ハッピー&ラッキー

コレクターズとピロウズとANATAKIKOU、その他音楽やいろいろ。

浅田信一 10th anniversary tour 2005 IN 名古屋アポロシアター

2005-10-09 | 音楽
久しぶりの浅田信一ライブ行ってきました。あ、でも今年のGWに音楽の日のイベントで見てるか。ただあの日はトークが異様に長くて3曲しか聴けなかったので、久しぶり感はやはり強いです。ところでこのツアーの名古屋は初日なんですよ。明日以降行かれる方で、曲をばらされたくないという方は読まないよう気をつけてください。



というわけで1曲目はいきなりアカペラのいい声で始まる「クラゲ」。これ大好きな曲なんですよ。俄然テンションも上がります。コータローさんは、コレクターズでは見たことのないイエローのギターを持っています。これ、フェンダーのボディを元に友達がカスタムしてくれたというブツのようですね(雑誌で確認)。あと浅田くんのサポートではおなじみ、きれいなアコギハミングバードと、テレビで奥田民生のサポートとして登場したときに持っていたレスポールjr。もうひとつあったのですがそれは後述します。

「名古屋ー!」と元気な信ちゃん。「名古屋はずいぶん来てなくて久しぶりなんですが、この上のダイヤモンドホールで、10年くらい前にスマイルでやったことあるんですが、来てた人いますか?」と客席に質問。けっこう手を上げた人がいたのを見て「君たちすごいね、あれはスマイルのベストライブでしたよ」と満足げ。その日は台風で新幹線が止まってしまい、新潟空港経由で飛行機入りしたのだそうです。こないだのコレクターズ仙台と同じですね。大変だ。浅田くんはスマイル解散ライブでも「スマイルは雨男バンドとして、業界でも一目置かれていましたが」と言ってましたがほんとにすごかったんですね。ちなみに今日も雨でした。

そうそう、今日のライブはコータローさんが、出てくるなりサングラスしてたんですよ! しかもレイバン! もう西武警察の大門さんがしてるような(歳がばれる)こてこてのレイバン! うさんくささ5割増! 2曲目の「ステレオタイプ」が終わったところで外したのですが、アレはインパクトすごかった。服は普通のTシャツ(赤いTMT)だったので余計怪しかったです。信ちゃんも一曲目はサングラスでしたが、こっちはいつものアレで似合ってましたよ。

3曲目はオデッセイから「ANSWER」。これも好きな曲だー。後半のキーボードの音を、コーさんがギターで再現していたのに感動。

11月に出るマキシシングルに収録されているという「夜はやさし」を披露。更に「蛍」という曲を。これはマキシにも収録されず、その次のアルバムに入れる予定だそうです。楽しみだ。「クラゲとかホタルとか似たようなタイトルですね」と自分で突っ込む浅田くんでした。

「最近高田馬場のリハーサルスタジオの近所に、寿がきやが出来たんですよ。なのでよく行ってます」とMC。「僕は浜松の出身なので、けっこう名古屋文化に近いんです。ココイチのカレーも食べました」と可愛いこと言ってます。「東京のその寿がきやでは、小さい味噌カツがつくんですよ」との報告には客席から驚きの声が。「東京限定メニューなんだ」と感心してますが何かおかしくないですかそれ。「寿がきやで大きくなったようなものです」とも言っておりました。

新曲コーナーが終わったところで、信ちゃんとコーさんを残してメンバー退場。スタッフの人が椅子を持ってきて、コータローさんが座ったことでアコースティックコーナーだと分かります。「皆さん立ちっぱなしで大丈夫ですか?」と信ちゃん。「古市先生だけ椅子ですが、先生なので」と笑っていました。「万博行きましたか?」と名古屋な話題を振った信ちゃんに「行ってない。行こうかと思ってて、新聞見たら『今日で閉幕』とかそんな状態だったんだよね」と答えるコーさん。「並ぶんでしょ? なんか並び疲れて横になってるおばさんの写真とか新聞に載ってたよ」と続けると浅田くんが「並ぶのダメですか? ラーメン屋とか」と聞きます。「ダメだねー。4人くらいまでかな。回転率が良ければね。悪いともうダメ」とコーさん。この辺の言い回しもっと面白い感じだった気がするんだけどうろ覚えです。更に「最近名古屋が東京に進出してきてるよね」と言い始めるコータローさん。「やまちゃんとか。俺の住んでる町に2件くらいやまちゃん出来たもん。一緒に行ったよね、(信ちゃんの)誕生日に」などと仲の良さそうな話も出てきました。「なんかトークライブみたいですね」と話す信ちゃんに「ここだけフォークライブってことで」と、コータローさんのんきです。ようやく曲に行こうとして譜面をめくるコーさん、「俺この曲で泣いたんだよな…」とつぶやきました。それを聞いて「北海道で語り合いましたよね」と浅田くん。スマイル時代の曲について話し始めました。「僕にとってこの、昨日と明日の二部作ってのはとても大きくて、プレッシャーにもなったこともあって。…僕のことをずっと見ててくださる方は知ってるでしょうけど、僕不良だったんですよ。高校も行ってなくて。上原が雑草魂なんて言うの聞くと、俺のほうがよっぽど雑草だよ、お前なんかボンボンだ! って思っちゃうんですよ」そこまで言って「コータローさんもそうですよね?」と振ります。すると「俺はけっこう上原タイプよ?」と答えるコータローさんに、「え、だって小6からシンナー吸ってたんでしょう?」と信ちゃん。えー、と驚く客席に「やってないよ」と否定します。「じゃあいつから?」と信ちゃんに聞かれ「中2」と答えてしまったコータローさんでした(笑)。信ちゃん誘導尋問うまいな。「とにかく、ずっとそれがコンプレックスであって…それで、この人も…あ、改めて紹介します。古市コータローさんです」今ごろ思い出したように言われ、拍手が起こりますが、多分ほとんどの人は知ってると思います。「コレクターズも名古屋しばらく来てないんですよね」と聞かれ、「うん、でも今度12月に来るよ」とコータローさんが言うと、そこでも拍手が。「俺のことはいいよ。今日はあなたが最高じゃないですか」と妙な謙遜をするコータローさんでした。浅田くんが続けて「それで、この人もそうなんですよ。ヤンキーなんです」とコーさんを紹介。「その言い方やめてよ」笑いながら反論するコーさん。「それで、僕は親がいないんですよ。コータローさんも中学生のときご両親を亡くされて、それから独立したんですよね」と聞いた信ちゃん、「独立ってことはないか(笑)自立して生きてきて…大人に舐められないようにするには音楽が必要だったんです」と言った内容のことを語っていました。「ロックミュージシャンに学歴なんていらない、と言われたりもしますが、大学の音楽サークルでバンド組んで、そのままデビュー、ってバンドが多い中、コータローさんとよく話すんですよね。よく俺たちこんな、人の前で話せるようことが出来てるよねって」。いや深い…。なんというか浅田信一の歌詞に、未だに男になろうと上を向く少年の危うさがあるのはやっぱりこういう背景あってのことなのでしょうか。しかし「何かお客さんしんとしちゃったよ」と笑わせにかかるコータローさん。困ったように信ちゃんも「だから、コータローさんが言ってくださったんですよ。『この曲は浜松の不良が書いたからいいんだ』って」と、昨日の少年を紹介していました。「さらっとやりたかったのに…まあ、10周年ということで、これからさらっとやっていけるようになっていくと思います」と締め、二人で「昨日の少年」を弾き語っていました。ところでここでコータローさんが持っていたギターが、いつものギブソンES335だったのですが、ストラップが炎のような模様が入っていて、なんか違和感がありました。

コータローさんと言うと、加藤さんの長年の相棒という印象が強いですが、こういう話を聞くと、その境遇や考え方において浅田くんとの共通点もかなりあるんだということに気付かされます。コレクターズが来年20周年を迎えることを思うと、スマイルの解散が返す返すも心が痛いです。信ちゃんは、あまりにも長い時間スマイルのメンバーとずっと一緒にいて、解散が決定したときにも、その長年の友達であることは変わりないんだからと動揺はしていなかったのに、実際スマイルがなくなってしまったことで鬱状態になってしまったとインタビューで語っていました。そのときに支えになってくれたのがコータローさんだという話も聞いたことがありますが、スマイルに、信ちゃんに加藤さんにとってのコータローさんのような人間がいたら…と考えてしまうのはちょっと妄想たくましすぎるでしょうか。

さて、その後「明日の行方」を弾いてコーさん退場。代わりにキーボードの渡辺シュンスケくん(カフェロン)が登場します。「カフェロンというバンドのボーカル、キーボードの渡辺くんです。僕がカフェロン好きなので、一緒にやりたいとお願いして今回参加してもらいました」と紹介した信ちゃんに向かって渡辺くん、「僕も名古屋なんですよ」と一言。「本当!?」と、初めて知った様子の浅田くん。「僕も寿がきやのラーメンが血肉となって大きくなりました。名東区高針」と細かい住所までばらす渡辺くんに「そこまでは(名古屋を)知らない…名古屋っぽくないよね、ってそれどういう意味なんだ」と自分ツッコミしておりました。そこで渡辺くんのピアノのみで「VOYAGER」を。ああいい声だ~。ほんとこの人の低音はいいな。今日もとても調子が良くて、いいボーカルを聴かせてくれました。

その後メンバー全員登場し、新曲の「悲しみストレンジャー」を。新星堂限定シングルで11/9に発売だそうです。曲調はとてもポップで、メロディラインの美しいいい曲でした。ここから「ラブレター」「流れ星と月の石」「闇を貫いて」と、モアベター・スマイルから名曲目白押し。「流れ星~」は、アルバムではカーネーションの直江さんとツインボーカルでしたが、ライブでは浅田くんが一人でボーカルを。と思ったら「知らない振りして君は列車に乗って 窓に切り取られた風景を追う」をコータローさんが歌ってました! フロアからも拍手が起こります。更に「CHERRY BLOSSOM」「深夜バス」(久しぶり!)「DEAD MAN」とソロワークからのメインチューンで怒涛の盛り上がりを見せ、本編は終了しました。

アンコールで登場した浅田くん、スタッフの人からかけられたギターはなんとギブソンES335! それコータローさんのギターじゃないの? と思ったのですが、ストラップは例の炎のアレ。もしかして同じギターを信ちゃんも持ってて、それを今回コーさんに貸したということなのでしょうか。それともこの、アンコールで持っているのはやはりコーさんのギター? ちょっと謎です。刑事教えてくれないかな。そのギターを持って「10周年ということで、ネットで聴きたい曲アンケートをとってるんですが知ってますか?」と尋ねます。「それで、場所によって結果がばらばらで、人によって思い入れのある曲が違って面白いですね」と、結果の紙を見ながら感心していました。「これをやろうかな」と始めたのは「風と雨の強い日」。しかし途中でいきなり「…~ってね」とギターも歌も止めてしまいます。ちょっとだけしか歌わないのかな? と思ったら、再開もいきなり。結局最後までちゃんと歌いきってくれました。更に「夢見たものは…」を。しかしこれを歌い終わったあとのMCが。「僕が今までこの曲を歌いたくない、って言ってたので、これに票が集中するかと思ってたんですけど、それほどでもなかったですね。それでも名古屋は一位でしたけど。どうして夢見たものは…を歌いたくなかったかと言うと、えー、これ深いな、明日の大阪で話します」ととんでもないことを。えー、と大ブーイングの客席を無視してドリンクを飲み、「じゃあ次の曲は」とほんとに進行して行ってしまいます。フロアびっくり。「どうして歌いたくないの?」と客席から問われても「明日大阪で」と話す気まるでなしの様子。そして本当に歌わない理由は教えてもらえませんでした…。さすがだぜ浅田信一。最後のスマイルの曲は私の知らない曲でした。

その3曲が終わって「ここでメンバーを呼びたいと思います」と紹介。「ドラムス、玉田豊夢!」100sで忙しいだろうに久しぶりにサポートに来てくれた豊夢くんいい人ですね。豊夢くんのドラムは非常に私の好みのレンジの真ん中にいるので好きです。更に「ベース、イワイエイキチ! エイちゃん!」(イワちゃんだったかな?)とちゃん付けで呼び出し。「キーボード、渡辺シュンスケ! シュンちゃん!」と続きます。どうするのかと思ったら「ギター、古市コータロー、コーちゃん!」と、ちゃんとコーさんもちゃん付けにしてくれました。そこに客席から「信ちゃん!」と声がかかり、「信ちゃんです」と自分も紹介しておりました。

「最近切ないね。ってコータローさんと話してて、なんでだろうと思ったら秋だからですねってオチがついたんですけど」と信ちゃんが振ると「むなしいね。背中合わせにむなしさを感じるよ」と意味不明な発言をするコーさん。「背中に哀愁を背負ってますからね」「いやいや」とのやり取りのあと、「皆さんと冬を歩きたいと思います。『冬を歩く』」と、オデッセイからの曲を披露。続いて「ヒマワリ」でライブは終わりを迎えたのでした。

サポートの人たちがいつも安定して上手い方ばかりというのも、浅田くんのステージにおいて大きな魅力ですね。とにかく安心して見ていられる上質なライブであるというのはいいことです。でもそれ以上に、浅田信一の作る曲とこの人の声は独特でとても素晴らしい。すごい才能の持ち主だと思うのですが、この人もそのクオリティの高さに見合った評価を受けてるとは言い難いところにいるなあ。ほんとにいい曲ばっかりなので、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいですね。春に出るアルバムも楽しみです。