沖縄・台湾友の会

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台湾は米国から離れようとしているのか、TSMCは独自の企業戦略を走る   トランプ前大統領が台湾半導体業界に噛みついた

2023-07-19 20:52:18 | 日記
 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)7月20日(木曜日)
        通巻第7829号 <前日発行>
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 台湾は米国から離れようとしているのか、TSMCは独自の企業戦略を走る
  トランプ前大統領が台湾半導体業界に噛みついた
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「台湾ほど重要な国はない」とする論文が掲載されたのは『フォーリン・アフェアーズ』最新号である。はて、どこからで聴いた台詞?

嘗てマイク・マンスフィールド駐日大使(元上院議員)は「日本ほど重要な国はない」と発言し、書籍まで出した(サイマル出版会)。
「フーバー研究所」フェローのラリー・ダイアモンドとジム・エリス、「アジア協会米中関係センター」のアーサー・ロス所長とオービル・シェルの共同執筆の記事の中で、台湾を危険にさらすことなく半導体サプライチェーンを強化する方向性を『ファーリン・アフェアーズ』論文が述べている(23年7・8月号)。
https://www.foreignaffairs.com/united-states/semiconductor-supply-taiwan-treacherous-silicon-triangle

「米国は中国との経済的、技術的、戦略的競争で勝つ可能性を高めるために、信頼できる国際パートナーを必要としている。この取り組みにおいて台湾ほど重要なパートナーはない」
すなわち米国の意図は、半導体の世界的なサプライチェーンの確保と台湾の安全確保という2つの目標を、同時に追求するための戦略を構築する必要があるとしているのである。二重課税を排除する条約と自由貿易協定が米国と台湾の経済的・技術的関係を強化できる。そして米国が台湾に効果的な兵器、機動的な兵器供与の重要性を当該論文は繰り返し述べている。。 

この動きに台湾メーカーが別の行動にでた。
TSMCは、次世代2ナノメートル半導体を2025年から新竹工場と台中の工場で量産開始するが、高雄工場でも2ナノ半導体を生産することが7月のCEO会見でわかった。

TSMCのCEOの魏哲家は「過剰生産能力を避けるため、高雄工場では28ナノ半導体を生産しない」。
ならば、どこで生産するのか? TSMCは日本の熊本新工場と中国の南京工場で28ナノの生産能力を追加している(台北タイムズ、7月17日)。
 或る事情通が嘆いた。「日本は舐められたものだなぁ。中国と同列レベルだもの」と。

さて28ナノ半導体の用途は広範な分野に及ぶ。主にクルマだが、ノートパソコン、タブレット、テレビ、スマホ、ゲーム機器など汎用製品に使われ、価格競争が激しく、いずれ無用の長物になりかねない。

2022年12月6日のことを思い出したい。
アリゾナ州のTSMC新工場起工式で、バイデンの後に演台に立った張忠謀(モリス・チャン)は、「地政学的な政治変局が新たな情勢を生み出し、グローバリゼーションは既に死に瀕しており、自由貿易もほぼ死んだ」と演説したのだ。つまりバイデンの遣り方に不満が籠もっている。米国の恣意的な遣り方に挑発的である。そもそもTSMC創設の張忠謀という名前は「はかりごとに忠実」という意味で、中国人のセンスでは謀略は日本人のような悪いイメージは付帯しない。壮大な計画をたてる賢さを示唆するのである。


 ▼トランプが素直に反応した。台湾は米国から半導体を奪った」

機敏に反応したのがトランプ前大統領だった。トランプの認識では「台湾が米国から半導体事業を奪っている」となる。7月16日のFOXニュースのインタビューでも、トランプは、「台湾は賢くて優秀で、私たちのビジネスを奪いました。私たちは彼らを止めるべきだった。私たちは彼らに課税すべきでした。関税をかけるべきだった。」

 中国との戦争の危険を冒して米国が台湾の防衛を支援すべきかとの質問に対し、トランプは「もし私が大統領だったら、自分の考えを人々に知られたくない。事前に明かせば交渉で非常に不利な立場に置かれるからだ」とタフネゴシエーターとしての立場を堅持し、土壇場までの曖昧戦略は維持するとした。

「中国が台湾を手に入れたら、世界を変えることができるでしょう?」との質問に、トランプは「中国が台湾を奪えば、世界を閉鎖する可能性がある。覚えておいてほしい、台湾は賢い、彼らは我々のビジネスを奪おうとしている、我々は彼らを止めるべきだ、彼らに長く税金を課すべきだ」

事実関係にトランプ派は無頓着である。 
日本の半導体産業を潰したのは米国であり、台湾に先端技術を供与してTSMCを育てたのは米国だったという過去の経緯など、度外視しているあたり認識不足である。

日本もアメリカも政府補助金をつけてTSMCを呼び込む。しかしTSMCは米国では3ナノを生産すると明言しているが、2ナノは台湾の三つの工場で生産すると言っているのであり、熊本は最先端チップの埒外である。
これは米国の国家戦略と、それに対応する台湾の国家安全保障政策との齟齬をあらわし、企業それぞれの世界戦略を宣言したということである。
つまりTSMCと米国は今後、揉めるだろう。


ロシアがAI兵器の開発会議、展示会を開催   西側が注目するのはロシアの「自爆ドローン(カミカゼ)」だ

2023-07-19 20:51:44 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)7月19日(水曜日)
        通巻第7826号 
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 ロシアがAI兵器の開発会議、展示会を開催
  西側が注目するのはロシアの「自爆ドローン(カミカゼ)」だ
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ロシアはAIをテーマに「2023軍事技術フォーラム」を開催する。120を超える科学イベントやビジネスイベントが含まれる。これは「Army 2023フォーラム」と銘打たれ、8月14日からモスクワ郊外のパトリオット・エキスポ会場のほか、クビンカ空軍基地やアラビノ軍事訓練場など複数の会場での開催となると発表された。

2022年の同フォーラムには1500社の企業と政府機関が集まり、3万品目の軍事用ならびに汎用品が展示され、総額6億ドル相当の契約が締結された。

ことしのテーマにAI に関する「戦略的リーダーシップと人工知能テクノロジー」が含まれ、会議の議長はロシアのドミトリー・チェルニシェンコ副首相が務める。

しかし半導体を輸入に頼るロシアがAIで国際的会議を開く意味は何か? 
西側が注目している技術の一つはロシアの「神風ドローン」(自爆無人機)だ。実際にウクライナ戦争で多用されており、イラン製の攻撃用ドローン「シャハド136」は1000キロを巡航速度で飛翔し、急降下して目標を爆破する。イランはロシアへの供与を否定している。

当該ドローンは、翼幅2.5メートル、40キロの弾頭を搭載し、巡航速度120キロで飛行する。このドローンが塊となって飛ぶためレーダー上では1つの点に映る。航続距離は2500キロとされるが、燃料搭載の上限など制限があり、1000キロ以上は飛べないらしい。
 ところがイランはロシアにドローン工場を建設し6000機の生産計画がある。