5月22日と23日に久しぶりの雪山でない八ヶ岳へ。目的はツクモグサ。本州では白馬岳と八ヶ岳にしか咲かない貴重な高山植物で、花を追いかける私の山歩きではとても優先度の高いターゲット。ふさふさの毛が生えた薄い黄緑色の花はネット上で見ていてもとても可愛くて、今年は絶対に会いに行くと決めていました。
記録的な小雪と気温上昇速度の速さのせいか、今年のツクモグサは例年より2,3週間早く見頃を迎えているとのことで、5月の最後の週末には別の予定が入っているためにこのタイミングを逃すとまずいということで月曜に休みを取って強行して来ました。
月曜休む羽目になったのは、土曜に会社の仲間にせがまれて奥多摩山行を案内したからです。いつもの養沢から大岳山に登るルートで、単純標高差900メートルくらいですが、下山ルートがどうしてもアップダウンがある程度あるので楽ではありません。これをこなした後日に八ヶ岳ということで、ややハードな日程でした。
さて、いつものように茅野駅に9時過ぎに着くスーパーあずさに乗り、茅野駅からはバスで美濃登口へ。久しぶりに八ヶ岳山荘のところにやってきました。雪山でない八ヶ岳は、何と2013年9月以来の来訪です。
ここから林道を4,50分歩かないと美濃登の登山口までたどり着かないというのがバス利用者の悲しいところ。前日の疲労が残る中、砂利の埃っぽい道を行きます。乾燥していて暑いですが、木々は新緑の装いでいい香りがしました。あと、春蝉がワーワー鳴いていました。春の蝉って本当にいるんですね。
やっとこさここまで来ました。今回は硫黄岳山荘に宿泊の予定なので、北沢ルートを取ります。そうすると、更にしばらく林道なので土の香りが恋しくなりますが、まあしょうがない。
途中はオオカメノキなどの花を愛でる。足元にはスミレやコミヤマカタバミなど。
沢を何度か渡ります。もちろん橋があるので大丈夫。沢の音だけでなく、空気も清涼感があるのが八ヶ岳の沢のありがたいところ。まあ、北関東の森でも同じことだけど。
原生林の八ヶ岳の森は、土や木の香りが濃くて、深呼吸すると気持ちがいい。
黄色い花がちらほら。これはコキンバイでしょうか。
キバナノコマノツメだと思います。
この白いのはなんだろう。葉の形がチョウノスケソウに似ているような気がするけど、樹林帯に咲く花ではないはずだから違う。
そんなこんなで、疲れていても男性単独行だとコースタイムよりはかなり早く赤岳鉱泉に到着。冬季の名物、アイスキャンデーが溶けかかっていました。ここまでくると結構涼しいです。登山口から500メートルくらい登っていますから。
ここから見上げる主峰の赤岳。2,899メートルと2,900メートルに1メートルだけ足りませんが、日本アルプス以外で一番高い山です。八ヶ岳はコンパクトにまとまった山塊だからアプローチしやすいし、樹林帯には原生林が残っていて森深くて気持ちいいし、動物も植物も豊富です。そして標高も高いのでアルペンな岩場を楽しめるということで、個人的には相当贔屓の山旅ターゲットです。
ここでおにぎりなどを消費し、20分以上休憩。前日の疲れが脚に来ていて、これから硫黄岳山荘までの登りは乳酸との闘いになるのが明らかです。やれやれ。
そして、森林限界を抜けるまではほとんど写真なし。脚の疲労が辛かったし、特に目立った花もなかったので。しかし、森林限界を越えるとすぐに硫黄岳から横岳方面の稜線が視界に入るのがこのコースのいいところ。青空に映える、お気に入りの風景で疲れも吹き飛びます。
で、途中ののポイントである赤岩の頭へ。冬季もオーレン小屋方面からこちらに登ることは可能ですが、私が3月に登ったルートより難しいようです。
南八ヶ岳らしい風景が見えるようになります。
ここから硫黄岳山頂までが地味にキツい。中くらいの石がゴロゴロしていてちょっと歩きにくいですからね。
何だかんだ言って登頂。結局はコースタイムより早く登ることができました。疲れてますけどね。
硫黄岳の山頂は3回目ですが、いずれもお天気に恵まれています。八ヶ岳の神様には愛されていると信じています。
ここからは山頂からの風景を何枚か。3月の雪の時期に登った時の山行についてのエントリでも出てきます。が、全然様相は違います。当たり前ですけど。
蓼科山、天狗岳方面。夏山の様相ですね。
横岳への稜線から、主峰の赤岳、そして阿弥陀岳方面。阿弥陀岳は今回は登りませんが、2013年9月に初めて八ヶ岳に来た時に登っています。赤岳同様に頂上直下の急な坂がエグイところで、これを経験したことで南北アルプスの厳しい道に行く自信がつきました。今度は雪の時期に攻略したいです。
硫黄岳山頂のいつものシーン。
そして名物の爆裂火口。相変わらずのジオパークぶり。
山頂の絶景を十分楽しんだら横岳方面に進みます。今日の宿である硫黄岳山荘は、硫黄岳と横岳の間に建っています。
ちょっと振り返った図。硫黄岳はガスが出ると迷いやすいので、ケルンがたくさん建っています。それが格好いい。
で、山荘到着。硫黄岳山荘の経営は、3月に泊まった夏沢鉱泉と同じです。とてもサービスのよい、気持ちよい山小屋です。
この日は日曜。翌日は平日だしまだまだシーズン序盤なので、かなり空いていました。この小屋は、アルプスの小屋のように1つの布団に2人とかいう無茶はしないので良心的です。
稜線なのに水洗トイレで、今年からシャワー(別料金500円)もあります。
まだ3時半くらいだったので、5時半の夕食まではだいぶ時間があります。そこで、横岳方面に足を延ばしてみました。ツクモグサは早朝だと花を閉じてしまうので、花びらを広げたものを見るなら今行く方がいいからです。
小屋を出てしばらく行くと、コメバツガザクラとオヤマノエンドウが。どちらも見たかった花です。これまでは5月や6月の早い時期に日本アルプスや八ヶ岳などの高山に登ることがなかったので、見たことがありませんでした。高山植物は時期を合わせないと花が見られないので、一期一会的な感動があります。
なんの花かなあ。こんな厳しい環境の稜線で健気だなあ。
この葉っぱはチョウノスケソウだと思う。これが咲き乱れるころにも来られるかな。お天気と仕事の状況しだいだけど。
キバナシャクナゲも八ヶ岳の稜線名物ですが、まだ蕾。
そして、ついにツクモグサ登場!可愛い。可愛すぎる。ツクモグサ君と、君付けで呼んでしまう。ライチョウさんがさん付けなのと同じ感覚。ちなみにオヤマノエンドウもオヤマノエンドウさん。それにしても、こんな稜線の岩場にへばりつくように咲いていて、本当に可愛い。
横から見るとふさふさ。
あまり遅くなると迷惑なので、ある程度で引き返します。翌朝は赤岳まで縦走するので、その間にゆっくりツクモグサを探す予定。
そして夕食タイム。私の自炊能力でテント泊だと大したものが食べられないですが、山小屋はありがたい。特に硫黄岳山荘グループの夕食は豪華です。肉と魚が基本的に1品ずつ付くし、自家製の味噌や漬物が美味しいし。
夕食後は夕日が赤岩の頭方面に落ちていくのを眺めました。寒いですけどね。フリースかダウン必須。
そして翌朝。4時半頃出発。ちょうどご来光の時間でした。直前の写真と紛らわしいですが、これは日の出です。今日もいい天気。
でも寒い。霜が降りていました。高山の早朝はこのキリッとした空気が素晴らしい。
硫黄岳山荘とはしばしのお別れ。夏に来るとしたらテントを担いで来ると思うので、ここには泊まらずに軽食などで立ち寄る可能性がたかいです。
稜線上のちょっとしたピークから見る阿弥陀岳。朝日に染まってピンク色。
その奥には南アルプスの高峰が。これは北岳。今年の夏山ターゲットですが、他の山同様に今年は雪が少なくて高山植物の開花が早く、固有種のキタダケソウに間に合うかどうか。間に合わなければ8月後半か9月に塩見岳までの大縦走のターゲットにしたいと思っていますが、実現するかどうかは?
そして甲斐駒ヶ岳。
南東方向には富士山も見えました。
早朝の稜線のアイドル、イワヒバリはいつ見ても可愛い。
雪はまだ少し斜面に残っていますが、稜線の登山道はほぼ無雪でした。
そして、ツクモグサ君登場。やはり早朝は花を閉じていますが、これはこれで可愛い。
ツクモグサなどの高山植物を見つけようとしてゆっくりと、しかも本来行く必要のない岩場の方向にも行っているので、なかなか進みません。が、それが楽しいのです。注意としては、それでも登山道を外れないように。それと、登山道でも小さい葉っぱなどを踏まないように。どれも貴重な高山植物である可能性が高いですから。
そして、横岳の最高地点、奥の院に来ました。一応記念撮影。
硫黄岳方面の稜線も振り返る。
これから向かう赤岳。その背後には権現岳などの八ヶ岳南部の峰々と、南アルプスの高峰。
まあ、今回はツクモグサを主役に高山植物の旅なので、稜線の絶景は完全に二の次です。
そして、奥の院を越えるとツクモグサの数も増します。こんな感じで咲いています。
開きかけの花が可愛い。
崖にへばりついている小さな命。
大稜線を望む位置に1輪。2輪。
オヤマノエンドウもいっぱい咲いていました。今回は主役をツクモグサに奪われていますが、青紫の美しい花です。
そしてコメバツガザクラも。
三叉峰のあたりではミネズオウも見かけました。
ウラシマツツジの花も。秋には真っ赤な草紅葉が見事ですが、花も可愛いですね。
ミヤマキンバイはまだまだ蕾。
クモマナズナ。初めて見ました。と言うか、これまで知らなかった。ノーマークでしたがとても可愛いですね。
高山植物を楽しみながらも、横岳の稜線はそれなりに注意を要する険しい道。それも終わりを告げ、あとは主峰の赤岳に登頂してお弁当をいただいて絶景を楽しむ予定。
地蔵尾根のお地蔵さん、お久しぶりです。
まあ、ここからの登りが結構エグイ。
そして、エグイ登りの間は写真ありません。と言うことで、山頂です。
2年8か月ぶりの赤岳山頂。今日も絶景です。特に権現岳方面、南アルプスを背景にして格好いい。
ちょっと引いた図。こっちの方が実際に見えている図に近い。
山頂では硫黄岳山荘のお弁当をいただきました。起きてすぐは食べられない体質なので、お弁当がありがたい。
山頂には1時間弱いました。時間に余裕があったので景色を楽しんでいたのと、実は硫黄岳山荘の女性スタッフがこの日から1週間休暇ということで、観音平までの縦走をされているとことでした。この方とお連れの夏沢鉱泉のスタッフの方とおしゃべりしていたので、時間がたつのが早かったです。
まあ、いつも下山は名残惜しく感じながらのものですが、赤岳から文三郎尾根方面へのルートは険しい岩場なので注意していきます。
そして分岐へ。
阿弥陀岳方面を望む。今回はパスしてしまいましたが、お天気も良かったので行けばよかったかなと後からちょっと後悔。
文三郎尾根名物のマムート階段。前回登った時は辛かった。下りも結構たいへんよね。
横岳を見上げる。やはりギザギザ稜線ですな。険しい。ホント、八ヶ岳はコンパクトにいろいろまとまっているから楽しいよ。岩稜のスリルも高山植物も両方楽しめる。
そして、行者小屋まで下りてきました。前回はここにテントを張りました。
あとは登山口まで2時間半程度の道を下るだけですが、これも比較的ゆっくり行きました。実は、この南沢ルートでしか見られない、ある花を探していたのです。後で知ることになるのですが、この花は実は美濃戸の登山口から15分程度のところに群生しているだけだったので、ルート全般的にゆっくり歩いた私は無駄だったわけですが。
まあ、もののけ姫が大きなオオカミに乗って出てきそうな森を進むのは気持ちがいい。いつも同じことを言っているが、香りがいい。
変な苔がたくさんありました。花を探していたので観察眼が無駄に鋭く。。。
木々が新芽を吹き、新緑の季節。
コミヤマカタバミは南沢でも多かったです。
これはなんの花かなあ。
そして、ついに発見。絶滅危惧種のホテイラン。これが見たかった。
って、ここで知ったのですが、何と地元の方々が調査・保護されていて、各個体に番号を振って管理されています。したがって、登山道からホテイランを見たければこの辺りに来れば誰でも見つけられます。まったく、2時間以上もホテイラン探しながら下山した苦労は何だったのか。まあ、綺麗なお花を見られてうれしいですけどね。
他に、ツバメオモトと思われる花も見つけました。ちょっと遠い位置だったので確認しにくかったけど、写真から判断。
後は美濃戸山荘でお茶を頂いたりしながら暑い中を汗だくで下山。カラマツの緑が美しいですが、暑さにやられてややぐったり。まだ5月なのに。ホント、温暖化やめてほしい。
そしてついに下山。いやー、ツクモグサ君をはじめとして多くのお花と八ヶ岳のアルペンな風景、そして樹林帯の香りに癒されました。が、汗だくです。ここで、入山時から気になっていたオーベルジュのJ&Nに向かいます。皆さんのブログレポでおなじみになりつつある新しい八ヶ岳スポット。登山好きの若いご夫婦が昨年11月から経営されていて、とても清潔。六本木の職場の近くになっても違和感ないレベル。
いやー、これまでは下山したら八ヶ岳山荘のお風呂だったけど、これからは山ガール中心にこっちの人気が凄いでしょう。
お風呂は700円ですが、食事をすると半額の350円に割り引かれます。私はカレーを食べました。1.200円。ご主人はパティシエが本職らしいですが、料理もかなりレベル高い。
充実した山行で2016年の夏山は幕を開けました。やっぱり八ヶ岳贔屓だな。相性いいな。また来るぞ。
いつもの信州ナチュラルビールを飲みながら帰りました。
記録的な小雪と気温上昇速度の速さのせいか、今年のツクモグサは例年より2,3週間早く見頃を迎えているとのことで、5月の最後の週末には別の予定が入っているためにこのタイミングを逃すとまずいということで月曜に休みを取って強行して来ました。
月曜休む羽目になったのは、土曜に会社の仲間にせがまれて奥多摩山行を案内したからです。いつもの養沢から大岳山に登るルートで、単純標高差900メートルくらいですが、下山ルートがどうしてもアップダウンがある程度あるので楽ではありません。これをこなした後日に八ヶ岳ということで、ややハードな日程でした。
さて、いつものように茅野駅に9時過ぎに着くスーパーあずさに乗り、茅野駅からはバスで美濃登口へ。久しぶりに八ヶ岳山荘のところにやってきました。雪山でない八ヶ岳は、何と2013年9月以来の来訪です。
ここから林道を4,50分歩かないと美濃登の登山口までたどり着かないというのがバス利用者の悲しいところ。前日の疲労が残る中、砂利の埃っぽい道を行きます。乾燥していて暑いですが、木々は新緑の装いでいい香りがしました。あと、春蝉がワーワー鳴いていました。春の蝉って本当にいるんですね。
やっとこさここまで来ました。今回は硫黄岳山荘に宿泊の予定なので、北沢ルートを取ります。そうすると、更にしばらく林道なので土の香りが恋しくなりますが、まあしょうがない。
途中はオオカメノキなどの花を愛でる。足元にはスミレやコミヤマカタバミなど。
沢を何度か渡ります。もちろん橋があるので大丈夫。沢の音だけでなく、空気も清涼感があるのが八ヶ岳の沢のありがたいところ。まあ、北関東の森でも同じことだけど。
原生林の八ヶ岳の森は、土や木の香りが濃くて、深呼吸すると気持ちがいい。
黄色い花がちらほら。これはコキンバイでしょうか。
キバナノコマノツメだと思います。
この白いのはなんだろう。葉の形がチョウノスケソウに似ているような気がするけど、樹林帯に咲く花ではないはずだから違う。
そんなこんなで、疲れていても男性単独行だとコースタイムよりはかなり早く赤岳鉱泉に到着。冬季の名物、アイスキャンデーが溶けかかっていました。ここまでくると結構涼しいです。登山口から500メートルくらい登っていますから。
ここから見上げる主峰の赤岳。2,899メートルと2,900メートルに1メートルだけ足りませんが、日本アルプス以外で一番高い山です。八ヶ岳はコンパクトにまとまった山塊だからアプローチしやすいし、樹林帯には原生林が残っていて森深くて気持ちいいし、動物も植物も豊富です。そして標高も高いのでアルペンな岩場を楽しめるということで、個人的には相当贔屓の山旅ターゲットです。
ここでおにぎりなどを消費し、20分以上休憩。前日の疲れが脚に来ていて、これから硫黄岳山荘までの登りは乳酸との闘いになるのが明らかです。やれやれ。
そして、森林限界を抜けるまではほとんど写真なし。脚の疲労が辛かったし、特に目立った花もなかったので。しかし、森林限界を越えるとすぐに硫黄岳から横岳方面の稜線が視界に入るのがこのコースのいいところ。青空に映える、お気に入りの風景で疲れも吹き飛びます。
で、途中ののポイントである赤岩の頭へ。冬季もオーレン小屋方面からこちらに登ることは可能ですが、私が3月に登ったルートより難しいようです。
南八ヶ岳らしい風景が見えるようになります。
ここから硫黄岳山頂までが地味にキツい。中くらいの石がゴロゴロしていてちょっと歩きにくいですからね。
何だかんだ言って登頂。結局はコースタイムより早く登ることができました。疲れてますけどね。
硫黄岳の山頂は3回目ですが、いずれもお天気に恵まれています。八ヶ岳の神様には愛されていると信じています。
ここからは山頂からの風景を何枚か。3月の雪の時期に登った時の山行についてのエントリでも出てきます。が、全然様相は違います。当たり前ですけど。
蓼科山、天狗岳方面。夏山の様相ですね。
横岳への稜線から、主峰の赤岳、そして阿弥陀岳方面。阿弥陀岳は今回は登りませんが、2013年9月に初めて八ヶ岳に来た時に登っています。赤岳同様に頂上直下の急な坂がエグイところで、これを経験したことで南北アルプスの厳しい道に行く自信がつきました。今度は雪の時期に攻略したいです。
硫黄岳山頂のいつものシーン。
そして名物の爆裂火口。相変わらずのジオパークぶり。
山頂の絶景を十分楽しんだら横岳方面に進みます。今日の宿である硫黄岳山荘は、硫黄岳と横岳の間に建っています。
ちょっと振り返った図。硫黄岳はガスが出ると迷いやすいので、ケルンがたくさん建っています。それが格好いい。
で、山荘到着。硫黄岳山荘の経営は、3月に泊まった夏沢鉱泉と同じです。とてもサービスのよい、気持ちよい山小屋です。
この日は日曜。翌日は平日だしまだまだシーズン序盤なので、かなり空いていました。この小屋は、アルプスの小屋のように1つの布団に2人とかいう無茶はしないので良心的です。
稜線なのに水洗トイレで、今年からシャワー(別料金500円)もあります。
まだ3時半くらいだったので、5時半の夕食まではだいぶ時間があります。そこで、横岳方面に足を延ばしてみました。ツクモグサは早朝だと花を閉じてしまうので、花びらを広げたものを見るなら今行く方がいいからです。
小屋を出てしばらく行くと、コメバツガザクラとオヤマノエンドウが。どちらも見たかった花です。これまでは5月や6月の早い時期に日本アルプスや八ヶ岳などの高山に登ることがなかったので、見たことがありませんでした。高山植物は時期を合わせないと花が見られないので、一期一会的な感動があります。
なんの花かなあ。こんな厳しい環境の稜線で健気だなあ。
この葉っぱはチョウノスケソウだと思う。これが咲き乱れるころにも来られるかな。お天気と仕事の状況しだいだけど。
キバナシャクナゲも八ヶ岳の稜線名物ですが、まだ蕾。
そして、ついにツクモグサ登場!可愛い。可愛すぎる。ツクモグサ君と、君付けで呼んでしまう。ライチョウさんがさん付けなのと同じ感覚。ちなみにオヤマノエンドウもオヤマノエンドウさん。それにしても、こんな稜線の岩場にへばりつくように咲いていて、本当に可愛い。
横から見るとふさふさ。
あまり遅くなると迷惑なので、ある程度で引き返します。翌朝は赤岳まで縦走するので、その間にゆっくりツクモグサを探す予定。
そして夕食タイム。私の自炊能力でテント泊だと大したものが食べられないですが、山小屋はありがたい。特に硫黄岳山荘グループの夕食は豪華です。肉と魚が基本的に1品ずつ付くし、自家製の味噌や漬物が美味しいし。
夕食後は夕日が赤岩の頭方面に落ちていくのを眺めました。寒いですけどね。フリースかダウン必須。
そして翌朝。4時半頃出発。ちょうどご来光の時間でした。直前の写真と紛らわしいですが、これは日の出です。今日もいい天気。
でも寒い。霜が降りていました。高山の早朝はこのキリッとした空気が素晴らしい。
硫黄岳山荘とはしばしのお別れ。夏に来るとしたらテントを担いで来ると思うので、ここには泊まらずに軽食などで立ち寄る可能性がたかいです。
稜線上のちょっとしたピークから見る阿弥陀岳。朝日に染まってピンク色。
その奥には南アルプスの高峰が。これは北岳。今年の夏山ターゲットですが、他の山同様に今年は雪が少なくて高山植物の開花が早く、固有種のキタダケソウに間に合うかどうか。間に合わなければ8月後半か9月に塩見岳までの大縦走のターゲットにしたいと思っていますが、実現するかどうかは?
そして甲斐駒ヶ岳。
南東方向には富士山も見えました。
早朝の稜線のアイドル、イワヒバリはいつ見ても可愛い。
雪はまだ少し斜面に残っていますが、稜線の登山道はほぼ無雪でした。
そして、ツクモグサ君登場。やはり早朝は花を閉じていますが、これはこれで可愛い。
ツクモグサなどの高山植物を見つけようとしてゆっくりと、しかも本来行く必要のない岩場の方向にも行っているので、なかなか進みません。が、それが楽しいのです。注意としては、それでも登山道を外れないように。それと、登山道でも小さい葉っぱなどを踏まないように。どれも貴重な高山植物である可能性が高いですから。
そして、横岳の最高地点、奥の院に来ました。一応記念撮影。
硫黄岳方面の稜線も振り返る。
これから向かう赤岳。その背後には権現岳などの八ヶ岳南部の峰々と、南アルプスの高峰。
まあ、今回はツクモグサを主役に高山植物の旅なので、稜線の絶景は完全に二の次です。
そして、奥の院を越えるとツクモグサの数も増します。こんな感じで咲いています。
開きかけの花が可愛い。
崖にへばりついている小さな命。
大稜線を望む位置に1輪。2輪。
オヤマノエンドウもいっぱい咲いていました。今回は主役をツクモグサに奪われていますが、青紫の美しい花です。
そしてコメバツガザクラも。
三叉峰のあたりではミネズオウも見かけました。
ウラシマツツジの花も。秋には真っ赤な草紅葉が見事ですが、花も可愛いですね。
ミヤマキンバイはまだまだ蕾。
クモマナズナ。初めて見ました。と言うか、これまで知らなかった。ノーマークでしたがとても可愛いですね。
高山植物を楽しみながらも、横岳の稜線はそれなりに注意を要する険しい道。それも終わりを告げ、あとは主峰の赤岳に登頂してお弁当をいただいて絶景を楽しむ予定。
地蔵尾根のお地蔵さん、お久しぶりです。
まあ、ここからの登りが結構エグイ。
そして、エグイ登りの間は写真ありません。と言うことで、山頂です。
2年8か月ぶりの赤岳山頂。今日も絶景です。特に権現岳方面、南アルプスを背景にして格好いい。
ちょっと引いた図。こっちの方が実際に見えている図に近い。
山頂では硫黄岳山荘のお弁当をいただきました。起きてすぐは食べられない体質なので、お弁当がありがたい。
山頂には1時間弱いました。時間に余裕があったので景色を楽しんでいたのと、実は硫黄岳山荘の女性スタッフがこの日から1週間休暇ということで、観音平までの縦走をされているとことでした。この方とお連れの夏沢鉱泉のスタッフの方とおしゃべりしていたので、時間がたつのが早かったです。
まあ、いつも下山は名残惜しく感じながらのものですが、赤岳から文三郎尾根方面へのルートは険しい岩場なので注意していきます。
そして分岐へ。
阿弥陀岳方面を望む。今回はパスしてしまいましたが、お天気も良かったので行けばよかったかなと後からちょっと後悔。
文三郎尾根名物のマムート階段。前回登った時は辛かった。下りも結構たいへんよね。
横岳を見上げる。やはりギザギザ稜線ですな。険しい。ホント、八ヶ岳はコンパクトにいろいろまとまっているから楽しいよ。岩稜のスリルも高山植物も両方楽しめる。
そして、行者小屋まで下りてきました。前回はここにテントを張りました。
あとは登山口まで2時間半程度の道を下るだけですが、これも比較的ゆっくり行きました。実は、この南沢ルートでしか見られない、ある花を探していたのです。後で知ることになるのですが、この花は実は美濃戸の登山口から15分程度のところに群生しているだけだったので、ルート全般的にゆっくり歩いた私は無駄だったわけですが。
まあ、もののけ姫が大きなオオカミに乗って出てきそうな森を進むのは気持ちがいい。いつも同じことを言っているが、香りがいい。
変な苔がたくさんありました。花を探していたので観察眼が無駄に鋭く。。。
木々が新芽を吹き、新緑の季節。
コミヤマカタバミは南沢でも多かったです。
これはなんの花かなあ。
そして、ついに発見。絶滅危惧種のホテイラン。これが見たかった。
って、ここで知ったのですが、何と地元の方々が調査・保護されていて、各個体に番号を振って管理されています。したがって、登山道からホテイランを見たければこの辺りに来れば誰でも見つけられます。まったく、2時間以上もホテイラン探しながら下山した苦労は何だったのか。まあ、綺麗なお花を見られてうれしいですけどね。
他に、ツバメオモトと思われる花も見つけました。ちょっと遠い位置だったので確認しにくかったけど、写真から判断。
後は美濃戸山荘でお茶を頂いたりしながら暑い中を汗だくで下山。カラマツの緑が美しいですが、暑さにやられてややぐったり。まだ5月なのに。ホント、温暖化やめてほしい。
そしてついに下山。いやー、ツクモグサ君をはじめとして多くのお花と八ヶ岳のアルペンな風景、そして樹林帯の香りに癒されました。が、汗だくです。ここで、入山時から気になっていたオーベルジュのJ&Nに向かいます。皆さんのブログレポでおなじみになりつつある新しい八ヶ岳スポット。登山好きの若いご夫婦が昨年11月から経営されていて、とても清潔。六本木の職場の近くになっても違和感ないレベル。
いやー、これまでは下山したら八ヶ岳山荘のお風呂だったけど、これからは山ガール中心にこっちの人気が凄いでしょう。
お風呂は700円ですが、食事をすると半額の350円に割り引かれます。私はカレーを食べました。1.200円。ご主人はパティシエが本職らしいですが、料理もかなりレベル高い。
充実した山行で2016年の夏山は幕を開けました。やっぱり八ヶ岳贔屓だな。相性いいな。また来るぞ。
いつもの信州ナチュラルビールを飲みながら帰りました。