いせ九条の会

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集団的自衛権行使が出来る憲法になれば、在日米軍の基地が減らせる?/山崎孝

2007-03-15 | ご投稿
(朝日新聞3月14日掲載「ニッポン 人・脈・記」より)

2月9日。石破茂(50)は衆院予算委員会で、思いのたけをぶつけるように首相安倍晋三に質問した。

 「戦争を経験した世代が生きているうちでなければ、集団的自衛権の議論は進めることができないと私は思う。総理がきちんと語り、ビジョンを示してほしい」

 議員会館の自室には自衛隊艦船のプラ模型がずらりと並ぶ。たいていの自衛隊艦船や航空機の性能をそらんじる。銀行マンから政界入りし、「軍事オタク」ともやゆされる元防衛庁長官。その石破がしかし、「戦争経験世代が生きているうちに」とは?

 集団的自衛権とは、国と国が助け合って他国の攻撃に反撃する権利だ。日本は悪法9条で「行使は禁じられている」とされている。

 「フィリピンで徴用した人が大勢死んだ。こちらの教科書は1行でも、向こうは10行も書く。そういうことを知らずに集団的自衛権をいえば、日本がまた大東亜共栄圏を持ち出すと思われるでしょう」。戦争経験者は毎日2千人ずつ亡くなっていく。集団的自衛権容認には、アジアの痛みを忘れないことが必須だと石破は思う。

 では、なぜ集団的自衛権を認めるべきなのか。石破は日米安保条約をあげる。米国は日本を守る。日本は米国を守らない。代わりに基地を置かせ、自由に使わせる。

 「日本は『なぜ三沢基地にF16戦闘機を置くのか』というようなことも米国に聞けないんですよ。領土をかってに使わせる。これで独立国家なんですか」

 04年秋まで2年間、防衛庁を率いた石破が米軍基地のありように怒る。「集団的自衛権を認めて対等になれば、在日米軍基地を減らせと米国に言えるんです」。根底には、「第二の独立を果たせ」というナショナリズムがある。(以下略)

記事は《集団的自衛権とは、国と国が助け合って他国の攻撃に反撃する権利だ》と述べていますが、米国が他国から攻撃を受ける場合とは逆に、同盟国の米国が正義をかざして他国に侵攻する場合や、他国の内政問題に介入して軍事行動を起こす場合に日本が集団的自衛権を発動することがありえます。集団的自衛権を考える時はこのことを念頭にいれて置かなければと思います。

集団的自衛権の行使が出来る憲法になれば、安倍首相も言っていますが、米国と対等な立場になり、日本政府は米国にしつかりとものが言えるでしょうか。集団的自衛権行使が盛んに論じられることと並行して、自衛隊と在日米軍の一体化が進んでいます。一体化に大きな障害になってくるのが日本の集団的自衛権が行使出来ない憲法です。米軍の有事即応の世界戦略に伴い米軍の世界的な編成替えも行われて、それに伴う米軍のグアム移転費用までが日本政府は押し付けられています。そして、米軍の世界戦略に合わせて在日米軍の基地機能拡大も計画されています。

以前、自衛隊の幹部は、朝日新聞の取材に対して、在日米軍の再編で自衛隊と米軍の一体化が進めば進むほど、日本政府は米国と違う政策判断が困難になると述べています。これらを見れば日本政府が毅然として米国に物を言えることを信じるわけにはいきません。

「ニッポン 人・脈・記」には、《米国の世界戦略に協力する同盟なのか。第二の独立なのか。防衛省を「新しい国造りの第一歩」という安倍の見つめる先に何があるのだろう。》と書いてありますが、「第二の独立」なるものは単なる願望に終わるでしょう。