あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

えーちゃんとの会話から

2017-03-21 | 
久しぶりにえーちゃんに会った。
えーちゃんとは北村家二軍筆頭のえーちゃんである。
以前にも書いたのでもう説明はいいだろう。
クィーンズタウンで少しだけ時間があったので遊びに行きお茶をご馳走になった。
エーちゃんが言うには、クィーンズタウンの中心あたりに淀んだ空気があるような気がして、それがここ数年で増え続けているような気がする。
町の中心で働いている彼だから余計に気がつくものかもしれないが、僕も全く同意見である。
それは人々が作り上げる念のようなものかもしれない。
クィーンズタウンは綺麗な場所大きなだし人々がここを訪れるのも分かる。
自分も30年前にこの場所の綺麗さに惚れて居続けた口だ。
その場所の綺麗さとうらはらに人間の欲が渦巻いている。
今年はアロータウンに住んでしまったので、仕事以外ではクィーンズタウンに行くことはない。
行っても車を停める場所はないし、道路は常に渋滞しているし、レンタカーは多いしイライラするばかりだ。
なので町にはほとんど出ずに山小屋風の家で目の前の巨木を眺めながらお茶を飲むのだ。
なんか爺さんみたいだな。

みんななにかおかしいと感じながら生きつつ、何をどうしていいか分からない。
その『おかしい』という感じは一人歩きしながら大きくなっている。
これはニュージーランドの片田舎の観光地だけの話ではなく、世界のどこも同じような悩みを抱えている。
えーちゃんと大統領のトランプの話になったが、彼が言うには自分を支持してくれた人の望みを自分はやっているのだと。
それが本当ならアメリカとメキシコの国境にフェンスを作るなどという馬鹿げた事を多くのアメリカ人は望んでいるのか。
そこまでアメリカ人はバカなのか。
アメリカ人も大統領もバカ野郎なら、そんなアメリカに50兆もの大金を手土産に持っていく日本の総理大臣も大馬鹿野郎だ。
そんな金があったら福島の原発をなんとかしろ、熊本の地震の被害にまわせ、ついでにJRの日高線を直してやれ、その他もろもろ日本の中で困っている人に日本の金を使え!
アメリカの大統領も馬鹿だし、日本の総理大臣も馬鹿だし、それをバカバカと言ってる僕もバカなんだろう。
馬鹿は死ななきゃ治らないので、そういう人たちには早く死んでもらおう。
死ねばバカも仏様になれるのだから。

えーちゃんとお茶を飲んでそんな話をしていたら宗教の勧誘の人達が家に来て宗教のこととか社会のこととか尋ねていった。
うまくあしらって帰ってもらったえーちゃんが言った。
「いやあ、まいりましたよ。子供も連れて来られちゃって」
ひどい話だ。
人が何を信じるかは自由だが、それを個人宅まで来て広めようとする態度は嫌いだ。
そんな事をする時間があったら、街のゴミ拾いをしたほうがよっぽど世のため人のためになる。
ましてや子供を連れてくるなんて、やり方がきたない。
子供には子供の人生があるべきで、人生の大切な時間をそんなことに使わされる子供がかわいそうだ。
まあ親の背を見て子は育つので、親がそういう人なら子もそうなるのかもしれない。
それはそれでその人の人生をあれこれ言うことこそ、大きなお世話というものだ。
でもお願いだからうちには来ないでね。

こんなことを書いていたら面白い話題を見つけた。
僕が普通のニュースを見たり見なかったりするが、『地球最期のニュース』というサイトはよく見る。
この日の話が、サイコパスとその理念が世界を動かしている、というもの。
サイコパスとはなんぞや?
精神病質とは、反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使われている。
その精神病質者をサイコパスと呼ぶ。のだそうだ。
これじゃ分からないぞ、と思ったら親切に具体的な説明があった。

犯罪心理学者のロバート・D・ヘアによるサイコパスの定義

・良心が異常に欠如している
・他者に冷淡で共感しない
・慢性的に平然と嘘をつく
・行動に対する責任が全く取れない
・罪悪感が皆無
・自尊心が過大で自己中心的
・口が達者で表面は魅力的

ふむふむ、それで?

「自分のナルシズムを満足させるためには他人をどれだけ傷つけても構わないし、無慈悲で冷酷で共感の気持ちもない。しかし、人をコントロールする魅力と能力を兼ね備えている人物」

ああ、イヤな奴だね。
だけど、こういう人が企業のトップに多数いる。
そしてそういう理念のもとに企業は動いており、世の中がそうなっている。
詳しくはこちらを読んでいただきたい。

なるほど、ニュージーランドにもそういう会社はあるよな。
クィーンズタウンを牛耳っている会社の大ボスがまさにそれだろう。
そして小さい会社でもそういうようなボスの会社は多数ある。
これを読んで、僕が働いている会社のボス連中はこういう人じゃなくてよかったなと思うのだ。
こういう話を書くと、じゃああいつが悪い、というように結び付ける人がいるがそうではない。
誰が悪いと言う話ではなく、今の世の中がそういう理念によって動いているという話なのだ。
そしてそれこそがエーちゃんが感じた、なにかモヤモヤした淀んだ空気なのだろう。
今日も世の中はモヤモヤした空気に包まれて廻っている。



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走りに走った

2017-03-17 | ガイドの現場

僕の仕事はガイドである。
山を歩きながらガイドすることもあれば、車を運転しながらガイドすることもある。
今回の仕事では歩きはほとんど無く、ほぼ毎日運転をしていた。
クライストチャーチに始まりクィーンズタウン、ミルフォードサウンド、マウントクック、テカポ、クライストチャーチに戻り、そこからピクトンまで。
お客さんはフェリーでウェリントンまで行くので、そこでお別れして僕はその翌日にクライストチャーチまで戻ってきた。
ざっと2600キロを6日間で走ったのである。
2600キロと言えばあーた、本州を山口から青森まで一往復できるぐらいだ。
まあこの南島の南から北まで往復したようなものなのである。
そんなに運転して疲れないか?と聞かれれば疲れるがドライブはもともと嫌いではない。
それにニュージーランドの道は日本の高速道路と違って防音壁が無い。
99.9パーセントぐらいは牧場の中を走るので景色は常に開けている。
一般道なのでそれなりに変化があるのも良い。
日本の高速道路は運転しやすいが単調でつまらないと思う。
そしてここの道はトンネルがほとんど無い。
谷間をつめていって峠を越えて谷間を降りて平野部に出る。
地形が良く見えるし、人工的に作られた道よりも、旅をしている感覚を味わえる。

今回のツアーでは普段あまり行かないピクトンまで行った。
普通ならクライストチャーチからピクトンまでは片道5時間弱。
ドライブの仕事なら充分日帰りできる距離なのだが、昨年11月の地震で主要国道の1号線が土砂崩れで閉鎖。
今は大がかりな迂回をすることになり7時間半もかかった。
迂回路も今まではそれほど交通量が多くなかったのに、いきなり大型のトレーラーが増えたからか道路の傷みがひどいのだろう。
これもかというぐらいに道路工事をやっていて、そこに大型のトラックが多いので時間は余計にかかる。
お客さんとはピクトンでお別れして、空で帰るのだが日帰りは無理なので途中で一泊せざるをえない。
普段は泊まることのないブレナムに泊まることにした。
ブレナムでは以前クィーンズタウンでガイドをしていたミチコとチェコ人の旦那のピーター、二人の家で夕食。
数年前に彼らがクィーンズタウンで結婚式をした時に呼ばれて行った時に旦那と会っている。
ブレナムと言えばワインの産地、ミチコもピーターもワイナリーで働いていて、家には美味しいワインが有り、しこたま飲ませてもらった。
次の日の早朝、道路が混む前にブレナムを出てクライストチャーチに戻った。

クライストチャーチの我が家に帰ってきて1日の休みだがやることはある。
鶏の一羽が卵が詰まってしまったのだろう、動かなくなってしまった。
卵が詰まるのは割とよくあることだそうで、たいていそのまま死んでしまう。
僕が居ない時に死んだら妻子は困ってしまうので、その鶏を締めた。
いずれにせよ、あと数か月、夏が終わったら締める予定だったので、ちょっと早くあの世へ行ってもらおう。
捌いてみたら痩せて肉はほとんど無かったのでそのままココの餌に。
内臓をみたらやはり卵が詰まっており、卵の出来損ないみたいなものの中に出来かけの殻がぎっしり重なっていた。
なるほどなこれじゃあ動けないだろうな。
生き物を飼う上で避けられないのが死との対向である。
ペットになれば名前も付けるので情がわく。
情が多ければ多いほど死による別れは辛くなる。
それが嫌で生き物を飼わない人はいるだろう。
うちの鶏は名前をつけないが、それでも毎日世話をしていれば情がわく。
それを殺すのはやはり勇気がいる行動だ。
できることなら避けたいがそれも許されない。
飼う責任というものもある。
きっちりと仕事をせねば。

その他、庭仕事をこまごまとやり家での休日は終わった。
再び僕は旅の空へ。
きっと南の方では黄葉が始まっていることだろう。
もうしばらく忙しい時期は続く。


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