いせ九条の会

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北朝鮮の軍事情報から考える/山崎孝

2006-10-16 | ご投稿
「みえ九条の会」のホームページで案内されていた、サイトを辿って行き、得られた北朝鮮の軍事情報の要点を紹介します。

【北朝鮮の軍事戦略】

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、世界最大の軍事国家である。北朝鮮は、数の点で強大な戦力を保持している。1,200,000人以上が現役部隊で勤務し、予備役部隊は計5,000,000人以上を有する世界第4位の軍事力である。

北朝鮮軍の大部分は、非武装地帯(DMZ)の65km以内の攻撃陣地に前進配置されている。この境界線沿いの集中は、韓国に対し向けられた軍事戦略を支援する。

【北朝鮮空軍】

北朝鮮空軍の主要任務は、本土の防空である。二義的な任務は、地上軍及び海軍に対する戦術航空支援、輸送及び兵站支援、並びに特殊作戦部隊の浸透を含む。

戦闘機、地上攻撃機、輸送機、攻撃ヘリ、及び輸送ヘリ連隊は、730機以上の軍用機、約300機のヘリ、及び兵員92,000人から編成される。北朝鮮の空軍基地は国中に位置するが、大多数は南部地域に存在する。平壌は、強化シェルターに軍用機を防護する能力を有する。

北朝鮮は、航空機を自主生産していない。その航空機保有量は、巨大である関わらず、1950年代及び1960年代に旧ソ連又は中国の技術を使用して製造された多くの航空機から成る。

戦闘機は、地対空ミサイル並びに膨大な機動及び固定高射砲も含む北朝鮮の防空網の不可欠な一部である。戦闘機は、北朝鮮の海岸線、軍事施設、及び重要都市地域を防護するために、戦闘空中警戒任務を行う。

輸送航空隊は、270機以上のAn-2/コルト軽輸送機と10機のAn-24/コークを含む1950年代及び1960年代生産の旧ソ連の輸送機を有する。コルトの短距離、荒れ地離着陸能力は、特殊作戦部隊を輸送する任務に特に適している。それは、10人の戦闘員を乗せ、1時間に160 km飛行する。北朝鮮空軍は、少なくとも6個コルト連隊と少なくとも6個攻撃及び輸送ヘリ連隊を有する。

【北朝鮮海軍】

 46,000人の北朝鮮海軍は、主として沿岸海軍である。北朝鮮海軍は、8個作戦司令部を有する東海艦隊と、5個作戦司令部を有する西海艦隊に組織される。東海艦隊は、羅津と元山に主要基地を有し、退潮洞に本部を置く。西海艦隊は、琵琶串と沙串里に主要基地を有し、南浦に本部を置く。数多くの小規模な海軍基地が、両岸に沿って位置する。艦隊は、地理的制限により相互支援がほとんど不可能なため、艦艇を交替することはない。北朝鮮海軍は、海兵隊も海軍航空隊も有さない。上陸作戦は、海軍要員に加え、特殊作戦部隊により実施される。

ほとんどの北朝鮮海軍の艦艇は、海岸から50海里以上で運用できないが、北朝鮮の領海を警備できる小型哨戒艇規模の艦艇である。海軍の数多くの両用戦用艦艇と小型潜水艇は、韓国に特殊作戦部隊を隠密裡に浸透させることを意図している。北朝鮮は又、海岸砲兵とミサイル基地を維持している。海岸防衛砲兵は、122-mm、130-mm、及び152-mmシステムを含む。地上設置海岸防衛ミサイルは、SSC-2Bサムレット、CSSC-2シルクワーム、及びCSSC-3シーアザッカーを含む。

北朝鮮海軍の大部分は、魚雷艇、哨戒艇、高速攻撃艇、及び小型上陸用舟艇を含む小型艦艇から成る。北朝鮮の攻撃型潜水艦は、4隻の旧ソ連製ウィスキー級、22隻の中国製ロメオ級、及び北朝鮮製のロメオ級潜水艦を含むものと見積もられる。1960年代に獲得されたウィスキーは、12発の魚雷又は 24基の機雷を搭載できる。

現在のところ、北朝鮮は、200隻以上の兵員上陸用舟艇を自主生産している。これは、旧ソ連のP-6魚雷艇の船体をベースにした約100隻のナムポ兵員上陸用舟艇を含む。ナムポは、40ノットの最大速度と28ノットで335海里の行動半径を有する。ナムポは、基本戦闘装備の30人の兵員を各々運搬し、限定的な上陸戦能力を提供する。CFC(註 国連軍=米軍)に対する強襲上陸は、恐らく小規模な、2から6隻のナムポ艇が加わる隠密上陸であろう。チャホ又はその他の海軍艦艇は、射撃支援を提供する。その他の上陸用舟艇は、3から4台の軽戦車を運搬できる8隻のハンテ中型上陸艦、及び約125隻のコンバン上陸用ホーバークラフトを含む。(以上)

軍事情報を読めば、北朝鮮の軍事力は基本的には韓国と在韓米軍に対して向けられていることがわかります。だから北朝鮮が核実験を行ったことに対する国連安保理の制裁決議に対して、韓国の韓明淑首相は「決議は軍事制裁を含めるべきではない。朝鮮半島で戦争があってはならない」と釘を刺したのです。

「北朝鮮軍の大部分は、非武装地帯(DMZ)の65km以内の攻撃陣地に前進配置されている」北朝鮮軍が、韓国軍、在韓米軍に対応を行い、更に日本を攻撃することが出来るでしょうか。大量に兵員を輸送する艦船を保有せず、その艦船を護衛する体制も持っていません。自前でも航空機を生産できる能力を持たない北朝鮮、平時においてもエネルギー不足と食料不足が生まれている北朝鮮が戦争継続能力を持たないことは明らかです。

日本にミサイル攻撃を行っても占領支配できなければ戦争する意味を持ちません。世界一の国力を持つと思われる米国でも、イラクを攻撃し占領支配を行い、戦争の目的を達しようとしましたが果たしていません。

一番肝心なのは、やぶれかぶれの北朝鮮の暴発を防ぐことだと思います。そして、国際社会が一致して、北朝鮮の指導部に対して核兵器の保有を止めることが一番の北朝鮮の利益になることを理解させなければならないと思います。この方向に国連の制裁決議が機能するよう祈らざるをえません。

日本の政治家が北朝鮮の核実験に悪乗りして、軍事的な言葉を述べて国民を軍事志向の潮流に誘導することを許してはならないと思います。