株式会社 文化財保存活用研究所 Blog

大分県を中心に文化財の保存修復をメイン事業として活動している「株式会社 文化財保存活用研究所」の企業ブログです。

文化を護る 未来へ繋ぐ 株式会社 文化財保存活用研究所

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高瀬石仏~大分市~ 保存修復進行中 -その1-

2011-01-23 09:24:47 | 文化財
 明けましておめでとうございます!!馬頭です。本年も何卒よろしくお願いいたします。1月に入ってドンドン寒さが増してきていますね。去年を表す漢字一文字が「暑」でしたが、さすがに冬は寒いんですね・・・。

 今回は、去年から弊社が携わらせていただいている保存修復業務の紹介をさせていただきます。現在、大分市のワサダタウン近くの七瀬川公園の隣にあります「高瀬石仏(国指定史跡)」で覆屋設置などの大規模な保存修復が行われています。
 弊社も、この保存修復事業に携わさせていただいており、連日作業に取り組んでいます。

 「高瀬石仏」は胎蔵界大日如来像を中心に如意輪観音像、馬頭観音像、大威徳明王像、深沙大将像の石仏像が龕内に彫られている史跡です。制作年代は平安時代後期の12世紀後半と推定されており、きれいな彩色が施されていることからも大分県内を代表する磨崖仏の一つとしてあげられています。



※国指定史跡 高瀬石仏

 今回の保存修復では、龕を雨、風などから防ぐことを目的とした覆屋の設置をはじめとし、龕内外の石の強化、石仏のクリーニングなどが行われます。


※保存修復中の現在の高瀬石仏外観の様子

 今回は、高瀬石仏の保存修復レポートの第1弾として「打音調査」についてご紹介します。
 龕内外は雨などの水による影響や植物などの影響など様々な要因により、石の劣化が進んでいました。この劣化を防ぐために樹脂などによる強化処理を行うのですが、その前に劣化箇所の確認を行っていなければ的確な処理を進めることはできません。
 そのために今回行ったのが、「打音調査」です。劣化があきらかな箇所は目視でも確認することができますが、見た目では分からない箇所でも岩面から浮いている箇所や泥が固まっているだけで壁面に同化してしまっている箇所もあります。
 そういった箇所を見分けるために岩面を叩いて音の違いを聞き分ける調査方法です。

 健全な岩面では「カチカチ」(表現が下手ですみません・・・)といった詰まったもの叩いたような音がして、堅いものを叩いたような感触が伝わってきます。
 一方、岩面から浮いてしまっている箇所などでは、「ゴポゴポ」や「コンコン」といった中に空洞があるようなものや軽いものを叩いたような音と感触が伝わってきます。
 こういったものを聞き分けて劣化箇所のマッピングを行い、それを基に強化処理を行っていくことになります。




※打音調査の様子

 今回は、「打音調査」についてご紹介しましたが、引き続き作業のレポートを掲載していきたいと思います。また、現地でも作業員が修復内容などご説明させていただきますので、ぜひご見学にいらしてください。

瑞巌寺磨崖仏~大分県九重町~

2011-01-16 11:10:35 | 文化財
お久しぶりです。うめです。
そして、新年明けましておめでとうございます。
およそ1カ月ぶりのブログのため、新年のあいさつが遅くなりました。

みなさん、年末年始はいかがだったでしょうか?
今年は天候が悪い年明けになってしまいました・・・。
年明け後もさむい日が続き、昨日は大分市や別府市にも雪が積もるような一日になってしまいましたね。
今はある程度溶けてきましたが、まだまだ凍っている道もありますので、外に出られる時は、十分に気を付けてください。

さて私の新年初のブログは文化財紹介から始めたいと思います。

今回ご紹介するのは、シーズン真っ最中のスキー場がある九重町に所在する瑞巌寺磨崖仏です。

玖珠町との境近くにあり、近くには東飯田中学校やJR恵良駅などがあります。
目の前には写真のように紹介の看板が立っています。



こちらが瑞巌寺磨崖仏です。




凝灰岩の壁に、右から毘沙門天、コンガラ童子、不動明王、セイタカ童子、増長天の五体が彫られています。(写真では左右が柱で見えにくくなってすいません。)
この磨崖物が彫られたのは平安末期から鎌倉初期ではないかと考えられており、作風は国東半島の磨崖仏に類似しているそうです。

この磨崖物により、昔のこの地方では不動尊信仰が栄えていたのではないか推測されます。

さて、この磨崖物の名称にもなっている瑞巌寺ですが、現在は無いお寺です。
伝説では国東半島の六郷満山寺院を創建したとされている仁聞が、養老年間に建立した寺院だそうです。
そのため、作風なども国東半島の磨崖仏と近いものがあるのでしょうか?

現在は県史跡の指定を受けています。
立派な覆屋も建てられ、地元の人からも大切にされているんだな、と感じることのできる文化財でした。
お車で行く際は国道210号線から少し中に入った所にありますので、ナビや看板などを頼りに行かれてください。



ではみなさん、さむい日が続いておりますので、
風邪などひかないように気を付けて下さい。

新年明けましておめでとうございます

2011-01-03 23:15:14 | 日記
旧年中は大変お世話になりました

年末年始いかがお過ごしでしたか?

近年まれにみる寒波で計画通りの
お休みではなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか

お正月のテレビ番組などを見ながら思ったんですが
最近のテレビ番組では出ずっぱりの戦場カメラマンの渡部陽一さんや
昨年のM-1準優勝のスリムクラブの反響を考えると

今年は「間」がキーワードになるんじゃないかなと
僭越かつ浅はかながらも考えてみました

物事を的確にとらえた上で絶妙な間合いで表現していく

その「間」が見ている側とうまく合致していたように思うのです
マツコ・デラックスさんも表現するにあたってその場の会話のお相手との「間」を大事にされてお話を
されていてあの外見や的確なコメントもさることながら話し方で受け手を引きつけて
いたように感じました

昨年話題になったツイッターも情報を流すタイミングや
「間」を上手く使いこなせた方にはたくさんフォローがついてきてるような気がしましたし


まあツイッターやったことないんですけどね


話題を変えます(本題へ移ります)

昨年中の弊社ブログはいかがでしたでしょうか

各地の文化財をご紹介というメインテーマではありましたが
個人的な偏りがあったり更新が少なかったりと
ご覧になってくださっている方々には少々不満の残るものに
なってしまったのではと深く反省しております

今年は文化財紹介だけでは「この会社実際のところ何やってるの?」と思われかねませんので
実際の作業場面なども紹介しながら、スタッフの近況も織り交ぜて行こうと考えております

絶妙な「間」を作りながら
お届けできればな、、と

今年も文化財保存活用研究所,ブログ共々よろしくお願いいたします <地蔵> 

追)地蔵と言えばですね、今日大分県は天ケ瀬にある高塚愛宕地蔵尊に行って来たんですが
結構な積雪のある(10センチ)駐車場から出る際にタイヤがスリップして困ってたところに
近くに止めていらした家族のお父様と息子さんが車を押してくれるのを手伝ってくださいました

高塚のお地蔵さまが私たちの前に正に現われたように感じた瞬間でした

正月から人の温かさに触れることができまして
ブログからではありますが心をこめて

「ありがとうございます!」