ひろきちの愛車「松風」。MITSUBISHIのECLIPSE('86)という車ですが、漫画「花の慶次」に出てくる馬の名前をつけて喜んでました。しかし間抜けなことに「松風」を購入した数日後の雨の日、いきなりスリップしてオカマしちゃいました。だってこの時はまだアメリカでは中古車はスベスベのタイヤだって知らなかったから。
相手の車は$300程度ですんだんですが、「松風」は前がかなりやられてしまい結構不細工な状態。いや、アメリカってみんなボロボロの車を平気で乗り回してるんでいいっちゃあいいんですけどね。でもいい値段で売って帰りたかったので。
いろんな修理工場で見積もり出してもらったのですが、どこも直すのに$2500~$3000かかるとのこと。購入価格と同じではあまりにあほらしい。なので、さらに根気よく探すと・・・ありました。かーなり怪しげな修理工場が。
ひろきちが住んでいたSt.Petersburg界隈は黒人居住地域と白人居住地域が割とはっきりと分かれています。分けられているわけじゃなく、自然とそうなっているのです。その黒人居住エリアにある、他の修理工場に比べてかなり怪しそうな雰囲気をかもし出すこの工場(BODY SHOPという)、絶対安いに違いないと確信して突入したのでした。
この店のオーナーのビリーに見積もってもらうと、なんと$1000でやるという。ビリーいわく「中古部品を探してきて修理するから安くできるのさ。最後に全体を塗装し直すからピッカピカの新品みたいになるぜ」(アメリカ映画の日本語吹き替え風)。金のないひろきちは迷わず決めました。パーツを手に入れるのにちょっと時間がかかるから、1週間後にもってきてくれとのこと。この時、ビリーが最後に言った一言を聞かなかったばっかりに、さらにひどい目に会うことになったのでした。
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数日後、日本に一時帰国する友人の送別会が開催されました。朝方5時ごろまで酒を飲み、そのままみんなでタンパ国際空港までお見送り。「松風」ともう一人のワゴンに分かれて出発しました。タンパ空港までハイウェイで1時間弱。軽快に飛ばしていたはずが気が付けばワゴンにかなり引き離されてしまっていました。「よーし、追いつくぞー、ちょっと飛ばすからなー」ちょうど速度メーターが70Miles/hあたりまで来たときです。
バンッ!
という音とともに目の前が真っ暗に。助手席にいたTくんは叫ぶ。
「ま、前が見えねー!!」
ボンネットが跳ね上がって、フロントガラスにへばりついたのです。しかし、時速120kmで走行中に目隠しをされたにもかかわらず、超冷静なひろきち(酒のおかげで恐怖心がなくなっていただけですが)。サイドミラーで後続車を確認しながら左端に寄せ停車。フロントガラスから天井にかけてへばりついているボンネット(英語ではHood)をひっぺ返し、ズボンのベルトで金具と固定して再出発。フロントガラスは割れ、天井はへこんでいました。
その日の午後、再びビリーのBODY SHOPへ「松風」を持っていくと、変わり果てた姿を見て、ビリーは明らかに動揺していました。
ビリー:「ホワッツ!!なんだ!?一体何があったんだ!? 」
ひろきち:「いやぁ、あの~、走ってたらHoodがね・・・ 」
ビリー:「だから言ったろ!何かでくくっておけって!!」
そう、ひろきちはこの忠告をす~っかり忘れていたのです。これさえちゃんとやっとけばこんな目に会わずにすんだのに。
ひろきち:「・・・・で、いくらで直せるかな?」
ビリー:「・・・これは$2000もらわないと」
えらい出費になってしまいました。
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