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 神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

フーテンの寅さんとムーミンのスナフキン 

2025年03月09日 12時43分43秒 | 映画/ドラマ/アニメ
 ブロ友の6X6さんの最近の記事に、ムーミンキャラのことと一人旅が書かれていた
それを読んで思ったことがある。

人生は一度きりだが、一人一人が異なった寿命と異なった生き方で一生を過ごす
凹凸もなく、平凡な人生を満足して過ごす人もいるだろうし、荒波の人生を生き抜く人もいる
当然ながら、このような生き方を小説やドラマにする作家さんもいるわけで、われわれ視聴者は、それを見て自分の人生とは異なる人の人生をあれこれ感じる

自分の中では感動的なドラマが2つある、これまでもたびたび書いてきた「フーテンの寅さん」シリーズ、そして「北の国から」だ
どちらにも少年期から青年期まで通して出演しているのが吉岡秀隆で、どちらのドラマでも少しおっちょこちょいで気弱で不器用だがへこたれずに泥臭く生きる役柄を演じている。

「フーテンの寅」こと車寅次郎は少年期に両親を失くして(母は生きているが)拗ねてぐれて、親代わりになって育ててくれた叔父叔母を振り切って、小学生の時に家出して、的屋稼業に身を預ける
それにしても心残りは、置いてきた妹のさくらのことばかり
やがて寅次郎も大人になって少しは分別がつくと、思い出すのは葛飾柴又の叔父叔母、さくらのこと
長い年月を経て寅次郎は勇気を出して、叔父叔母の団子や「とらや」に里帰りをする
帰るたびにひと騒動が起きて、自分はやっぱり余計者だと拗ねて旅に戻るの繰り返し
だが旅先での寅次郎は導師のような言葉を時々言って、知らない人から尊敬されることもしばしば、旅芸人一座からは「先生」などとあがめられている
さっぱりとした気性、裏表なく、人の顔色も窺わず、思ったことはずばずば言うし、行動が早くて行先も知らずに家を飛び出していくこともしばしば

この寅さんの生き様は、ムーミンの吟遊詩人スナフキンに通じる
寅さんは香具師の仕事で、ささやかな収入を得て宿代や飯台を捻出するが、財布の中身はいつも数千円か空っぽ
妹のさくらが内緒でお金を入れてくれることもある
でもくいっぱぐれ無いのは、行く先々で寅さんの人柄に惚れた人たちが受け入れて、寅さんを客として招いてくれるからだ
寺、芸術家、一人暮らしの老人宅、宿屋、獣医宅いろんなところに潜り込んで数か月も暮らすことがある
時には娘と一緒になってここで暮らせ、とか寺の跡取りになってくれとかも言われる
女にすぐ惚れてしまう寅さんだが、それが女の方から真剣に迫られると一気に男らしさが失われてへなへなとなって心にもないことを言ってしまう
そして恋が終わり、ようやく得た安住の地を去っていくことになる

女性遍歴の多い恋する寅さんだが純情である
惚れた女の指が触れるだけで、見つめられるだけでうぶな少女のようになってしまう
そんな中で、唯一気楽に恋を語り、男らしさを持続できる相手が場末の歌手リリー(浅丘ルリ子)、その二人が一緒にいるときは、側から見れば夫婦そのものなのだ
寅さんは本当は結婚などとは言わず、このように一緒にいたい気分の時には一緒に、少し気まずくなれば離れる、そんな形が理想なのかもしれない
スナフキンも、そこらあたりを感じて秋が終わればムーミン谷を離れていくのかもしれない
そして春と同時に帰ってくる、まるで寅さんのようだ
寅さんと違って、スナフキンの旅の様子を作者は書いていない
簡易テントの中で夜を過ごす場面はある。

我々でも一人旅にあこがれる時がある、そしてある人は、それを実行する
実行してみて、家族や友達や会社と離れて一人旅で何を感じて、何を考えるか、何をするかは人それぞれだ
一人旅といっても、寅さんのように毎日が一人旅の人もあれば、スナフキンのように数か月の人、私のように2泊3泊、あるいは数週間というように気分転換程度の旅もある
日数の問題ではなく、感じ方の問題だろう
私は一人旅をして見て思ったのは(自分は一人旅より、複数人旅の方が性分に合っている)ということだった
基本的に一人の時はシャイで、見知らぬ人と話すことは得意でない
ただ知り合いになると心を開いて能弁になる
仲間と一緒だとパワーアップして、実力以上に力を発揮するタイプだ
自分より仲間や友達を楽しませる、陰の力になることに喜びを感じる
それがわかっただけでも数度の一人旅は無駄ではなかった
ただ人生の岐路で3泊した旅では(同じホテルに三日間居続けて、毎日近辺を散策して物思いにふけった)観光的ではなく、自分を見つめなおす旅だったから、悩み多き時にはホームを離れて考えをまとめるのも良いだろう。

スナフキンの旅は「さすらい旅」仕事はしていない
もっともムーミン谷では会社員はいない、みんな何らかの仕事はしているが自給自足が原則らしい
彼らは人間ではなく、ある種の動物らしいから、木の実や魚、海藻、森の恵みなどを食べて暮らしているのかもしれない
でも人間のような晩餐もあって、そこでは洋風の料理が皿に盛られる、また日常の食事でも人間と変わらないメニューが並ぶ
食料品店があるようには思えない、でも何かを売っている店はある
理解しがたい村である、遠くの深い山谷を越えたところにはお城があって王様も住んでいるがムーミン谷を統治しているわけではない
基本的にはムーミン谷の住人は自由に生きている、でも時々津波などの災害が起こる、村が大被害を受けても助けてくれる政府はない
みな個々に復旧させるしか方法がない、だから別の場所へ移動するものも多く
ムーミン一家も、そうだったのだ
そして最後の章では、ムーミンたちは新天地を探して家族で旅に出る
これは作者のヤンソンの人生そのものでもある
北欧フィンランドの首都ヘルシンキで生まれたヤンソンは第二次大戦で自然豊かな島の地方に移り住む
そこがムーミン谷のモデルらしい
フィンランドは強国ドイツとソビエト(現ロシア)に挟まれた国で、国民は今のウクライナ同様愛国心にあふれて、領土割譲を迫る大国ソビエトと戦った
ドイツも同盟国としてフィンランドに入ってきた
それはムーミン谷を襲った大洪水や、彗星の衝突の恐怖におののく住民たちの姿そのものであろう
ヤンソン一家は、住み慣れた故郷から追われて辺地に移った、ムーミン一家と同じである

寅さんも小学生から故郷を離れた、それからはずっと一人旅だ
楽しそうに見える一人旅も、心のどこかに隙間風が吹いている
それは東京から北海道の山奥に父に連れられて来た「北の国から」のじゅんと蛍の兄妹にも共通する。

今は10冊の源氏物語を読んでいる、その前は9冊のムーミンを読み終えた
源氏物語が終わったら、もう一度ムーミンを読んでみたくなった
一回目より、二回目はまた新しい世界が広がるはずだ、理解も変わってくる
「Perfect Days」も5回見た、だんだん頭の中にシーンが焼き付いてきた。



北の国から 遥かなる大地より~螢のテーマ










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2 コメント

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吉岡秀隆 (ごんた)
2025-03-10 17:45:53
寅さん。いいですね~。昨晩、「寅次郎あじさいの恋」を見ました。(もちろん、何回も見ています)。まだ小学生時代の吉岡秀隆さんがミツオ役で、チョイ役ではなく、立派な脇役で出ています。独特の雰囲気を持った良い役者です。個性派俳優とでもいうのでしょうか。
ところで最近、ドクターXとか、ドクターYとか、ドクター何とか はやりですが、レンタルDVD屋で、吉岡秀隆さんが主役の「Dr.コト~診療所」というDVDを見つけました。第一巻を見ましたが、いいですね~。
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吉岡秀隆 (yottin)
2025-03-10 19:40:42
 ごんたさま
吉岡秀隆、なかなかとぼけた味わいのある個性派俳優ですね
子役からずっとやっているので、もう大ベテランです
「三丁目の夕日」では作家の役、「ゴジラ」ではゴジラ対策の生物学者
「寅さん」では大人になった後藤久美子とのラブシーン
「北の国から」では最後の映画で内田有紀と結ばれる役、実生活でも、そのまま内田と結婚、そして離婚となかなかの色男ぶりでした
これからも期待できる俳優さんですね。
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