ケルンに戻って来たらもう4時を過ぎていた。1時間以上も時間を無駄にしてしまったことに無性に腹が立つ。旅行者の貴重な時間を返せ。
しかしいつまでもネガティブな気持ちでいても楽しくないので、ここは気を取り直してもう一度ボンを目指す。よーくよーく確かめて、ボン行きらしき電車に乗る。今度はちゃんと乗れたようだ。(乗れた"ようだ"、というところが怖い)
ボンにあるベートーベンの生家が見学できるのが6時まで。ケルンからブリュールが約20分、ブリュールからボンが約20分と試算して、まだ何とかアウグストゥスブルク城に立ち寄る余裕はありそうだ。せっかくの世界遺産なので多少厳しいがブリュールで途中下車することにした。
とても地味な(Dormagenよりは多少マシな)ブリュール駅で降りる。駅のすぐ目の前にアウグストゥスブルク城はあります。こんなこじんまりした寂しい地方駅を降りたらこんな立派な宮殿があるというのがすごい。これもヨーロッパならではか。とにかくアウグストゥスブルク城に接近してみる。
なんて趣味の良い建築でしょう。
正面のガラスドアまで行ってみる。開かない。手前に戻って右側の棟へ入る。受け付けカウンターのようなものがあるが無人。呼び鈴が置いてあったので鳴らしてみる。
チン、チン。
奥から人が出て来た。
「どうも。まだ開いてる?」
「ええ、日本語のガイダンスでいいですか?」
「はい、でも見て回るのにどのくらいかかるのかな?」
時間が気になるので確かめる。
「約40分です。」
40分か!ここで40分も過ごす余裕はないぞ。10分ほどでササっと見て移動しないとボンに到着するのが遅れてしまう。
「10分ほどで見て回りたいんだけど、中をサーッと見て回れないかな」
「ツアーなので、ガイドといっしょに行動していただくことになります」
これは困った。中は見たい。でも40分もここにいる時間的余裕はない。ここはあきらめるしかないか・・・。
長い時間考えた。せっかく来たのに中も見ずに去るのは未練が残る。しかしグズグズしているとベートーベンの家が閉まってしまう。でもやっぱりここも見たい。もちろんベートーベンの家も見たい。
(ある程度ガイドに付いて回って、時間が来たら集団から抜けて帰ればいいのでは)
最終的には楽観的な結論を出し、入場することにした。
実はこの決断が今回の旅の一番の失敗だった・・・。
***
受け付けの女性に導かれ、廊下を通って突き当たりのドアを抜けるとそこにはガイドに連れられた10人ほどの集団がいた。
「このグループに入って下さい」
と言って、受付嬢は去って行った。
ガイドが話すのはドイツ語のみなので何を言ってるか分からない。手渡されたメモリープレーヤで日本語のガイドを聞きながら屋敷の中を見て回る。
なんと豪奢な階段!
階段って2階へ上がるための単なる手段ではないのですね。ハシゴとは住む世界が違うのですね。
このエリアはさっき入ろうとして入れなかった正面玄関のあるところで、パーティーなどのときはここで客を迎え入れたのだそうです。第一印象を決める重要な場所だったようで、相当金をかけて作ったようです。
二階のベランダから見た庭。一部工事中。しかしゴージャスです。人がいるのが見えますが、まるでゴマ粒のようです。こんな家に生まれた人は生まれながらにしてハンデを負ってますよね。いや、守るものがあるという意味で。ああ、平民でよかった。
その他、部屋の写真をいくつか。
この時点で15分ほど経過。そろそろおいとましないと。
つづく
しかしいつまでもネガティブな気持ちでいても楽しくないので、ここは気を取り直してもう一度ボンを目指す。よーくよーく確かめて、ボン行きらしき電車に乗る。今度はちゃんと乗れたようだ。(乗れた"ようだ"、というところが怖い)
ボンにあるベートーベンの生家が見学できるのが6時まで。ケルンからブリュールが約20分、ブリュールからボンが約20分と試算して、まだ何とかアウグストゥスブルク城に立ち寄る余裕はありそうだ。せっかくの世界遺産なので多少厳しいがブリュールで途中下車することにした。
とても地味な(Dormagenよりは多少マシな)ブリュール駅で降りる。駅のすぐ目の前にアウグストゥスブルク城はあります。こんなこじんまりした寂しい地方駅を降りたらこんな立派な宮殿があるというのがすごい。これもヨーロッパならではか。とにかくアウグストゥスブルク城に接近してみる。
なんて趣味の良い建築でしょう。
正面のガラスドアまで行ってみる。開かない。手前に戻って右側の棟へ入る。受け付けカウンターのようなものがあるが無人。呼び鈴が置いてあったので鳴らしてみる。
チン、チン。
奥から人が出て来た。
「どうも。まだ開いてる?」
「ええ、日本語のガイダンスでいいですか?」
「はい、でも見て回るのにどのくらいかかるのかな?」
時間が気になるので確かめる。
「約40分です。」
40分か!ここで40分も過ごす余裕はないぞ。10分ほどでササっと見て移動しないとボンに到着するのが遅れてしまう。
「10分ほどで見て回りたいんだけど、中をサーッと見て回れないかな」
「ツアーなので、ガイドといっしょに行動していただくことになります」
これは困った。中は見たい。でも40分もここにいる時間的余裕はない。ここはあきらめるしかないか・・・。
長い時間考えた。せっかく来たのに中も見ずに去るのは未練が残る。しかしグズグズしているとベートーベンの家が閉まってしまう。でもやっぱりここも見たい。もちろんベートーベンの家も見たい。
(ある程度ガイドに付いて回って、時間が来たら集団から抜けて帰ればいいのでは)
最終的には楽観的な結論を出し、入場することにした。
実はこの決断が今回の旅の一番の失敗だった・・・。
***
受け付けの女性に導かれ、廊下を通って突き当たりのドアを抜けるとそこにはガイドに連れられた10人ほどの集団がいた。
「このグループに入って下さい」
と言って、受付嬢は去って行った。
ガイドが話すのはドイツ語のみなので何を言ってるか分からない。手渡されたメモリープレーヤで日本語のガイドを聞きながら屋敷の中を見て回る。
なんと豪奢な階段!
階段って2階へ上がるための単なる手段ではないのですね。ハシゴとは住む世界が違うのですね。
このエリアはさっき入ろうとして入れなかった正面玄関のあるところで、パーティーなどのときはここで客を迎え入れたのだそうです。第一印象を決める重要な場所だったようで、相当金をかけて作ったようです。
二階のベランダから見た庭。一部工事中。しかしゴージャスです。人がいるのが見えますが、まるでゴマ粒のようです。こんな家に生まれた人は生まれながらにしてハンデを負ってますよね。いや、守るものがあるという意味で。ああ、平民でよかった。
その他、部屋の写真をいくつか。
この時点で15分ほど経過。そろそろおいとましないと。
つづく