女を捨てず・女に甘えず・らしさを活かす

女性スタッフがビジネス社会で実際に体験したことを中心に「見たこと」「聞いたこと」「感じたこと」をありのままお伝えします。

後悔先に立たず

2014-10-22 | 日記
中村です。


ある会社で新卒入社3~4年目社員の研修を企画し実施した。
当然何の問題もなければ、企業側が「研修しよう!」と言う気
にはならない。同年代社員の離職者が続いたため、入社後を振
り返り、成長度を確認するとともに新たな目標設定することで
初心に戻って今一度働く意欲を喚起しようがねらい


研修の結果、若手社員本人の問題もさることながら、「魅力的
な目標設定がなされていない」「やってもやらなくても評価が
同じ」など、指導側の問題が大きいということがわかった


そこで、新たに指導する管理者用のプログラムを提案し、6ヵ月
間のフォロープログラムを継続した。


そのフォロープログラム対象者の1人に、来年で定年を迎える課長
がいる。研修に参加した彼の部下は、仕事にやりがいが見出せず、
上司である課長に対する信頼感もなく、いつ離職してもおかしくな
い状態だった。


課長に初めて会ったのは、研修前の状況確認のヒアリングの際。
研修の中でサプライズとして本人に手渡す上司メッセージを書い
て欲しい旨伝えて、部下に関する質問をいくつか投げかけたのだ
が、そのほとんどにまともに答えられず、そのことに悪びれた様
子もなかった。


この人が上司なら部下が辞めたくなるのもわかるわ


その時は正直そう思った。それから半年・・・。



先日上司用プログラムの締めくくりである個別面談を行った。





その際、この課長がこんな言葉を口にした。



「あいつ(部下のことです)の道筋だけはつけてやりたい」

半年前には課長からこんな言葉が出るとは思いもよらなかったので
怪訝そうな顔をしている私に向かって、しみじみとした口調でこう
続けた。


「人(部下)のためにこんなに一生懸命になったんははじめてや」
「10年前にこんな気持ちになってたら俺も部長になれたかもしれん」


半年前の課長は、
「俺は(もうすぐ定年だから)定年までこのままいけたらええねん」
が基本スタンス。部下のことも、
「どうするかはわしは知らん。会社が考えたらええねん」
と、部下と向き合うこと、プログラムに参加することに否定的だった



課長のつぶやきに、
「ほんまそうですね」
「なんてへんこなおっさんやろ。部下が可愛そうやと思ってましたわ」
と返しながら、何が彼をここまで変えたのか?を考えていた。


たった一つのスタンスが変わっただけ。


部下のこと=自分のこと
として見るようになった。ただ、このたったこれだけが大きい


今回のプログラムでは、上司と部下の共通の設計図として自己開発設定
シートを作成し、このシートをベースに進めていく。
シート作成のために、

会話をする(場を共有する)⇒部下のことを見るようになる⇒今まで意味
不明だった彼の言動が理解できるようになる⇒声をかけることがふえる⇒
声をかけてくることが増える⇒報告・連絡・相談が増える⇒どうせなら彼
の興味のある分野の仕事を社内でやらせてあげたいと強く思うようになる
⇒自分が(上司で)いるうちにできることをやってやろう


スタートは、

部下のこと=自分には関係ない 


ではなく、

部下のこと=自分のこと

としてとらえたこと。


興味を持って観察していると、困った時はどんな表情をする、言いたいこと
がある時はどんな態度をとるなどがわかってくる。わかってくるから先手を
打って声をかけるようにする。これを続けていると、部下から話しかけてく
るようになり・・・・という好循環に入ったというのだ。



視点が変われば見え方が変わり、行動が変わる。自分の行動が変わること
で相手との関係も変わる。


ということを実感した一件だった。



それだけに、10年前にこんな気持ちになってたら部長になれてたかも知
れんという言葉が身にしみる。



残念ながら
過去は変えられない
どんなに悔やんでも過去に戻ってやり直すことはできない。



だからこそ、
今・ここ・自分・できることを精一杯
が基本