前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

題名のない音楽会 『調性ってなに? フランク交響曲ニ短調』

2011-09-19 08:13:46 | セザール君の作品
日曜日に放送された、題名のない音楽会『調性ってなに? 名曲百選12』では
フランクの交響曲ニ短調が取り上げられていました。

作曲家の吉松隆さんをゲストに、音楽と調性について語られました。


よく指摘されるのが、調性と色彩の関係です。

音を聴いて色を感じたり、文字や数字に色を感じたりと、
一つの知覚・感覚への刺激が他の知覚・感覚を呼び起こすことを「共感覚」といいます。

調性と色彩の関係もそれに近いものがありますが、
特に「共感覚」の持ち主でなくとも、長い西洋音楽の歴史の中で、
例えば「ハ調=赤(または白)」「ヘ調=緑(自然の色)」などのイメージができあがっています。

これらはベートーヴェンの9つの交響曲の影響も強いのでは、
というのは、司会の佐渡裕さんの意見です。
(第6番ヘ長調「田園」からヘ長調=緑や茶などの自然色という印象)

音と色の関係に最も拘ったのは、スクリャービンでしょう。
(彼は文字通り「共感覚」の持ち主だったとされています)
交響曲第5番では音と色の融合を目指し、鍵盤によって色彩を操作する「色彩ピアノ」を開発しました。


また、作曲家が調性を選ぶ際には、ほかにも楽器の特性、
その曲で中心となる楽器が一番よく響く調というのも関係するようです。
ホルンが重要な役割をする曲が変ホ長調、というように。
(概ね弦楽器は♯系、管楽器は♭系が得意とのこと)


さらに、ハ調(C)、二調(D)・・・といった文字からの連想もあるそうです。

 「Deus(神)」=ニ長調(D dur)
 「death(死)、demon(悪魔)」=ニ短調(d moll)

といった連想から、ニ短調→ニ長調が「苦悩から歓喜へ」といった物語性も生まれました。
(いわゆる「運命」スタイル)

フランクの交響曲ニ短調も「ニ短調→ニ長調」の形式です。


フランクの交響曲に使われている主題は、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番終楽章冒頭にでてくる2つの対話主題、

 「Muß es sein?」(そうでなければならないのか?)
 「Es muss sein!」(そうでなければならない!)

に関係していると指摘されています。

フランクでは、
第1楽章(ニ短調)の主題が「Muß es sein?」(そうでなければならないのか?)に
第3楽章(ニ長調)の主題が「Es muss sein!」(そうでなければならない!)に
相当します。
(第3楽章の主題は第1楽章第2主題からの派生です)


フランクは敬虔なクリスチャンでした。
そんな神に帰依する気持ちが、「神との対話」がこの交響曲に表れているように感じます。

レクイエムなどの宗教曲や標題音楽ではない純粋な器楽曲(絶対音楽)で
これほど「宗教性(神)」を感じさせる作品はほかにないのでは、と思います。

タモリ倶楽部 『上級クラシックファン待望!?クラシック裏道ガイド』

2011-09-17 11:07:26 | テレビ番組
昨夜放送のタモリ倶楽部
『上級クラシックファン待望!?クラシック裏道ガイド』を観ました。

タモリ倶楽部ではたまに、クラシック音楽の珍曲?迷曲?などを
発掘する回があります。

以前には、ライブ録音中に入ってしまった"雑音"?を特集していました。
戦時下での高射砲の音が録音されているものなど
「誰が見つけたのかなあ」と思うようなものばかりでした。


今回は有名作曲家の珍曲?迷曲?特集です。

ハイドン先生の作品からは2曲、
交響曲第94番ト長調『驚愕』(当ブログでの名前は≪びっくり≫です)と
交響曲第60番ハ長調『うかつ者』
か取り上げられていました。

交響曲第94番≪びっくり≫は有名ですから珍曲?迷曲?ではありませんが、
番組では、第2楽章の"どかん"の部分の変わったヴァージョンを紹介していました。

交響曲第60番『うかつ者』はもともと同名の劇のために作曲されたものを
交響曲にしたものです。
第6楽章冒頭でヴァイオリンが「チューニング」する箇所があります。

普通のコンサートで指揮者が登場する前にやる感じで、
でもきちんと「楽譜通り」に「チューニング」するわけです。


元ケルン放送交響楽団首席オーボエ奏者、
現在は指揮者としても活動されている宮本文昭さんがゲストで出演されていましたが、
ハイドン先生の作品は管楽器の"出のタイミング"を意図的に難しくしているもの、
(小節数の)カウントを間違えやすいものがあるため
先輩から「ハイドンだけは気をつけろ」と言われたとのことです。

故岩城宏之さんも書かれていましたが、
ユーモアがあり聴いていて分かり易く楽しいけれど演奏は難しい、という
ハイドン先生の作品の特徴を表しています。


ほかに、ヒンデミットの
『朝7時の湯治場で二流のオーケストラによって初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲』
なども紹介されていました。

曲名だけは知っていましたが聴くのは初めてです。
どんな曲かは名前から推測されますが、実は演奏者には高い技術が要求される曲です。


こういう「クラシック番組」も貴重ですね。