いせ九条の会

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人類滅亡までの「終末時計」/山崎孝

2006-10-28 | ご投稿
【小沢代表:中国全人代委員長と会談】毎日新聞10月28日付け電子版

訪中している民主党の小沢一郎代表は27日、人民大会堂で中国の呉邦国全国人民代表大会常務委員長(国会議長)と会談し、麻生太郎外相や中川昭一自民党政調会長が核武装論議を容認していることについて「残念に思う。賛同しない」と批判した。北朝鮮の核実験に関しては「中国が火遊びをやめさせるよう努力してほしい」と要請した。

これに対し、呉委員長は「米国が敵視政策を取っているという北朝鮮の認識が変わらなければ問題は前に動かない。(マカオにある北朝鮮の)2400万ドルの口座を凍結しても問題の解決にはならないと米国には言っている。米国は(経済制裁という)小さなことにこだわって大きな損をしないことが重要だ」と述べ、北朝鮮の6カ国協議復帰に向け、米国に柔軟な外交姿勢を求めている立場を明らかにした。

また、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記と唐家セン国務委員との会談について「北朝鮮は現段階では2回目の核実験をしないと言っているが、米国の出方次第だとも言っている」と述べ、米国が経済制裁の強化などで圧力を強めた場合は再実験の可能性があるとの見方を示した。

★共同通信の27日付け電子版は、小沢代表は中国全人代委員長と会談で、核保有を排除しないとする麻生太郎外相の発言について「一昔前ならハチの巣をつついたような騒ぎになった。国民が(発言を)受け入れる風潮が出てきている。大きな岐路にさしかかっている」と危機感を示した、と報道しています。

★【核全廃決議:国連総会委が決議】毎日新聞10月27日付け電子版

国連総会第1委員会(軍縮・安全保障)は26日、核兵器全廃を目指し、日本が提出していた決議案を圧倒的な賛成多数で採択した。決議は94年から毎年採択されているが、今年は「北朝鮮が10月9日に実施を発表した核実験を非難する」との文言が加えられ、米国と北朝鮮がそろって反対した。

決議には169カ国が賛成し、米朝とインドの3カ国が反対、中国やキューバなど8カ国が棄権した。米国は決議が核実験全面禁止条約(CTBT)の早期署名、批准を求めていることを理由に反対を続けてきた。北朝鮮はこれまで棄権していた。

「核兵器のない平和で安全な世界の実現」を目指す決議は「核兵器の拡散により、危険が増大しつつある」と懸念を示し、特に北朝鮮の核実験を非難した。

★首相「議論封殺できない」共同通信10月28日付け電子版報道 安倍晋三首相は、共同通信加盟社編集局長会議で講演し、日本の核保有をめぐる論議に関し「政府としても自民党の機関でも議論する考えはないが、それ以外の議論を封殺できない。非核三原則の方針を堅持する方針は不動だ」と表明した。閣僚や自民党幹部の一連の発言が、政府や党の核保有を求めたものではなく、問題はないとの認識を示したものだ。(後略)

安倍首相は「非核三原則の方針を堅持する方針は不動だ」とのべて、核保有を排除しないとする麻生太郎外相の発言などを黙認、非核三原則を堅持するとして表面的には取り繕っています。私は最大の問題点は、安倍政権が、日本が国連に提案した「核兵器全廃」を目指して取り組む考えを、真剣に一丸となって取り組む考えを持っているのであれば、それに横を向く閣僚やその与党の自民党幹部の一連の発言は、重大な問題と受け取るのが普通です。

政府が世界に宣言した”真剣に核廃絶を取り組む姿勢と実践という基準”から、見て、安倍首相の姿勢、閣僚らの発言を評価しなければならないと思います。

民主党の小沢代表が述べた、「一昔前ならハチの巣をつついたような騒ぎになった。国民が(発言を)受け入れる風潮が出てきている」と述べていますが、一番の問題は政治家たちの姿勢です。仮に国民の一部にそのような風潮が出ているとしたら、オピニオンリーダの政治家は、日本の国是であり、世界が取り組むべき課題「核廃絶」の理想と恒久平和を獲得する理念に向かって、国民を説得し励ます義務を負っていることを忘れてほしくはありません。

朝日新聞10月25日の「海外メディア深読み」には次のような文章があります。《米国の原子力科学者会が1947年から公表している時計は、冷戦終結後の1991年、人類滅亡の「17分前」を指していた。その後、インド、パキスタンの核実験や核の闇市場の浮上などで、時計の針は幾度か進められ、いま、終末の「7分前」にある》。

同記事はロサンゼルス・タイムズ紙に掲載されたジョゼフ・リシンシオ氏の言葉を紹介し「核兵器はとても重要で役に立つが、君は持ってはいけない。こういう二重基準は持ちこたえられない」と批判する。米国は核軍縮を進め、そのメッセージを世界各国に伝えるべきというのだ、書いています。

米国は核兵器を開発する未臨界核実験を止める。すべての核保有国が核抑止力の二重基準から脱却しない限り「終末時計」の針は止められません。核抑止力論は人類の滅亡の危機と隣り合わせにある考え方です。