業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

既得権益

2006年11月27日 | 業務日誌
※ 画像のことは本当に気にしないで下さい。

きとく-けん 【既得権】
すでに獲得している権利。なんらかの法的根拠に基づき、すでに取得している権利。

別に政治がらみの話をしたいワケではありません。

例えば私が新規から関わった利用者さんは、最初から介護保険でできること・できないことを説明しているつもりだし、それだと利用者にあとから「どうしてこれをやってもらえないの」と不満を言われても、介護保険はみんなで分けるドーナツですからという説明で大抵「じゃ仕方ない」と例えしぶしぶでもわかってもらえます。
昔から、ものごとを何かに例えたり、たいしてイミもないことをさも重大なことのように吹聴するのが得意でしたから(自賛か)説得とか話のすり替えとかも苦手じゃありません(自慢か)←タカ&トシ風に。
そんな言い訳番長のハリケンでも、人にもらったケースはやっぱり手こずります。
これは別に私だけに限ったことじゃありませんよね。

「最初のケアマネさんは、病院に行くのにヘルパーを付き添わせてくれたのに」
とか
「前のケアマネさんは、2時間の掃除でもいいですよと言ってくれてたのに」
とか。
ひどい利用者だと
「先月までのケアマネさんは色気があって毎月楽しかったのに」
なんてのもいて殺意を抑えるのに苦労する。

制度がコロコロ変わるのをきっかけに、その都度利用者を
「申し訳ありません、この春から、介護保険ではこういうサービスを控えなさいという方向に変わりました。」
「どういうワケか、この秋までにこれをやめなさいと厚生労働省がおふれを出しました」
という説明で納得させ、叱られたり罵倒されたりしてきたのはケアマネです。
区役所や市役所や県庁では
「はいはい、言いたいことがあるならケアマネさんに相談して下さい。」
と言うだけで済むんですからラクなもんです。

介護保険施行当初、私たちケアマネや高齢者が見せられたのは、たっぷり砂糖衣のかかったバカでっかいドーナツでした。
何十万人と分けても減りそうにありませんでしたし、お腹いっぱい食べられそうでした。これを切り分けるのがケアマネの仕事なんだと思うとワクワクしました。
高齢者も、ここからここまでが自分のぶんだろうなと勝手にウキウキしました。
しかし、もうそんな巨大なドーナツはどこにもありません。

介護保険料だって、文句も言わずに支払っているのは
「来月のアタシの誕生日にはプラダの靴を買ってくれると言ったから、だからクリスマスのプレゼントはグッチのチョーカーを奮発したのに!」
というカンジでしょうか。

騙された。まさにそうですよね。

今日、ある利用者宅で目くそと一緒にサービス担当者会議を一発やってきたのですが、まーひどいもんでした。
2年前まではヘルパーが、透析通院をしているその利用者を公用車で送り迎えし、運転中だろうとなんだろうと身体介護で請求していたのを突然「ヤバくなりましたので」と介護タクシーに切り替え。
1年前までは生活6で入っていたサービスを「90分までしか使えなくなりました」と生活3の1日2回派遣に組みなおし。
それでも実際には午前中に生活5でやって、午後には洗濯物の取り込みだけをして帰っていたというので、そんな派遣は認められないよとあわてて利用者を説得しに行ったのですが、利用者にしてみれば、これまで長年やってもらってきたことを今さらできませんと言われる理由がまったくわからないのは当然です。
この利用者はキレまくりでした。
介護タクシーの件は私の前任者が対処したのですが、まずこの利用者は「介護タクシーに払うお金(運賃部分)がもったいないから、送迎のある透析医院にかわる」と言い出し、ゴネまくって、とうとういまの透析先の院長に自分の介護タクシー利用料金を支払ってもらっています(これマジです)。
ヘルパーの生活6の分割の件では難航しており、まだ折り合いがつきません。

高齢者にも色んなタイプがあって、できるだけ人の世話にならずに生きていきたいと思う誇り高い人や、使えるものはなんでも使わにゃソンソンと思うおばちゃんタイプの人や、たとえ公共のものだろうとなんだろうと分け合って使うなんて意識をまったく持ち合わせていない自己チュータイプとさまざまです。
でも、利用者によってドーナツの切り分け方を変えるケアマネにはなりたくないのです。
うるさい利用者を黙らせたいばかりに、少し大きめのドーナツを与えてしまうやり方は、結局自分の首をしめます。そういうケアマネになると、ずっと抜け出せなくなるような気がします。利用者は次にドーナツをもらうときにはもっと大きな一切れを要求してくる困ったちゃんですから。
特に私はひいきする最低ケアマネなので、いつもそのことを肝に銘じています。
高齢者が、自分に切り分けられたドーナツを見て「他の人のより大きい」と勘違いするようなプランにすればいいんです。
たとえば、同じヘルステでも誠実で気持ちのいい事業所を見つけて紹介するとか、同じショートでもいい介護士のいるところを探して世話するとか、そういうささやかな調整力で付加価値をつけるしかない。

そのためにはどうするか。
愛想のいいケアマネさんでいるしかありません。

とはいえ、私が前任から引き継いだケースの大半は、私が不正や不整を正しく直そうとするたんび、すごいリバウンドに見舞われてかなりグロッキーです。
私が担当する利用者の半分はありがたいことに私のことをとても買っていてくれて、頼りにしてくれているのですが、残り半分(つまり引き継いだケース)は私のことをとか悪魔とか冷血漢とか思っています(いやマジで)。
でも仕方ありません。
私、昔っからこういうムラのある人生なんですよ。

でもねえ、1番大変なのはやっぱり利用者なんですよね。
と、いい子ちゃんでシメてみる(自爆か)←タカ&トシ風で。