ニューヨークの国連本部で「気候行動サミット」が9月23日に開催されたという。
その2日前には「若者気候サミット」も開かれ、宣伝に利用されている。
環境が人間を含む生物に少なからぬ影響を及ぼすことは間違いない。
少なくとも北の海で海水温が上昇していることはロシアが北極海を経由する航路を作れるようになったことでも推測できる。
氷が消えたり薄くならなければ、そうしたルートを作ることはできないだろう。
西ヨーロッパが緯度の割に温暖であるのは暖流(北大西洋海流)が近くを流れているからである。
つまり暖流が西ヨーロッパを温暖にしている理由だ。
現在、世界の公式見解では「温室効果ガス」が温暖化の理由だとされているが、これはひとつの仮説にすぎない。
地球の温暖化が世界的な話題になりはじめたのは1980年代からだが、90年代からは太平洋周辺で地殻変動が活発化していると言われるようになった。
大きな地震の回数が増え、2017年にはイエローストーンの周辺での地震頻発や野生生物の暴走が注目されている。
マグマの上昇が海水温上昇の原因だという説も唱えられている。
海水温を上昇させることを人間が行っていることも事実。
その典型例が温排水の放出だ。
温排水を大量に放出する原子力発電所が地球温暖化の一因になっていると言えるだろう。
21世紀に入ってアメリカが本格化させた侵略戦争も気温を上昇させているはずだ。
戦争は気温だけでなく環境一般に対する直接的な破壊でもある。
つまり、本当に気候を心配しているなら、原発を止め、戦争に反対しなければならないのだが、
前面に出ているのは気候との因果関係が明確でない「温室効果ガス」。
アメリカでは情報機関も治安機関も戦争に反対する人びとを敵視してきた。
CIAのMHケイアスとFBIのCOINTELPROは悪名高い。
反戦運動の勢いがアメリカで最もあったのはベトナム戦争のときだろうが、そうした運動はCIAやFBIのターゲットになった。
ベトナム戦争へアメリカが足を踏み入れたのは朝鮮戦争が休戦になった翌年、1954年のこと。
その年の1月にNSC(国家安全保障会議)でジョン・フォスター・ダレス国務長官がベトナムにおけるゲリラ戦の準備を提案したのだ。
それを受けてCIAはSMM(サイゴン軍事派遣団)を編成した。
当時はドワイト・アイゼンハワー政権。
ジョン・F・ケネディ大統領は1963年10月、アメリカ軍をインドシナから撤退させるためにNSAM(国家安全保障行動覚書)263を出すが、その翌月に暗殺された。
暗殺の4日後に新大統領のリンドン・ジョンソンはNSAM273を出して取り消してしまった。
ジョンソンは1965年2月に北爆を開始、本格的な軍事介入を始める。
戦争が泥沼化する中、1967年4月4日に公民権運動の指導者として知られるマーチン・ルーサー・キング牧師はニューヨークのリバーサイド教会で
「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」という説教を行う。
この集まりは「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」が主催していたが、
主催者の執行委員会が発表した声明の冒頭部分に書かれている「沈黙が背信である時が来ている」という主張にキングは賛意を示している。
戦争について沈黙することは信義に反するということだ。
悲惨な戦争の真実を聞くべき時が来ていると牧師は語り、
大半の国民が自分自身を欺いているため、そうした真実は明らかにならないとも指摘した。
そうした状態を精神的な奴隷状態とも表現している。
ところが、ロン・ポール元下院議員によると、
キング牧師のリベラル派である顧問たちは牧師に対してベトナム戦争に焦点を当てないよう懇願していたという。
キングはそうしたアドバイスを無視したのだ。
リバーサイド教会での説教からちょうど1年後の1968年4月4日にキング牧師はテネシー州メンフィスのロレイン・モーテルで暗殺された。
そのころ、アメリカを中心にして盛んになったのが女性解放運動。
キリスト教世界に女性差別の歴史があることは確かなようだが、人種差別と同じように、それも支配と被支配の構造的な問題に還元できる。
新自由主義(資本主義)における富裕階級と貧困階級の問題も同じ。
その根幹には略奪や搾取があり、戦争も引き起こされる。
そうした行為を可能にする仕組みが支配システムだ。
女性解放運動が盛り上がる一方、反戦運動は衰退したが、ここにきて情況に変化の兆しはある。
西側の有力メディアのプロパガンダ力が低下するにつれてアメリカが主導して行っている戦争の実態が知られるようになってきたのだ。
アメリカの力が衰えていることも明確になっている。
そうした中、「気候問題」が演出されている。
気候を考えることが問題なのではない。
気候以外の問題から目をそらし、考えなくなることが問題なのである。
そうした方向へ人びとを導こうとしている勢力が存在しているように思える。
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