Cプロは「加古川本蔵編」ともいうべき構成、Dプロは「若手チャレンジ編」となっているようです。
「普段はなかなか上演できないものをやる」とか「若手に機会を与える」とか、とっても中村座らしい構成なのかも、という気がします。
(もちろん、Aプロ・Bプロの「オーソドックスな歌舞伎を歌舞伎らしくやる」っていうのも、中村座のひとつの顔だと思いますが)
まずはCプロですが、34年ぶり(!)の上演だという二段目が御馳走でした!
この段が入ることによって、直情径行な主(若狭之助・塩冶判官)に仕える二人の家老(本蔵・由良之助)とその一家の運命の数奇さ、悲しさがはっきりしますね。
若狭之助の刃傷沙汰を最初に止めたのは塩冶判官で、怒りの収まらない若狭之助のためを思って師直に賄賂を贈ったのが本蔵で、師直に切りかかった塩冶判官を助けたい一心で羽交い絞めにしたのが本蔵で...っていう流れの、皮肉とも悲惨とも何ともいいようのない感じとか。
小浪と力弥にしても、二段目で初めて会って、小浪はすっかり一目惚れしているところが見えるおかげで、二人が会ったのはその一度きり(らしい)、夫婦として過ごすのはその次(山科閑居)に会った一夜だけ、っていう可哀想さがくっきり。
こういう「お話がはっきりわかる」ことって、通し狂言のとっても良いところですよね。
Dプロはおかる・平右衛門の兄妹を、中村屋兄弟で演ってくれたのが良かったかも。役の年齢と実年齢が近い二人でもありますし。
田舎で育った素朴な兄妹が「主の仇討を果たす」っていう大義のために郭に売られたり、妹を手にかけようとしたり、と、よく考えると相当悲惨な運命スレスレな感じなんですが、由良之助の裁量に救われ、報われるだけではなく、兄妹のもつ「庶民の明るさ」みたいなものが救いになっている気がするのです。そのあたりの明るさを、中村屋兄弟は表現していたんじゃないのかな。
それにしても七之助君は、いま「若く(年齢低め)てきれいで優しい女」を演らせたら一番かもしれませんね。
そうそうそれから、七段目で由良之助が最初に着ている着物って、紫地に裾にシブイ茶が入っていて、この秋のオシャレ配色!って感じではないですか?
やはり流行は繰り返すんですかね(違)(^^;)
さて10月の中村座、これでAプロ~Dプロまで全部観ました。お財布へのインパクトは特大級ですが(^^;)、悔いナーシ!!!
来月は久しぶりの「法界坊」ですよ!!これまた楽しみです。