冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

Jazz現代の名盤 その22

2011-05-29 10:10:16 | 息抜き
週末息抜きシリーズです。

PROMISE。アメリカのピアニスト、Danny Grissettのトリオです。

リーダーのGrissettはLos Angels の出身。活動の拠点はNew Yorkのようです。
2006年の盤だと思いますが、これが初のリーダー作だった模様。その前にいろんな方と組んでサイドマンとして活躍し、満を持しての録音だったのでしょう。この後現在まで数枚のアルバムをコンスタントに出しています。実力派。
このデビュー作は"Promise"というタイトル通り、期待を裏切らない内容。
転調の多い技巧的な演奏でありながら、落ち着いて叙情的、聴き易くて柔でない。バランスの良い演奏者であり、そういう感じが良く出たアルバムです。
こういうアルバムを聞くと、やはりアメリカのJazz界は恐ろしく人材豊富だと実感させられますな。

1曲目の"Moment's Notice"はColtraneのスタンダードですが、バンドのまとまりがよく、非常に端正な演奏ながら一種のグルーヴ感があって引き込まれます。
3曲目の"Promise"は自作。メロディーとバンドワークが秀逸。脇のリズムが上手く支える中で優しいピアノの旋律が始まって、極めて叙情的に進めながら途中でリズムを交えて盛り上がり、またピアノの美しい旋律でフィニッシュへ。NY Jazz万歳の素晴らしい出来栄え。
7曲目の"On the Edge"は技巧的な曲。冴える技を楽しみながら、そこに込められた想い(後述参照)を自分でも想像してみる。

CDブックレットの中には、LAからNYに移って生活しながら演奏していくことの難しさというか、快適なLAとは異なる速くて複雑なNYのテンポを"On the Edge"で表現しているとありました。
砂漠の中に超人工的に作り上げたLAと、マンハッタンを中心にアメリカ経済・文化の中心地としての歴史と深みのあるNYはやっぱり大分違うんでしょうね。
シンガポール出身の華僑が上海で働くようなものなのか?ちょっと違いそう。
関西出身で東京で活躍するのともまた違う感覚とは思いますが。。。
いずれにせよ、こうした想いが演奏に深みを与えているとすれば、聞く側としては素直にその要素を楽しみたいと思います。

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冷たい風のような火を燃やすものたち