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シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

橋本一監督「HOKUSAI」(2021年、129分)☆☆☆☆

2022-11-14 21:03:56 | 日本・2000年~
葛飾北斎の生涯を描いた作品。

舞台は町人文化が隆盛の江戸。

主人公は、その江戸の片隅で芽の出ない一人の絵師、勝川春朗。のちに葛飾北斎と名乗る貧乏絵師です(青年期を柳楽優弥が、晩年を田中泯が演じています)。

絵師としての才能をもちながら、あまりの傍若無人ぶりに師匠・勝川春章から破門されます。

ついには一日の飯すら、食べられなくなる羽目に。ところがこの貧乏絵師に才能を見出した人物がいました。喜多川歌麿(浦上晟周)や東洲斎写楽(玉川宏)を世に送り出した希代の版元・蔦屋重三郎(阿部寛)です。

重三郎の後押しで、「絵の本質」に気づいた北斎は、その才能を開花させます。誰にも真似できない革新的な絵を次々と世に問い、人気絵師となります。

その奇想天外な世界観は、江戸で大評判。

そんなおり、北斎の盟友で戯作家の柳亭種彦(永山瑛太)が、幕府の禁に触れたとの報せが飛び込んできます。信念を貫いた友のため、北斎は怒りに震え、命懸けの作品に取り組みますが……。

若松孝二監督「キャタピラー」(2010年、84分)☆☆☆

2022-11-01 19:45:00 | 日本・2000年~
「キャタピラー」は「芋虫」という意味です。戦争で四肢を失った人間の象徴です。

似たような状況設定の映画と言えばダルトン・トランボ監督「ジョニーは戦場へいった」(1971年)が有名です(展開はまるで異なりますが)。第一次大戦で両手,両足を失った青年の苦悩,過去の記憶,夢,現実,死を描いています。「キャタピラ」は、この映画を
彷彿させます。

舞台は、1940年のとある農村。

青年、黒川久蔵(大西信満)は日中戦争に駆り出され、それから4年後、頭部に深い火傷を負い、四肢を失った姿で村に帰還します。戦線で爆弾の爆発に巻き込まれた彼は、声帯を傷つけ話すことができない上、耳もほとんど聴こえない状態です。

「不死身の兵士」と新聞に書き立てられ、少尉に昇進。久蔵を村人は「軍神様」と崇めたてまつり、称えます。しかし、親戚は、妻のシゲ子(寺島しのぶ)に世話の一切を押し付けます。

シゲ子は変わり果てた久藏に絶望し、無理心中を図り久蔵を殺そうとしますが果たせず、軍神の妻として献身的に尽くしますが・・・・。

伊藤秀裕監督「おみおくり」(2018年、117分)

2022-07-09 14:52:20 | 日本・2000年~


亡くなった人に死化粧を施し、生前の姿を思い出させる姿にできるだけちかづける女性納棺師を主人公に、見送りの現場でのエピソードを綴った作品です。

原作は永井結子によるエッセイ「今日のご遺体 女納棺師という仕事」。

主要な登場人物は、愛する人との悲しい過去を背負う女納棺師・満島弥生(高島礼子)と子どもの頃、両親を交通事故で亡くした亜衣(文音)。

ある日、亜衣は同僚・葵の姉の二歳の娘の葬儀の場で満島弥生と出会います。遺体を修復し、きちんとお見送りができるようにする仕事をしている満島の姿が亜衣の脳裏に鮮明に焼き付けられます。

憑かれたように、亜衣は退職し満島のもとに出向き、弟子入りを志願します。最初は考え直すようにとさとす満島でしたが、亜衣の熱意に動かされ、受け入れることに。

満島の納棺師としての仕事に接しながら、少しずつ自らの心の闇から解き放たれていく亜衣。そのうち、満島の悲しい過去、恋人との別れを知り、その過去から、満島がなぜ女性納棺師という仕事を選んだのかを知ります。

亜衣は弟とともに両親の死と向き合う決意するのですが・・・・

三島有紀子監督「繕い裁つ人」(2016年、111)☆☆☆★

2022-07-08 14:55:07 | 日本・2000年~
 
衣服の仕立てをテーマに人々のつながりと心模様が繊細に描き出されています。頑固な洋裁店主を、中谷美紀が好演。

舞台は神戸。

古びた洋風の一軒家で、仕立屋の二代目として南洋裁店を開いている市江(中谷美紀)。彼女の作る服はいつも即日完売。

南洋裁店の服に魅せられた百貨店勤務の藤井(三浦貴大)は、彼女にブランド化をもちかけます。市江の対応はけんもほろろ、まったく聞く耳をもちません。先代‘(祖母)から付き合いのある一軒の店に服を作って販売することと、先代が作った服の直しをする以上に手は広げたくないと、繰り返すばかりです。

さすがの藤井も市江の説得をあきらめ、自分の仕事を考え直すと、東京の家具店での仕事に職を代え、彼女の前に現われることはなくなりました。

しばらくたって、妹の結婚式のために戻ってきた藤井は、彼女が着ている服の仕立てを見て、すぐに市江の仕事と分かります。襟元には、彼女が母親に買ってもらった可愛いワンピースの襟のレースがあしらわれていました。ウエディングドレスの製作は、市江が藤井の妹に頼んでやってみた仕事でした。彼女の考え方にある変化が生まれていました。

永江次朗監督「いしゃ先生」(2015年、105分)☆☆☆

2022-07-07 14:59:10 | 日本・2000年~


山形県の山村で村民の診療にとりくんだ志田周子(しだちかこ)の半生を描いた作品です。厳しく美しい四季の風景は、オール山形ロケ。
舞台は昭和10年頃から戦後の山形県大井沢村(旧)。

東京の医学校(東京女子医大)を卒業して医者になったばかりの志田周子(平山あや)は、父・荘次郎(榎本孝明)からの電報を受けて帰郷しました。村長をしていた荘次郎は、無医村だった村に診療所を建てたのですが、肝心の医者のなり手がみつからず、仕方なく娘の周子に

「3年だけお前の人生を俺にくれ」と頭を下げます。

周子は突然のことで驚き、最初は断わります。しかし、無医村の村に診療所をつくり医者をおきたい、という父の願いを理解し、引き受けます。

周子は未熟な自分が一人で診療所の医師を務めることができるのかという不安を抱えながら、3年だけ頑張ってみようと決意します。その胸には東京にいる想い人の存在が秘められていました(その後、破局)。

周子は降りかかる数々の試練に耐え、困難を乗り越えながら、昭和37年に食道癌でなくなるまで(享年51)、村人の命を守り続けました。

近藤明夫監督「うさぎ追いし 山極勝三郎物語」(2016年、111分)☆☆☆

2022-07-06 15:02:04 | 日本・2000年~


江戸から明治への転換期。癌研究の先駆け・山極勝三郎(1863-1930)の人物と研究をテーマとした作品です。一高寮歌「ああ玉杯に花うけて」、札幌農学校惠迪寮歌「都ぞ弥生」がうたわれるシーンがあります ♬。

上田藩の下級武士の家系に生まれ育った山本勝三郎(遠藤憲一)は、16歳のときに東京で町医者を開業する山極吉哉(横光克彦)の後継ぎとなるため、親友の金子滋次郎(豊原功補)と上京。吉哉の娘・かね子(水野真紀)の婿養子となります。

東京帝国大学医科に入学。猛勉強の末、勝三郎は、臨床医ではなく病理学の道へ進むことを決心します。1892年からドイツ・ベルリンに留学。帰国後の1895年に、32歳で東京帝大医学部教授に就任。家庭的には、かね子との間に4人の子が生まれ、研究も順調に進捗しました。

しかし、その矢先、勝三郎は結核に罹患します。病を患いながら、勝三郎が全身全霊でとりくんだ研究は「癌刺激説」の証明でした。「癌を作ることができれば、癌は治せる」という信念のもと、うさぎを研究材料に使い、その耳にコールタールなどで刺激を加え続け、人工癌をつくりだしました。

助手の札幌農学校出身の市川厚一(岡部尚)とともに、幾多の困難、挫折を乗り越えながら人工癌の実験に没頭する勝三郎。

精魂をつくした研究・実験の結果は、ノーベル医学・生理学賞の候補として推薦されますが・・・。

小沼雄一監督「感謝離 ずっと一緒に」(2020年、70分)☆☆★

2022-07-05 23:21:08 | 日本・2000年~


河崎啓一による同名エッセイの映画化です。「感謝離(カンシャリ)」は造語で「愛する人が遺していったものに感謝の思いを込めながら整理していくこと」を意味しているそうです。作者の河崎の言によれば、自身の内側から自然に出てきた表現だそうです。

定年まで銀行員として勤め上げた笠井謙三(尾藤イサオ)。いつも前向きに明るく夫を支えてきた妻の笠井和子(中尾ミエ)。9回の転勤があったものの、ようやく安定した老後の生活が始まろうとしていました。

そんなある日、新婚の頃に購入したピアノを和子が弾いていると、突然、倒れ込みます。脳梗塞でした。入院。リハビリを続けましたが、退院後も車いす生活が続くので、そのまま老人ホームで暮らすことになりました。

毎日優しく寄り添う謙三。しかし数年後、妻は他界しました。数か月後、妻の居なくなった自宅で、謙三はひとり、身の回りの整理を始めました。

30 年間使ったホーロー鍋、何冊もの家計簿、タンスの中の洋服。妻との想い出がつまった品々を手に取るたび、つらく懐かしい気持ちがこみ上げました。

謙三は、ひとつひとつに感謝の言葉を吹き込んでいきます。

三谷幸喜監督「清洲会議」(東宝、2013年、138分)☆☆☆☆

2022-06-27 22:49:32 | 日本・2000年~


清洲会議は、安土桃山時代の天正10年6月27日(1582年7月16日)に開かれた、織田家の継嗣問題および領地再分配に関する会議。この会議に題材をとりフィクションを付け加えて出来上がった作品。

舞台は清洲城(現在の愛知県清須市にあります)。

本能寺の変での織田信長の死後、筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)が後見に名乗りを上げ、織田家の継嗣および領地再分配の問題を決めるための会議を提案します。場所は清洲城。諸侯があつまってきました。

勝家は丹羽長秀(小日向文世)と画策し、信長の後継者として、三男の信孝(板東巳之介)を、秀吉は黒田官兵衛(寺島進)を参謀におき、次男の信雄(妻夫木聡)を推挙します。勝家は信長の妹・お市(鈴木京香)に接近し、秀吉は信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)に話をもちかけます。態度が煮え切らないのは池田恒興(佐藤浩市)。両サイドから揺さぶりをかけられ苦吟しています。

秀吉は寧(中谷美紀)が連れてきた三法師に目をつけます。三法師はまだ三歳ですが、信忠(信長の嫡男。本能寺の変の後、二条城にたてこもるも明智光秀に攻められ討死)の子で、その体には織田信長の血が流れているのです。後継者に三法師を推せば誰も反対はできまい、との魂胆です。

後継者を決めるための清須会議。両派の複雑な思惑が入り乱れ、いよいよ評決の段で、丹羽はだまり続けますが・・・。

三谷幸喜監督「大空港 2013」(2013年、140分)☆☆☆☆

2022-06-24 21:24:08 | 日本・2000年~


舞台は長野県松本空港。

空港を舞台にした映画はいくつか観ています。フィリップ・リオレ監督「パリ空港の人々」(フランス、1993年)、ジョージ・シートン監督「大空港」(アメリカ、1970年)、スティーブン・スピルバーグ監督「ターミナル」(アメリカ、2004年)など。空港は多様な人物が行き交うひとつの空間、ドラマは生まれやすい。

三谷監督はある固定した空間を設定し、そこに交錯し展開する人間模様をドラマ化するのが得意です。映画「ラジオの時間」、演劇「オケピ」など。

本作品「大空港 2013」は監督が得意とするこの空間ドラマですが、もう一つ大きな特徴があります。撮影が最初から最後までノーカットです。いわゆるカット割りがなく、当然、編集もありません。まわしっぱなしのカメラが俳優の演技、表情をとらえていきます。これは凄いことです(アレクサンドル・スースロフ監督「エルミタージュ幻影」2003年、もそうです)。

前口上はともかく、本作品のあらすじは?

佐賀での親族の葬儀を終えた一家が佐賀空港から羽田に向けてとびたちますが、羽田上空の天候不良で松本空港に着陸。そこのターミナルで待ち合わせをくらった、わけありのそれぞれの秘密を抱えた面々が繰り広げる人間ドラマです。三谷ワールド健在!

演じたのは竹内結子、香川照之、神野三鈴、オダギリジョー、生瀬勝久、戸田恵梨香など。みなさん個性的で好演です。笑えます。

石川慶監督「蜜蜂と遠雷」(東宝、2019年、118分)☆☆☆★

2022-06-06 22:52:49 | 日本・2000年~

恩田陸による同名長編小説の映画化です。

日本で開催されるピアノ国際コンクールで、若い男女のピアニストが繰り広げる人間ドラマが主題です。

中心になるピアニストは4人。

16歳の風間塵(鈴鹿央士)。父親が養蜂家でヨーロッパを転々と異動する家庭に育ち、手元にピアノがないので木製の玩具で楽器をつくり練習してきたという経歴です。正当な音楽教育を受けていませんがピアノの大家・ホフマンに見出され、師事しました。野性的な演奏が特徴。

20歳の栄伝亜夜(松岡茉優)。彼女はかつて少女の頃にこのコンクールに出場しましたが、突然の母の死の後遺症のため土壇場でキャンセル。最後の挑戦です。復活した天才少女が、コンクールの中で進化していきますが・・・。

28歳の高島明石(松坂桃李)。音楽大学出身でかつては国内有数のコンクールに入賞した実績があります。卒業後は楽器店勤務のサラリーマン。妻子がいます。家には防音の練習室がありピアノをやめないで続けていました。

そして、19歳のマサル(森崎ウィン)。ジュリアード音楽院に在学中で、完璧な技術と音楽性をもった優勝候補です。

二次予選での課題曲「春と修羅」のカデンツァの部分をどう弾くかの葛藤の部分、本選でのプロコフィエフ、バルトークなどのピアノ協奏曲の演奏部分は圧巻のひとこと。

さてコンクールの覇者は?

三村順一監督「カルテット」(松竹、2011年、112分)☆☆

2022-06-05 23:12:40 | 日本・2000年~


音大卒の二人の中年夫婦と娘と息子の四人家族、外見は幸せそうですが、父親はリストラにあいローンの返済、子どもたちの養育でピンチ。母親は息子にヴァイオリンを習わせ、夢をたくします。両親に反発する娘もかつてフルートを習っていましたが、やめてしまって突っ張っていきています。その家族が心をひとつにカルテットをくんで絆を深めていく物語です。

浦安市市制30周年を記念して製作されました。

家族の生活と気持ちがバラバラの永江家。

主人公は天賦のヴァイオリンの才に恵まれた中学生の開(高杉真宙)。音大出身の父・直樹(細川茂樹)はリストラで求職中。母・ひろみ(鶴田真由)は、自らが目指した音楽家の夢を、過剰なまでに開に期待します。姉・美咲く(剛力彩芽)は、開へのコンプレックスでやけっぱち。

開は家族をまとめようと、父はピアノ、母はチェロ、姉はフルートを練習し、クリスマス・イブに向けてサン・サーンスの「白鳥」の演奏を目指しますが・・・。

大森一樹監督「ベトナムの風に吹かれて」(2015年、114分)☆☆☆

2022-06-01 23:17:51 | 日本・2000年~


小松みゆきによるエッセイ「越後のBeちゃんベトナムに行く」をもとにした作品です。

ベトナムで日本語教師として働く佐生みさお(松坂慶子)は、父の死去の知らせを受けハノイから故郷の新潟に帰ってきました。そこで彼女は母シズエ(草村礼子)が認知症になり、父の死も理解できない姿を目の当たりにします。

母は後妻であるため、血がつながっているのはみさおだけでした。みさおは兄(柄本明)たちの反対を押し切り、新潟から出たことのない母を、ベトナムへ連れて行く決心をします。

ベトナムでは、母が突拍子もないことを起こしても現地の人々はおおらかにふたりを受け入れ、言葉が通じずなくとも心を通わせます。
みさおは若かりし頃の友人・小泉(奥田瑛二)と再会し、旧交を温めます。しかし母が不慮の事故にあい、認知症が進行し、介護生活に疲れきります。

それでもみさおは老いた母と向き合い、・・・。

濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」(2021年、179分)☆☆☆☆

2022-05-26 20:43:36 | 日本・2000年~
第74回カンヌ映画祭(2021年)で脚本賞受賞、パルムドール賞ノミネート、米アカデミー賞(2022年)で国際長編映画賞を受賞し、話題に。韓国の俳優が多数出演。
 
原作は村上春樹による同名小説です。主要舞台は広島、そして東京、北海道。

主人公は妻を若くして亡くした家福(かふく)悠介(西島秀俊)は、成功した俳優・舞台演出家。妻の音(霧島れいか)は脚本家で、多くのドラマを手がけていました。娘がいましたが、4歳で肺炎のため亡くなり、その辛さをひきずっていました。

夫婦の間には二人だけの習慣がありました。一つは悠介が台詞を覚えるとき、音が吹き込んだ相手役の録音を聴きながら対話する方法です。もう一つは、夫婦のセックスの最中に音がつむいだ物語を、悠介がメモし、音の脚本作りに活かすというものでした。

その妻が突然、悠介の留守中にくも膜下出血で急死。その朝、彼の出がけに「帰ったら夜、話したいことがあるの」が最後の言葉でした。

二年後、悠介は次の企画で広島に行きます。チェホフ「ワーニャ伯父さん」の公演のためです。悠介は市の中心からかなり離れた宿舎で停留し、愛車の運転に若い女性ドライバー(三浦透子)がつきます。スタッフと会い、オーディション、本読み、と進みますが、ワーニャ役の高槻(岡田将生)が事件を起こし・・・。

周防正行監督「カツベン」(東映、2017年、127分)☆☆☆★

2022-04-15 13:19:19 | 日本・2000年~
映画は当初、サイレントで映像のみ、せいぜいオーケストラの生演奏がバックにあった程度でした。日本では映画はかつて「活動写真」(シャシン)と呼ばれていました(映画会社「日活」は日本活動写真株式会社の略)。楽士の奏でる音楽に合わせ、活動弁士(活弁、カツベン)と呼ばれる語りの専門家が、うなりながら説明していました。

人気俳優に匹敵するエンターテイナーの活弁士がいて、それぞれにファンがついていました。

本作品は大正時代の活弁士を抱えた映画館とそこに生きる人間たちを喜劇的に描いています。

主人公は活弁士の染谷俊太郎(成田凌)。小さい頃から活弁士に憧れ、物真似から入って活弁技術を身につけたものの、ニセベン士として窃盗団の片棒を担がされます。

それでも一流の活弁士になることを目指す俊太郎。隣町のライバル映画館に客も人材も取られ閑古鳥が鳴く映画館・青木館に流れ着く。人使いがあらい館主夫婦(竹中直人、渡辺えり子)、傲慢で自信過剰な弁士・山岡秋聲(永瀬正敏)、気難しい職人気質の映写技師・浜本祐介(成河)といった曲者ばかりが残った青木館で、雑用にふりまわされる俊太郎。

そんな彼の前に、大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活弁士を追う警察、そして幼なじみで女優になった梅子(黒島結菜)が現れ……。

榊英雄監督「トマトのしずく」(2012年、91分)☆☆☆

2022-04-05 23:14:30 | 日本・2000年~


小西真奈美さんはわたしの好きな俳優です。石橋蓮司さんは味を出し、好演です。

舞台は東京目黒区中目黒、そして静岡県浜松市。

美容師のさくら(小西真奈美)は3歳年下の真(吉沢悠)と5年の交際を経て入籍。ふたりで始めたヘアサロンは軌道にのりました。仲間は「結婚パーティー」を計画。

さくらの悩み(怒り)は、父親・辰夫(石橋蓮司)が自分たちに無関心であることです。子どもの頃はいい父親でした。一緒に家庭菜園でトマトを育て、円満な家庭生活でした。それなのに、父は母が亡くなって塞ぎ込み、育てたトマトを抜いて、捨てたのです。さくら、中学生の時でした。以来、父と娘は断絶。

「結婚パーティー」に父親を呼ぶかどうかでもめます。

招待状を受け取った辰夫は亡き妻が残した家庭菜園の前で、長く会っていない娘の結婚を機に、直接会いに行こうと決心します。自分の想いを伝えようと。

辰夫は中目黒にあるさくらたちのヘアサロンを訪れます。娘のさくらに、面と向かってお祝いを言えない辰夫。素直になれないさくらは、辰夫を追い返してしまいます。真が父を追いかけると、辰夫は紙袋を渡してくれました。その中には辰夫が育てたトマトと「出席」に○をつけた招待状への返信葉書が入っていました。

「結婚パーティー」の当日、父の席は空席のまま。いったいどうして・・・・。