さて、ケルンからさらに電車で40分ほどのところにボン(Bonn)という町があります。かのベートーベン生誕の地として有名なところです。ひろきちはベートーベン大好きなので足を伸ばして行ってみることにしました。
レストランを出たのがまだ2時半だったのでもう一つくらい寄り道できる。ボンへ行く途中に何かないかと調べると、ブリュール(Brühl)という駅がありそこから徒歩で行けるところにアウグストゥスブルク城という宮殿があるということが分かった。そこへ立ち寄ってからボンへ行くことにしました。
ケルン駅のホームにはたくさんの人がいました。どうやら電車が遅れているらしく、予定時刻を10分以上過ぎても電車はやって来ません。ん~ドイツとは言え、やっぱり外国ってそんなもんなのか、と考えているところへ太った女の駅員さんがやって来たので、切符を見せて「ボンに行きたいんだけど、このホームで待ってていいのか」と英語で聞いてみました。ところがこの人は英語がわからないらしく、ホームの奥の方を指差してわけの分からないこと(たぶんドイツ語)を言ってそのまま行ってしまいました。
しばらくするとやっとホームに電車が入って来たのですが、さっきの太った女の駅員さんが指差したホームの奥のあたりで止まってしまった。
「あっちに止まるって言ってたのか」
と解釈したひろきちは向こうの方に止まった電車へ向かい、そしてそのままその電車に乗り込みました。でも何か様子がおかしい。誰も乗り込まないのだ。むう、と悩んでいると通りがかりのイスラムっぽい服装の女の人が何やらわけの分からない言葉で(今度はドイツ語ではない感じがした)話しかけて来た。何言ってるか分からないのでキョトンとしているとその女の人はあきらめて行ってしまったのですが、いったん電車から降りていろいろ観察していると、どうやらこの電車はこの駅止まりだということが何となく分かって来ました。
仕方がないのでホームの元いた場所まで戻って待っていると、さっきの電車はやはり誰も乗せずに行ってしまい、その後で別の電車がこちらまでググーっと入って来た。今回はみんな電車に乗り込んだので間違いではなさそうだ。いちおう念のため近くにいた若い兄さんに「これ、ボンに行くよね」と聞くと、「ああ」とやけにぶっきらぼうな答えが返って来た。彼の無愛想さはちょっと残念でしたが、とにかくこれでボンに行けるということでほっと一安心です。出発がずいぶん遅れてしまいました。
電車が走り出しました。どんどんとケルン大聖堂が遠ざかって行きます。次の目的地に思いを巡らせながら電車の心地よい揺れに身を任せていると、さっきの太った女の駅員が切符を確認しにやって来た。切符を見せると、
「あんた、ボンに行くんじゃなかったの?」
とやはりドイツ語で聞いて来た。(なぜかこの時は言っていることが分かった)
その後、周りの人たちに「ちょっと誰か英語話せる人いない?」と言った後に(不思議と言ってることが分かる)今の状況を説明しているようだった。
何となく状況を察したひろきちは、例の無愛想な兄さんに
「これボンに行くんじゃないのか?」
と聞くと、
「いや、おれもそう思ってたんだが、どうやら違うらしい」
なんですと!?あんたみたいな地元民が間違ってどうすんだ。
「次の駅で降りて引き返すしかないな」
おいおい、これはかなりのロスだぞ。のんびり旅のはずが、かなりタイトになってきました。
さっきの駅員が行った先でまた騒ぎが起こっている様子。それを聞いた無愛想兄さんが
「あっちでも同じことが起こってるみたいだな」
と言ってニヤッと笑った。ニヤッと笑った後で、またすぐに無愛想な顔に戻った。
ドイツの一駅は長い。軽快に飛ばす電車に乗りながら、ひたすら目的地から遠ざかっている状況に苛立ちを覚える。出発からしてずいぶん遅れているのだ。すぐにでも折り返して、ボンへ向かいたいところだ。
出発後20分ほど立ってからようやくDormagenという小さな駅に着いた。
数十人が下りた。みんな一斉に時刻表を見に行く。
ダイヤ乱れまくり。次の電車は一体いつやってくるのか、まったく分からないので心を落ち着けてひたすら待つしかない。アクシデントとは言えせっかくやって来たDormagen。なにか思い出になるものはないかと辺りを見回す。
・・・・・
静かだ。何も無い。こんなところに赴任になったらつらいだろうな。いや、逆にこういうところだからこそ土地に密着した生活が出来たりして、ドイツについて理解が深まったりするかもしれない。そういうことなら悪くないかもしれないな。
などと妄想しているうちに電車がやって来た。
Dormagenまで来た電車はもっと飛ばしてたのに、今度はやたらのんびり走る。運悪く快速で間違った方へ行ってしまい、鈍行で元来た場所へ戻るはめになったらしい。これまで順調だっただけにこのロスは痛い。
ボンには辿り着くのだろうか・・・
レストランを出たのがまだ2時半だったのでもう一つくらい寄り道できる。ボンへ行く途中に何かないかと調べると、ブリュール(Brühl)という駅がありそこから徒歩で行けるところにアウグストゥスブルク城という宮殿があるということが分かった。そこへ立ち寄ってからボンへ行くことにしました。
ケルン駅のホームにはたくさんの人がいました。どうやら電車が遅れているらしく、予定時刻を10分以上過ぎても電車はやって来ません。ん~ドイツとは言え、やっぱり外国ってそんなもんなのか、と考えているところへ太った女の駅員さんがやって来たので、切符を見せて「ボンに行きたいんだけど、このホームで待ってていいのか」と英語で聞いてみました。ところがこの人は英語がわからないらしく、ホームの奥の方を指差してわけの分からないこと(たぶんドイツ語)を言ってそのまま行ってしまいました。
しばらくするとやっとホームに電車が入って来たのですが、さっきの太った女の駅員さんが指差したホームの奥のあたりで止まってしまった。
「あっちに止まるって言ってたのか」
と解釈したひろきちは向こうの方に止まった電車へ向かい、そしてそのままその電車に乗り込みました。でも何か様子がおかしい。誰も乗り込まないのだ。むう、と悩んでいると通りがかりのイスラムっぽい服装の女の人が何やらわけの分からない言葉で(今度はドイツ語ではない感じがした)話しかけて来た。何言ってるか分からないのでキョトンとしているとその女の人はあきらめて行ってしまったのですが、いったん電車から降りていろいろ観察していると、どうやらこの電車はこの駅止まりだということが何となく分かって来ました。
仕方がないのでホームの元いた場所まで戻って待っていると、さっきの電車はやはり誰も乗せずに行ってしまい、その後で別の電車がこちらまでググーっと入って来た。今回はみんな電車に乗り込んだので間違いではなさそうだ。いちおう念のため近くにいた若い兄さんに「これ、ボンに行くよね」と聞くと、「ああ」とやけにぶっきらぼうな答えが返って来た。彼の無愛想さはちょっと残念でしたが、とにかくこれでボンに行けるということでほっと一安心です。出発がずいぶん遅れてしまいました。
電車が走り出しました。どんどんとケルン大聖堂が遠ざかって行きます。次の目的地に思いを巡らせながら電車の心地よい揺れに身を任せていると、さっきの太った女の駅員が切符を確認しにやって来た。切符を見せると、
「あんた、ボンに行くんじゃなかったの?」
とやはりドイツ語で聞いて来た。(なぜかこの時は言っていることが分かった)
その後、周りの人たちに「ちょっと誰か英語話せる人いない?」と言った後に(不思議と言ってることが分かる)今の状況を説明しているようだった。
何となく状況を察したひろきちは、例の無愛想な兄さんに
「これボンに行くんじゃないのか?」
と聞くと、
「いや、おれもそう思ってたんだが、どうやら違うらしい」
なんですと!?あんたみたいな地元民が間違ってどうすんだ。
「次の駅で降りて引き返すしかないな」
おいおい、これはかなりのロスだぞ。のんびり旅のはずが、かなりタイトになってきました。
さっきの駅員が行った先でまた騒ぎが起こっている様子。それを聞いた無愛想兄さんが
「あっちでも同じことが起こってるみたいだな」
と言ってニヤッと笑った。ニヤッと笑った後で、またすぐに無愛想な顔に戻った。
ドイツの一駅は長い。軽快に飛ばす電車に乗りながら、ひたすら目的地から遠ざかっている状況に苛立ちを覚える。出発からしてずいぶん遅れているのだ。すぐにでも折り返して、ボンへ向かいたいところだ。
出発後20分ほど立ってからようやくDormagenという小さな駅に着いた。
数十人が下りた。みんな一斉に時刻表を見に行く。
ダイヤ乱れまくり。次の電車は一体いつやってくるのか、まったく分からないので心を落ち着けてひたすら待つしかない。アクシデントとは言えせっかくやって来たDormagen。なにか思い出になるものはないかと辺りを見回す。
・・・・・
静かだ。何も無い。こんなところに赴任になったらつらいだろうな。いや、逆にこういうところだからこそ土地に密着した生活が出来たりして、ドイツについて理解が深まったりするかもしれない。そういうことなら悪くないかもしれないな。
などと妄想しているうちに電車がやって来た。
Dormagenまで来た電車はもっと飛ばしてたのに、今度はやたらのんびり走る。運悪く快速で間違った方へ行ってしまい、鈍行で元来た場所へ戻るはめになったらしい。これまで順調だっただけにこのロスは痛い。
ボンには辿り着くのだろうか・・・