いつも台風が発生すると勢力や大きさ、速さ、進路をマメにチェックしています
今回の台風はずっと勢力を保ったまま九州に接近、上陸しました
940~950ヘクトパスカルで九州に上陸とはめったに無いケースです
速いスピードで九州を駆け抜けたものの、これによる被害は文化財も例外なく受けています
殊に今回は風が強かったことがあり、
屋外文化財周辺の森林環境の変化で引き起こされる被害の可能性について考えてさせられました
屋外文化財の保存を考える時に周辺環境を整える方法がありますが、
ある研究者の方がおっしゃっていた印象的なお言葉、「木1本で環境は変わる」
山間にあることが多い屋外文化財、
周辺環境とのバランスを保ってきたことが永く遺されてきた大きな要因とも言えます
森や林のシステムは全ての要素がひとつひとつ歯車として機能していて、その一つでも欠けるとそのバランスが崩れてしまう
木1本でも
壁1枚でも
水みち1本でも
ほんの少しの変化が大きな変化をもたらすきっかけになることを
この言葉は教えてくれます
この言葉に加えて
「木を見て森を見ず」にならない
今起こっている現象だけにとらわれず広い視野を持って観察力、想像力、予測立ての力を養いなさい
現場の声無き声を聞き取ることの大事さを思い出させてくれます
そして、
「文化財保存に終わりは無い」
これも文化財保存を始めた時に衝撃を受けた言葉でした
文化財も生きている
命ある限り適切な処置と維持管理を施しながら
後世に引き継いでいくという強い意志を感じる言葉です
屋外文化財では今回の台風みたいに人間の手ではどうしようもできないことが起こって悩ましいことの連続です
ですが、台風をはじめとした自然災害の被害も文化財ではひとつの歴史としてとらえることが出来ます
それを早く復旧させることが今、私たちができる最大限のことと考えてこれらの言葉を思い出しながら対応していきたいと思います