いせ九条の会

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6者協議の合意後の進捗状況/山崎孝

2007-03-16 | ご投稿
【査察官受け入れの用意 訪朝のIAEA事務局長】(3月14日付中日新聞ニュース)

【北京14日共同】北朝鮮を訪問していた国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は14日、訪朝を終え、北京に戻って記者会見し、北朝鮮が6カ国協議合意を履行しIAEA査察官を受け入れる用意があると表明したことを明らかにした。北朝鮮は一方で、合意履行は金融制裁解除など他の条件の進展次第としたという。事務局長は訪朝を「有益だった」と評価した。

朝鮮中央通信によると、事務局長は同日、平壌の万寿台議事堂で最高人民会議常任委員会の金永大副委員長と会談した。同通信は会談内容を伝えていない。

★【北朝鮮金融制裁:解除のカギ握る中国 日本、難しい立場】(3月16日毎日新聞ニュース)

【北京・大塚卓也】北朝鮮金融制裁問題で、米財務省がマカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)の凍結口座の扱いについてマカオ金融当局に一任したことで、いつ、どのような形で凍結解除するかの判断は、中国政府の意向が左右することになりそうだ。

中国外務省の秦剛副報道局長は15日の記者会見で、BDAの北朝鮮関連口座の扱いについて「マカオ当局が適法妥当に処理することを支持する」と述べ、特別行政区であるマカオ金融当局の自主性を尊重する姿勢を示した。一方で、「6カ国協議の進展と、マカオの金融・社会の安定の両面に着目すべきだ」とも述べ、6カ国協議への最大限の配慮を求めた。

北朝鮮の対応などを見極めながら解除の時期と範囲を決める必要性をにじませた発言とみられる。

    ◇

日本政府は、米国がマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮関連口座の凍結解除を事実上容認したことについて「これによって急に今までの流れが変わることはない」(塩崎恭久官房長官)と比較的冷静に受け止めている。ただ、15日から始まった作業部会とその後の6カ国協議で、凍結の全面解除を求める北朝鮮がどう出るかは「まったく読めない」(外務省幹部)のが実情。拉致問題をめぐる日朝協議が難航しているだけに、警戒感の裏返しでもあるようだ。

「あらかじめ想定していたことだから、日朝交渉も含めて影響があるとは考えていない」。今回の米国の措置について、安倍晋三首相は同日夜、首相官邸で記者団にこう語った。

対照的に、麻生太郎外相は同日の参院外交防衛委員会で「6カ国協議は北朝鮮の非核化のために始まった。6カ国協議が動いたという点では評価すべきだ」と述べ、一定の評価を示した。

首相と外相の発言の違いは、6カ国協議を通じて北朝鮮の非核化と拉致問題の解決の双方を追求する日本政府の立場の難しさを象徴している。増元照明・家族会事務局長は「(凍結解除は)拉致問題の解決には悪い方向だ」と不満を表明した。政府関係者は「今後も北朝鮮のマネーロンダリングを抑止する効果は継続する。しかし、国内世論を考えると首相の発言は引き気味にならざるを得ないだろう」と解説してみせた。【中田卓二】(以上)

毎日新聞の記事には《増元照明・家族会事務局長は「(凍結解除は)拉致問題の解決には悪い方向だ」と不満を表明した》とありますが、増元照明氏が私の住む地域の講演会で述べた「拉致問題の解決は北朝鮮政権が倒れないと解決できない」という考えを根底にしていると悪い方向といえます。しかし、今まで拒否されてきた日朝交渉が6者協議の合意で再開できています。これを東アジアの平和と安定への活用の場、拉致問題への合理的な解決の場として生かせれることは出来ます。

日本政府が毎日新聞記事に《北朝鮮の非核化と拉致問題の解決の双方を追求する日本政府の立場の難しさを象徴している》と書かれたようになったのは、北朝鮮に対する強硬路線、圧力一本やりで、拉致問題を解決しようとしていた路線が招いたものです。以前、北朝鮮との交渉に臨む外交官が述べたような「今回は机を叩いていればすむから楽だ」というようなやり方ではいけなかったのです。昨年12月からの米国政権内のライス国務長官とヒル国務次官補の対応、相手の真意を掴むために柔軟な対応をしたことを見習うべきだと思います。そのためには交渉で問題を解決するという“不退転の決意”が必要だと思います。米国政府がこの決意をしたから6者協議はここまで好転してきたのだと思います。北朝鮮は5カ国に真摯に対応してこのチャンスを逃がしてはいけないと思います。

6者の合意が実現すれば北東アジアの平和と安定は大きく前進します。これは、泥沼に陥ったイラクと対比させて、平和憲法の理念の正しさの一つの証明になることを期待しています。