「ん、なんだこりゃ?」
晩御飯を作ろうとして台所に入ると、冷蔵庫のドアに何か貼ってある。
どうやら深雪が作ったものらしい。
A4の紙に色々な色で何か書いてある。どれどれ。
タイトルはWinter Heating Rules、冬の暖房のルールね、フムフム。
1 ドアは全て閉める。何故ならそこから熱がにげるから。
2 暗くなったらカーテンは閉める。窓の隙間から熱が逃げてしまう。
3 タオルを丸めてドアの下に置く。バスルームのドアなど。
4 シャワーを浴びるときは窓を開ける。鏡が結露しない。
5 すごく寒い時はガスヒーターを使う。ガスヒーターは家全体を暖められるから。
6 晴れた日には窓を開ける。太陽の陽は家を暖める。暖房は全て切る。
7 カーテンはきっちりと閉める。隙間から熱が逃げてしまうから。
項目の下には電気ストーブの絵と女の子が「これを忘れないように」と言ってる絵が漫画っぽく描いてある。
ボクは娘に言った。
「素晴らしい。これは学校でやったのか。どういう風にやったのか教えてくれ」
「これは今学期のテーマなのね。youtubeでenergy wiseというのを見て勉強したの」
ニュージーランドは電気が豊富な国である。
日本とほぼ同じ国土に人口は400万人。
電力の6割は水力発電でまかなわれ、3割は火力、1割は地熱、風力、太陽である。
原子力発電所はこの国にはない。
そもそも国の政策が、核を作らない使わない持ち込まない、という非核三原則だ。
人口が400万人しかいないので、まあ原発はなくても充分やっていけるわけだ。
一般の家庭では料理を作るのもお湯も暖房も電気である。
田舎では暖炉や薪ストーブの家もあるが都市部では電気のヒーターが占める割合は大きい。
暖房やお湯を沸かすのにガスを使うことは使うがほとんどの家は電気である。
市民の生活は電気の上になりたっている。
その豊富な電気に甘えずに、なんとかやっていこうという前向きな姿勢があちこちに見える。
電力会社のコマーシャルは、「便利ですよ。だからジャカジャカ使いなさい」というものではなく、「無駄なところは省いて賢く使いましょう」というように。
社会が大人なのだ。
娘は日本で言えば小学校4年生だが、学校の授業でこういったことをやるのは素晴らしいことだ。
それもyoutubeを使って、というのが今時らしい。
こういったものは使い方次第で毒にも薬にもなる。
教科書を丸暗記するだけが勉強ではない。
足し算引き算も大切だが、人間が社会の中で生きていく上で大切なものもある。
真の教育というのはこういうことだろう。
さらに子供がこういうことを学び、家で目立つところに貼れば家族もそれから学ぶ。
限りあるエネルギーを無駄にしない、という真理はこうやって普及する。
今年は冬が来る前に家の窓を二重窓にした。
といっても大々的な工事をしたわけではない。
薄いセロファンのようなものを窓枠に合わせ両面テープで貼り付けるのだ。
それをヘアドライヤーで暖めるとしわが伸びきれいになる。
これはDIYでできる簡易二重窓である。
両面テープとセロファンのセットのパッケージで売られている。
友達のレネにこの話を聞いて、ピンと来た。これだ。
直感に沿った行動で間違いはない。
即行動に移し、その結果窓の結露はなくなり、明らかに家の中が暖かくなった。
娘の部屋は家で一番寒い部屋で、冷え込みがある時はよくコンコンと咳をしていたが、今年はそれも解消された。
自分が自分のために、家族のために、環境のために、行動を起こす。
こういう自発的で間違いのない仕事は気持ちがいいものだ。
さらに親がそういう行動をすることを見て子供は学ぶ。
そして学校で電気のことなどを学び、それらはリンクされ自発的に不必要な場所のスイッチを切るというような行動へと移っていく。
素晴らしいことではないか。
ボクは娘にあらたまって向き合い問いかけた。
「一つ質問をしよう。電気を無駄にしないというのは大切なことだ。必要ないところの電気を消すのは良い事だ。」
「うん」
「じゃあ深雪は電気代がもったいないから電気を消すのか?それとも電気がもったいないから電気を消すのか?」
娘はそんな事を考えたこともなかったのだろう。黙って考え込んだ。
「今その答を出さなくてよろしい。答が出たら自分の胸にしまっておきなさい。そういうことを考えることが大切なんだよ」
質問を投げかけるのは親の役目だ。
大人の社会から学ぶことは多い。
それは個人の行動の選択へもつながっていく。
同時に個人が社会に試されているとも言えよう。
電気代がもったいないから電気を消すのか?
電気がもったいないから電気を消すのか?
子供だけでなく、世界中の人に問いかけたい。
その答は心の中にある。
晩御飯を作ろうとして台所に入ると、冷蔵庫のドアに何か貼ってある。
どうやら深雪が作ったものらしい。
A4の紙に色々な色で何か書いてある。どれどれ。
タイトルはWinter Heating Rules、冬の暖房のルールね、フムフム。
1 ドアは全て閉める。何故ならそこから熱がにげるから。
2 暗くなったらカーテンは閉める。窓の隙間から熱が逃げてしまう。
3 タオルを丸めてドアの下に置く。バスルームのドアなど。
4 シャワーを浴びるときは窓を開ける。鏡が結露しない。
5 すごく寒い時はガスヒーターを使う。ガスヒーターは家全体を暖められるから。
6 晴れた日には窓を開ける。太陽の陽は家を暖める。暖房は全て切る。
7 カーテンはきっちりと閉める。隙間から熱が逃げてしまうから。
項目の下には電気ストーブの絵と女の子が「これを忘れないように」と言ってる絵が漫画っぽく描いてある。
ボクは娘に言った。
「素晴らしい。これは学校でやったのか。どういう風にやったのか教えてくれ」
「これは今学期のテーマなのね。youtubeでenergy wiseというのを見て勉強したの」
ニュージーランドは電気が豊富な国である。
日本とほぼ同じ国土に人口は400万人。
電力の6割は水力発電でまかなわれ、3割は火力、1割は地熱、風力、太陽である。
原子力発電所はこの国にはない。
そもそも国の政策が、核を作らない使わない持ち込まない、という非核三原則だ。
人口が400万人しかいないので、まあ原発はなくても充分やっていけるわけだ。
一般の家庭では料理を作るのもお湯も暖房も電気である。
田舎では暖炉や薪ストーブの家もあるが都市部では電気のヒーターが占める割合は大きい。
暖房やお湯を沸かすのにガスを使うことは使うがほとんどの家は電気である。
市民の生活は電気の上になりたっている。
その豊富な電気に甘えずに、なんとかやっていこうという前向きな姿勢があちこちに見える。
電力会社のコマーシャルは、「便利ですよ。だからジャカジャカ使いなさい」というものではなく、「無駄なところは省いて賢く使いましょう」というように。
社会が大人なのだ。
娘は日本で言えば小学校4年生だが、学校の授業でこういったことをやるのは素晴らしいことだ。
それもyoutubeを使って、というのが今時らしい。
こういったものは使い方次第で毒にも薬にもなる。
教科書を丸暗記するだけが勉強ではない。
足し算引き算も大切だが、人間が社会の中で生きていく上で大切なものもある。
真の教育というのはこういうことだろう。
さらに子供がこういうことを学び、家で目立つところに貼れば家族もそれから学ぶ。
限りあるエネルギーを無駄にしない、という真理はこうやって普及する。
今年は冬が来る前に家の窓を二重窓にした。
といっても大々的な工事をしたわけではない。
薄いセロファンのようなものを窓枠に合わせ両面テープで貼り付けるのだ。
それをヘアドライヤーで暖めるとしわが伸びきれいになる。
これはDIYでできる簡易二重窓である。
両面テープとセロファンのセットのパッケージで売られている。
友達のレネにこの話を聞いて、ピンと来た。これだ。
直感に沿った行動で間違いはない。
即行動に移し、その結果窓の結露はなくなり、明らかに家の中が暖かくなった。
娘の部屋は家で一番寒い部屋で、冷え込みがある時はよくコンコンと咳をしていたが、今年はそれも解消された。
自分が自分のために、家族のために、環境のために、行動を起こす。
こういう自発的で間違いのない仕事は気持ちがいいものだ。
さらに親がそういう行動をすることを見て子供は学ぶ。
そして学校で電気のことなどを学び、それらはリンクされ自発的に不必要な場所のスイッチを切るというような行動へと移っていく。
素晴らしいことではないか。
ボクは娘にあらたまって向き合い問いかけた。
「一つ質問をしよう。電気を無駄にしないというのは大切なことだ。必要ないところの電気を消すのは良い事だ。」
「うん」
「じゃあ深雪は電気代がもったいないから電気を消すのか?それとも電気がもったいないから電気を消すのか?」
娘はそんな事を考えたこともなかったのだろう。黙って考え込んだ。
「今その答を出さなくてよろしい。答が出たら自分の胸にしまっておきなさい。そういうことを考えることが大切なんだよ」
質問を投げかけるのは親の役目だ。
大人の社会から学ぶことは多い。
それは個人の行動の選択へもつながっていく。
同時に個人が社会に試されているとも言えよう。
電気代がもったいないから電気を消すのか?
電気がもったいないから電気を消すのか?
子供だけでなく、世界中の人に問いかけたい。
その答は心の中にある。