前掲に続いて。午後の二時を過ぎると、早めに終わった人が、席を立ち始める。迷惑にならないよう、そおーっと、そおーっとしながら、筆や硯を収めている。隣の部屋で、こころずくしの、お接待をいただく。ある時は、お菓子皿に、まだ青いいが栗に、まくら葉が付いた一枝が、添えてあったり、数枚の銀杏の葉が添えてあったり、雑雑しながらの暮らしには、もったいないこと。お礼もそこそこに、「またねぇ」と、挨拶をして、三々五々と、下界に戻る。ひと月ごとの林間の風情は、ちらりと横目で、下り坂道も対向の車に注意。お接待時の、にぎやか話し声は、毎回、石川啄木の歌を、思い出している。 「 ふるさとの なまりなつかし 停車場の 人ごみのなかに そを聞きに行く 」。 これでタイトルの分は終わりです。ご来訪ありがとうございました。
前掲に続いて。法話が終わり、写経を始める。自分を見つめ直すのもよし。謹写をする無心もよし。落ち着いた心で、 * 字を間違えないように。 * 誤字、脱字があれば、枠外の上に書く。 * その日の日付けは、本文から一行をあけ、始めの一字を下げて、記す。 * 次の行に、願い文、念じ文を、記す。 * 次の行に、名前を書く。一文字あけて、謹写と記す。次の行に、閼伽井嶽薬師常福寺於てと、記す。 * もう一度、目で唱える。 * 「願わくは此の功徳を以って―――」の、普回向を、心読をして終わる。
前掲の続き。午後一時。前回から、若い和尚さんに交替になり、「それでは始めます」。まず、香をいただく。両手を開き、左手を上にして重ね、その左手に香をのせていただく。両手をすり合わせ、その手のひらで、胸から腹部までなでおろして、邪気を払う。全員が終わり、教本の懺悔文から、三帰禮文、十善戒、般若心經、普廻向、等々を、和尚さんに続いて唱える。和尚さんのテンポには、なかなか合わせられない。写経生のテンポに合わせている。続いて法話。仏道のこと、仏様の由来、經文の意味等々。月々の変わり目は、体調管理のこと。日常の言葉使いなど、毎回ありがたく拝聴をしている。ある時は、二分間の瞑想の勧めがあった。たまぁーに椅子に座している時、両手の指を互いに挟み、親指を突き合わせ、腹の前に抱き、目を閉じる。日々の雑事に追われ、殺伐とした気持ちの時は、心が落ち着く。すごい二分間だぁと、びっくりしていた。たくさん法話を拝聴しているので、以前の自分とは、違っていれば、いいのだがなぁ、どうなのだろうか。写経生は、ほとんどの方が先輩。新参者なので、戸惑うこともある。