No.891 (2022/04/29)
AC 論説No.891 米国の世界制覇の野心
とうとう米国はウクライナ戦争の本来の目的を公然と発表した。ウクライナ戦争とはロシアを弱体化さ
せ、回復するまで何年もかかるようにするためだ。ウクライナを訪問したオースチン国防部長の発言は
前の記事(AC通信 891)に書いたKeane大将の発言と同じである。前の記事でロシアがウクライナを
攻撃したのは悪いけれどロシアが戦争を始めるように企んだ国がもっと悪いと書いたら「戦争善悪論」
を信じる人が反対した。「しかし」と言えば批判される。戦争は善と悪の戦いだ、問答無用だ。
アメリカが20世紀当初から今回まで何度も気に入らない国が戦争を始めるように圧力を加えた事実は、
雑誌Will6月号の馬渕睦夫氏の「どこかで見た光景だ」と、渡辺惣樹氏と福井義高氏の「約束を守らない
大国の冷酷」を読めばよくわかる。
米国はいつも気に入らない国に対し経済や政治、国際関係で強引な制裁を加え、圧力を加えられた国が
ついに戦闘を始めるとすぐに戦争を始めたのが悪いと喧伝して諸国が戦争に参加するように強要してき
た。戦闘を始めた奴は悪い、「しかし」戦争を嗾しかけた奴はもっと悪い。
ウクライナ戦争が膠着状態になってロシアの戦力が落ちてきたことがわかるとバイデンは国務長官と国
防部長をキエフに派遣して戦争を継続させる武器の提供を約束した。米国はロシアと戦わない。ウクラ
イナが代理戦争(Proxy War)をしている。戦争が長引くとウクライナは廃墟になり人民が難民となる。
米国の2022年第1四半期のGDPはマイナス1.4%で、続く第2、第3四半期もマイナスとなる可能性が出
てきた。景気後退が続けば秋の中間選挙で民主党は大敗する。アメリカではすでに中間選挙の前のプラ
イマリー投票で選挙戦が始まった。中間選挙で負けて民主党が国会で少数派となったら過去2年間にバ
イデンが推進した政策が一挙にひっくり返る。バイデンの責任だ。
それでもバイデンは平気で国会に330億ドルのウクライナ武器提供のための特別予算を請求した。米国は
すでに139億ドルのウクライナ支援を行ったが、更に330億ドルを追加する提案を出した。米国の覇権拡
張と世界制覇に賛成する国会議員は右翼にも左翼にも多い。
米国には金がない。国家赤字はすでに法律で限定された30兆ドルを突破するところである。国会は国家
赤字を30兆ドルに法律で限定しているから赤字予算の追加は難しい。それにも拘らず(それだから)バ
イデンはロシアを打倒するウクライナ援助を理由にして国家赤字の増加を要求るすつもりである。
バイデンやネオコンは国民の税金を使ってウクライナ戦争を援助するのである。国会ではバイデンの330
億ドル追加を討論する提案に賛成する議員が多い。しかし昨日の国会では330億ドル特別予算を討論する
前にウクライナに「Lend and Lease」(貸与と賃貸)方式で武器を提供する法案を通した。
つまりウクライナへの武器提供(賃貸)は無償ではない。戦争がいつ終わるのかはわからないが、戦争
が終わったらウクライナはボロボロの廃墟になって国家の再建に20年以上もかかると言われているが、
ウクライナはその上に米国が提供した武器の支払いに半世紀以上も苦しむことになる。
330億ドルはウクライナに金を提供したのではない。ウクライナに米国の軍が保有している古い武器を提
供し、軍は330億ドルの資金で軍需産業から最新武器を購入する。戦争で儲かるのは軍需産業である。米
国は国民が収めた税金で戦争に加担する。
もっと酷いことにバイデンはロシアから外国に脱出したオリガルヒの財産を没収する考えを発表した。
前の記事にも書いたが外国に住むオリガルヒやロシアの運動選手、歌手などは戦争に関係がない。ロシ
アに経済制裁を加えるのは戦争行為と理解することができる。だが戦争と無関係な無辜のロシア人の財
産を没収するのは違法で不道徳である。バイデンはオリガルヒが戦争に関係したとか勝手な理由をでっ
ち上げて財産を没収するつもりだが強盗と同じだ。
ウクライナのNATO加盟は既に不可能になったとわかっている。つまりロシアは目的を達したのである。
ゼレンスキーはEU加盟を申請したが、EU諸国にとってボロボロになったウクライナを受け入れても利益
はない。ゼレンスキーがアメリカの推進するNATO東進に賛成し推進したおかげで自分の国を滅亡寸前ま
で追い詰めたのである。代理戦争をしてロシアを弱体化させたウクライナも廃墟と化した。アメリカも
諸国もインフレで世界的経済衰退が起きている。
なぜウクライナはNATO加盟を推進したのか。米国がNATO東進を推進したからである。
NATOの本来の目的は「ソヴィエト連邦の覇権拡張を防ぎ、東ドイツを抑え、アメリカが主力としてソ連
を抑える」だった。今では米国がNATOの主体となって覇権拡張を進めている。
スターリンのソ連が近隣諸国をソヴィエト連邦に加盟させ、衛星国を増やすことで諸国が警戒心を持っ
てスターリンが悪人とされた。
ソ連が解体したロシアは衛星国を全て失い、領土拡張も覇権拡張もしなくなった。それでもアメリカは
ロシアを敵と見做し、ロシアを弱体化させることに躍起となっていた。
アメリカがNATOの主体となり加盟国を増やしてきた。ソ連の衛星国だったポーランド、バルト3ヶ国、
ルーマニアなどもNATOに加わり、ロシアを仮想敵と見做し、NATO基地の照準をロシアに向けた上に、
ウクライナの加盟を推進するようになった。
NATOはアメリカの覇権拡張の道具である。
アメリカのNATO拡張はその昔、スターリンが推進した衛星国拡張と同じである。
スターリンのソヴィエト連邦が悪いならアメリカのNATO拡張も悪い。
AC 論説No.891 米国の世界制覇の野心
とうとう米国はウクライナ戦争の本来の目的を公然と発表した。ウクライナ戦争とはロシアを弱体化さ
せ、回復するまで何年もかかるようにするためだ。ウクライナを訪問したオースチン国防部長の発言は
前の記事(AC通信 891)に書いたKeane大将の発言と同じである。前の記事でロシアがウクライナを
攻撃したのは悪いけれどロシアが戦争を始めるように企んだ国がもっと悪いと書いたら「戦争善悪論」
を信じる人が反対した。「しかし」と言えば批判される。戦争は善と悪の戦いだ、問答無用だ。
アメリカが20世紀当初から今回まで何度も気に入らない国が戦争を始めるように圧力を加えた事実は、
雑誌Will6月号の馬渕睦夫氏の「どこかで見た光景だ」と、渡辺惣樹氏と福井義高氏の「約束を守らない
大国の冷酷」を読めばよくわかる。
米国はいつも気に入らない国に対し経済や政治、国際関係で強引な制裁を加え、圧力を加えられた国が
ついに戦闘を始めるとすぐに戦争を始めたのが悪いと喧伝して諸国が戦争に参加するように強要してき
た。戦闘を始めた奴は悪い、「しかし」戦争を嗾しかけた奴はもっと悪い。
ウクライナ戦争が膠着状態になってロシアの戦力が落ちてきたことがわかるとバイデンは国務長官と国
防部長をキエフに派遣して戦争を継続させる武器の提供を約束した。米国はロシアと戦わない。ウクラ
イナが代理戦争(Proxy War)をしている。戦争が長引くとウクライナは廃墟になり人民が難民となる。
米国の2022年第1四半期のGDPはマイナス1.4%で、続く第2、第3四半期もマイナスとなる可能性が出
てきた。景気後退が続けば秋の中間選挙で民主党は大敗する。アメリカではすでに中間選挙の前のプラ
イマリー投票で選挙戦が始まった。中間選挙で負けて民主党が国会で少数派となったら過去2年間にバ
イデンが推進した政策が一挙にひっくり返る。バイデンの責任だ。
それでもバイデンは平気で国会に330億ドルのウクライナ武器提供のための特別予算を請求した。米国は
すでに139億ドルのウクライナ支援を行ったが、更に330億ドルを追加する提案を出した。米国の覇権拡
張と世界制覇に賛成する国会議員は右翼にも左翼にも多い。
米国には金がない。国家赤字はすでに法律で限定された30兆ドルを突破するところである。国会は国家
赤字を30兆ドルに法律で限定しているから赤字予算の追加は難しい。それにも拘らず(それだから)バ
イデンはロシアを打倒するウクライナ援助を理由にして国家赤字の増加を要求るすつもりである。
バイデンやネオコンは国民の税金を使ってウクライナ戦争を援助するのである。国会ではバイデンの330
億ドル追加を討論する提案に賛成する議員が多い。しかし昨日の国会では330億ドル特別予算を討論する
前にウクライナに「Lend and Lease」(貸与と賃貸)方式で武器を提供する法案を通した。
つまりウクライナへの武器提供(賃貸)は無償ではない。戦争がいつ終わるのかはわからないが、戦争
が終わったらウクライナはボロボロの廃墟になって国家の再建に20年以上もかかると言われているが、
ウクライナはその上に米国が提供した武器の支払いに半世紀以上も苦しむことになる。
330億ドルはウクライナに金を提供したのではない。ウクライナに米国の軍が保有している古い武器を提
供し、軍は330億ドルの資金で軍需産業から最新武器を購入する。戦争で儲かるのは軍需産業である。米
国は国民が収めた税金で戦争に加担する。
もっと酷いことにバイデンはロシアから外国に脱出したオリガルヒの財産を没収する考えを発表した。
前の記事にも書いたが外国に住むオリガルヒやロシアの運動選手、歌手などは戦争に関係がない。ロシ
アに経済制裁を加えるのは戦争行為と理解することができる。だが戦争と無関係な無辜のロシア人の財
産を没収するのは違法で不道徳である。バイデンはオリガルヒが戦争に関係したとか勝手な理由をでっ
ち上げて財産を没収するつもりだが強盗と同じだ。
ウクライナのNATO加盟は既に不可能になったとわかっている。つまりロシアは目的を達したのである。
ゼレンスキーはEU加盟を申請したが、EU諸国にとってボロボロになったウクライナを受け入れても利益
はない。ゼレンスキーがアメリカの推進するNATO東進に賛成し推進したおかげで自分の国を滅亡寸前ま
で追い詰めたのである。代理戦争をしてロシアを弱体化させたウクライナも廃墟と化した。アメリカも
諸国もインフレで世界的経済衰退が起きている。
なぜウクライナはNATO加盟を推進したのか。米国がNATO東進を推進したからである。
NATOの本来の目的は「ソヴィエト連邦の覇権拡張を防ぎ、東ドイツを抑え、アメリカが主力としてソ連
を抑える」だった。今では米国がNATOの主体となって覇権拡張を進めている。
スターリンのソ連が近隣諸国をソヴィエト連邦に加盟させ、衛星国を増やすことで諸国が警戒心を持っ
てスターリンが悪人とされた。
ソ連が解体したロシアは衛星国を全て失い、領土拡張も覇権拡張もしなくなった。それでもアメリカは
ロシアを敵と見做し、ロシアを弱体化させることに躍起となっていた。
アメリカがNATOの主体となり加盟国を増やしてきた。ソ連の衛星国だったポーランド、バルト3ヶ国、
ルーマニアなどもNATOに加わり、ロシアを仮想敵と見做し、NATO基地の照準をロシアに向けた上に、
ウクライナの加盟を推進するようになった。
NATOはアメリカの覇権拡張の道具である。
アメリカのNATO拡張はその昔、スターリンが推進した衛星国拡張と同じである。
スターリンのソヴィエト連邦が悪いならアメリカのNATO拡張も悪い。