いせ九条の会

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日本は北朝鮮の周辺国、周辺国の中韓露との協調の方が大事/山崎孝

2006-10-19 | ご投稿
【周辺事態:認定に自民、圧力重視の強硬ムード】(毎日新聞電子版10月17日付け)

政府は米国が北朝鮮に出入りする船舶への検査を実施する場合、初の周辺事態の認定に踏み切る考えだ。しかし、もともと今回のように「有事」に至っていないケースは周辺事態法の想定外。与党内には認定への異論や武力衝突への発展を危惧(きぐ)する声もあるが、圧力重視の強硬ムードに押されている。さらに、政府・自民党からは自衛隊の権限拡大を図る特別措置法の必要論も出ている。

周辺事態法は周辺事態を「我が国周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態」と定義。99年4月の政府統一見解は6類型を挙げたが、認定基準はあいまい。今回は「国連安保理で平和への脅威と決定され、経済制裁となる場合」を根拠とする方針だ。

同法は93~94年の北朝鮮核危機の際、米朝戦争に備えた米軍支援法がないことに慌てた教訓を踏まえて制定された。防衛庁幹部は「朝鮮半島有事と台湾有事を念頭にした概念」と明言しており、核実験段階での認定は法解釈の拡大と言える。

01年の米軍のアフガニスタン攻撃の際、政府・自民党は特措法では時間がかかるため、当初は周辺事態法を適用してインド洋への自衛艦派遣を検討した。今回も同様の構図で、米軍支援に遅れることへの焦りがある。

法解釈の拡大は、なし崩し的な自衛隊派遣を進めることになるだけに、公明党の太田昭宏代表は「核実験をしたという一点だけで、というのは少し慎重でなければいけない」と指摘する。

一方、周辺事態での自衛隊による米軍支援と船舶検査を定めた船舶検査活動法は、「日米同盟の実効性確保」と「海外での武力行使禁止」の間の妥協の産物だ。自衛隊は警告射撃や正当防衛、緊急避難以外の危害射撃ができず、船舶検査には相手の承諾が必要など強制力が伴わず、防衛庁内では「使えない法律」と皮肉られるほどだ。

このため、政府・自民党内では強制力を持たせるための特措法制定や法改正の議論が活発化。まずは周辺事態法で迅速に対応し、並行して特措法を検討する2段構えの考えだ。自民党内で検討中の特措法案は同意がなくても対象船舶に立ち入ることが可能で、武器使用基準も緩和するなど、憲法に肉薄する内容となっている。(以上)

国連憲章第7章《第41条〔非軍事的措置〕安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ》、と規定してある。そして《防衛庁幹部は「朝鮮半島有事と台湾有事を念頭にした概念」と明言》という考え方である、周辺事態法を拡大解釈して、わざわざ軍事紛争に発展する可能性のある事態、米国の船舶検査の支援に自ら協調することはありません。

安保理決議の船舶検査は自国の法律に基づいて行えるようになっています。しかし、《今回も同様の構図で、米軍支援に遅れることへの焦りがある》と指摘されたように、米国への協調を重点に置いています。

安保理決議も軍事紛争に発展することを想定して、わざわざ安保理決議は軍事的措置である、国連憲章第7章第42条を除外しています。

米CNNの世論調査によれば、米国民は、米国に届くミサイルが完成されていないこともあり、今回の北朝鮮の核実験を米国への「差し迫った脅威」と考える人は20%です。仮に軍事紛争に発展しても米国民は火の粉をかぶる可能性は極めて低いと考えられますが、北朝鮮周辺国である日本、中国、韓国、ロシアは火の粉をかぶり、大きな影響がでます。それゆえに6カ国協議を行い東アジアの平和と安定を獲得しょうとしています。

周辺国ではない米国が加わっているのは米国の行動如何により平和か戦争かの鍵を握るからです。北朝鮮が周辺国でない米国に自らの安全の保証を求めていることでもこのことは明確です。

これを考えれば、チャンスさえあれば北朝鮮を叩きのめすことを考えている気の荒い米国の協調することより、周辺国の3カ国の協調に比重を置いた行動をしなければならないと思います。

すでに紹介しましたが、久間防衛庁長官は10月17日の衆院安全保障委員会で、海上自衛隊が補給している米艦船が攻撃された場合について、「(自衛隊が)自分が攻撃されたとみなして反撃するのが自然だ。『自分が攻撃されていないから知らない』ということが、現実に選択できるのか」とのべて個別的自衛権の範囲で認められるというような考え方は、日本の平和と安全を脅かします。
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