三流読書人

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ドングリ小屋住人 

米軍基地問題政府が何を決めるかではなく私たちが何を決めるか

2010年04月25日 07時29分09秒 | 政治 

「通販生活」という雑誌をご存知だろうか。購読者はあまり多くはないかも知れない。この雑誌、時々政治的・政策的課題について特集を組み読ませる。2010年夏号に興味深い記事がある。
 「混迷する普天間問題をどのように考えればよいのでしょうか」と題し、数人の人が語っている。
この中で、寺島実郎さん(日本総合研究所会長・多摩大学学長)は「日米関係の将来をどうするかという議論の中でしか、普天間基地は論じられません。」というタイトルで語っている。
部分的にで゛あるが引用、紹介をさせていただくことをお許し頂きたいと思う。できれば全文を読んでほしいと思いますが。(以下青字引用部分)
 
[  ・・・・ 独立国に外国の軍隊が65年間もの長期間にわたって駐留し続けている事実。あるいは、国内に約4万人もの米軍兵力が存在し、いわゆる「思いやり予算」を含め、米軍駐留費の7割に及ぶ年間約6000億円を日本が負担しているという事実、これらを不自然と思わないのは、どう考えても「常識」が欠落しているとしか思えません。
なぜ、このような現実を不自然と感じない「思考停止状態」に陥ってしまったのか。それは、冷戦構造の下での考えをそのまま引きずり、新たな思考を何もめぐらさないまま、対米協力・対米依存外交を続けてきたからです。
               ・・・・中略・・・・
 アメリカは、オバマ政権誕生後、「核なき世界」「イスラム文化との融和」というそれまでの外交政策とは180度違った方針を打ち出しています。さらに、オバマ大統領は、今年3月の核不拡散条約40周年の声明で「時代遅れの冷戦型思考を超えて、国家安保戦略の中での核兵器の数、役割とも低下させる」と驚くべき発言をしています。「冷戦型思考」から脱却できず、変わるアメリカにさえついて行けない「思考停止状態」になっている日本人にとってなんと皮肉な言葉でしょうか。「日本が米国の核の傘の下にいれば他国から攻撃されることはない」という論理はもはや通用しなくなっているのです。97年に、橋本政権が行った日米ガイドラインの改定で、日米安保の対象を極東に定めていた「極東条項」が見直され、日本の安全が脅かされることであれば、適用範囲を世界中に広げられると拡大解釈してしまった。ここにおいて日米同盟の本来の目的は完全に変質し、日本は米国の戦争への加担をより強める結果になったのです。そして、9・11後、米国がアフガニスタン、イラクへと侵攻すると、日米安保の見直しどころか、米国の戦争に巻き込まれていく結果となりました。
               ・・・・中略・・・・
  普天間問題が迷走したことで逆に見えてきたことがあります。これまでアメリカには「日本を守るために米軍はいる。その存在が不満ならいつでも引き上げる」というある種恫喝のシナリオがありました。しかし実はアメリカとしても日本に基地を維持したいという本音が確認できた。一方で日本側にも中国や北朝鮮に対する抑止力としての米軍にいてほしいと思っている人が依然として多くいることもわかった。この相互依存が象徴するように、日本人は今日に至るまで米国を通してしか世界を見ていなかった。
                ・・・・中略・・・・
世界は今、多極化し、複数の国と関係を結ぶ「分散型ネットワーク」が構成されており、米国がアジア政策で日本だけを基軸にして来た時代はすでに終わっています。これからの日本は東アジアから全世界の国々と個々の関係を結んでいかなければならないのです。
                 ・・・・以下略  ]

  他には、田岡俊次さん(軍事評論家)、太田昌秀さん(元沖縄県知事)、伊波洋一さん(宜野湾市長)、山内繁雄さん(宜野湾市基地対策部長)、三上智恵さん(琉球朝日放送キャスター)などが書いている。