いせ九条の会

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安倍首相イラク戦争を支持したことは正しい/山崎孝

2006-10-05 | ご投稿
安倍首相は、9月3日、代表質問の中の日本政府のイラク政策について、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があった。武力攻撃を支持したのは正しい決定だったと考えている、と答えました。

世界の人たちは、当時、イラクに大量破壊兵器が存在するのではないかと疑いましたが、それでも大半の国連加盟国は、武力攻撃は支持せず、国連の査察機関が一定期間調べれば判明すると言っている結果を待つことにしました。そして、今までの安保理決議ではイラクに武力攻撃することは出来ないと国連加盟国の大半は認識していました。このため日本などは米国を支援するために、当時の安保理事国に経済援助までぶら下げて、イラクに武力攻撃を可能にする新たな決議案を提案し、賛成するよう外交工作をしました。しかし失敗します。イラクに大量破壊兵器が存在の結果は周知のとおりです。

安倍首相は、2006年9月、アナン国連事務総長の述べた、「基本的人権をないがしろにしたテロとのたたかい」がテロ行為を生み出す結果となっている。アナン氏が安保理に提出した報告書「イラクはいま、世界で最も暴力の激しい地域だ」「暴力が続けば、国の分裂の危険、内戦の可能性さえある」と厳しく警告したことを、真剣に受け止めなければ、自民党政府は同じ誤りを繰り返すと思います。

米国の世論でさえブッシュ政権の支持は低落しています。米国は11月に中間選挙が行われますが、共和党の選挙戦術はイラク問題で強い逆風を受けるブッシュ大統領の露出を控えて逃げ切りをはかろうとしています。

先制攻撃のイラク戦争を行った米国がこのような事態になっています。それなのにイラク戦争をいまだに支持するような自民党政府に集団的自衛権の行使の権利を与えてはならないと思います。米国は軍産複合体制のもとで絶えず覇権的な政策をとる国です。

9月23日付け毎日新聞電子版は、AP通信の報道を伝えています。AP通信は独自集計として、イラクとアフガニスタンでの米兵の戦死者が、同時多発テロの犠牲者の2973人を超えて、2974人(内訳イラク2696人、アフガニスタン278人)となった。一方、イラク民間人死者は国連の発表を引用して、2006年7月と8月の2ヵ月間だけで6599人を上回った。米兵の戦死者のうち、34%が貧困層の出身者で、極めて高い所得を得ている世帯の戦死者は17%と指摘しています。

米国の新自由主義経済の結果を反映した米兵の戦死者の状況です。

10月2日の共同通信電子版は、米国防総省の行った聞き取り調査の結果、4分の3の米兵採用担当官が兵士の死亡が続いているイラク戦争などで応募者が減っていると答えています。そのためにノルマを果たすために担当官は、応募者の医療記録や犯罪歴を隠蔽する書類の偽造を行っていると米政府監査院の報告を伝えています。米軍は採用時に多額の一時金の支払いや奨学制度、タトウー(入れ墨)許可など、入隊資格緩和で年間約30万人の入隊者を何とか確保していると報道しています。

これら米国の様相は、日本人が参考にすべき事柄ではないでしょうか。

露出といえば安倍首相の国会答弁は、中韓両国訪問も控え、また補選を控えて、自虐史観批判の歴史認識の露出を抑え、従来の政府見解である「河野官房長談話」「村山首相談話」「2005年小泉首相の談話」を引き継いでいます。このことは昨日もブログで述べましたが、安倍晋三氏の個人としての歴史認識を公の場では通用しないことを物語るものです。ご自身の歴史認識を一時でも封印したことはご自身の歴史観の敗北です。

10月3日の朝日新聞記事には、本年1月下旬に安倍氏は《「『会わない』と言っている国に行くのは、『朝貢外交』だ。靖国で譲っても構造的な問題が変わらない限り終わらない」と答えた。安倍氏は、これまでアジア外交などで筋を曲げない姿勢を「生命線」としてきた。政権発足直後の訪中に、首相のブレーンは不満を漏らす。「ものすごく裏切られた気分だ」》と書いてあります。ブレーンの気持ちを裏切らない限り、小泉首相の壊したアジア外交は再建できないことを物語ります。

後は公の場で表明した歴史認識を客観的に裏切らない靖国神社参拝を行わないことです。言行一致を行うことこそ一国の首相として望まれます。もうひとつ大切なことは、隣国が警戒している海外で武力行使を行える国にしないことです。