沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン                頂門の一針 6003号

2021-12-31 10:03:34 | 日記
  2021(令和3年)年 12月31日(金) 

台湾、ウクライナ有事連動:加瀬英明

    中国の怒りを買おうとも...:クライン孝子

          香港大学キャンパスから:宮崎正弘 

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台湾、ウクライナ有事連動
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     加瀬英明 



岸田政権に「複合危機」

 習近平国家主席が「台湾を回収する」といって、台湾を威嚇している。 口癖だ。

 10月はじめの3日間に、中国は150機の爆撃機、戦闘機を台湾の防 空識別圏に侵入させた。台湾の対岸で台湾進攻の演習を繰り返している

 米国が台湾を防衛することなく、中国の餌食となるのを傍観したら、日 韓をはじめとするアジア諸国が、米国を信頼できなくなって、中国へ靡 (なび)くことになるから、台
湾を守るために戦わざるをえない。

 台湾の蔡英文総統が米海兵隊が台湾にすでに駐留していると、明らかに した。かねてから米海兵隊が台湾に入っていることは、防衛関係者のあい だで周知のことだったが、
米国当局の合意をえたうえで発表したものだった。

 台湾こそ、自由世界と中国との対決の天王山となっている。天王山は羽 柴秀吉と明智光秀が戦った時にこの山を争い、秀吉に勝利をもたらした。

 中国が台湾を奪ったら、日本は独立を維持できない。一蓮托生の関係だ が、自衛隊が後方支援を行っても、憲法解釈を正さないかぎり、台湾を守 るために出動できない。

 中国は米国が軍事介入したら、幅150キロの台湾海峡を渡ることがで きない。

 なぜ、習主席はこれほどまで台湾を“回収する”ことにこだわるのか。

 いま、中国経済が行き詰まっている。中国人民は高い経済成長によっ て、中国共産党独裁体制を支持してきた。

 中国は火を吐く巨龍なのか、それとも病んでいる大蜥蜴(おおとかげ) なのだろうか。

 GDP(経済規模)の1/3近くを占める不動産部門の借金が脹れあ がって、慌ててブレーキを踏んだために、4%成長まで落ち込んでいる。

 習体制前の胡錦涛時代に「保八(パーオパ)」(八%成長を死守)を大 号令としていたのに「保四(パーオス)」に落ちて、1990年代へ戻っ ている。これからも低成長が続く。保三(パーオサン)になるのか。

 中国は病んだ大蜥蜴だ。そのために習体制は国外に危機をつくりだし て、人民の関心をそらして引き締めようとしている。

 日米、インド、オーストラリア、英仏独などの諸国軍が腕を組んで中国 を封じ込めるかぎり、中国はうっかり台湾に手を出せない。
だが、それで安心していられるだろうか?
中国を甘くみてはならない。



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中国の怒りを買おうとも...
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     クライン孝子

EUの台湾への急接近は、経済的にも合理的な判断だ
ニューズウィーク日本版


<中国経済に逆らえなかったはずの欧州が「台湾重視」に豹変。民主主義 的価値観だけで...
台湾, ヨーロッパ、中国の怒りを買おうとも...EUの台湾への急接近は、 経済的にも合理的な判断だ……<中国経済に逆らえなかったはずの欧州が 「台湾重視」に豹変。民主主義的価値観だけではない2400万人市場の魅力 とは> 中国 台湾 ヨーロッパ

<中国経済に逆らえなかったはずの欧州が「台湾重視」に豹変。民主主義 的価値観だけで...


2021年11月17日(水)17時40分台北で欧州議会のグリュックスマン議員と 面会する蔡英文総統(11月4日) TAIWAN PRESIDENTIAL OFFICEー REUTERS
<中国経済に逆らえなかったはずの欧州が「台湾重視」に豹変。 民主主義的価値観だけではない2400万人市場の魅力とは>去る11月3日、 欧州議会の公式代表団が史上初めて台湾に足を踏み入れた。欧州議会の 「外国の干渉に関する特別委員会」の面々は台湾に3日間滞在し、総統の 蔡英文(ツァイ・インウェン)や行政院長(首相)の蘇貞昌(スー・チェ ンチャン)、立法府(立法院)を代表する游錫?(ヨウ・シークン)らと の協議に臨んだ。

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オミクロン流行 首相「国内拡大の最悪の事態想定」オミクロン流行 首相 「国内拡大の最悪の事態想定」
10月末にも、やはり史上初めて台湾外交部長(外相)の呉?燮(ウー・ チャオシエ)がブリュッセルで、9カ国を代表する欧州議会議員や複数の
EU本部当局者(個人名や肩書は公表されていない)と「非政治的レベル」 の協議をしている。こうした相互訪問は前例のないもので、欧州の台湾政 策に
おける大きな変化を示唆している。これまで欧州議会や加盟国の一部 が主張してきた路線を、欧州委員会や(加盟国全体の外交政策などを調整 する)欧州対外行動庁も支持するようになってきた。その背景には、民主 主義の友邦である台湾を支えるためなら政治的にも経済的にも投資を惜し まないという欧州側の意思がある。それは経済的な利益にもなり、台湾海 峡の現状を守り平和を保つことにも役立つ。台湾にも欧州にも攻撃的な姿 勢を強める中国に対し、ひるまず剛速球を投げ返す姿勢だ。

10月には欧州議会が、台湾との関係を強化し「包括的かつ強化されたパー トナーシップ」の確立を求める決議を採択している。
そこにはEUと台湾の 投資協定や、各種の国際機関で台湾が果たす役割を強化することへの支 持、科学や文化、人材面での交流の拡大、メディア・医療・ハイテクなど の分野での協力推進などが含まれる。この決議はさらに、台湾におけるEU の出先機関「欧州経済貿易弁事処」の名称を「EU駐台湾弁事処」に改め、 「EUと台湾の結び付きの広さを反映させる」ことも求めている。これが 580対26の大差で可決された事実は重い。 headtopics.com

EUの足並みがそろうさらに注目すべきは、長年にわたり中国政府の怒りを 買うことを懸念して台湾との関係強化に消極的だった欧州委員会や欧州対 外
行動庁が、この決議に賛同したことだ。外相に当たる外交安全保障上級 代表のジョセップ・ボレルもマルグレーテ・ベステア上級副委員長(競争 政策担当)も支持に回った。これは欧州議会における親台勢力、とりわけ ドイツ選出のラインハルト・ビュティコファー議員らにとって目覚ましい 勝利だ。中国政府は激しく反発するだろうが、彼らの提案は伝統的な「一 つの中国」政策の枠組みを全く崩していない。台湾の独立を支持している わけではなく、むしろ台湾海峡の現状の維持を唱えている。

欧州議会の採択した決議の内容は全て、従来の「一つの中国」政策の範囲 内に収まる。要は今までの解釈が狭すぎ



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香港大学キャンパスから
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月24日(金曜日)弐
  通巻7168号  
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香港大学キャンパスから「恥の柱」像を撤去
  抵抗組、メディアはドローンで撤去作業を撮影
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 香港大学は、中文大学と並ぶ香港の名門校。米国大統領が、香港を訪問 するとここで演説することでも知られる。その中庭に聳えていた自由のイ コン「恥の柱」が、23日真夜中に撤去され、コンテナにつまれて某倉庫 へ運ばれた。

 高さ8メートル、50人の弾圧された人々の苦痛、呻吟の表情が克明に 超克された作品で、デンマークの彫刻家、イェンス・ガルスキオットが造 形した。イェンスはアルジャジーラの取材に対して、「あの作品は私のモ ノである。私の許可無く撤去し、どこへ運ばれたのか」と怒りを表したと いう。

 この像は「六四虐殺」とネーミングされ、弾圧し、自由がなくなった香 港で、唯一の自由の象徴だった。突然の撤去の直前、林鄭行政長官が北京 を訪問し、習近平と会談している。となると直接「命令された」?

 撤去作業を知って駆けつけた活動家は遠くから撤去現場を見守り、香港 メディアはドローンを駆使して作業の模様を撮影した。中国の共産党系新 聞には、このニュースはない。

 2019年から開始された「香港大乱」は、往時200万人が参加した デモが展開され、筆者も三回に亘って香港へ取材に赴き、殆ど連日のよう に香港大学、中文大学へ通って学生たちにインタビューした(詳しくは拙 著『CHAINAZI』、徳間書店)。

 海外へ亡命した少数を除き、多くの自由戦士らは逮捕拘束され、その象 徴的指導者だった黎智英(ジミーライ)には12月13日に一年一ヶ月の 禁錮刑が言い渡された。

台湾特捜通信 2021年12月29日 明日、もっと台湾トークライブ(youtube)

2021-12-30 00:18:45 | 日記
皆さん、いかがお過ごしでしょうか、片倉佳史です。
台北はここ数日かなり肌寒く、凍える毎日です。
もちろん、日本に比べると温度は高いのですが、
この体感温度の低さは身に染み入ります。

今回は一点、お知らせです。
実は明日、12月30日の夜にyoutube上での年忘れイベントを考えています。
ライブ配信のスタイルで、何人かの方と私の番組上で繋がっていただき、
台湾の魅力を視聴者と分かち合うというものです。
ひと昔前の「ズームイン!朝」をイメージいただければと思います。

日本時間20時から0時までの4時間にわたるライブ配信で、
15名のゲストに登壇していただき、台北はもちろん、高雄や台南、新竹、
そして、名古屋や大阪も結んで、「台湾」を分かち合いたいと思います。

ゲストにはゲストハウスあひる家のオーナー・佐々木さんや
名古屋で台湾夜市を手掛ける加藤秀彦さん、戦没者の遺骨探しに勤しむ舘量子さん、
オードリー・タンの著作を多く手がける近藤弥生子さん、
台湾で祀られる日本人を捜し歩く関口直美さん、
日本統治時代に生まれた張文芳さん、「日本語族」の取材を続ける権田猛資さんなどのほか、
台南の街をリアル体験していただく特別企画もあります。

アドレスは私が運営する台湾特捜チャンネルに設けました。

https://youtu.be/q33Sxt7dkfQ

多くの方と楽しいひと時を過ごせれば幸いです。
お知り合いやご友人にもご紹介いただければと思います。

2021年12月30日、日本時間20時(台湾時間19時)にスタートします。
どうぞよろしくお願いいたします。

片倉佳史
https://katakura.jimdosite.com/

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中国の食糧買いだめ、買い占めは飢餓が迫った兆候だろうか?    小麦、大豆、トウモロコシの輸入は未曽有の規模に達している

2021-12-30 00:15:05 | 日記
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和三年(2021)12月29日(水曜日)弐
     通巻7175号 
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 ★愛読者の皆様、良い御年をお迎え下さい。今年度最終版(B)です!
 ★新年は1月1日(正月元旦)からお届けします
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 中国の食糧買いだめ、買い占めは飢餓が迫った兆候だろうか?
   小麦、大豆、トウモロコシの輸入は未曽有の規模に達している
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 習近平自ら出席の下、中央農村工作会議が12月25日と26日に北京で開催され、そこで習主席が演説している。
「2025年までに豚肉の95%の自給を達成せよ」と。あれっ?「2025 中国製造」での目標は半導体自製化、AI、量子コンピュータなどではなかったのか。

 この「2025 中国製造」を格好の対象として、アメリカは制裁品目などを決定したが、エネルギー、バイオ、ロボット、EVなど10の分野が重点とされ、第一段階が「2025までに中国は製造強国の仲間入りを果たす」、第二段階は「35年までに製造強国の中位に到達し」、第三段階は「2045年までに製造強国の主導的地位を確立する」ことになっていた。

 ところが打って変わって食糧安全保障が前面に出た。
なかでも習近平が具体的に大豆、菜種油の作付けを増やし、農村を救済し、農業を再活性化せよと発破をかけた。
これは異常事態である。

 従来の中国の国内政策は「都市化」だった。都市人口はいまや51%と言われ、農業は廃れ、食糧を外国からの輸入に依存するようになった。農民が都会へ出稼ぎにでて工事現場に就労したからである。
 改革開放を開始した頃、中国はおおむね食糧自給ができていた。

 それが昨今は世界から食糧を買いあさり、世界の在庫量に占める中国のトウモロコシの買い占めは69%、米が60%、小麦が51%、大豆34%である。食品輸入総額は2020年度統計で981億ドル。輸入量はおよそ7億トン。

 武漢肺炎、台風、洪水、土砂崩れで農地は荒れた。そのうえ都市開発の団地造成、農地には案山子の替わりにマンションが林立。山間部や棚田も太陽光パネルだらけとなって、農耕地は激減した。

 食料輸入は大豆、トウモロコシ、小麦、豚肉であり、米国、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナなどから大量に輸入している。たとえば大豆は2010年比較で2021年は十倍、トウモロコシは過去三年で三倍、それでも豚肉は着実に値上がりし続け、庶民の不満は「豚肉が食べられない日が来るのではないか」と、当局の政策の不備を突く。

 日本もこの煽りで、マヨネーズ、食用油、麺類、パン等が値上がりしている。大豆不足となると、豆腐も納豆もいずれ価格高騰となりそう。醤油も。
中国料理に欠かせない餃子、シューマイ、肉まん、小龍包などは小麦が絶対不可欠の食材だ。

 あまつさえ豚肉は2018年に疫病が発生し、大量を殺処分したため、それ以後、養豚業が凄まじく停滞した。そのうち鶏肉も不足となれば、日本でも焼き鳥の価格も上昇するだろう。

 蛇足に下記の時事電記事。
「【ソウル時事】北朝鮮で開会中の朝鮮労働党中央委員会総会は28日、会議2日目の日程に入り、金正恩総書記が報告で、農村振興の目標達成に向けた中長期的発展戦略や課題などを提示した。総会参加者の「全面的な支持と賛同を受けた」という。朝鮮中央通信が29日伝えた」(引用止め)。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2021年12月27日号) *動画:ウクライナと台湾

2021-12-27 15:48:02 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2021年12月27日号)
*動画:ウクライナと台湾
 前号「ウクライナと台湾」をテーマにしたトーク番組がUPされた。前号に含まれない情報も追加してあるので是非ご視聴を!下記をクリック
https://youtu.be/fW8Fu-lv7R4


 
番組でも触れたが、先週、中国の空母、遼寧が沖縄東方沖の太平洋で戦闘機J15の発着艦訓練を数日にわたり行った。この意味するところは重大だ。かつて中国の戦闘機のジェットエンジンには致命的な欠陥があり、継続的な戦闘機訓練は不可能と言われていた。だが、中国は遂にその欠陥を克服したわけだ。

 一方、日本は、次期戦闘機のエンジンは英国ロールスロイス社と共同開発が決まった。ロールスロイスは世界最高のエンジン技術を誇っているから、そのお世話になるわけだが、要するに日本は純国産では、いまだに世界レベルの戦闘機エンジンを開発できないのである。
 さらに問題なのは、遼寧が訓練を行った位置が沖縄東方沖の太平洋である点だ。そこは中国が設定した第1列島線の外側であり、第2列島線内である。かねてから中国は、まず第1列島線内での軍事覇権を確立し、次に第2列島線内の軍事覇権を確立する計画だと言われてきた。

 従って、遼寧の位置が意味するのは、中国が軍事覇権確立の第2段階に入ったと言う事である。そして第2列島線は日本の本州の中央、つまり東京に連なっている。中国は日本の西半分を覇権下に収める計画なのである。
 では、東半分はどうするつもりなのであろうか?私は以前から、その点に興味を持っていたが、今年の秋に明確な答えが出た。10月に中国とロシアの連合艦隊が日本列島を分断して周回したのである。つまり西半分は中国、東半分はロシアという合意が習近平とプーチンの間で成立したのだろう。

 「ウクライナ国境からロシア軍1万人が撤収する」と、ロシアが発表した。今月7日のバイデン・プーチンのオンライン会談以後、米露間で水面下の交渉が行われていたから、米露間で何らかの密約が成立したと見ていいであろう。
 1939年、ヒットラーとスターリンの密約の結果、ポーランドが分割されたが、今般の密約でウクライナの分割が決まったと言う事か。東ヨーロッパではウクライナ、東アジアでは日本、それぞれ分割の密約が成立した記念すべき2021年に乾杯いや完敗!


首相の対中配慮 公約違反では ━阿比留瑠比

2021-12-27 10:30:35 | 日記
首相の対中配慮 公約違反では
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        阿比留瑠比


 「台湾海峡の安定・香港の民主主義・ウイグルの人権問題などに毅然 (きぜん)と対応。日米同盟を基盤に民主主義、法の支配、人権等の普遍の 価値を守り抜き・・・」

 9月の自民党総裁選公約でこう掲げた岸田文雄首相は、10月の党衆院選 公約では次のように主張した。

 「ウイグル、チベット、モンゴル民族、香港など、人権等を巡る諸問題 について、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めます」

再び非難決議見送り


 ところが現在、岸田政権はこの公約を守っていないのではないかとの疑 念を向けられている。

 中国政府による新疆ウイグル自治区などでの人権侵害を非難する決議 は、通常国会に続いてまたもや採択が見送られた。来年2月に中国で開催 される北京冬季五輪に、政府代表を派遣しない「外交ボイコット」などの 対応についても、岸田首相は言葉を濁す。

 「危機の宰相」といわれる英首相、チャーチルが1936年12月、ナチ ス・ドイツという全体主義の脅威を前に、十分な軍事能力を整備しなかっ た当時のボールドウィン首相に対し、こう迫ったのを連想する。

 「政府は全然決意することができないのである。(中略)政府は奇妙な 逆説的言辞を弄し、単に決定せぬための決定をし、決断せぬための決断を し、成り行きに任せ、流動するままに放置し、無為無策のために力を傾け ている」
 中国への配慮を優先させた一連の対応について、岸田首相も自民党の茂 木敏充幹事長も「タイミング」の問題だと口をそろえる。だが、「ジェノ サイド(民族大量虐殺)」とまで指摘されている人権侵害に抗議したり、 日本政府の意思や姿勢を示したりすることに、タイミングを見計らう必要 があるのか。

 しかも、採択されなかった非難決議案は、公明党の意向で「非難」とい う肝心の言葉がなくなり、「人権侵害」は「人権状況」に弱められ、結局 「人権侵害の中止」は「人権状況の説明責任」へと置き換えられた妥協の 産物だった。これでさえも採択できないという対中配慮は尋常ではない。

報復を恐れるな


 またタイミングが悪いといって北京冬季五輪後に採択を先延ばしにして も、来年は日中国交正常化50周年の年でもある。再びタイミングがよくな いという声が上がってくるのは火を見るより明らかだろう。

 確かに、首相周辺がいうように、外交的ボイコットなどによって中国側 が日本の進出企業に嫌がらせをするような報復行為をとる可能性はなくは ない。

 とはいえ、すでに米国、英国、オーストラリア、カナダなどが外交的ボ イコットの方針を表明している中で、日本がことさら報復を恐れてどうす るのか。

 中国の報復やそれによる経済的損失を回避することが最優先なら、仮に 中国に尖閣諸島(沖縄県石垣市)を占領されても何もしない方がいいとい うことになる。それとこれとは話が違うと言っても、中国から見れば、日 本は弱腰だから反撃しないと判断する材料の一つと映るかもしれない。

 岸田首相は自民党総裁選で「民主主義の危機」という言葉を多用してい たが、現在はまさに世界の民主主義が危機の時代を迎えている。それは中 国をはじめとする専制国家主義が、自分たちの政治体制への自信を深め、 公然と民主主義国に挑戦してきたからである。

 今、日本があえて曖昧戦略をとることが岸田首相のいう「国益」だと は、到底理解しがたい。


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松本市 久保田 康文 

産経新聞採録