沖縄・台湾友の会

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「岸田総理 直撃100分!ロシア・中国・核・憲法」 櫻井よしこが問う

2022-05-31 22:02:06 | 日記
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「岸田総理 直撃100分!ロシア・中国・核・憲法」
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          櫻井よしこが問う


 日本に迫る危機を訴えてきたジャーナリストの櫻井よしこ氏による本誌 連載が、この度1000回の節目を迎えた。記念すべき対談の相手は現職 総理。就任後初のロングインタビューとなった日本のトップに、櫻井氏が 舌鋒鋭く斬り込んだその一部始終をお届けする。

櫻井よしこ 東奔西走お忙しい中、お時間をとってくださってありがとう ございます。この連載を始めて20年が経ちました。これからも頑張って 「政治家けしからん」と、矢を射る役割を果たしていきたいと思っていま す(笑)。今日はどうぞよろしくお願いします。

岸田文雄総理 こちらこそ、よろしくお願いします。記念すべき連載 1000回の節目に、お声がけいただきありがとうございます。

櫻井 世の中は予想外の変化が頻発していて、どんな組織であれトップに 立つ人の心構えが問われています。これまで総理ご自身は穏やかなイメー ジをお持ちでしたが、それが今や「非常時の総理」になられた。

岸田 いや、穏やかかどうかは他人が評価することですが(笑)。私自 身、こうした時代に内閣総理大臣を担うことに大きな責任を感じ、己の全 てをかけて物事を判断し行動する必要があると、強い緊張感を持って日々 過ごしているところです。

櫻井 ウクライナでいえば、もともと勇敢に祖国のために戦う国民の気概 はあったと思いますが、ゼレンスキー大統領がいなければ、ここまでロシ アに対して奮闘できなかったと思います。

岸田 そうですね。

櫻井 それを思えば、まさに日本は100年に一度の大きな変化に直面し ています。総理の国家観、どんな指導者でありたいとお考えなのかが日本 の命運を決すると思います。

岸田 もはやポスト冷戦と言われた時代が終わるということは、皆が感じ ていると思います。価値観の異なる国家間の対立がいよいよ顕著な時代、 日本の立ち位置はどうあるべきか。私達が戦後大事にしてきた自由と民主 主義、人権や法の支配、さらには自由貿易といった価値観を堅持してい く。そして、同じ価値観を持つ国や人々と連携して、どんな国際体制を作 ることができるのか。日本が存在感を示せる外交を進めていく必要を感じ ています。

櫻井 核大国である国連の常任理事国が、核のない他国を侵略するという 予想外の事態が起きた。その状況下で、総理はアジア諸国と欧州を歴訪さ れましたね。

岸田 インドネシア、ベトナム、タイと英国、イタリア、そしてバチカン ですね。

櫻井 インドネシアへの巡視船の供与など、海上保安分野での援助を決定 されました。イギリスとは日英円滑化協定で大筋合意もされましたね。ウ クライナで起きたような侵略戦争に備える外交と見てよいですか。

岸田 今日のウクライナ情勢は明日の東アジアの姿かもしれない。そのよ うな危機感を共有する必要性を強く感じています。英国はじめ、あのドイ ツですら、インド太平洋に艦船を送る時代になったのは、日本としても歓 迎すべきことです。今後もインド太平洋への関心や関与を、アメリカのみ ならず欧州などの主要国にしっかり持ってもらうための雰囲気を作る努力 を続けていきたい。

櫻井 円滑化協定が次の段階、ある種の同盟や準同盟といった形に発展す ることを目指しておられますか?

岸田 まだ具体的にそういったところまでは決まっておりませんが、英国 とは、安全保障の点でも訓練や装備品など協力できる分野がたくさんあ る。
そういった連携の可能性を他の国々とも追求していきたいですね。実 際、アジアにおいても力による一方的な現状変更が起こり、将来的に日本 の
安全保障に関わる深刻な事態にならないとも限らない。これがウクライ ナ情勢において国際社会が得た一つの教訓だと思います。私も外務大臣時 代、
平和安全法制で野党と論戦を交わしましたが、あの時に感じたのは、 科学技術の進歩や装備品の発達を考えますと、あのアメリカですら一国で は自国を
守れない。それが厳しい安全保障の世界だということでした。だ からこそ、限定的とはいえ集団的自衛権について真剣に考えなければいけ ないという議論が行われた。このアジア、そしてインド太平洋の平和と安 定を守るためにも、日本は自分の国を守るための防衛について考えなきゃ いけない。併せて国際社会と平素から情報交換を行い、協力するために、 円滑化協定をはじめ様々な環境を作っておく。そういった仕掛けも併せ持 たないと十分とは言えない時代です。

櫻井 総理が外遊の最後、英国で「力による一方的現状変更を繰り返して はなりません」とスピーチされた。これは中国を念頭に置いていますか。

岸田 実際、南シナ海、東シナ海においては力による現状変更の試みだと 指摘される動きがある。それはその通りだと思います。

櫻井 ウクライナはユーラシア大陸の西で、日本は東の端っこでそれぞれ ロシアと隣同士という共通点があります。ウクライナと日本を重ねて考え るとおっしゃいましたけれども、私はこの世界地図を見てですね……。ご覧 下さいますか。(持参した地図を示し)ここですね。

岸田 はい。

櫻井 地図上で核兵器を持つ国は赤く塗ってあって、ここが日本列島。 ユーラシア大陸ではウクライナ情勢が緊迫していますが、この地図を見る と実は一番危険なところに立っているのは日本だと思うのです。
岸田 ロシア、あるいは北朝鮮、また中国と隣接しているわけで、安全保 障上、厳しい環境にあることは肝に銘じなければいけない。それはご指摘 の通りです。

戦後憲法の“悪しき面”

櫻井 その意味でも、先ほどおっしゃった各国との軍事的な協力関係の強 化が急務ですが、政府は日本の外交・安全保障政策の長期指針となる国家 安全保障戦略(NSS)など「戦略3文書」を、年末を目途に大幅改定す るとしています。それを受け自民党は提言を出しました。まず一つが、今 後5年を目途にGDP比2%(約11兆円)まで防衛費を引き上げるという ものですが、同盟国のアメリカでは・前向きに歓迎するが今の世界情勢下 では不足だ・といった意見もあり、私も同感です。

岸田 政府としては、与党側と議論しながら現実的に何が必要なのか考 え、それを国民の皆さんにも理解してもらう中で答えが出てくると考えて います。世界の平和と秩序を維持する上では、各国が責任を果たしてくだ さいというのが今の国際社会ですから、日本が責務を果たすためにも必要 なものをしっかり積み上げていく。国民の命と暮らしがかかってくるわけ で、財政状況が厳しい中でも出来る限り努力する。その兼ね合いを探って いくのが日本の立場です。

櫻井 国防に必要な分を積み上げるのは当然ですが、国家の意志を示す 2%以上の数値目標は欠かせません。ウクライナが大方の予想に反して
善 戦しているのは、武器弾薬を西側がどんどん供給しているからです。軍事 の専門家の方々に、万々が一、中国が攻撃を仕掛けてきて自衛隊が戦うと なれば、弾薬やミサイルの備蓄はどのくらい持つかと尋ねたところ、国家 機密だと言いながらも、ある方は1~2週間、もう一人は1週間が限度、 別の人は数日だとおっしゃった。銃なら1分間に何百発も消費しますが、 自衛隊は圧倒的に弾薬が足りない。予算不足で弾薬の備蓄までとても手が 回らない。国防の異常を正すためにも明確な数値目標が必要です。

岸田 なるほど。立場上、具体的にどの国が相手と言うのは控えますが、 おっしゃるような事態で国民の命を守れるのか。何が必要か議論するに は、あらゆる選択肢を排除せず考える姿勢は大事だと思います。

櫻井 国民の命と国土を守るために、必要なことは他の国々と同じように 最大限の努力でやり遂げるという決意ですか。

岸田 もちろん、そうしなければなりませんし、国際秩序の根幹が揺るが される事態を目の当たりにしている時だからこそ、議論を行えば国民の皆 さんも必ず理解してくれると思います。

櫻井 各種の世論調査を見ると、政界の方々よりも国民の方が強い危機感 を抱いています。ウクライナ問題でロシアと中国を重ねて考える方々が
増 えている。一方で、先の自民党の提言は「専守防衛」の精神を基本的に維 持したままです。先ほど総理は、自力で国を守る必要性を述べられました が、それを実現するため日本は根本から変わらないといけない時期に来て いる。「専守防衛」は戦後憲法の下、日本を二度と軍国主義に走らせない との発想から生まれてきたものです。攻撃されたら反撃するという形は、 他の国々とは正反対の、戦後憲法の・悪しき面・を引きずっていると考え ます。

岸田 私は・悪しき面・とは言いませんが、「専守防衛」は憲法の精神に 基づく我が国の安全保障の基本方針です。国際社会も日本の安全保障体制 の前提として認識しているわけで、それを変えたら周辺国とのバランスに も影響が出てしまいます。

櫻井 周辺国とのバランスはすでに崩れていますし、二つの問題がありま す。一つは、自衛隊の力は必要最小限であって、戦力でないから違憲では ないとの屁理屈を、私達はいつまで持ち続けるのか。もう一つは、国際社 会が日本の方針を理解しても、ロシアや中国のような、他国や他民族への 攻撃的なやり方に直面したら、それが日本を守ることに繋がらないという 点です。ロシアに抗してドイツのショルツ首相が軍備増強に大きく方針転 換した今、日本も変わるべき時ではないですか。

岸田 そういう議論は当然出てくると思います。日本を侵略しようとする 国は、我が国がどんな姿勢を示しても絶対に理解しようとしないでしょ う。一方で、日本は共に侵略に対抗してくれる国とも平素から信頼関係を 作っておかなければなりません。我が国の基本的な安全保障の姿勢が評価 されているなら維持しておく。国際社会と連携し、トータルで日本を守る という考え方を作っていきたい。

櫻井 トータルだけでは守れない。日本が専守防衛の考え方から脱却する 時です。もう一点、先の自民党の提言では、核についてほとんど論じられ て
いません。総理は広島のご出身で「非核三原則」を尊び、核のない世界 を理想とされている。私もそれが実現すれば、どれほどよいかと思いま す。けれど、今回のウクライナ問題では、ひょっとしてアメリカの・核の 傘・は開かないんじゃないかと、多くの人が危惧を抱いたのも事実です。 核なき世界の理想に到達するまでの間に、ロシアや北朝鮮、中国のような 国が核を片手に「台湾に手を出すな」とか「尖閣に手を出すな」と言った ら、アメリカの核の拡大抑止だけで十分なのかといった議論はすべきでは ないですか。

岸田 ウクライナ情勢における核の問題を巡っては、すでに様々な議論が 起こっています。私が申し上げているのは、岸田内閣においては「非核三 原則」はしっかり堅持させていただくということ。核という非人道的な特 殊兵器を、先人たちは何とかコントロールしようと知恵を絞り枠組みを構 築してきました。それが不十分との批判は承知していますが、この枠組み を維持しているからこそ、日本はロシアや北朝鮮を非難できる。この枠組 みを外して本当に国民の安心安全に繋がるのか。そういった議論を併せて やる必要があります。

ロシアを批判しない中国

櫻井 中国はロシアを批判せず寄り添う姿勢です。両国は戦略的な協調関 係にありますから、日本や欧米など自由を標榜する国々に脅威をもたらす のは避けられません。対中政策をしっかりやらないと、大変なことになり ませんか。

岸田 中国は日本周辺でもロシアと軍事行動を共に行うなどの動きがあり ます。言うべきことは毅然と言うのが基本ですが、我が国とは経済界をは じめ民間レベルでも様々な結びつきがあることを考えれば、対話の窓口を 常に開いていく必要もあると思います。

櫻井 中国は大国としての責任を果たさないのではないかと、私は心配し ています。ロシアと同様に力を信奉する国ですから、日本が毅然と抗議を しても無視します。尖閣諸島では今日も領海に侵入しています。ほぼ毎 日、接続水域から領海に侵犯をかける。尖閣問題と台湾問題はリンクして いますから、具体的に「尖閣を守る」姿勢を見せることが大事ではありま せんか。自民党の高市早苗政調会長は、島に構造物を作ることを主張して いますが、総理はどうお考えですか。

岸田 尖閣が我が国の領土であることをしっかり示す。これは私もまった く同じ認識で、海上保安庁はじめ領海領空をしっかりと守る姿勢を装備や 訓練等を通じて示していく。その上で、さらに何が必要なのかは様々な意 見があると思いますので、基本をしっかりやった上で考えたいと思います。

櫻井 公務員を常駐させるなど、政府としての具体策はないのでしょうか。

岸田 そこまでの検討はしていませんが、毅然とした姿を示すことが大事 です。

櫻井 お約束の時間が過ぎてしまいましたが、日本の未来にかかわる重大 な課題、憲法改正についてお尋ねします。総理は、自民党に憲法改正実現 本部、「実現」という2文字を入れた組織を作りましたが、今後どのぐら いの時間がかかると考えたらいいのでしょう。岸田政権は高支持率で夏の 参院選では憲法改正に手が届くところまで大勝するかもしれません。

政権に好意的なメディア

岸田 いやいや、そう甘くはないでしょうけど、参院選でも憲法改正は公 約の一つに掲げて戦います。これまでは党利党略で国会議論がなかなか進 まなかった部分もありましたから、やはり世論が大事ですね。政府の立場 ではストレートな働きかけが難しいので、党の憲法改正実現本部が中心に なって国民に訴え、世の中の雰囲気が変われば政党政治家と国会の議論を 動かすことになる。この二つが揃えば改正への道筋が見えてくると思って います。

櫻井 中曽根内閣で官房長官を務めた後藤田正晴さんを取材した折、なぜ 改憲しないのか尋ねたら、「国民に任せてはおれない」と口にされたの で、私は「民主主義の否定だ」と、ちょっと気色ばんだ。すると後藤田さ んは、「君のような、生意気な女がいるから駄目なんだ」と(笑)。実 際、国民からすれば、どうして憲法改正の発議をしてくれないのか。国民 は信頼されていないのか。そのような思いがあることを、お伝えしたいと 思います。

岸田 はい、それは重く受け止めます。憲法は日本の法典の中で唯一、国 民投票が規定された法典であるにもかかわらず、いまだ一度も行われてい ません。自らの憲法だ、国民の憲法だというのであるならば、やはり国民 の意思表示というものは大切にされなければいけない。

櫻井 最後にお尋ねしますが、冒頭で私が総理は穏やかなイメージをお持 ちだと申し上げたら、必ずしもそうであるか分からないというご趣旨のこ とをおっしゃった。しかし岸田政権はメディアによって好意的に報道され ています。結果、支持率が好調な点をどうお考えですか。

岸田 いや、厳しく批判をされていると受け止めていますが(笑)。

櫻井 総理はご自身のどのような資質がメディアを、そしてその延長線上 で国民を安心させていると自己分析しておられます?

岸田 安心していただいているのかどうか分かりませんが、あえて言え ば、新型コロナやウクライナ情勢などの対応でも、様々な政策が国民のた めになるのかどうかを考えるのが重要なポイントだと意識しています。そ の上で、どう評価していただくかは皆様にお任せするしかありません。

櫻井 今は平時ではなくて「非常時」です。しかし総理が・ドイツのよう に日本も変わらなきゃいけない・と感じておられるかは分からない。ドイ ツがインド太平洋に艦船を送ったことの意味を読みとって、日本国を大き く変えていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

岸田 ありがとうございました。こちらもいい勉強をさせていただきました。



リチウム最大埋蔵地は物騒なコンゴの山奥だった    南東部マノノ鉱山で4億トンのリチウム=世界最大の埋蔵量

2022-05-31 22:01:16 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月31日(火曜日)
        通巻第7353号 
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 リチウム最大埋蔵地は物騒なコンゴの山奥だった
   南東部マノノ鉱山で4億トンのリチウム=世界最大の埋蔵量
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 EVブーム。さらに補助金がつくので軽EVは180万円台。東京都からの補助金を加えると、130万円台で、軽EVを買える。おりからガソリン高騰、EV懐疑論をよそに売れ行きが伸びているそうな。

 しかしEVの死命を制するのはリチウム・イオン電池とコバルトである。電池の質そのものは大きなイノベーションが相次いで、位置も車底におかれてスペース問題は解決した。
またEVスタンドも増えている。乾電池業界ではかなり以前からリチウム・イオン電池は、マンガン電池の十倍のパワーがあるとして重宝されてきた。

 これまでは南米とジンバブエなど南半球で鉱山開発がすすみ、カナダの企業が南米産の採掘、運送、精製、販売を手がけてきた。豪は原石のまま、中国へ輸出し、精製をまかせてきた。
鉱石から精製されるのは6%でしかなく、残りは産業廃棄物だ。なぜ、こういう非効率的なプロセスなのかと言えば、西側がとりつかれた「脱炭素」である。
地球温暖化は嘘とわかっているのにカーボンゼロ実現などと、異様な構造を生み出した。ちなみに佐渡金山は廃れたが、日本でも鹿児島に菱刈金山があって、住友金属鉱業は金を含有する鉱石をトラックで港に鹿子木まで運び、そこで精製している。

 四億トンのリチウム埋蔵が確認されたのはコンゴ南東部マノノ。タンガニーカ県に属し、最近は近くに空港も出来た。地理的には内陸部だが、ルクシ川を利用する船の水運が開けている。
問題は部族が乱闘、戦闘をくりかえすので、治安の悪さが鉱山開発を妨げていることである。

 近くのコバルト鉱山では中国人の鉱山技師や現場監督の誘拐、殺害事件が後を絶たず、治安部隊は信用がなく、まして現地は部族同士の争いが絶えない。採掘利権をめぐって部族同士が戦闘を繰り返してきた。

コンゴ民主共和国が嘗て「ザイール」を国名としていたときの独裁者はモブツ・セセ・セコ(大統領在任は1965~1997)、世界最大のコバルト産出を誇り、利権獲得の腐敗がはびこった。コバルトはハイテク材料に欠かせない戦略的鉱物資源とはわかっていたが、今日ほどの需要はなかった。
1990年代にITブームが来て、レアアースに焦点が移行した時期もあった。

 ちなみにレアアースは80%を中国が生産するが、埋蔵世界一はアメリカだ。脱炭素、クリーンエネルギーとかで、石炭まで制限されている西側ゆえに、アメリカにおけるレアアース鉱山の開発は手がつけられないままである。
だから脱炭素は中国とロシアが裨益する。とくに石炭火力発言を増やし公害をまきちらして、平然と環境破壊、重労働を気にもしないで生産できる中国は、西側のアキレス腱を握っていることになる。

 コバルト埋蔵はコンゴのほかにはカナダで生産されている。日本ではエンジンの触媒や高速切断に使われた。EVブームがきて、リチウム・イオン電池のスペックが替わり、むしろリチウム需要が天文学的となった。

 コンゴの奥地、マノノはダイヤモンド鉱床に付帯して露天掘りというが、はたして内陸部からゲリラを戦いながら長距離を運ぶわけだから、西側において末端価格は暴騰するに決まっている。

 さて国際政治における問題は何かと言えば、レアアースとレアメタルの供給が中国に握られていること。アルミとニッケルはロシア企業が強いことである。
 そして皮肉なことにリチウム・イオン電池メーカーは日本勢が圧倒的につよくパナソニック、TDK、村田製作所、昭和電工、エクセルなどが競う。近年は中国のCATL、韓国のLG化学などの猛追が顕著になってきた。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2022年5月30日号) *上海ロックダウンの真相

2022-05-30 16:43:19 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2022年5月30日号)
*上海ロックダウンの真相
 前号「バイデン訪日の成果は?」をテーマにしたトーク番組がUPされた。前号に含まれない情報も追加してあるので是非ご視聴を!下記をクリック
https://youtu.be/yfLY5sySotY


 番組でも触れたが、上海市ロックダウンは、新型コロナウィルス対策と言っているが、それは偽装工作であり真相ではない。真相は驚くべきものである。現在、中国は3隻目の空母を上海で建造している。3隻目が完成すれば、中国は台湾を海上封鎖できる。
 ウクライナに米国は直接軍隊を派遣せず、武器等を供与する間接支援に留まっている。直接派遣すると、米露戦争になってしまい核保有国同士の直接対決は核戦争に発展する公算が大であるから、間接支援に留めているのである。

 ならば中国に台湾が侵攻した場合も同じことがいえる筈で、核保有国である中国と直接対決を避けたい米国は、台湾に直接米軍を派遣するのを避け、台湾に武器等を供与する間接支援方式を採用することになろう。
 だが台湾はウクライナと違い島国である。大陸国家であるウクライナの場合、陸上の国境線を跨いで武器等をいくらでも陸送できるが、島国である台湾は、海上封鎖されてしまえば、封鎖を突破することなしに輸送は不可能だ。米軍が中国の空母による封鎖を突破すれば、米中直接対決になってしまう。
 それは核戦争に発展しかねないから、米国としては何としてでも避けなければならない。となれば米国の取るべき方策は、3隻目の空母の完成を阻止する以外にない。上海は、中国最大の国際経済都市であり、外国人ビジネスマンが多数住んでいる。米CIAがそこに潜入するのは容易であり、かねてからCIAがここを拠点とし中国人協力者を育成してきた。

 3隻目の空母は、昨年11月の段階で、「早ければ今年2月に進水する」と報道されていた。ところがロックダウン後の4月になって「今年後半に進水」と訂正された。「中枢部品の欠如」が理由だが、何らかの妨害工作があったと想像できる。
 つまりCIAが3隻目の空母の建造を妨害し、対する中国が上海をロックダウンしてCIA狩りに乗り出したのであろう。面白いことに、ここにきて北朝鮮がロックダウンの徹底を指示した。「新型コロナ対策で先進的な中国を見習え」と言っていることから、中国を見習って北朝鮮もCIA狩りに乗り出したのであろう。


フィンランドは高度武装国家、スウェーデンも防衛費増強   フィンランドはムーミンが代弁する、のんびり国家ではなかった

2022-05-30 16:42:11 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月30日(月曜日)弐
        通巻第7352号 
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 フィンランドは高度武装国家、スウェーデンも防衛費増強
  フィンランドはムーミンが代弁する、のんびり国家ではなかった
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 ロシアのウクライナ侵攻で、世界史における激変の一つが北大西洋条約機構(NATO)へのスウェーデン、フィンランドの加盟申請である。従来、スウェーデンとフィンランドはNATOの公式加盟国ではないが、「戦略的パートナー」として扱われてきた。

 すでに 1994年に締結された「平和のためのパートナーシップ」があり、米国、英国、フランス、ドイツとの連携が存在する。またフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド五ケ国の「北欧防衛協力(NORDEFCO)」がある。北欧の防衛協力は、防衛の分野における北欧諸国間の協力である。

 そのうえ、スウェーデンとフィンランドは、軍事力を増強してきた。両国は軍事技術があり、空軍と海軍の充実、その武器体系はNATO諸国並みの揃えがあり、戦闘機、サイバー機能とをもって、その軍事力は北極圏とバルト海における強力な存在だった。NATOにとって、グリーンランド、アイスランド、英国周辺地域はロシアからの脅威にさらされている。軍事力が脆弱なリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国の安全保障にも資してきた。
 ましてスウェーデンとフィンランドはユーロには加わっていないけれども、1995年以来『EU』加盟国である。

 人口的にはフィンランド550万人、スウェーデン1,000万人。防衛予算はフィンランドがGDPの2%、スウェーデンはGDPの1・85%だ。

 とくに1340キロの国境を接するフィンランドにとって、ロシアの軍事的脅威に対応するために18歳以上の男性は懲役義務。女性は志願制。現在の兵力は28万、予備役が60万と、その人口比からみても欧州最大である。
 米国からF35ジェット戦戦闘機64機の導入も正式契約済である。
 ロシアは直ちにフィンランドへのガス輸出を停止したが、フィンランドは慌てず騒がず、というのも、燃料備蓄五ケ月、穀物備蓄六ケ月。医療品備蓄が10ケ月分があって、戦争に対応する態勢がある。それもこれも1939年のロシアとの戦争で2・5万の死者をだすという苦い経験から来る。どこかのヘイワ憲法国家とは気構えが違うのだ。

現在、NATO加盟に立ちはだかるのはトルコだが、すでに両国外相はアンカラを訪問し、実質討議に入っている。

南太平洋の島々も中国の経済植民地化するのか?   王毅外相が8ヶ国を抜き打ち訪問、米豪英仏を刺激した。

2022-05-30 16:39:16 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月30日(月曜日)
        通巻第7351号 
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 南太平洋の島々も中国の経済植民地化するのか?
  王毅外相が8ヶ国を抜き打ち訪問、米豪英仏を刺激した。
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 南シナ海に七つの人工島を造成した中国は、そのうちの三つに滑走路を建設した。岩礁を埋め立て、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、フィリピンの領海を侵犯しても「ここは昔から中国のテリトリーだ。文句あるか」と開き直った。
 最初は小さな岩礁に掘っ立て小屋を建て、漁民の避難施設だと嘯いた。西側は油断した。いまや中国の行政区分で三沙市。住民票も発行されている。

 王毅外相(兼国務委員)は5月27日から十日間かけての『南太平洋』島嶼国家群訪問の旅に出た。
 まずはソロモン諸島。首都ホニアラでソガバレ首相と会見し、中国は治安安定のために警察部隊を派遣し、「平和のため」の安全保障協定を結んだ。ソロモン諸島は2019年に台湾と断交し、北京と国交を開き、驚くほど短時日裡にチャイナタウンが出来ていた。背後にダラー外交がある。

 2021年に反中暴動が発生し、チャイナタウンの一部が焼き討ちされた。豪は空挺団を派遣して治安回復に努めた。豪にとっては裏庭であり、中国よりの姿勢転換はキャンベラの神経を逆なでするが、チャイナマネーに魅入られたソガバレ政権にとって中国の示す条件のほうが、潤うのである。

 ソガバレは王毅にたいして「マスク、ワクチン、医療援助に感謝し、今後のインフラ建設での共同を期待したい。中国は信頼できるパートナーだ」と発言した。
 ロイターは、「南太平洋には新冷戦が訪れた」とし、緊張の高まりを警告したが、中国は「過剰で大げさな警戒だ、西側メディアが故意に緊張を煽っている」とした。

 この日、東京ではクワッド首脳会議に引き続き、アジア全体を包摂するIPEF(インド太平洋経済枠組)構築の話し合いがもたれていた。

 ソロモン諸島訪問のあと、王毅外相は27日にキリバス、28日にサモア、29日にフィジーを訪問し、さらに次の南太平洋に浮かぶ島嶼国家群を訪問する。
 トンガ
 バヌアツ
 パプアニューギニア
 東チモール

 キリバスでは気象変動、コロナ対策などが協議され、タネチ・マアマク首相は中国が医療チームを派遣してくれたことに感謝し、「中国はひとつ」の原則を守るとした。キリバスは2019年に台湾と断交した。

 28日に王毅外相はサモアへ到着し、フィアメ・ナオミ・マタア首相兼外相(女性)と会談した。そして経済技術文化協定に署名し、中国のBRIに期待すると述べた。

 米国と豪は、王の南太平洋訪問を警戒を持って見守っており、また豪の新外相ペニー・オンは王毅然に先立って28日にフィジーを訪問し「わわれわれは『南太平洋のファミリー』である。中国の軍事的脅威に対応しているときに、中国カードを切るとは何事か」と婉曲に抗議を表明した。フィジーはバイデン政権のすすめるIPEFには南太平洋で最初に参加の名乗りを上げている。

 中国はフィジーにおける豪外相ペニーの発言を捉え、豪は都合よく「ファミリー」だなのと言い逃れ、典型的なダブル・スタンダード外交を展開している、と反論した。


 ▲急速に中国に接近する南太平洋

 5月29日、王毅外相はフィジーに到着した。
フィジーは南太平洋フォr-ラムの事務局もおかれて、地域の政治センターであり、中国がもっとも力を注ぐ島嶼国家である。王と会見したフランク・バイニマラマ外相は「フィジーは独立主権国家だ。どのような国からも指図は受けない」とし、米豪に対しては中国との絆も主権国家の判断であり、中国に対しても米国主導のIPEF参加は主権行為だと述べた。王毅然に発言からは、南太平洋諸国のIPEFへの参加状況に異様な関心を持つことがわかる。
 フィジーは中国べったり外交で首都の南太平洋大学には孔子学院がある。海岸線のリゾートホテルは豪からの観光客より中国人が目立つ。すでに華字紙が発行されている。

 さてこれから訪問する四ヶ国である。このなかで、中国が力点を置くのはパプアニューギニアと、APEC加盟申請中の東チモールである。

 パプアニューギニアは2018年11月のAPEC開催のおり、国際会議場を中国が建てて寄付した。首都ポートモレスビーの中国大使館は要塞のごとし、中心部のショッピングモールにはファーウェイ、オッポなど中国のスマホ販売店ばかり。


 ▲パプアニューギニア、東チモールも中国外交には重要

 インドネシアからの分離独立から二十年を経た東チモールでも既に小規模のチャイナタウンがあり、幹線道路、発電所、橋梁工事などはJICAが出資し(53億円の円借款)、中国企業が工事を請け負っている。
 数年前に、バリ島経由で首都のディリへ飛んだが、中央部だけが一応町並み、しかし用水路はどぶ川で、港へ行くと中国のコンテナ船が停泊していた。

 この東チモールに、すでに20社の中国建設業が進出しており、南部の港湾を中国が整備して海底パイプラインの利権を狙う。ホルタ大統領は中国の一帯一路を前向きに支持しており、APEC加盟を申請している。

トンガは地震の復旧が急がれるが、この島の唯一高層ビルは中国大使館だ。トンガは捕鯨が栄えたが、いまは魚業のほか、これという産業がない。

バヌアツは1500万円の不動産投資でパスポートが取得できるため、夥しい中国人が住んでいる。中国経営のホテル、商店街は80%が中国人経営である。
かくして南太平洋の島々も中国の経済植民地化するのだろうか?

現在、南太平洋諸国で台湾との外交関係があるのはマーシャル群島、パラオ、ナウルの三ヶ国だけである。 
南太平洋は旧英国領が多いが、現在、タヒチとニューカレドニアはフランス領、したがって米、豪に加えて英国、フランスも権益を持っている。