冒頭、アイリーンの作品(「竜の椅子」という名の肘掛け椅子)がオークションにかけられ、破格の値がつくシーンがあります。アイリーンはそのことに無関心です。
本作品はアイリーンの半生が建築家ル・コルビュジエとの関わりに焦点をしぼって描いています。具体的には1920年代のフランスで彼女が彼と出会ってから1976年に亡くなるまで。
後に「近代建築の巨匠」と呼ばれたコルビュジエ(ヴァンサン・ペレーズ)は、気鋭のインテリアデザイナーとして名声を得ていたアイリーン・グレイ(オーラ・ブラディ)と出会い、彼女とその才能に惹かれます。
一方、アイリーンは建築家で評論家の恋人ジャン・バドヴィッチ(フランチェスコ・シャンナ)とふたりで暮らす目的で、建築家として初の作品となるヴィラ「E.1027」(アイリーン・グレイ[E.G]とジャン・バドヴィッチ[J,B]の合成。Eはアイリーンの最初の文字、10、2,7はアルファベットの順番でJ、B、G)を、ロクブリュヌ=カップ=マルタンの海辺に建てます。
その完成度の高さに魅了されたル・コルビュジエはE.1027をたびたび訪れますが、当初の彼女への賞賛の想いは次第に嫉妬に変わり、断りなくヴィラの壁にフレスコ画を描いたりします。さらにこのヴィラを自分で手がけた作品であるかのように振る舞います。コルビュジエとアイリーンとの間の確執は決定的なものとなりますが・・・。
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