イスラムの世界では未婚女性が妊娠することはタブー。彼女たちをめぐる厳しい状況を描いた作品です。
舞台はカサブランカ市内。
美容師だったサミア(ニスリン・エラディ)は未婚で妊娠中で、失業中。ドアをたたき仕事をくださいと懸命に職探しますが、妊娠中の彼女に世間は冷淡そのもの。
とあるパン屋にも仕事がないか打診しますが、女主人でシングルマザーのアブラ(ルブナ・アザブル)にも断わられます。途方に暮れたサミアは、夕方になったので仕事探しをあきらめアブラの店の前で一晩寝込むことにします。そんな彼女を見かねたアブラは、一晩だけとの約束で、彼女を家に泊まらせます。
翌日、妊婦であるサミアを心配したアブラは、もう少しの間の宿泊を許します。
サミアは、アブラの一人娘ワルダと仲良し。それも束の間、アブラは世間体が気になり、サミアに出ていくよう言い渡します。
サミアがいなくなったことを知ったワルダは母親に冷たくあたり、ワルダの願いを聞き入れたアブラは二人でサミアを探します。ようやく雑踏の町の中でサミアを発見しますが、彼女は二度と世話にならない、と抵抗。アブラとワルダは、かたくななサミアをやっとのことで説得。家へ連れ戻します。
サミアは父親のいない子どもが社会的な差別を受けることを懸念して、産んだ子を養子に出して自分は実家に帰ると主張しますが・・・。