株式会社 文化財保存活用研究所 Blog

大分県を中心に文化財の保存修復をメイン事業として活動している「株式会社 文化財保存活用研究所」の企業ブログです。

文化を護る 未来へ繋ぐ 株式会社 文化財保存活用研究所

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週末に向けて・・・

2010-09-09 19:40:22 | 日記
頑張っております馬頭です。

おかしな冒頭で申し訳ありません。
今週末の11・12日に長崎県壱岐市の埋蔵文化財センターで行われる「中四国九州保存修復研究会」で研究発表を行うことになりまして、資料作りやら原稿作りやらに奮闘しております。

学会でのポスター発表などは何度かやらせていただいたことがあるのですが、オーラル発表は初めてなので、今から緊張しています。

ということで、せっかくなので今回は私の研究について簡単にご紹介したいと思います。

私の研究は一言で言うと「鉄製品の脱塩処理の効率化」についてです。
古墳などの遺跡から発掘される鉄剣や鉄斧などの鉄製品のほとんどは、錆びた状態で発見されます。



これをを修復し、保存していくにはクリーニングや樹脂含浸・塗布などの適切な保存処理が必要となります。
一見して表面に見えている錆を処理すれば良いように思われますが、遺物の内部には塩化物イオンや硫酸イオンなどの陰イオンなどが存在しています。
この陰イオンが内部にあると新たな錆を誘発してしまい、せっかく保存処理を施しても内部から錆びてしまうのです。
これを防ぐために陰イオンを除去する処理が「脱塩処理」とよばれる保存処理です。

陰イオンは目に見えないため、現在でも試行錯誤が行われている処理方法でもあります。
私は、その脱塩処理の問題の中でも処理の効率化について研究を行っています。
今回の研究会では、効率化についての発表が私だけなので、他の研究者の方の反応が気になります。

専門的な話を長々してしまいまして申し訳ありません。ここまでお付き合いしていた方ありがとうございます。

研究会と壱岐については後日アップしますので、よろしくお願いします。

文殊仙寺~国東市国東町~

2010-09-06 16:27:20 | 日記
ご無沙汰しております。馬頭です。
あっという間に8月が過ぎ、暦のうえでは秋になってしまいましたが、まだまだ暑い日々は続きますね。先日の外での作業では、さすがに暑さでクラクラしてしまいました・・・。皆さんも熱中症などには十分お気を付けて、残暑を乗り切りましょう!!

さて今回は、大分県国東市国東町にある「文殊仙寺」を訪ねてまいりました。



「三人よれば文殊の知恵」で知られる「文殊菩薩」を御本尊とする日本三文殊霊場三番札所とされる御寺です。(ちなみに、「三人よれば文殊の知恵」の言葉はこの御寺が発祥だといわれています。)

入り口には力強い仁王像が待ち構えており、階段を登ってい行くと山門、客殿、奥之院があり、周りには神聖な雰囲気を漂わせる自然林が広がります。この自然林は二十一世紀に残したい自然百選にも選ばれています。紅葉の時期は特に色鮮やかで美しい風景が見られるとのことです。



先にもふれましたが、この御寺の御本尊である「文殊菩薩」は御釈迦様に仕える弟子の中でも知恵に長けており、御釈迦様も文殊菩薩に知恵を借りたということ話もあります。
それ故に、こちらの御寺には合格祈願など学業向上など、文殊菩薩の知恵をお借りに来る方が多く参拝にいらっしゃるとのことです。
また、奥之院の岩壁から霊水が湧出しており、「知恵の水」として崇められています。(少しでも知恵をお貸し頂きたいので、もちろん頂いてまいりました。)

この御寺には、まだまだ見所がありまして、山門から横に入り奥に進むと、鐘楼があり、それをくぐると

 

日本一の宝篋印塔があります!!



約8メートルの大きさで、まさに見上げるほどの大きさで圧倒されました!!

また、そのすぐ下には御神木の「千年欅」というケヤキの大木があり、歴史と自然の力強さを同時に感じさせられる場所でした。



毎月25日は文殊山の御縁日にあたり、午前11時より奥之院にて護摩焚き祈願が行われているそうです。試験や入試など合格祈願をいたしたい方は日程を合わせてお訪ねするといいかもしれませんね。

法心寺~大分市鶴崎~

2010-09-06 16:18:09 | 文化財
どうも。うめです。
台風が接近してますね~。
小学生のころは学校が休みになるのを祈ってましたが、
夜の間に通り過ぎ、次の日の朝には何事も無かったかのように・・・。
切ない気持で登校していました・・・。

自分の話はこれくらいにしておいて・・・、
みなさん外に出る際は、気をつけてください。



今回は大分市鶴崎にあります法心寺を紹介したいと思います。
場所は鶴崎高の隣、乙津川沿いになります。


この法心寺は加藤清正によって1601年に創建された寺院です。
加藤清正といえば熊本というイメージが強いですが、
大分もとても所縁ある地なんですね。

加藤清正は関ヶ原の戦功により天草の領地を加増してもらったが、
それを辞退し、大分の鶴崎周辺の領地をもらいました。
その理由としては、瀬戸内海に面しているこの地が
海上交通の重要な拠点になると考えたからだといわれています。

鶴崎の領地を得た加藤清正ですが、
この地には自らが信仰する日蓮宗のお寺がありませんでした。
そのため、母親の菩提のためにこの法心寺を建てたといわれています。

法心寺の前には加藤清正像があります。



この法心寺の境内には「逆さ銀杏」と呼ばれる木があります。
この木には加藤清正に関わる伝説が残っています。

本堂建立の際、加藤清正が持っていた杖を地面に突き立てたところ、
その杖が育ち、現在のような大樹になったというお話です。

この「逆さ銀杏」は本堂の側にありました。
写真左側の木が「逆さ銀杏」です。





この「逆さ銀杏」は大分市の名木にも指定されています。


さて、今回は「逆さ銀杏」の紹介が中心になりましたが、
法心寺には二十三夜祭と千灯明・豆茶供養という名物行事があります。
機会がありましたらこちらの行事についてもご紹介したいと思います。


追伸:今回色々とお世話になりました法心寺のみなさん、本当にありがとうございました。

万弘寺~大分市坂ノ市~

2010-09-02 17:29:22 | 文化財
どうも。うめです。
8月も終わってしまいましたね~。
以前よりは寝苦しさは無くなった気がしますが、
まだまだ暑いですね。
早く涼しくなってほしいです。


今回は大分市坂ノ市にある万弘寺に行ってきました。
場所は坂ノ市小学校の側になります。

この万弘寺は585年に創建された県下で最も古い寺院だと伝えられています。



この万弘寺の縁起には聖徳太子とその父親の人皇第31代用明天皇が
関わっています。

用明天皇は天皇に即位した年に密かに筑紫や日向など
九州を旅行していたそうです。
現在の坂ノ市のあたりに来られた時、
病気になってしまい、歩み疲れて大きな石に腰をかけて休んでいました。
その際、行脚中であった豊国法師に病気が治るように祈願してもらい、
薬師如来像を刻んでもらったところ体調が良くなり、
無事に大和へと帰ることができました。
その後、豊国法師を開基として万弘寺が建てられたということです。


境内に入りますと、左側に用明天皇にゆかりのあるものが並んでいました。



こちらが用明天皇が腰を掛けられた石と伝えられているものです。



そしてこちらが豊国法師によって刻まれた薬師如来像になります。


以前は本堂の中に安置されていたそうですが、
現住職さんがお参りに来られた方皆さんが拝めるように
現在の場所に移したそうです。
本来は扉が閉まっているのですが、
見学に行った際、住職さんが扉を開けてくださりました。
住職さん、ありがとうございました。



さて、この万弘寺にはとても有名なものがあります。
それが「万弘寺の市」というもので、通称「だまし市」
と呼ばれる市です。
これは海岸部に住む人や山間部に住む人が海の幸や山の幸を持ち寄り、
万弘寺門前の真っ暗やみの中で物々交換をするというものです。

この市の始まりは、万弘寺が造営されたころ
多くの参拝者が昼夜を問わず毎日のようにおり、
その参拝者同士が親しさを増すに従い、
お互いの善意の贈り物が頻繁になり、
それが物々交換へと発展したといわれています。

非常に盛んな市であったため、サカンニチと呼ばれており、
それが現在の坂ノ市の地名になったといわれています。


この市は現在も毎年行われており、
現在の御本尊である観世音菩薩の縁日である
5月18日から1週間、多彩な行事とともに行われているとのことです。


万弘寺の隣が大きな広場になっており、
そこで行われるそうです。



来年は僕らも参加したいです。