800m走の結果

3分25秒8

初出場にしては上デキだったと思う。

ボクは今日、仕事だった。
午後2時過ぎ、カミさんに電話した。

「何時くらいになりそう？」

「2時半ぐらい」
メインスタンドに御父さん(義父)と並んで座っていたカミさんが応えた。

ボクは仕事を中断すると、愛車のKYMCO　Sooner100にまたがって水前寺競技場を目指した。

駐車場にバイクを留め、メインスタンドの入り口へ急いだ。入り口階段を駆け足で上り、スタンドの最前列へ駆け下った。

最前列にたどり着いたそのとき、800m走の号砲がグランドに響いた。
高学年と低学年、ごちゃ混ぜのレースがスタートした瞬間だった。

スグにリョー坊を見つけけることができた。
一番外側のレーンにいたということもあるけど、学校の体操服にトレードマークになっている「P」文字入りの野球帽子。
他の子供たちは、長距離ランナー用のピロピロのランニングパンツ＆シャツ。

リョー坊は勢いよくスタート。だけどイン側に寄ったほうが有利ということを知らないリョー坊は、アウト側を懸命に走っている。見る見る抜かれていく。だけどビリにはならなかった。
2周目に入いろうとするころ明らかにペースが落ちてきた。
だけどリョー坊の後ろには3人の選手がいた。
「リョー坊！ガンバレッ！」
リョー坊はボクに気付いたようだった。

ゴール手前100m、後ろを振り向くリョー坊。
手前50m地点とゴール直前で体が大きい二人の選手に追い越された。
結局、リョー坊はビリから2番目だった。

ゴール後、メインスタンド前を歩いているリョー坊に声を掛け、大きく手を振った。
リョー坊も手を振って応えた。

ボクは元気そうなリョー坊を見届けて競技場を後にした。
競技場は台風の影響で熱帯の空気に支配されていた。
熱いレースだった。

白黒ゲーム

中学1年生の長女ユーは、どちらかというとフシギちゃんである。

学業成績はかんばしくなく、これといったトリエもない。部活も吹奏楽部に入っているもののトランペットをプカプカ吹ける程度だ。
まぁ、あえてイイところを挙げれば、女の子っぽくて優しくてカワイイところぐらいか・・・。

ユーは算数(数学)が苦手であることは何度か記録した。
こないだ意識不明になった翌日、ボクは仕事を抜け出しトイザらスに向かった。

オモチャ(ゲーム)を買った。2000円くらいだったと思う。懐かしかった。

帰宅して、ソレをユーにプレゼントした。一冊のノートとともに。

ノートには黒マジックで大きくこう書いた。
「オセロ戦記」

以来、ユーは毎日、家族の誰かと対戦している。
昨日は、カミさんに完全勝利していた。

一昨日、実力テストの結果が返ってきた。
数学がようやく平均を超え、順位も目標をクリアしていた。


話しはかわるけど、大学んときの研究室の1っこ下の後輩に野球部員がいた。HTE君って名前なんだけど、HTE君はピッチャーだった。大学の球史に残るほどの成績を修めていてプロからも注目されていた(ホントーだ)。だけどドラフトされず、結局、社会人野球(鉄鋼メーカー)の道を選んで、今は高校で数学の先生だ。
そのHTE君、野球も凄かったけど、オセロも凄かった。
ある研究施設の宿舎に泊まったときのこと、ヒマ潰しに彼とオセロをしたんだけど、完膚無き状態にされてしまった。「オセロでこんな負け方があるのか！」ってくらいだった。他の学生も彼に挑んだけど勝てる者はいなかった。

オセロ・・・、所詮、ゲームかもしんない。
けど、奥が深い日本発のゲームだ。