消費税の旨味と法人税を考える

2016-03-03 06:57:44 | 日記

   消費税の旨味と法人税を考える

 

  国会審議は参議院に移った。衆議院では「一強与党」の傲慢もあってか、政治家たる資質もあり「不祥事・失言・暴言」そして「政治と金」が突出した審議であった。このことに対する追及もさることながら、最終日の予算委員会で展開された憲法論議は重要であったと考える。また、民主・維新が論戦のための統一会派を形成し連携の中で関連発言が展開なされたことは、見ている者にとって今までにない国会論議の重みを痛感した。案の定、答弁に立った閣僚の言葉は冴えず、安倍首相に至っては表現を変えただけの繰り返し答弁に終始した。参議院においても是非取り入れて欲しい。

   加えて消費税と軽減税がある。民主党政権最後に「税と社会保障の一体改革」が民・自・公の三党で確認された。三党というのもおかしいが、当時の議会内の力関係によるものでありやむを得ないとする。では「消費税が社会保障制度を支える持続可能な財政の仕組みになっているのか。消費税率の引上げが社会保障の充実になってきたのか」について、三党合意に加わらなかった野党は、今公然と、その論議に関わっていくべきであろう。しかし、今般の論議を聞く限り、軽減税適用のあり方論あるいは「財源探し論」に傾注していた。もちろんそれも重要であろうが、消費税の仕組みそのものの矛盾を質す論議が聞きたかったというのは私だけであろうか。

  そこで、いつものように市民感覚の「耳学問」で消費税を考えてみたい。

   バレンタインのチョコレートを1.500円で購入する。そのチョコレートが消費者に渡るまでの工程と消費税は次のようになるだろう。

   製菓会社が卸売会社に1.000円で出荷する。製菓会社はその売り上げ1.000円の8%の消費税80円を卸売会社から受け取り「預り金」として計上する。卸売会社はスーパーに1.200円で出荷し、その売り上げの消費税96円をスーパーから受け取り「預り金」として計上する。スーパーは1.500円の値段をつけて店頭に出す。消費税込みで1.620円であり、そのチョコレートを若い女性が買っていった。スーパーはお客から消費税120円を受け取り「預り金」として計上した。そして確定申告により「預かり金通帳」から引き出して税務署に納める。

   製薬会社をはじめてして各業者が税務署への納入する額は(A+B+C=120円)となる。

   製薬会社は80円(A)                 

   卸売会社は96円-80円=16円(B)           

   スーパーは120円-96円=24円(C)         

   さて、預り金として計上した消費税であるが、運転資金としての活用も含め運用も可能となる。何も通帳に眠らせておくことはない。運用益が出ればさらに消費税の旨味を生かすことができる。もちろん運用に失敗すれば自業自得だが。

   つまり、企業にとって消費税は旨味があっても損はないといっても過言ではない。にもかかわらず消費税論議を横において、政府は「法人税の減率」をはかろうとしている。「過ってない企業収益の増大、そこから生み出される恩恵の水は国民の豊かにする、それがアベノミクスだ。だから、その道筋を確かなものにするためにも法人税を下げて企業の活性化をはかり、さらなる利益を積みます。そして泉の水を全国津々浦々に」と。

 そんなことで誤魔化されないことを、国会の場を通して国民に示してほしいと思う。