いせ九条の会

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これでは「美しい国」の言葉が泣きます/山崎孝

2007-03-25 | ご投稿
米軍再編特別措置法案に関する3つの報道を紹介します。

【米軍拒否は交付金なし 政府、自治体へ強気姿勢】(中日新聞ニュース)

衆院は3月23日の本会議で、在日米軍再編の関係自治体に対する交付金制度の創設を柱とする米軍再編特別措置法案の趣旨説明と質疑を行った。政府側は米軍施設を受け入れない自治体には、交付金を支給しない方針を明言。強気の姿勢が浮き彫りとなった。

同法案は米軍再編に伴って、沖縄県に集中する米軍施設や訓練を国内各地に移転することで、新たな負担が生じる自治体に交付金を支給。(1)再編計画の受け入れ(2)環境影響評価の着手(3)施設整備の着工(4)工事完了―の4段階に分けて交付金を上積みする仕組みだ。

本会議では、米軍再編問題の焦点である米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先で、現在の移設案に反対する名護市を念頭に、野党側が「受け入れに反対の市町村は交付金支給の対象になるのか」と質問した。

これに対し、久間章生防衛相は「(交付金は基地)負担を自ら受け入れる市町村の貢献に応えるものだ。(受け入れ)反対の市町村に交付するのは法の趣旨になじまない」と述べ、名護市をけん制した。

その一方、2014年までに完了する予定の米軍再編全体にかかる日本側の総負担経費については「現在、日米両国で精査中で答えられない」と逃げの答弁に終始した。

また、今回の再編法案は10年間の特措法だが、交付金の総額がいくらになるかについても、政府は概算を示していない。日本側の費用負担額などの明示をめぐって、攻防が激化することになりそうだ。

★【米軍再編法案:衆院で審議入り】(3月23日付毎日新聞ニュース)

在日米軍再編促進特別措置法案は23日午後の衆院本会議で趣旨説明と質疑を行い、審議入りした。在日米軍再編に伴い基地負担が増える市町村への新たな交付金制度(再編交付金)などを設けるもので、政府は早期成立を目指している。

法案は2017年3月末まで10年間の時限立法で、関係市町村に再編の進ちょく状況((1)政府案の受け入れ(2)環境影響評価に着手(3)施設の着工(4)再編完了)に応じて交付される再編交付金制度と、在沖縄海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能とするために国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を設けることが柱。関係市町村の公共事業などの国の補助率引き上げも可能となる。

国会審議では、60億9000万ドルに上るグアム移転の日本側負担の是非などが争点となる見込み。また、政府は米軍再編に伴う日本側負担の総額も算定できておらず、この点も議論になりそうだ。民主党は反対の方向で調整しており、国会審議の先行きは不透明だ。【山下修毅】

★【米軍再編法案審議入り/衆院本会議 赤嶺議員が撤回要求】(3月24日付「しんぶん赤旗」ニュース)

在日米軍再編促進法案の審議が二十三日、衆院本会議で始まりました。質問に立った日本共産党の赤嶺政賢議員は、米国の先制攻撃戦略に日本を深く組み込むなど再編計画の危険を指摘し、「計画そのものを撤回すべきであり、その推進のための法案など、もってのほかだ」と批判しました。

法案は、在沖縄海兵隊のグアム移転費を日本側が負担するための措置とともに、在日米軍再編の対象になっている基地を抱える市町村に「再編交付金」を交付する仕組みなどをつくるものです。

赤嶺氏は、政府のいう「沖縄の負担軽減」どころか、負担押しつけが次々と進んでいる実態を告発。そのうえで、グアム移転計画に関連し、▽米軍の「撤退」費を負担した国際的な例も、法的根拠もない▽在沖縄海兵隊の移転は、グアムの米軍基地増強の一部を担うものにほかならない―ことなどを追及しました。

このなかで、沖縄の米軍基地が、米軍占領下に銃剣とブルドーザーによって住民の土地を強奪してつくられたことを示し、「強奪した土地から引きあげる米軍の『撤退』場所の確保まで日本の税金でみるなど、許されない」と批判しました。

さらに再編計画を受け入れた自治体だけに交付する「再編交付金」について、「地方をカネの力でねじ伏せるものだ」と批判しました。

麻生太郎外相は、米軍の国外移転費を負担した国際的な事例について「把握していない」と述べ、前例がないことを認めました。また、グアム移転費の日本側負担について「安保条約や地位協定の適用となるものではない」「財政法上、明示的に禁じる規定はない」と述べ、法的根拠を示せませんでした。(以上)

米軍再編特別措置法案に関して政府の政治姿勢のひどさが浮き彫りになっています。

グアム移転費の日本側負担について「安保条約や地位協定の適用となるものではない」「財政法上、明示的に禁じる規定はない」と述べ、法的根拠を示せません。米軍の国外移転費を負担した国際的な事例について「把握していない」と述べ、国際社会では前例がないことを認める。このことは法律に基づかない米国への恣意的な配慮によることを物語っています。日米両政府は世界に向かって共通の価値観として「法による支配」を挙げていますが、自らはこの体たらくです。

2014年までに完了する予定の米軍再編全体にかかる日本側の総負担経費については「現在、日米両国で精査中で答えられない」と日本の負担総額が明らかになっていない。

政府側は米軍施設を受け入れない自治体には、交付金を支給しない方針を明言して、自治体が米軍の基地機能強化を受いれるように圧力をかける。

安倍首相は「美しい国」に作るには、民族としての誇りが大切だとしています。しかし、米軍再編特別措置法案に関する政府の態度は、日本人に誇りを持たせることはとても困難です。この政府の態度では、安倍首相の唱える「美しい国」の言葉が泣きます。

安倍首相は戦後体制からの脱却を唱えていますが、そうであるならば、戦後から一貫なして歴代政府が取ってきた対米従属の姿勢は、世界の人たちから物笑いになっていて、先の首相は飼い主に尻尾をふる「ポチ」などと揶揄されてしまっています。この悪癖こそ脱却しなければならないのです。このことをほっておいて世界の人たちからも評価されている憲法を変えることは本末転倒なのです。