スマイリーな毎日

笑う門には福来たる

「キングダム・オブ・ヘブン」

2005-05-21 | 映画
kingdom_of_heaven

ローマ時代の剣闘士を描いた「グラディエーター」が大ヒットしたリドリー・スコット監督の歴史劇。
前作「マッチスティック・メン」は、ここ最近の彼の作品に比べると地味目な作品だったが、今作は再びスケールが壮大になっている。

主役は、ここんとこ、ずっとヒット作に恵まれている若手俳優オーランド・ブルーム。というわけで、映画配給会社は、「アイ・ラブ・オーリー」などといって彼目当ての女性客を狙っているようだが、ラブストーリーは少しあるものの、何だかとってつけた程度のもの。どちらかというと男性に受ける仕上がりになっていると思う。

舞台は12世紀、キリスト教徒(十字軍)とイスラム教徒のエルサレムをめぐる攻防を描いている。
問題になるのは、キリスト教もイスラム教も、その聖地がエルサレムとなっている事。そのためエルサレムを奪還しあうという宗教上の戦いが長年にわたって繰り広げられている。こういった歴史的背景を知っているのと知らないのとでは、映画の理解度が全然違ってきてしまうと思う。

オーランド・ブルーム演じる主人公バリアンは、妻が自殺し、天国へ行けないため(キリスト教では自殺は大罪)、その魂の浄化や、それに伴い生じた宗教上の疑問点を明らかにするために、十字軍に入ってエルサレムへ向かうが、最終的には、頭と心の中にその答え(キングダム・オブ・ヘブン)があることを知る。
ただ、その心の変化の過程は、いまいちうまく説明されていないような気がする。だが、それを考慮に入れても、ラストにかけての盛り上がりはすばらしく、また戦闘シーンの迫力は期待以上であり、十分楽しめる映画になっている。

そして、この作品でリドリー・スコットは、イスラム教とキリスト教が仲良く共存できる世界を目指しながら、現代まで何百年も同じ過ちを繰り返している人間の悲しさを描き、同時に、アメリカに対する反戦メッセージを込めているのだろう。

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