New Orleansの宿に落ち着き、とりあえず軽く食事して夜はバーボンストリートを徘徊することにした。ホテルのフロントで道順を聞くと「この道以外は通るな」と念を押される。うっかり脇道に入ってしまうと危険な目に遭うというのはアメリカではどこも同じだが、ここニューオーリンズはまさにそういう怪しげな雰囲気が漂っていた。
さすがはジャズ発祥の街だけあって、バーボンストリート沿いにある店の中からはジャズの生演奏の音が外まで流れて来る。ビール片手に通りを行ったりきたりするだけで本場のジャズをタダ聞きできるというのは貧乏旅行にはありがたい。そういう客も少なくないのか、生ビールを売るスタンドがいくつかある。
ちょっと悪い気もするがビール一杯でたっぷりと楽しませてもらい、この日は長旅の疲れもあったので早々に宿の戻って寝ることにした。
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次の日、ヒデキさんと街を散策する。ミシシッピ川沿いをぶらぶら歩いていると変なオブジェを見つけた。
これは何だ?と二人で見ていたらひとりの男が近づいてきた。名前はMichaelというらしい。
Michael曰く、これはサメのひれなんだそうで、ここにコインを投げ入れながら願い事を言うと願いが叶うのだそうだ。
へえ、そうなんだ。じゃ、おれたち行くわー。
と立ち去ろうとすると、「ちょっと待って!」と引き止めるMichael。
「今週末大きなお祭りがあるんだよー。楽しいよー。行かなきゃ損だよー。」
いや、おれたちこれからロスまで行かなきゃなんないんだよ。だから明日の朝にはここを出るの。残念だけど、今回はいけないの。じゃ、いろいろありがとうね。
と去ろうとすると、「ちょっと待って!」とまたもや引き止められる。少々いらつく。
「1ドル貸してもらえないかな・・・、必ず返すから、そうだ、郵送するから住所教えて!」
あーそうでしたか、そういう目的でしたか・・・。
NO、それはできません!サヨウナラ!
とその場を立ち去ったのでした。
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アメリカにいると物や金を要求されることはよくある。例えばタバコ。例えば小銭。
タバコ一本くらいついあげてしまいそうになるが、そこは冷たく拒否するのが賢明だろう。
しかし一度こんなことがあった。休憩のために高速のパーキングに入って行ったところ、若い男がこっちをじーっと見ている。そしてボンネットをじーっと見つめ、こっちに近づいて来た。車を降りると、そのあんちゃんは言った。
「オイル、切れてるんじゃないか?」
エンジンオイルは定期的に交換しているし、交換のタイミングが無い時は少なくとも新しいオイルを足すようにしていた。とにかくマメにチェックはしていたつもりだった。
「いや、少し前にもチェックしたし、まだ大丈夫だと思うけど」
その男が念のために確認した方がいい、というのでボンネットを開けてオイルの残量と汚れ具合を確認してみた。すると確かに汚れがひどく、量もかなり減っていた。あれホントだ、と思った時にはその若いあんちゃんは他の車のところへ行って何か交渉し始めていた。
話がついたのか、こっちに戻って来て、
「あの人、オイル余分に持ってるから1缶分けてやってもいいと言ってる」
ここはとりあえずオイルを足しておいた方がいいと思ったので1缶買い取って足すことにした。若者はその作業も手伝ってくれた。
「いやあ助かったよ。でもなんで分かったんだ?」
と聞くと、
「ん~なんか変な音がしたんでね」
という答えだった。「じゃ、ありがとう」と行こうとした時、
「実は、ガソリンが切れてしまって家に帰るまで持ちそうにないんだ。ここから一番近くのスタンドまでは何とか持ちそうなんだけど、・・・ちょっとガソリン代を助けてもらえないかな?」
なるほど。これまでの親切はこういう目的があったのか。長いマエフリだなあとは思ったが、実際助かったし彼もちゃんと仕事をした。彼はひろきちに"駄賃をやるための理由"を提供したのだ。
「いくらいる?」と聞くと、「いくらでもいい」というので、たしか5ドルくらいを彼に渡した。
小銭とはいえ、タダでくれてやるわけにはいかない"5ドル"にちゃんと理由をつけたところがこのわかいあんちゃんのナイスなところだ。どうしても金が必要になったとき、Michaelのようにではなく、この若いあんちゃんのようなやり方でやろうと思う。
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さすがはジャズ発祥の街だけあって、バーボンストリート沿いにある店の中からはジャズの生演奏の音が外まで流れて来る。ビール片手に通りを行ったりきたりするだけで本場のジャズをタダ聞きできるというのは貧乏旅行にはありがたい。そういう客も少なくないのか、生ビールを売るスタンドがいくつかある。
ちょっと悪い気もするがビール一杯でたっぷりと楽しませてもらい、この日は長旅の疲れもあったので早々に宿の戻って寝ることにした。
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次の日、ヒデキさんと街を散策する。ミシシッピ川沿いをぶらぶら歩いていると変なオブジェを見つけた。
これは何だ?と二人で見ていたらひとりの男が近づいてきた。名前はMichaelというらしい。
Michael曰く、これはサメのひれなんだそうで、ここにコインを投げ入れながら願い事を言うと願いが叶うのだそうだ。
へえ、そうなんだ。じゃ、おれたち行くわー。
と立ち去ろうとすると、「ちょっと待って!」と引き止めるMichael。
「今週末大きなお祭りがあるんだよー。楽しいよー。行かなきゃ損だよー。」
いや、おれたちこれからロスまで行かなきゃなんないんだよ。だから明日の朝にはここを出るの。残念だけど、今回はいけないの。じゃ、いろいろありがとうね。
と去ろうとすると、「ちょっと待って!」とまたもや引き止められる。少々いらつく。
「1ドル貸してもらえないかな・・・、必ず返すから、そうだ、郵送するから住所教えて!」
あーそうでしたか、そういう目的でしたか・・・。
NO、それはできません!サヨウナラ!
とその場を立ち去ったのでした。
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アメリカにいると物や金を要求されることはよくある。例えばタバコ。例えば小銭。
タバコ一本くらいついあげてしまいそうになるが、そこは冷たく拒否するのが賢明だろう。
しかし一度こんなことがあった。休憩のために高速のパーキングに入って行ったところ、若い男がこっちをじーっと見ている。そしてボンネットをじーっと見つめ、こっちに近づいて来た。車を降りると、そのあんちゃんは言った。
「オイル、切れてるんじゃないか?」
エンジンオイルは定期的に交換しているし、交換のタイミングが無い時は少なくとも新しいオイルを足すようにしていた。とにかくマメにチェックはしていたつもりだった。
「いや、少し前にもチェックしたし、まだ大丈夫だと思うけど」
その男が念のために確認した方がいい、というのでボンネットを開けてオイルの残量と汚れ具合を確認してみた。すると確かに汚れがひどく、量もかなり減っていた。あれホントだ、と思った時にはその若いあんちゃんは他の車のところへ行って何か交渉し始めていた。
話がついたのか、こっちに戻って来て、
「あの人、オイル余分に持ってるから1缶分けてやってもいいと言ってる」
ここはとりあえずオイルを足しておいた方がいいと思ったので1缶買い取って足すことにした。若者はその作業も手伝ってくれた。
「いやあ助かったよ。でもなんで分かったんだ?」
と聞くと、
「ん~なんか変な音がしたんでね」
という答えだった。「じゃ、ありがとう」と行こうとした時、
「実は、ガソリンが切れてしまって家に帰るまで持ちそうにないんだ。ここから一番近くのスタンドまでは何とか持ちそうなんだけど、・・・ちょっとガソリン代を助けてもらえないかな?」
なるほど。これまでの親切はこういう目的があったのか。長いマエフリだなあとは思ったが、実際助かったし彼もちゃんと仕事をした。彼はひろきちに"駄賃をやるための理由"を提供したのだ。
「いくらいる?」と聞くと、「いくらでもいい」というので、たしか5ドルくらいを彼に渡した。
小銭とはいえ、タダでくれてやるわけにはいかない"5ドル"にちゃんと理由をつけたところがこのわかいあんちゃんのナイスなところだ。どうしても金が必要になったとき、Michaelのようにではなく、この若いあんちゃんのようなやり方でやろうと思う。
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