nakacli.blog

千里の道も一歩から

インフル予防接種って効果ある?

2013年01月25日 | 医療情報

大学研究チームが、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、毛髪を作る皮膚の組織をマウスの体内で形成させることに成功と発表!

心筋などの重要な臓器だけではなく、身近な脱毛症の治療薬開発につながると期待されるというのがいいですね

インフルエンザの感染もだいぶ拡大してきています。

今年の特徴は、まず大人への感染が先行して拡大しているという点です。クリニックでも1月中旬までのインフルエンザ感染者は、内科(15歳以上)の方が多く認められていました。

しかし、幼稚園や学校が始まり徐々に子供たちへも感染が拡大して来ています

小児科では、「100%予防は出来ないけど、脳症や肺炎など重症化しないようにインフルエンザの予防接種をしましょう!」と説明し、どの医療期間でも10月~1月くらいまでワクチン接種を行っています。

予防接種を受けてもある程度感染するものと分かっていますが、わざわざ2回もワクチン接種にクリニックまで来てくれたお子さんたちが高熱で受診し、検査で「インフルエンザです」と保護者の方へ伝える時には何とも言えない感じです

診断キットも断然感度が良くなり、タミフル、リレンザ、イナビルなどの治療薬も揃っています。

こんな事ならわざわざお金を払って痛い思いをするワクチンなんて接種しなくてもいいのでは?と誰もが考えますよね。

米国では「予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)」から、ワクチン株と流行株が一致している場合には、65歳以下の健常成人での発症予防効果は70~90%、施設内で生活している高齢者での発症予防効果は20~40%と下がりますが、インフルエンザに関連する死亡の予防効果は80%みられたと報告されています。

また、A/H3N2亜型とA/H1N1亜型が流行した年におけるインフルエンザによる呼吸器疾患の予防効果は1~15歳の小児では77~91%、また3~9歳の健康小児では56%の発症予防効果などが報告されています。

日本では、厚生科学研究費による「インフルエンザワクチンの効果に関する研究」の報告によると、65歳以上の健常な高齢者については約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったとしています。

また、乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に対する研究では、
1) 1歳未満児については対象数が少なく、有効性を示す確証は認められなかった。
2) 1歳以上6歳未満児については、発熱を指標とした有効率は20-30%となり、接種の意義は認められた

となっていますが、国内ではH23年からワクチン接種量を欧米並みに増量(6か月~3歳未満:0.25ml/回、3歳以上:0.5ml/回)してからの研究報告はありませんので、今のところ小児の発症予防効果は、3~9歳の56%、という米国の数字が当てはまるのでしょうか

インフルエンザワクチンを接種した大人も子供も、約半数は感染する可能性があるということです。

しかし、これは多くの人が予防接種しているおかげでこの程度の感染で済んでいるということも忘れはいけません

感染者が増えると社会全体へ拡大していきます。これを防ぐのも予防接種の「社会防衛」という役割の一つです。

結局は、毎年大変な思いをしながらインフルエンザの予防接種している我々医療従事者も、決して無駄なことはしていないと自分でも納得


最新の画像もっと見る