前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

マグリットの石

2012-12-07 23:03:09 | 美術関係
マグリットの作品を知ったのは、
小学生か中学生の頃、藤子不二雄の「マグリットの石」という漫画を
読んだからでした。

「マグリットの石」がどんなストーリーだったか今ではよく覚えていませんが、
「ドラえもん」や「オバQ」しか知らなかった子供にとっては
巨大な岩の絵の不気味さだけが強く印象に残りました。




マグリットの作品には宙に浮かぶ巨大な岩がよく登場します。

実際にマグリットの絵を観ると、
それほど写実的ではなくイラスト的というか、どこかユーモラスですが、
やはり幼少期に漫画を読んだ影響からか、
なにか「不穏な空気が漂う不気味な作品」という印象をずっと持っていました。


巨大なものがなんの支えもなくただ空に浮かんでいる・・・
いつか落ちてくるのではないか・・・


ですが昨年、その後の人生を大きく変えるような、
今まで以上に自分自身と向き合わざるを得ないような出来事を経験し、
それ以降、この岩の「意味」が大きく変わりました。


この岩は<事実>なのだ、と。
自分の身に起こった全て、経験した、体験した、感じた全て。
それら全ての<事実>の象徴なのだ、と。

誰の頭上にも、きっとあの「岩」があるのでしょう。
他の人には見えない、気配すら感じないような「岩」が。

でもそれは、決して落ちてはきません。ただ<事実>として存在し続けるだけです。
ですからもう、この「岩」の絵に不穏さも恐ろしさも感じません。


<事実>としてそこにある。それ以上でもそれ以下でもない。


ただ、その<事実>の、なんと巨大で重いことか。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿