冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

南アルプス縦走の旅 その2塩見岳

2016-09-19 18:52:06 | 旅行
2日目(8月9日)はコースタイム約10時間の長丁場。塩見岳に登頂してから長い稜線を縦走し、熊ノ平のテント場を目指します。まだ暗い朝の4時ごろにはテントを撤収して出発しました。
この時期の日の出時刻は午前5時頃ですが、実際には樹林帯でも4時半過ぎには結構明るくなってくるので、ヘッドランプの灯りに頼るのはそれほど長い時間ではありません。三伏山に着いた時はまだ真っ暗ですが。


ちなみに、よく知られていることかもしれませんが、南アルプスのピークには東海フォレストさんが立てた立派な山頂標識があります。人があまり入らない山域のピークにもあるようで、流石は社有林を多く持つ地場企業。と言うか、この標識立てることを仕事にしてる人って結構タフかも。

シラビソと立ち枯れの木々の合間から朝日が昇りつつあるのを感じる。


塩見岳も悠然とそびえています。まあ、あと2時間半くらいで征服する予定。


樹林帯の道はこんな感じ。アップダウンは比較的少なかったと記憶しています。塩見小屋直前に体感的に250メートルくらいガッツリ登らせてくれますが、それ以外はコースタイムよりだいぶ早いペースで歩くことも可能でしょう。


もう夜が明けて見晴らしもよくなりました。


塩見小屋に到着。樹林帯を抜けて稜線に出ると結構風が冷たくて、それまでは早朝にも関わらず汗だくで登ってきていたんだけど、ここでレインウェアを着こみます。


ここからは北アルプス的な岩稜帯で、ある意味今回の山行では一番の難所です(後から別の難所の方が数倍厳しいことを知るが)。まずは天狗岩という岩に登り、その後で塩見岳の山頂(西峰)に至ります。ちなみに、一応は西峰と東峰に分かれていますが、その間5分もかからない距離にあるので実際にはほとんど1つのピークです。
で、岩場。それなりに緊張感。テント泊装備15キロ以上を背負っての岩場は初めてなので、3点支持を確実にするように意識しました。風がそこまで強くなくて助かりました。


急な登りは疲れるので、綺麗な花があると現実逃避とちょっと休む目的もあって写真を撮ります。イワツメクサはこういうところに撮ってくれと言わんばかりに咲いていることが多い。


この日はトウヤクリンドウも参戦。


アキノキリンソウも咲き始めていました。


イワツメクサ再び。


ヤマレコなどを見ると、チシマギキョウとして紹介されている方が多いと思うけど、花に毛がなかったのでイワギキョウだと思う。


ちょっと下を振り向くと結構な高度感ですね。中央の黄色い丸印、丸だからあの辺りも正しいルートのはずだけど、今見直すとあんなところがホントに正式ルートなのかと疑いたくなるレベル。


天狗岩を攻略し、荒川岳方面を眺める。いや、気持ちいい朝ですな。


塩見岳を見上げる。あとちょっと。


最後の登りですが、その前に花も楽しむ。塩見岳、実は高山植物がとても豊富です。7月の最盛期に登ればそれこそ綺麗な花だらけなのではないでしょうか。8月9日でこのレベルですから。


シラネヒゴタイ?


キンポウゲの仲間にも菊の仲間にも見えるけど特定できない白い花。見え方の問題でハクサンイチゲなのではないかとも思うが。


タカネツメクサ。


シコタンソウ。7月の北岳では風雨の中でシコタンソウを見つけられなかったのですが、ここでついに邂逅。写真並べると違いがハッキリ分かるけど、必死で岩登りしている時にはパッと見てタカネツメクサと区別できるようになるにはある程度経験が必要でしたね。




花が主役の山旅のつもりはなかったのだけど、塩見岳の実力の前に花を楽しむことに時間を割いてしまい、なかなか頂上にたどり着かない。
ピンクのお花もここで登場する始末。タカネシオガマだと思う。ミヤマシオガマと迷うけど。いつも。


タカネツメクサも背景に山が映ると高山植物感が出てよろしい。


コゴメグサも相変わらず多いです。今年は尾瀬でも南アルプスでもよく見るな。よく見ると複雑な形なのよね。


何だかんだ言って登頂です。塩見岳西峰3,047メートル。7時頃だったかな。かなりいいペースで登ってきたという記憶があります。山頂はあまり広くないのですが、昨日三伏峠でテントを張ってていた高校生と引率の先生のパーティと、塩見小屋に泊まられていた4名の比較的高齢の方々のパーティしかいなかったのでゆっくりできました。30分以上遊ぶ。今回の旅は山頂に長居するパターン。


一応自撮りしておく。


三角点越しに中央アルプス方面。


後に控えるのは御嶽山かな。


これまで来た道を振り返る。中央やや右のちょっと盛り上がった所、小さく2つ崖になっている崩落地が見えるところですが、あれが三伏峠です。小さく小屋が映っているのが分かるでしょうか。そこから左に行って黄緑色の美しいハイマツの上に小さくピラミッド型に盛り上がったところが、前日登った烏帽子岳。昨日は烏帽子岳から塩見岳を眺めていましたが、今日は逆です。


そこから少し東側を眺めると、荒川岳が大きい。荒川三山と言われるのですが、二山にしか見えないのは荒川前岳が荒川中岳の後ろに隠れているからでしょうか。登ったことのない山域は同定しにくいですね。
恐らく、右奥の黒くて大きいのが聖岳、左奥の双耳峰が笊ヶ岳だと思われます。ところで、正面に見える塩見岳の北俣尾根は、バリエーションルートを攻略する上級者には好まれるようですが、確かにここを登るのも下るのも絶景でしょうね。


荒川岳、標高は左側の荒川東岳(悪沢岳)が一番高くて3,141メートル。南アルプス南部の盟主と言われる赤石岳(3,120メートル)より高いです。左のピークが悪沢岳、中央が荒川中岳、その後ろにちょっとだけ稜線が見えるのが赤石岳ではないかと思われます。
荒川岳アップ。


更にアップ。


塩見岳東峰と荒川岳、そして南アルプス南部の山々。


そして北部の絶景。これから熊ノ平に向かって歩く稜線の道が見えます。その奥に鎮座する3,000メートル峰達は、右から農鳥岳、間ノ岳、ちょっと北岳も見えていますので白峰三山そろい踏み。一番奥に1つだけ2,900メートル級の甲斐駒の綺麗なピラミッド型の白い山頂が見えて、左は仙丈ケ岳。奥穂高岳や薬師岳から見た北アルプスの山々も大迫力でしたが、これだけ多くの3,000メートル峰が見られるのはここが初めて。


なお、今日のテント場として目指す熊ノ平は農鳥岳の真横にあたるので、稜線のピークを3つか4つ越えていくことになる訳で。最初から分かっていたことですが、その遠さを意識せざるを得ない。やはりアルプスは巨大だ。同じような図ですが、少し東側に寄ったもの。農鳥岳の稜線から続く白峰南嶺のうち、一番北のピークの広河内岳が見えます。ここが今回の山旅で登る予定の最後のピーク。


それにしても、岩峰の北アルプスとは明らかに違う景色です。南アルプスの3,000メートル峰は緑が目立つし、それが空の青さや雲の白さと相まってとても美しい。雄大という感じ。大きい。厳しいのは厳しいのだと思うけれど、おおらかな感じがする。
白峰三山アップ。


間ノ岳とその後ろの北岳。北岳は大好きな山ですが、この旅では間ノ岳がずっと圧倒的な威容を見せつけていました。とにかくでかい。


甲斐駒と北岳、間ノ岳。


仙丈ケ岳と甲斐駒ヶ岳。登ったことのある山は、分かりやすさもあって撮りまくる。


塩見岳東峰方面には富士山も見えています。南アルプスは富士山が比較的近いので、大きく見えますね。


東峰をアップ。山頂に単独行者がいます。熊ノ平にテントを張って、ピストンされている方でした。自動車を運転する人は機動力がありますが、縦走はしにくいですね。公共交通機関利用だと縦走しやすいというメリットがあります。


富士山をアップ。自分の登った山頂から撮った富士山の写真を36枚集めて富嶽三十六景にしてもよいかもしれないと思う。


これは、Googleのサービスで自動的にパノラマ化した写真。まあ、360度絶景な訳です。塩見岳山頂。


さて、他の登山者が出発して山頂一人占め状態になったので東峰に移動です。塩見岳の最高峰は東峰で、標高3,052メートルです。


東峰から見た西峰。


東峰からの富士山。手前のピークは北俣岳でしょう。ここから長大な蝙蝠尾根が続いていますが、深いハイマツ帯などもあるらしく、私の技術では突破できないでしょう。


東峰から見た荒川岳と南アルプス南部。


ザックに敬意を払い、荒川岳とのコラボ写真に収める。


さて、そろそろ私も先を行きましょうかね。東峰から下り、熊ノ平へ続く道。結構険しそうだ。何より、500メートルくらい下ってしまうから、翌日間ノ岳に登るときはまた600メートルくらい登り返すのか。南アルプスでかすぎ。


一足先に行く高校生のパーティ。この後右に行くように見えますが、そうすると蝙蝠尾根に入ってしまいます。実際は、左側の切れ落ちたような険しい道を下っていきます。


東峰からの下りでも高山植物が多かったです。イブキジャコウソウとか。


イワベンケイとシコタンソウ。


オンタデ。天気がいいと、青空を背景にした花は本当に綺麗だと思う。




アキノキリンソウも。


この後も縦走は続くのですが、Gooの制限で1つのエントリにアップできる写真の枚数が限られるので、とりあえず山行2日目の途中でいったnアップです。
この後はこの山行最大の絶景ポイントと言ってもよかった北荒川岳を経て熊ノ平、そして翌日は間ノ岳、北岳と続きます。あー、長い。